小学生の子どもの自慰行為、親としてのベスト対応は?【専門家が回答】
「小児自慰」と呼ばれる、幼児の自慰行為。はじめて知る人のなかには、「子どもの自慰」と聞いてぎょっとしてしまう方もいるのではないでしょうか?実際に、まだ幼い自分の子どもが自慰行為をしていたら、少なからずショックを受けてしまいますよね。今回は、助産師・看護師でありながら、性教育も積極的に教えられている河井恵美先生にお話をお伺いしました。
目次
小学生の自慰行為はよくあること?どうしてするの?
小児自慰という言葉があるように、子どもが自分の性器を触るといった自慰行為を行うことはよくあることなのでしょうか。
河井先生は「幼児期の自慰行為はよくあることです。思春期にさしかからない小学校低学年あたりの自慰行為は小児自慰の延長になりますね」と話します。
とはいえ、子どもが自慰行為にふけっている姿を見たら驚いてしまうもの。まだ性についての知識も乏しい子どもたち。いったいなんのためにそんなことを?と疑問に思う人もいるでしょう。
助産師・看護師:河井恵美先生
「子どもの自慰行為というのは、性的欲求を求めているわけではなく、自分の身体を触るとどうなるんだろう?という疑問からきていることがほとんどです。『手を叩くと音がするかな』とか『手をあげるとどうなるかな』とか。そういう感覚で『性器を触るとどうかな』と触っているケースが多いですね。それはすごく自然な行為なので、止めなくていいんです」
子どもの自慰行為は、自分の身体を知るための自然な行動。おかしくもなければ、特別に変わったことでもないようです。
子どもの自慰行為の具体例
河井先生によると、幼児や小学生の子どもの自慰行為は多岐にわたります。いろんなやり方の自慰行為がありますが、男女ともに次のような事例がよく見受けられるそうです。
- 床や壁にすりつける
- シャワーの水圧をつかう
- 机の角に押し付ける
- 直接手で触る
また、カーテンに隠れてしたり、トイレやお風呂で自慰行為をするケースも多いようです。親が気づいていないだけで、親の目に触れないところでしている可能性もありますね。
子どもの自慰行為を見てしまったときに気をつけたいこと
実際に自分の子どもの自慰行為を見てしまったら、「なにしてるの?」と引いてしまったり、「やめなさい!」と声を荒らげてしまったりすることもあるかもしれません。しかし、そういった子どもを傷つける言動はしないほうがいいと言います。
助産師・看護師:河井恵美先生
「自然な行為なので、子どもが自慰行為をしていても怒らないでください。『そんなのしちゃダメよ』と言っても、隠れてすると思います。子どももフラストレーションがたまるので、冷静に対応するのがいいですね」
自慰行為はかなり子どものプライベートに関わることです。同時に自然な行為でもあるため、叱ったり責めたりするものではありません。親から叱られることによって、子どもは傷つき、心が不安定になることもあります。冷静でいられるように心がけたいですね。
子どもが人前で自慰行為をするときはどうすればいい?
いくら性的欲求からの行為ではないとはいえ、子どもがリビングや目につくところで自慰行為をしているのは抵抗がありますよね。また、家庭内だけならまだしも、学校でもやっているかもしれないと不安になることもあるでしょう。河井先生は、子どもが自慰行為をしている場合、次の3つのポイントを伝えるといいと言います。
プライベートゾーンを教える
まずは子どもに、プライベートゾーン(水着で肌が隠れる場所)について教えましょう。プライベートゾーンは、見たり、見せたり、触ったり、触らせたりしてはいけない場所です。子どもに「見たら嫌な気持ちになる人がいる」ということを伝えたうえで、トイレやお風呂、自分の部屋など「ひとりでいるときに触ろうね」と伝えるのがベストです。
手を清潔にしておく
自慰行為をする前と後には、きちんと手を清潔にしておくことも大切です。汚れた手で性器に触れることは危険だということを、子どもにしっかり認識させましょう。特に、爪の間はばい菌がたまりやすい場所です。爪が伸びていると身体を傷つけてしまうこともあるので、しっかり爪を切るように伝えておくことも大切です。
休憩時間をつくる
「自慰行為をしすぎると頭が悪くなる」といった都市伝説もあるようですが、そういったことは一切ありません。何回やってもいいのが自慰行為です。ただし、自慰行為の際に刺激が強すぎたり、長時間にわたって刺激を与え続けたりすると、将来的に達しにくくなってしまう場合があります。「休憩時間をつくることの大切さ」も教えておけるといいですね。
子どもの自慰行為=愛情不足ではない
子どもの自慰行為に悩んでいる保護者のなかには「愛情不足だからこんなことをするのではないか」と不安になったり、傷ついたりしている人もいるのではないでしょうか。ネットの情報を見たり、実際に愛情不足だと言われてショックを受けたというケースも少なくないようです。しかし河井先生は、子どもの自慰行為は愛情不足とイコールではないと言います。
助産師・看護師:河井恵美先生
「子どもが自慰行為をするのは、①自分の身体を知るため、②自分を安心させるため、③ただ気持ちがいいから。挙げただけでも3つ理由があります。必ずしも、愛情不足が原因だというわけではありません。大人でも、気持ちを安定させるために耳たぶを触ったり、腕を触ったりと自分の身体に触れることがありますよね。それと同じで、自慰行為も自分を安心させたり、落ち着かせたりするためにしていることがあります。
子どもが自慰行為をすると、親御さんは自分のせいなんじゃないかって責めてしまったり……。何か気になることあったときには『親の愛情不足』という強い言葉に繋げられてしまうことも多いですが、決してそうではありません。愛情不足はひとつの可能性であって、それが絶対というわけではないです」
子どもを「気持ち悪い」と感じてしまうときは?
子どもという、もっとも身近な存在だからこそ、自慰行為をしている姿を見て「気持ち悪い」と感じてしまったり、受け入れられないことに悩んでいる親もいるでしょう。子どもに対してそう思ってしまうことに、罪悪感を持つこともあるかもしれません。そんなとき、河井先生は次の3つのポイントを伝えるそうです。
成長過程のひとつだと受け入れる
当たり前ですが、子どもは成長していきます。そしてその成長を親が止めることはできません。自分が自慰行為をしてこなかった場合、強く抵抗を持つかもしれませんが、これも「成長過程のひとつ」として受け入れましょう。また、子どもが自慰行為をするのは、性的欲求のためではなく「自分の身体を知るため」「心を落ち着かせるため」だと理解することで、そこまで抵抗を持たずにすむかもしれません。
見ないようにする
自慰行為はとてもプライベートなことです。子どもの行動を逐一確認せず「見ないようにすること」も必要です。また、人前で自慰行為をしてしまう子どもの場合は、繰り返し「人前ではしてはいけないこと」を伝えていきましょう。伝えたところで、やはり人前でしてしまうことはあるかもしれません。子どもに「片付けをしなさい」と一度伝えただけで、きちんと毎日片付けるようになるわけではありません。自慰行為も同じです。繰り返し「人前でしてはいけないこと」を伝えることで、子どもに理解してもらうことが大切です。
カウンセリングを受ける
子どもの自慰行為について理解し、見ないようにしたうえでも子どもを「気持ち悪い」と思ってしまうのであれば、それは自分自身が問題を抱えている可能性もあります。嫌悪感のもとにあるものが何なのか知るためにも、専門家でカウンセリングを受けるのをお勧めします。自身が幼少期の頃に性をタブーにされていた、または夫とのセックスレスの問題など、思わぬところに根本的な原因が潜んでいる場合があります。
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河井恵美さんへの相談はこちらから子どもの自慰行為は自然なこと 特別視しないで
子どもの自慰行為は、成長過程のなかで自然なことです。おかしなことでもなければ、特別な行為でもありません。また、幼児自慰から思春期の自慰へと変わっていく場合もあります。子どもの身体は子どものもの。親の身体ではありません。子どもと自分を切り離して考え、子どもの性をタブー視しないこと、静かに見守ることも親の役目かもしれませんね。
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