子どもが言うことを聞かない4つの理由とは?素直になる親の接し方や対処法
「子どもが言うことを聞かない」ことに頭を悩ませていませんか?イライラする半面「自分の育て方が悪いのかも」と不安になる方もいるでしょう。
今回は、子どもが言うことを聞かない原因や親の接し方のNG例、解決に向けた対処法について、教育アドバイザーの谷松啓史さんにお話を聞きました。
目次
子どもが言うことを聞かないのはなぜ?4つの理由
忙しい日々の中で、「なんで言うこと聞けないの!」「何回言ったら分かるの?」と子どもに声をかけてしまうことありますよね。ですが、「子どもが言うことを聞かない」には理由があります。
【理由①】話を聞いていない、聞けていない
子どもに何かを伝えるとき(伝えたいとき)、声をかけるタイミングを思い出してみてください。
子どもがテレビに夢中なとき、眠そうなとき、学校で嫌なことがあったときなど…、思い返してみると、人の話に耳を傾けにくいときに話しかけていたというケースは少なくありません。
タイミングが悪いと大人でも話を理解して納得するのが難しいときがありますよね。子どもも同じかもしれません。
【理由②】大人が言ってる内容が分かりづらい
私たちは普段、意外と抽象的な表現を使って生活しています。例えば、「ちゃんとしなさい!」は大人がよく使ってしまうセリフのひとつです。
ですが、“ちゃんと”とはどんなことを指しているのでしょう。
大人は分かっているつもりでも、子どもは”ちゃんと”がどんな状態で、何をすればいいのか分かっていないかもしれません。「そんなことまで説明しないといけないの?」と思うかもしれませんが、子どもに確認してみると言っていることが伝わっていないということも多いかもしれませんよ。
【理由③】できない・やり方がわからない
例えば、学校から帰ったらまずは宿題をする約束になっているのに、帰宅後すぐにゲームが始めてしまう子もいるでしょう。人間はやはり楽しいことを優先してしまいがちです。
やってほしい行動があっても、ルールを守ることよりも誘惑するものが子どもの目の前にあれば、環境的に邪魔になっているものがあるということです。
また、”やり方が分からない”なんてことも邪魔をしているかもしれません。例えば、「宿題しなさい!」と伝えても、そもそも宿題のやり方(宿題の内容、解き方など)が分からないとなると、やる気が出ないのも必然かもしれません。
【理由④】言うことを聞くメリットが分からない
基本的に人間は、何かしらのメリットがあるとき、もしくは何かしらのデメリットがなくなるときにしか行動を起こさないといわれています。
大人にとっては損だと思う行動や、優先順位の高い行動があったとしても、子どもにとってはどうでも良いことに思えているかもしれません。
「メリット、デメリットが分からないからしない」そう考えてみると、子どもが言うことを聞かないことも理解できませんか。
子どもの年齢や発達段階も理由のひとつ
子どもが言うことを聞かない理由は、その年齢や発達段階によって様々です。ここでは、年齢や発達段階の視点であるイヤイヤ期や反抗期という視点でお伝えできればと思います。
イヤイヤ期や反抗期は、特定の年齢に達すると見られる行動のことを言います。これらの期間は、言葉が十分に発達していないために感情をうまく表現できないことで、自分の意志を表現する際に感情的な反応を示すことがあります。
子どもが自己主張を始め、独立心を示す時期で、自分の考えや感じ方、価値観などを通じて、自己を確立していきます。これらの期間は、子どもが成長するために必要な過程です。
ここからは、子どもの年齢別にさらに詳しく見ていきましょう。
幼児期
1歳前後から就学前の5〜6歳頃にかけて、自我が芽生え、周囲の世界に興味を持ちながら自分自身を意識するようになります。
この時期の子どもは、自分の好みや感情に基づいて行動することが多く、大人の指示に従うことが難しくなることがあります。
また、言葉の理解や表現がまだ十分でなかったり、自己制御やルールの理解がしにくい時期であったりすることもあり、自分の意志を適切に伝えられないこともあります。
この時期が「イヤイヤ期」と呼ばれるのは、自己主張が強く、自分の思い通りにならないと癇癪を起こすことがあるからです。
2〜3歳頃の幼児は、まだ我慢が難しく、自分で思い通りにしたいという欲求が強いため、言うことを聞かないことがあります。
小学校低学年~中学年
小学校低学年では、中間反抗期に入ります。
集団生活の中で自分の役割や人間関係について考える時期で、他者への意識が高まる時期です。また、社会性やルールを学び始める時期でもあります。
友達関係やグループ内での位置づけに敏感になり、親や教師の指示に微妙な反応を示すことがあります。その際、自分の気持ちをまだうまく言葉で表現できないため、気持ちの変化に戸惑うこともあり口答えや反抗的な態度が増え、親にも反発するようになります。
小学校高学年~中学生
小学校高学年から中学生にかけては、思春期と呼ばれる第二次反抗期が訪れます。
この時期は急激な体の成長や心のギャップ、生活環境の変化によるストレスが加わり、さまざまな感情が交錯する時期です。
自立心が芽生え、親や他者との関係において自己主張する傾向が増します。集団生活での役割や人間関係に迷う機会も多くなります。
そして周囲の影響を受けて親離れが始まり、親の言うことを聞かなくなるタイミングが出てくることがあります。
また、子どもが言うことを聞かない理由は、年齢や発達段階、そして発達障害の特性が影響することもあります。あくまで上記は一つの側面として参考にみていきましたが、子どもが言うことを聞かない原因は一概には言えません。
ですから、子どもの状況に合わせて、ときには専門家や先生との相談が必要だと考えます。一緒に、子どもに最適な支援やアプローチを見つけていくことが大切です。専門知識に基づき、適切なアドバイスや指導を提供してくれる事と思います。
子どもの成長と発達をサポートするためにも、専門家や先生と協力しながら一人で抱え込まないようにしていただけたらと思います。
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親の言動のせいで子どものやる気を損なってしまう場合もあるので注意しましょう。
【NG行動①】 子どもの気持ちを考慮しない
なかなか宿題をしない、時間割を揃えない子どもに向かって「ゲーム”なんて”やってないで宿題しなさい」と言ったことはありませんか?
しかし、大人にとっては、たかがゲームでも、その子にとってゲームはとても大切なものかもしれません。誰でも自分にとって大切なものをないがしろにされると悲しい気持ちになるものです。「ゲームなんて」と言われた子は、自分がすべきことを考えるよりも、「自分の気持ちを理解してもらえなくて悲しい」と思い、言うことを聞くことなどできないのではないでしょうか。
また、何も考えずにゲームに没頭しているように見えても「宿題をやらないといけないのは分かってるけど…」と葛藤をしながらゲームをしているかもしれません。そのとき、周囲からあれこれ言われてしまうと「今、やろうと思っていたのに!」とかえってやる気を失ってしまうかもしれません。
子どもがどんな気持ちか、何を考えているのかを考えてみると、声の掛け方は変わるかもしれませんね。
【NG行動②】子どもが行動した後に注意する
子どもがゲームを始めてから「ゲームより先に宿題をしなさい!」と言っていませんか?
一度始めたことを途中で終わらせるのは、大人だってしんどいことです。
また、事後の対応だとどうしても”注意”や”叱る”という形になりやすいので、後味の良いやりとりにはなりません。
【NG行動③】褒めるハードルが高い
子どもの学校の準備についてやきもきする保護者も多いことでしょう。ですが、褒めるのは”子どもが自分で学校の準備を完璧にできたときのみ”にしていませんか?
ですが、”明日の準備をしないといけないなと考えたこと”も”途中でやめたけど一旦鞄を開けたこと”も十分に褒めるに値します。大人にとっては「できて当然」でも、子どもにとっては「最初からできて当然」ということは基本的にありません。
また、「もう○歳なのに…」と、一般論に当てはめて子どもの言動をジャッジしたり、「○○くんはこうなのに…」など周囲と比較したりするのもNGです。
【NG行動④】褒め方が間違っている
「すごいね」と褒められても、子どもは何がすごいのか分かりづらいときがあります。
また、「◯◯ができてすごいね」という褒め方は結果のみにフォーカスをしているためチャレンジする気持ちをなくす要因にもなりかねません。
【対処法】素直に話を聞ける接し方5つのポイント
では、どのような言い方やサポートをすれば、保護者の気持ちを子どもに上手に伝えてよりよい親子生活を送れるのでしょうか。
【ポイント①】子どもが話を聞ける体制を整える
子どもに話を聞いてもらうには、子どもが話を聞ける環境を整えることが大切です。そのためには下記の2点を抑えましょう。
避けるべきタイミングを考える
話をするのに避けるべきタイミングとは、下記のようなときです。
- 物理的な環境 テレビを見ている時やゲームをしているとき、イヤホンをつけているときなど
- 生理的な要因 体調がよくなかったり、イライラしていたり、眠たかったりするときなど
- 事前事後の予定 学校で嫌なことがあったときや、ケンカしたとき、これから嫌なことがあるときなど
上記のタイミングは避けた方が話を聞いてもらいやすくなります。
話を聞く体制を整える
子どもが「今、話しかけられているんだ」「話を聞かないといけないんだ」と分かる体制を整えましょう。
子どもの目を見て話す、手を握って話す、「今からお母さん話すから聞いてね」と事前予告をするなどがそれに当たります。
子どもの注意を引き、聞くべきこと、すべきことを分かりやすくしてあげましょう。
【ポイント②】行動に移しやすい伝え方をする
前述の通り、「しっかりしなさい」「ちゃんとしなさい」などの曖昧な言葉は子どもにとって伝わっていない可能性があります。具体的に「どうして、何をしなければいけないのか」を伝えてください。
その際、声量、スピード、表情なども子どもが聞きやすいように意識してくださいね。
また、伝えたいことがたくさんあるときは、アレもコレもとなってしまうと結局何をすればいいのか分からなくなったりする場合も考えられます。
例えば、学校から帰宅した子どもがすることっていろいろありますよね。
「靴を揃える」「ランドセルは置き場に片づける」「上着を脱ぐ」「手洗い・うがいをする」「連絡帳を確認する」「宿題をする」「明日の準備をする」など、これらを一度に伝えても子どもはすべてを記憶してその通りにすることは難しいはずです。細分化して、それぞれ伝えていくようにしましょう。
さらに、細分化したことを言葉だけでなく、視覚的に分かるようにしたほうが行動に移しやすい場合もあります。
例えば、時間管理も必要な登校前であれば、”やること”と”時間帯”をイラストや文字などでセットにして貼っておくことで、タイムスケジュールを見て行動しやすくなったり、見通しが立ちやすくなったりします。子どもにとってイメージしやすい伝え方を工夫してみましょう。
【ポイント③】自らできる環境を整え、援助する
子どもが自らその行動をしやすくするサポートをしてあげるのもいいですね。例えば、下記のような方法はどうでしょうか?
- スケジュール表を見えやすい位置に貼っておく
- やることをリストにして見えやすい位置に貼っておく
- 宿題をすぐに取り掛かかれるように、気が散るものは見えないようにしておく
- 筆記用具やノートが出しやすい位置に道具を置いておく
子どもが自ら動くことが難しい場合は、「一緒にやろう」と声をかけるのもサポートのひとつです。最初は一緒にしていても、繰り返し行うことでやり方が身についたり、習慣になったりすることで自ら動けるようになっていきます。
この先、子どもは中学、高校、大学、社会人としての道を歩んでいくこととなります。子育ての最終的な目標のひとつは、「自分で考えて工夫していくこと」「やらされてやるのではなく、自発的に行動していくこと」です。
そのためには、家庭でどのようなことを教えて、サポートしていけばいいのか、子どもと相談しながら一緒に考えていきましょう。
【ポイント④】うれしい結果を用意する
子どもが頑張っていることに対して「やって当たり前」ではなく、「うれしいな」と思える関わり方をしてあげてください。
思いきりほめる必要はありません。「自分からやれたね」など事実をそのまま伝えたり、「お母さん助かるわ、ありがとう」など、気持ちを伝えたりするだけで十分です。
その伝え方が子どもにとって「うれしいな」と思えるものであれば、子どもはその後も自ら進んで行動するようになりますよ。
【ポイント⑤】子どもの身になった聞き方をする
“話を聞く”という行為は信頼関係を築くうえで大切な役割を担っています。
たとえば、次の会話を見てください。
子ども「明日のテスト、嫌だな…」あなた「嫌なら勉強しなさいよ」子ども「…」あなた「…(無視するのね)」
よくありそうな会話ですよね。
せっかく子どもが話をしてくれても聞き方が不適切だと良好な関係を形成することは困難になります。なるべく相手の身になって共感的に理解し、その理解を言葉で返すようにしてください。
先ほどの会話であれば、次のような会話はどうでしょうか。
子ども「明日のテスト、嫌だな…」あなた「テストがあるの?」子ども「うん。しかも苦手な算数」あなた「そっか、それは嫌だね。何が苦手なの?」子ども「分数」あなた「分数なら分かるかも。お母さんも何か手伝おうか?」子ども「自分でやるから、分からなかったら教えて」あなた「わかった。がんばってね」
いかがでしょうか?
「明日のテスト、嫌だな…」この言葉に対して、「テストがあるの?」と子どもの話を肯定的に受け止めていますよね。
また、「算数が苦手」という子どもの心情に共感しているので、子どもにとっては「自分の気持ちを分かってくれた!」と感じて、安心感を与えるだけでなく、苦手なことに対して突き放すのではなく、「手伝う」「一緒にがんばろう」という気持ちを伝えることで、子どもは前向きな気持ちになることでしょう。
結果的に、子どもが自らがんばる姿勢を見せることになれば、保護者もうれしい気持ちになり、親子関係もよくなりますよね。
子ども達は「自分のことをわかってほしい」「ありのままの自分を大切に思ってほしい」と強く願っています。彼らの思いを満たせるような会話を心がけてみてくださいね。
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谷松さんへの相談ページを見てみる言うことを聞かない子どもに疲れたときは
子どものイヤイヤ期や反抗期の特徴を知るだけでも、ストレスやイライラが軽減されることがあります。子供の行動を理解し、冷静な対応ができるようになるため、その特徴について学んでおくことは非常に大切な要素です。
とはいいつつも、子どもが言うことを聞かないと感じると、その度にイライラや疲れを感じてしまうのは非常に自然な反応です。イライラや疲れに対処する方法やコツを紹介します。
1.一息つく時間を作る
親自身が感情をうまくコントロールし、子どもとの関係をより良好に保つために、子どもが反抗的な態度をとったときには、まず一息つく時間を持つことが大切です。
互いに感情が高揚しているときに話し合いをしても疲弊するだけですので、深呼吸や瞑想、短い休憩を取ることで、心の余裕を持てるようにしてみましょう。ブレイクタイムを設けることで、イライラを解消し冷静な判断ができるようになります。子どもとのコミュニケーションを再構築するための第一歩となるでしょう。
2.子どもへの期待値を下げる
子どもに求めるレベルが高すぎると、イライラの原因になることがあります。イライラしたときの対応として、子どもへの期待値を下げることは一つの有効な方法です。
そのため、「ここまでできたらいいな」という期待を適切に下げていくことで、心に余裕を持つことができます。
子どもが成長していく過程で、少しずつ経験を積み重ね、前向きな変化が生まれることがあります。
3.悩みが深刻な場合は専門家へ相談
日々の子育てでストレスがたまるのはよくあることだと思います。だからこそ、保護者自身がリラックスタイムを持つことは、そのストレスを軽減するのにとても有効だと考えます。
それでも問題が深刻な場合や解決が難しい場合は、専門家のサポートを受けることも考えてみてください。専門家は適切なアドバイスや戦略を提供してくれるはずです。
子どもの成長を信じて一歩ずつ
できないことがすぐにできるようになるなど、困難な状況をすぐに良くすることは難しいです。子どもの性格によっても上手くいくこと、上手くいかないことがあるでしょう。
ですが、毎日の子どもとの向き合い方や意識を変えることで、少しずつ状況は変わっていくはずです。
その過程で、「どのようにしていいか分からない」「いろいろ試したけど効果がない」と感じて、悩んでしまったら、専門家など第三者に相談をしてください。状況、性格などを踏まえた上で、その子にふさわしい関わり方を提案してくれるはずです。
最初から完璧にできる人は滅多にいません。それは大人も子どもも同じです。分かっていてもできないこと、やらなればいけないと分かっているけどどうしてもやる気ができないことは誰にだってあるはずです。
「成長してない」「言うことを聞いていない」ように見える子も、伝え方や環境を変えることで変わっていく可能性は十分にあります。保護者も「100%の結果を求める」のではなく、「少しずつでいい」ぐらいのスタンスで子どもの成長を信じることから始めてくださいね。
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