部活動に何を求める?先生や生徒それぞれの立場から見る部活動の目的と問題点
「中学校の部活動が、先生の勤務時間を超過させているひとつの原因となっている」というようなニュースを頻繁に見かけるようになりました。部活動の目的や、熱心になりすぎることによる問題など、学校・生徒・保護者、それぞれの立場で考えてみましょう。
そもそも部活動の目的は?
<学校が考える部活動>
スポーツ庁が、全国から無作為抽出した公立・私立中学校、高等学校について行った調査『平成29年度「運動部活動に関する実態調査」』によると、
中学校の校長が、生徒の部の所属方針について答えたアンケートでは
・「部活動を行う部への所属は生徒の希望である」と答えた割合は、公立校で約66.7%、私立校が78.1%
・「生徒全員が部活動を行う部に所属し、活動も原則参加させている」と答えた割合は、公立校は約30.4%、私立校は約15.6%
つまり、学校側では必ずしも部活動に所属しなくてもよいとしている学校の方が多いことがわかります。
また、運動部の顧問の先生が「部活動の在り方に関する考えの近いものについて」回答したデータでは、
・「技術力の向上を重視し、大会・コンクールでの好成績を目指すべき」と答えたのは、公立校で約13.5%、私立校で約15.9%
・「生徒のニーズに合わせた多様な部活動があるべき」と答えたのは、公立校で約34.9%、私立校で約49.1%
「生徒のニーズに合わせた」という表現が若干あいまいですが、学校側は大会やコンクールでの成績にこだわるよりも、生徒ひとりひとりに適した部活動を目指している割合が高いといえます。
<保護者が考える部活動>
一方、保護者(公立校)が部活動にもっとも期待すること(複数回答)について回答した結果によると、
・「チームワーク・協調性・共感を味わう」と答えた割合は約77.6%
・「社会性(挨拶・礼儀等)を身につける」と答えた割合は約58.3%
・「体力・技術の向上」と答えた割合は約49.4%
・「大会等でよい成績を収める」と答えた割合は約17.7% 8割以上の保護者も、大会等でよい成績を収めることが部活動の目的とは考えていないことがわかります。
<生徒が考える部活動>
では、生徒本人たちは部活動をどのように考えているのでしょう。
公立中学校の運動部に所属している生徒が考える「運動部に所属する最大の目的について」では、
・「大会・コンクール等でよい成績を収める」と答えたのは約30.6%
・「体力・技術を向上させる」と答えたのは約26.1%
・「チームワーク・協調性・共感を味わう」と答えたのは約18.7%
子どもたち本人は、大会やコンクールでよい成績を収めることや、体力・技術的な向上を目指していることがわかります。このことは、自分たち親が中学生であった頃を思い出すとわかるように、子どもには勝つことや成績のようにわかりやすい目標がよいのではないでしょうか。もちろん、優勝などの好成績を収めたときには、その感動や達成感を同じ部活動の仲間と共感することにもつながります。
部活動の問題点と解決策
部活動の問題点としては、
<顧問の先生>
・休日も勤務することによって、休息がとれなくなる
・技術的に指導できない部活を担当しなければならないこともある
<生徒・保護者>
・学業との両立が難しい などがあげられます。
「連続した勤務日数が6日以上となる場合には、1日休日をとらなくてはならない」などの規則を教育委員会が定めているところもありますが、部活動や学校の事情によって休みを取りにくくなっているのが実情です。
そのため、ひとつの部活動の顧問を数人にするなど、1人に負担が集中しないようにしている学校もあります。
部活動の指導をしようにも、今まで経験のない部活動の顧問になってしまう場合もあり、技術的な不安をかかえている先生もたくさんいます。学校側もできるだけ指導経験のある先生を配置しようとしますが、もともと配置が少ない学校であれば、人材不足なので仕方がありません。
そのため各教育委員会では、学校が外部講師を配置できるように取り組みをはじめており、今後顧問の先生の負担軽減が期待されています。
学業との両立はたしかに大きな問題といえます。運動部活動に所属している生徒は、「朝練⇒授業⇒部活動⇒塾」など、夜遅くまで忙しい日々をおくっています。
十分な休息なしでは体力的にもたず、学習に身が入らないということもあるでしょう。
成長期にある中学生ぐらいの子どもには休息がとても重要であるため、学校によっては、月曜日は朝練を設けない、週に2日以上部活動をおこなわないようにするなど、それぞれで取り組みをはじめています。
部活動をするのは生徒自身です。
生徒の心身的な健康を保つことを1番に考えれば、過剰な部活動は決して本人のためにならないのですが、無理をしてしまう生徒も多いと思います。部活動に所属している生徒は、学業と両立させるためにスケジュール管理をしっかりと行い、メリハリをつけるようにしましょう。 また保護者も、学校側の管理に頼るだけでなく、子どもの心や身体の状態に気を配ってあげてください。
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