勉強しなきゃいけないとき、簡単に集中力を高める7つの方法
テスト前や受験シーズン、勉強をしなきゃいけないと分かっているのに集中が続かない…。ですが、それは「やる気」だけが問題というわけではありません。環境を整えたり、取り組み方を変えたりすることで集中力はアップします。そこで、オンライン学習塾ポラリスアカデミア代表の吉村暢浩さんが勉強に集中する方法を教えます。
集中力が続かない原因とは
定期テストや受験の前など、絶対に勉強しなきゃいけないとき。「どうしても集中力が続かない」「少し勉強するとダレてしまう」という経験はありませんか?実は、このように人の集中力が続かない原因はやる気など気持ちの問題だけではありません。下記のようなことが関係しています。
【原因①】脳のエネルギー源が不足している
脳の主なエネルギー源はブドウ糖ですが、不足すると脳が栄養不足を引き起こし、機能が低下します。
そのため、朝食を食べなかったり、ダイエットなどで過度な糖質制限をしたりすると、ブドウ糖が十分に脳に補給されず、集中が続かない…という事態に陥ります。
ブドウ糖は、お米やパン、麺類(穀物やイモ類)などに多く含まれていますが、エネルギーを取り出す際にはビタミンB1も必要となります。
勉強をする前の食事には、炭水化物だけではなく、ビタミンB1(豚肉、ボンレスハム、玄米、大豆など)も一緒に摂取するようにしましょう。
【原因②】勉強する環境が整っていない
どれだけやる気や危機感を持っていても、集中を妨げる環境に身を置いていては勉強に集中できません。
まずは勉強の妨げとなる物を周囲から極力排除し、視覚・聴覚の情報として入ってこないような環境設定を行いましょう。
【原因③】脳を勉強以外のことにも使っている
大前提として、脳は一度にひとつのことにしか集中できないといわれています。いろいろなことを同時に実行できていると感じていることも実は錯覚に過ぎず、脳が集中の対象を高速で切り替えているに過ぎないのです。
では、勉強と同時に行うこととはどんなことでしょうか?
「音楽を聴きながら」「YouTubeを見ながら」「スマホの通知を気にしながら」「テレビをチラチラ見ながら」などのほか、実は、「何か悩みを抱えながら」というのも脳を使っている活動のひとつです。
悩み事を簡単に解消することは難しいでしょうが、集中力に課題を抱えている人は、「悩み事を考えないために勉強する」などと考え方を切り替えて、目の前の勉強に100%の意識を向ける訓練をしましょう。
人間の集中力は1時間以下が限度
「私は短期集中型だから」「一夜漬けで集中する」という人もいつかもしれませんが、そもそも人間の脳は、集中力が長時間保てるようにはできていません。
なぜなら、かつて狩猟生活をしていた人間は、危険な動物に襲われないように、目の前のことに集中するよりも広い範囲に気を配る必要がありました。当時の遺伝子情報は今も残っています。
そのため、集中力の限界は1時間以下と考えるのが現実的です。
逆をいえば、40~60分は集中できるけど、その後は気が散ってしまうという人は、実は集中力がないわけではないのです。「集中力がない!」と嘆くよりも、その時間内で成果を挙げられるように学習内容を見直したほうがよいでしょう。
もちろん、1日40~60分しか勉強できないという話ではありません。学校の時間割のように、間に休み時間を挟みながら勉強をしていきましょう。
勉強に集中する7つの方法
次に集中力を挙げるための7つの方法を紹介します。すべてを実践する必要はありませんので、今日からできそうなものを見つけて試してみてください。
【方法①】タイマーで短めの制限時間を設定する
勉強に制限時間を設け、それを徐々に短くしていく「タイムプレッシャー法」という勉強法を知っていますか。
例えば、英語の長文問題を解くのにいつも30分かかっているとしたら、あえて25分に設定します。
少し厳しい時間制限を設けることで、疑似的に”夏休みの最終週状態”を作り出し、集中力を高めることができます。
【方法②】細かい目標設定を立てる
勉強のモチベーションを上げるために目標設定をすることはいいことですが、目標が大きすぎると達成のイメージが湧かずにモチベーションや集中力に繋がりません。
例えば、「1週間で50ページ終わらせよう!」「来月のテストで90点を取ろう!」といった漠然とした目標だと、そのために何をすればいいのかという行動がイメージしづらいため、必然的に集中力も続かないのです。
大きな目標を立てたならば、達成までの間を1日や1時間単位で達成できる内容で区切って、細かな目標設定を行いましょう。
人間の脳は目標達成をするとドーパミンという快楽物質を分泌し、「楽しい!」「もっと勉強したい!」という状態を作り出します。1日に何度もドーパミンを分泌できるような目標設定をすることで、集中力を保ちながら勉強を進めることができるはずです。
【方法③】勉強スイッチを用意する
人間の脳には「作業興奮(やる気はやり始めてから湧いてくる)」という作用があり、勉強も「始める」ことに一番エネルギーを使います。
そこで有効な方法が、勉強前に行うルーティン(習慣)を設定する方法です。
「これをしたら勉強に取り掛かる」という勉強の引き金になる動作(アクショントリガー)を設定することで、勉強への取り掛かりがスムーズになります。いわば、パッと勉強に取り掛かるための勉強スイッチをつくるのです。
勉強スイッチ例
- 家から帰ったらまず制服のまま数学を解く。
- お風呂上りはストレッチをしながらリスニング教材を聞く。
- 寝る前はミルクを飲みながら英単語暗記をする。
勉強スイッチのコツは、日常的に行っている行動に勉強を結びつけることです。
【方法④】最初の5分はすぐにできることを
勉強スイッチを入れた後、作業興奮を起こせるように最初の5分間はとにかく取っつきやすい勉強をしてください。
好きな教科や簡単な問題など、頭を悩ませることなくスラスラ解けるものがベストです。苦手な教科や難問は作業興奮が作用し、やる気が出てから行うとくじけることなく取り組むことができます。
【方法⑤】誘惑するものは机の上に置かない
勉強する際は、勉強専用の環境を設定しなければなりません。スマートフォンやマンガなど、勉強の妨げになるものは目につくところに置かないようにしましょう。
テキサス大学オースティン校の800人のスマホユーザーを対象にした研究では、たとえ通知が鳴らなくても、スマートフォンが視界に入るだけで人は集中力を奪われてしまうということが分かっています。
勉強道具以外視界に入らない。そのような環境設定をして、集中力を妨げる要因を排除しましょう。
【方法⑥】間食、夜食は控えめにする
食事後の勉強中に睡魔に襲われた経験は多くの人にあることでしょう。眠くなる主な原因は過血糖といわれています。
そのため、勉強前の食事では、血糖値を上げやすい炭水化物の摂取量を減らし、満腹を避けることで眠気を和らげることができるようになります。
また、間食や夜食は炭水化物は避け、集中力を高めるといわれているナッツ類に変更することをオススメします。
【方法⑦】休憩はルールを作る
一度休憩を挟むとなかなか勉強に戻れない…という経験がある人もいるんじゃないでしょうか?
実集中力を持続させたまま休憩するコツは、25分の勉強の後に5分の休憩を挟むこと(ポモドーロ・テクニック)です。「時間が短すぎじゃない?」と思うかもしれませんが、ポイントは「勉強に飽きる前に休憩をすること」です。
25分勉強して休憩を挟むと、少し物足りなさを感じるようになります。この物足りなさが「早く勉強を再開したい!」という原動力になり、休憩が終わったらスムーズに勉強に取り掛かれるようになります。
また、休憩中はブルーライトで目が疲れるスマホやPCはNG。漫画や雑誌は5分で済まずに勉強へ戻りにくくなってしまうので注意が必要です。
休憩中は、軽いストレッチや瞑想をして副交感神経を刺激し、リラックスすることを心がけましょう。
集中力は筋肉のように鍛えられる
今回紹介した集中力を高めるための7つの方法は、すぐに実践できる対処法ですが、集中力を根本から鍛えることもできます。
集中力を鍛えるトレーニングの一例には下記があります
- 前述の「ポモドーロ・テクニック」で勉強時間を25分から40分、50分…と徐々に増やして負荷を増やす
- 勉強前に5分程度の瞑想をする挟む
- 「30分間で何問解けるか」を毎日記録し、常に時間を追いかける感覚を持ちながら勉強に挑む
「こんなに集中力がなくて受験を乗り切れるのだろうか」と心配な人もいるかもしれませんが、勉強の成果は才能ではなく、努力で変えていくことができます。今まで「自分には集中力がない…」と思っている人も、今日から考え方を変えてトレーニングしていってくださいね。
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2018年、京都大学工学部を卒業、同大学大学院に進学。2019年に京都大学大学院を退学し、受験コンサルティング事業「ポラリスアカデミア」を立ち上げる。2021年、株式会社ポラリスを設立。社会で勝ち抜くために必要な問題解決能力を大学受験を通じて身に付ける独自の指導を行っている。 【ポラリスアカデミアHP(https://polaris-academia.co.jp/)】 【YouTubeチャンネル(https://www.youtube.com/channel/UCZ8xayo-MdaTJWXNRJU9Gdg)】