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2020.11.02

受験生が勉強しない2つの理由 中学3年の秋から親ができることを受験のプロが伝授

高校受験を控えた中学生のわが子。勉強をせずにゲームやスマホを触ってばかりの様子を見ているとヤキモキ、イラッとしますよね。「勉強しなさい!」と叱り飛ばしても不毛な言い争いになるだけで頭を抱えてしまいます。そんな親子にアドバイスを送るのは、15年にわたって多くの中学生・高校生の進学指導に携わってきた井上光さん。勉強しない受験生との向き合い方や親ができることとは?

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【勉強しない理由①】受験をする現実感がないから

人生を左右する受験を控えているにも関わらず勉強をせず、焦りもしない。「なんで勉強しないの?」「なんで勉強しないで平気なの?」と思ってしまいますよね。

その答えは実はとても簡単。中学生が受験勉強をしないのは“受験生”だという実感がないからです。

これまで何度か受験を経験してきた保護者とは違い、公立中学校に通うほとんどの3年生にとって「受験」は初めての経験です。

これまでの人生で一度も経験したことがないことですから「受験」がどういうモノなのか実感できないのが当然の反応です。志望校に落ちるということがどういうことなのかよく分からないのです。

多くの保護者は”志望校に落ちる”ことの心理的負担や、望まない学校へ通いながら、将来への希望や楽しみを見つけ直す大変さを知っています。

しかし、中学生は”志望校に落ちる=挫折する”という経験がないため、受験することへの意識が希薄になってしまうのです。

受験や勉強を意識するタイミングは意外と遅い

彼らが本当に「受験」というものを意識して勉強に真正面に向き合うタイミングが、保護者にとってはびっくりするほど遅いというケースは少なくありません。

志望校の過去問を始めるタイミングだったり、最後の内申が出る時だったりと人によって違いますが、中には都立推薦入試に落ちた瞬間という子もいます。焦る気持ちは分かりますが、「勉強や受験に向き合っていないのはうちの子だけに違いない!」と思い詰めないでくださいね。

【勉強しない理由②】勉強の仕方が分からないから

また、保護者からするとまったく勉強をする気がないように見えても、実は「勉強をしたい」と思っている子もいます。彼らは勉強をしたいけど、どうしたらいいのか分からないため、せっかく勉強を始めても続けられずにやめてしまうのです。

私は中高生に英語を教えていますが、英語の問題の解き方についての質問・相談が週に5回あるのに対して、勉強の仕方に関する質問が週に50回以上あります。それほど勉強のやり方が分からずに勉強をしたくてもできていないことが多いのです。

親が用意できる受験生の勉強スイッチ①塾へ通う

ただし、受験への現実感がない受験生や、勉強をする気はあるのにやり方が分からない受験生に向けて保護者にもできることがあります。個人差はありますが、勉強へのスイッチは周りの大人が用意することができるのです。

そのひとつが塾です。塾は受験において非常に利便性が高い場所です。

塾に行けば必ず毎回受験に関する話が出ます。講師から将来設計を考えるきっかけとなる受験の話を聞くことあれば、周りの子たちと受験や将来の話をすることもあります。ほかにも、塾で模擬試験を受けて自分の立ち位置と志望校の差にショックを受けてスイッチが入る子もいます。

とはいえ、いきなり「勉強しないなら塾に行きなさい」とお尻を叩いても子どもは反発するかもしれません。

まずは「〇〇の塾で進学相談無料カウンセリングやっているから、一緒に行ってくれないかな。お母さんも入試のシステムがよく分かっていないから話を聞いてみたいんだよね」というような言葉でとりあえず連れ出してみるとどうでしょうか。

そのままの流れで体験授業を受け、講師から話しかけられてその気になって「行ってみようかな」とやる気になる子は多いですよ。

親が用意できる受験生の勉強スイッチ②志望校を選ぶ

中学3年生は11月頃に志望校や併願校を決めますが、志望校選びも勉強へのモチベーションにつなげることができます。

このときに大切なのは、あくまでも子どもと同じ目線で高校を見ることです。

つい大人は高校卒業後の大学、就職までを視野に入れて志望校を選びたくなります。

しかし、「有名大学への進学実績がある」「高校在学中の勉強のフォローが手厚い」という理由や、「なるべく優秀な高校に入ってほしい」と偏差値だけを目安にした志望校を選びをしても子どもの勉強へのモチベーションはなかなか上がりません。

子どもが高校に行く目的は部活やイベント・行事、友人関係や恋愛です。勉強面におけるメリットばかりを打ち出されても、子どもはピクリとも反応しません。

志望校選びをサポートするのであれば「〇〇高校は雰囲気が〇〇だった」「毎年〇〇みたいな行事があって楽しそうだね」など実際に高校の中でどんなことができるのか、どんなことをやっているのかを具体的に話してあげましょう

具体的な高校生をイメージできれば子どもたちは「おもしろそうな学校だな」「行きたい」と進学へのモチベーションが高まります。

普段の高校の様子を親が偵察に行く

また、可能な限りでいいので候補に上がった学校は、保護者が直接足を運んで見てきてください。

学校訪問のようなオフィシャルなものでなく登校中や下校時の様子など普段の学校です。そこにその高校に通う生徒の最大公約数的な雰囲気が表れています。そして、その様子を見て自分の子どもに合うかどうかを見てきて欲しいのです。

子どもたちは興味がある学校のことは、ある程度、好意的なフィルターが入った状態で見てしまいます。しかし、実際に通ってみると思っていた雰囲気とは違ったり、合わなかったりすることは多々あります。

だからこそ子どものことをよく知る保護者が見て、その子にとって必要な情報を話してあげることで子どもはイメージや他人からの口コミに惑わされない志望校選びができるのです。

反抗的に見えても子どもは保護者を信頼しています。保護者の目からもより生き生きとした情報に触れることができて「やっぱりこの学校で間違いない」「受験を頑張ってみよう」となります。

受験生のために親ができる4つのこと

本人にようやく勉強スイッチが入ってもいきなりフルスロットルというわけではありません。

そして、塾では勉強の仕方ややる気に刺激を与えることはできても、受験までの時間をずっと本人に寄り添いながらサポートできるのは保護者だけです。

そこで、せっかく入った勉強スイッチがオフにならないように保護者ができる4つのことを紹介します。

【親のできること①】苦手や現状を受け入れて責めない

その子の人間性と勉強は関係ないという姿勢で向き合ってください。勉強がその子の全人格を表しているわけではありません

苦手な科目や分野があるのは当たり前です。年齢的に理解できない現象があることも正常です。何度やっても覚えられない単語があるのも当たり前。勉強結果を冷静に見るようにして下さい。

模試などでよくない結果が出たとき、子どもたちは結果が出たことで既に自己嫌悪に陥っています

口では「勉強なんて」と言っている子でも「点が取れない未来」と「点が取れる未来」のどちらを選ぶのかと聞かれれば「点が取れる未来」を選びます。しかし、中学生といえば素直になれない反抗期の真っただ中です。保護者が結果に対して批判をすると「育てたのはお前だろ」と口応えしたくなってしまいます。

そんなイラっとする口答えをされると、保護者自身も「お兄ちゃんはできたわよ」などと感情論で言い返したくなってしまい不毛な口論になってしまいます。

そんな口論は誰もがしたくないはずです。勉強過程での厳しさを教えるのは塾に任せましょう。家族ではない第三者の方が言うことを聞きやすいこともあります。

【親のできること②】思考を次に向かわせる声かけをする

では、保護者ができることは何かというと、現状をありのままに受け入れた上で「じゃあどうする?」と声をかけて、次に向かって考える手伝いをすることです。

私の場合は、次のような声かけをします。

「できない(間違える)のは君が悪いわけではないよ。でも合格しないといけないよね。じゃあどうする?」

すると、子どもは「もう少し勉強時間を増やす」など、自分なりに手段を考えます。

ちなみに、勉強結果とその子のパーソナリティを切り離して考えることで感情的にならずに声をかけやすくなりますよ。

【親ができること③】試験に近い条件で勉強をさせる

中学生が主に勉強する空間は家ですが、少し工夫することをおすすめします。どうするのかというと試験当日と同じ状態で勉強すること。

高校受験の場合、大半の試験時間は1教科50分です。なので、家で勉強をするときもひとつの科目を50分間やりきるようにします。

試験当日は50分間、英語の問題と格闘するにも関わらず、普段の勉強では英語は10分間ではダメです。普段から全力で英語の問題に50分間向き合えない子が一番緊張をする試験会場で最高のパフォーマンスを出せるはずがありません

もちろん、50分間はお腹が空いたからと何かを口にしたり、お茶を飲んだり、トイレに立ったり、スマホを触ったりなどはNG。

アメリカの実験(※)で情報インプット時の姿勢とアウトプット時の姿勢を同じにしたケースと異なるケースとでどちらの方が記憶を呼び起こしやすいかという実験がありましたが、結果は圧倒的に「同じにした」ケースの方がよかったんです。

このような学習の仕方も客観的な事実をもとに子どもに伝えると、子どもが頭で理解しやすくなり口論になりにくくなりますよ。

Invitation to Phycology, by Rachel G. Ragland and Burt Saxon, 1981

【親ができること④】叱るのは子ども自身が自分を裏切ったときだけ

子ども自身が1日の勉強内容や量を決めたにも関わらず勉強中にスマホを触るようなときは叱ってもOKです。

ただし、叱るのはスマホをいじったこと(行為)ではなく、自分自身との約束を破ったこと、自分自身を裏切ったことに対してです。

もちろん勉強中、ずっと見張っている必要はありません。しかし、たまに勉強している部屋を覗いてみて下さい。

勉強道具を机の上に広げたままスマホをいじっているなら、まずは「休憩中?」「勉強ははかどってる?」と声をかけてみてください。“ちゃんと勉強している”ことを前提にした声かけをすることで、怠けている場合は罪悪感による心理的プレッシャーを与えられます

もし、「休憩中なんだよね」と言われたらそのときはそっとしておき、30分後に見に行って同じようにスマホをいじっているのであれば叱ってもよいでしょう。

また、叱るときに「自分を裏切っている」という表現をあえて使っているのは、本能的に危機感を感じやすい言葉だから。客観的に事実を伝えているのもポイントです。

中学生が勉強しないのは親のせいではない

中学生というのは非常に難しい年齢です。言うことを聞かず、喋らない。ちょっと前までのわが子とは違う変化に戸惑いますよね。心配する親心に対しての反抗的な言葉に傷つき、悲しんできた人もいることでしょう。

しかし、保護者の言葉や期待と反対の行動を取るのは一種の思春期特有の現象であり、自我が確立されていく過程である証です。

目の前で頑なに勉強をしようとしない子だって自分の置かれている立場やすべきことを頭では理解しているのにうまく言語化できず、また感情をコントロールすずイライラしているのかもしれません。

私の講師経験によると思春期の嵐が止んで落ち着くと勉強に向かう子もいます。今、勉強しないからといって子どもの可能性が失われるわけではありません。

ですから、勉強しないからといって子どもを突き放さないでください。そして、保護者自身も「子どもが勉強をしないのは私のせい」「育て方を間違えたのかもしれない」と自分を責めないでください。

「勉強」という言葉に子どもが過敏反応するなら「高校行く準備するなら、相談のるよ」とでも声をかけてみてください。

高校に行く準備の一環に勉強があるだけ、というスタンスで臨めば勉強に対する敷居はグッと低くなるかもしれません。

子どもはちょっとしたことでガラッと変わります。まだまだ色んなことを試してみてください。親子がともに成長できる高校受験になることを願っています。

井上光

井上光

学習塾Musashi Education代表。早稲田大学社会科学研究科博士課程修了。大学・大学院在籍中から大手塾・予備校で教壇に立つ。2014年に仲間たちと新規塾を立ち上げ現在に至る。

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