娘と生理について話せる関係、築けてますか?お父さんのための「性教育のトリセツ」
お父さんにとって、自分の娘のことでもなかなか触れられないこと、それが生理。
一昔前は、生理は女性のもので男性が首を突っ込む話ではないと思われてきましたが、世の中の性に対する意識が変化し、最近はアプリで生理周期を共有するカップルも少なくありません。男性も一緒に関わり、理解し、サポートする時代になってきました。
今回は、夫婦で性教育の啓蒙活動を行っている医師ユニット「アクロストン」のみさとさんとたかおさんに、お父さんが生理に向き合うときのポイントや、子どもの体との関わり方についておうかがいしました。
目次
「生理について話せる関係」を、築けていますか?
生理について話す以前のことになってしまいますが、みなさんは体のことについて子どもと話せるだけの関係性を築けているでしょうか。具体的には子どもの話を聞く、共感する、対等に接するといったことをしていますか?
「生理について話せる関係」は、上記のような関わり方をして初めてできるものです。そのような関係を築いていない父親に突然生理の話をされたら、残念ながら思春期の女の子は「お父さん、気持ち悪い」と感じてしまうでしょう。
特にシングルファーザーなど、お父さんから生理について話さなければならない環境にある方は、生理の話の前に、日常の会話から対等な関係で子どもの話を聞くことからスタートしてほしいなと思います。
なんでも話せる親子関係を築くことが、親子で性教育や生理の話に踏み込む第一歩です。
まずはお父さん自身が知識をつけて
大人の男性は、特に父親の立場になると、どうしても「教える」という態度をとってしまう方が少なくありません。それと同じ姿勢で生理について語ってしまうのは、あまりよいとは言えません。上から目線で語っているように見えてしまいがちです。
あくまで、お父さんも生理を学ぶ側の1人。
お子さんに生理について話す前に、まずは本やネットなどで勉強し、「こんなふうに書いてあったよ」と、学んだことを共有するような形で話すのがよいと思います。
生理についての情報は、さまざまな書籍、または生理用品メーカーのホームページなどで簡単に手に入れることができます。ほとんどのものが小学生にも分かりやすく書いてあるので、お父さんご自身が手に取りやすいものならなんでも良いです。
私たちの書いた「10歳からのカラダ・性・ココロのいろいろブック 変わるカラダのいろいろ編」もおすすめです。
この本では、ナプキンの種類や使い方などを詳しく説明しています。ナプキンの替え時などは経験がないとなかなか分からないことですが、そのようなことについても詳しく書いてあります。
<アクロストンさんの著書はこちら>
- 10歳からの カラダ・性・ココロのいろいろブック 変わるカラダのいろいろ編(アクロストン 著、ほるぷ出版)
「〜しなさい」ではなく「〜したらどう?」
また、お子さんが生理痛で腹痛や頭痛を訴えたときにも、「生理痛にはこの鎮痛剤が効くから飲みなさい」「少しストレッチをしてみなさい」などと、命令口調になるのも避けたいですね。
「これが効くらしいから飲んでみる?」「少しあたためてみたらどう?」と、提案するような形で、あくまでお子さん自身が自分の体についての意思決定ができるようにしてほしいなと思います。
これはお母さんにも言えることですが、生理に関わらず、お子さんの体のことを親が一方的に決めつけるのではなく、本人に聞いてみるという姿勢を大事にしてほしいと思います。
相手の体を尊重する姿勢を親が示すことは、性教育全体においてとても重要です。
3年生くらいから話をしておくとOK
通常、学校では小学校4年生の冬に生理についての説明があります。
しかし、一人一人の発育速度は異なるので、それ以前に生理が来る子も珍しくはありません。
突然生理が来たときに親子そろって慌てることがないよう、小学校3年生くらいから徐々に生理について話していきましょう。最初は一緒に本やネットを読んで「生理ってこういうものなんだね」と話していくだけでもよいです。
このときも、教えるのではなく、一緒に学ぶ姿勢でいることを忘れないようにしたいですね。
わからないからこそ、病院受診のハードルを低く
生理痛は個人差の大きいものですが、人によっては体育の授業などを受けることが困難なほど痛みがある場合があります。
そういったとき、「生理の痛みの程度が分からない」「大げさと思われるかもしれない」から様子を見るのではなく、分からないからこそためらわず婦人科へ受診をしてほしいです。
生理周期の乱れについても同様に、気軽に医師に相談してみてください(子どものうちは生理周期が定まらないので判断が難しいですが、3週間以内に生理が来るようなことが頻繁にあれば受診することをおすすめします)。
病院では、お父さんが中心になって子どもの生理に向き合う必要があるご家庭と分かれば、丁寧に対応の仕方について教えてくれます。
しかし、中には必要もないのにとりあえず内診を行う医師も少なからずいます。
内診は大人の女性でも身構えてしまうものですから、その必要性があるのかどうかをしっかりと説明してもらうことが重要です。また、子どもの気持ちも確認しましょう。
ほとんどの場合、子どもの生理痛の受診では内診はしないですし、もし必要な場合はその必要性について説明するはずです。そうでない医師の場合は内診を断り、その後の通院を避けた方が良いかもしれません。
お父さんが我が子の生理について知る必要性とは
ここまで、主にお父さんが中心となって生理に向き合うケースを中心にお話ししてきましたが、お母さんがいらっしゃるご家庭では、生理についてはお母さんに任せきりなことが多いと思います。
「母親がいるから、自分は生理について把握する必要がない」と思うお父さんもいらっしゃるかもしれませんが、本当にそうでしょうか。
お母さんがいないときに突然生理が来てしまったり、腹痛を訴えたりした場合、慌てふためき何もできないという状態になってしまうのは親として少し頼りないかもしれません。
生理について最低限の知識をもって、不測の事態に対応できるようにしておくのは、どのご家庭のお父さんにも求められることです。
しかし、先ほども言ったように子どもの体の意思決定をするのは子ども自身です。「お父さんに生理が来たことを伝えるかどうか」は、お母さんと娘の間でしっかりとコンセンサスをとってほしいなと思います。
親子で体について学ぶ機会を持つのもアリ
私たちが行っている性に関するワークショップでは、生理についてのカリキュラムもあります。その参加者の中には、父と子で参加する親子も多いんです。
お母さんは既に知っていることでも、お父さんにとっては未知のことだったりするので、お子さんと一緒に「おー!」「こんなふうになっているんだ」と楽しく発見しながら学んでいる姿をよく見かけます(笑)。
生理についてのワークショップに参加する機会があれば、ぜひお父さんも一緒に参加してほしいなと思います。そして、子どもと一緒に学ぶ姿を見せることが、前述の「生理について話せる関係」につながるのではないでしょうか。
アクロストンのお二人は、「生理についてどれほど知っているか」ではなく「子どもと体のことについてまで話せる親子関係を築くこと」「一緒に学ぶ姿勢でいること」が重要だということを何度もおっしゃっていました。
知らないから避けるのではなく、知らないからこそ子どもと同じ目線で生理について関わってみてはいかがでしょうか。
<取材協力>
アクロストン
夫婦ともに医師として働くかたわら、2018年から「アクロストン」としての活動をスタート。公立小学校の授業や企業主催のイベントで、性にまつわるワークショップを行っている。主な著書に「10歳からのカラダ・性・ココロのいろいろブック」(ぽるぷ出版)、「思春期の性と恋愛 子どもたちの頭の中がこんなことになってるなんて!』(主婦の友社)など
・アクロストンのHPはこちら
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