教育は未知にあふれている

ソクラテスのたまご

2019.10.15

【小学生】発達障害の子どもとトラブルについて 親ができる対策とフォローとは

ケンカやトラブルが起きた際、自立を促すためにもすぐに口出しするのではなく、子どもを信じて見守りたいと考える保護者もいると思います。しかし、わが子が発達障害の子の場合や発達障害の子どもとよくトラブルを起こしている場合もただ見守るだけでよいのでしょうか。今回は、私が関わってきた小学校や学童などでの経験をもとに親としてどんなケアやフォローがあるのかをします。

  • rss
  • google
  • bing

国が考える発達障害の定義とは?

2005年4月に施行された「発達障害者支援法」では、発達障害を「自閉症、アスペルガー症候群そのほかの広汎性発達障害」「注意欠陥・多動性障害その他これに類する脳機能の障害」「学習障害」と定義しています。

 

発達障害になる原因はまだ解明されていませんが、生まれつき脳機能の発達にかたよりがあるためと考えられています。そして、幼児の頃からその特徴は現れており、生活することに困難を感じる場面がそうでない子どもより多くあります。

 

では、それぞれの障害がどんなものなのかを厚生労働省発行の「発達障害の理解のために」をもとに解説していきましょう。

 

自閉症、アスペルガー症候群そのほかの広汎性発達障害

「人との関わりにくさ」「コミュニケーションのとりにくさ」「特定のものへのこだわりや想像力のとぼしさ」などの特徴をもつ障害です。なかでも、アスペルガー症候群は、言語発達の遅れはないものの不器用であったり、対人関係・社会性の障害があります。

 

注意欠陥・多動性障害(ADHD)

「不注意」「多動・多弁」「衝動的に行動する」などの特徴があります。

 

学習障害(LD)

「読む、書く、計算する」などの能力が全体的な知的発達に比べて極端に苦手といった特徴があります。


発達障害の定義は年々更新されています。またアメリカ精神医学会が発行する「DSM(精神障害のための診断と統計のマニュアル)」や世界保健機関(WHO)の診断基準「国際疾病分類」といった分類マニュアルがあり、前述の内容だけが定義ではありません。

 

ただ、発達障害の子どもは、上記のような特徴をもつため、小学校のように集団行動が必要な場所では、周りと同じ行動がとれないことが多く、周囲から“自分勝手な子””困った子”と見られがちです。

 

 

 

発達障害の子どもがトラブルを起こすとき

発達障害の子どもはパターン化した行動が得意だという印象があります。例えば、私が小学校で支援している発達障害の特性を持つ子ども達も、以下のような普段と違う行動や規律を求められる場面が多い日はパニックを起こしがちでした。

 

普段と違う行動・規律例

・運動会や学習発表会の練習がある日
・外部から知らない人を招いて普段と違う授業がある日
・今まで学習したことがない、自分では予測不可能な初めの経験をする日
・天気が悪い日や台風の影響で気圧が変化している日

 

また、授業中はガマンできていても、休み時間や小学校が終わった後の学童などの時間に反動でパニックを起こすことがあります。


私が勤務していた学童にいた発達障害の子どもで、みんなと同じ行動ができず教師に怒られることが多かった日は、友達と一緒に遊びたいのに叩いてしまったり、わざと友達が遊んでいるものを壊してしまったり、交代で遊ぶといったルールを無視して遊んでしまい、結果、一人で孤立してしまうという場面がありました。

 

 

トラブルが起きたときその場でできる対処法

通常の学級や学童には発達障害の子どもとそうでない子どもが一緒に生活していることが多いため、遊びの中などでトラブルが起きた場面にもよく遭遇しました。しかし、起きたトラブルが大きな問題になるかは、その場の対応によっても違います。そこで、トラブルを大きな問題にしないためにその場でできる対処法を紹介します。

 

トラブルを起こしがちな発達障害の子どもの対処法

トラブルを起こしたことで、その場で叱られたり注意されたり、友達に非難されることもあるでしょう。マイナスの評価を受けることが多くなることで「誰もわかってくれない、認めてくれない」「自分はダメな子なんだ」と自信を失くしていってしまい、さらに難しい問題に発展することもあります。


また、トラブルでパニックになっているため、その時に大人が何かを言っても事態を余計に悪化させてしまうこともあるのです。

 

そのような事態を回避するためにも、あらかじめ、保護者が教師などとその子に合った対処法を相談しておきましょう。例えば、授業中に立ち歩くことが多かったり、姿勢が崩れたりしている場合は、外からの刺激を遮断して落ち着ける場所に行ったり、校庭を歩くなどストレスを発散できるようになど具体的な方法を伝えておくことで、本人のパニックを避けることができます。

 

発達障害の子とトラブルを起こしがちな子どもの対処法

小学生にもなると自分で解決しようとする力も身についてきますが、それが裏目に出ることもあります。例えば、発達障害の子が何を言っても聞く耳をもってくれなかったり、何度も同じことを繰り返したりするのは、特性なので仕方がないことです。でも、周囲の子の中には、それが苛立ちに変わってしまう子もいるのです。なので、発達障害の子とトラブルを起こしがちな子には、障害の子本人ではなく、近くにいる教師や大人に声をかけるように伝えておきましょう


私がいた学童には、いつもお友だちの遊びの邪魔をしてしまう発達障害の子どもがいましたが、遊びのルールを守らなかったときは、周囲の子がすぐに「●●さんが順番を守らないから困っている。言っても聞いてくれない」と伝えにきてくれたことで、苛立った子をその場から離して落ち着かせ、発達障害の子の気持ちを大人から伝えることで大きなトラブルになる事態を防ぐことができました。

 

 

 

トラブル後、家庭でできるサポートやケアとは

ここまではトラブルが起きた現場での対処法を紹介してきましたが、次は、トラブルを起こしてしまった子に対して家庭でどんなケアをしていくのがよいか考えてみましょう。

 

トラブル後の発達障害の子へのケア

トラブルが続いたりすると保護者も子どもへの愛情が薄くなってしまったり、育て方の問題ではないのに「育て方が悪いのかも」と自分を責めてしまいがちです。しかし、それでは問題は解決されず、子どもも保護者もツラいまま。今後はどうしたらいいのか一緒に考えていくことが大切です。

 

「だめだよ」ではなく「かっこわるいよ」と心に寄り添った声かけをする

友達に手を出してしまった場合、家庭でも子どもに「だめだよ」「何回も言ってるでしょ」といった声かけをしてしまいそうになりますが、それは子どもの自己肯定感を損なうだけです。そのため「それはかっこわるいよ」「お友達と一緒に遊べなかったのは残念だったね」といった子どもの心に寄り添った声かけが効果的です。

 

今度パニックになった時に行ける場所を決めておく

小学校内で行ける場所は限られていますが、刺激を遮断できる場所を相談しましょう。そして、その場所が決まったら、前述のように教師へ「ストレスの臨界期を超えてしまった場合は、●●(静かで落ち着ける場所)でクールダウンしたいです」と相談しておきましょう。

 

自分の気持ちを伝える練習をする

自分の気持ちを表現するスキルが十分に育っていない場合は、一緒にどう相手に伝えるといいのか練習しておきましょう。言葉で伝えることが難しい場合は、まずジェスチャーで伝える練習をしたり、学校へ持っていって大丈夫であれば、よく使う言葉をカードに書いて準備しておきましょう。


気持ちを表現する絵カードは市販されてもいるので、参考にして子どもと一緒に作成してみてくださいね。

 

 

 

子どもの思いを受け止めることで理解ある社会に

家庭でのケアが必要なのは、トラブルを起こしてしまった子どもに対してだけではありません。トラブルに巻き込まれた側の子どもの保護者も優しく声をかけていくことをおすすめします。たとえトラブルはすでに解決している場合でも、家庭では話を聞き、子どもの気持ちを十分に受け入れてあげましょう。

 

そのうえで「●●さん(トラブル相手の子の名前)も一緒に遊びたいという気持ちを上手に伝えられなかったから、みんなが困ることをしてしまったのかもしれないね。困った時はいつでも周りの大人に伝えたら大丈夫だよ」と発達障害の子どもを否定しない声かけを家庭でも行うことで、今後、多様性のある社会で生きていける力を育んでいけるはずです。


わが子に発達障害があってもなくても、どんな時でも子どもの気持ちを受け止めて、問題があった時は一緒に考えていくことで、子どもが安心して日々の生活が送れるようになっていくはずですよ。

 

<参考・引用資料>
厚生労働省発行「発達障害の理解のために」

 

ゆきこ

ゆきこ

大学を卒業後、(株)ベネッセコーポレーションに入社。2人目の出産を機に退社し、学童や小学校で発達障害の子どもを支援する仕事に携わる。また、子どもの教育に関わるメディアのフリーライターとしても活動中。

\ SNSでシェアしよう /

  • rss
  • google
  • bing
  • この記事が気に入ったら
    いいね!しよう

    最新情報をお届けします