子どもの自己肯定感を傷つける「ジェンダーバイアス」な9つの禁句【チェックリスト付き】
「男だから」「女だから」という、性別による決めつけは“ナシ”な時代になってきつつあります。一方で、昔からの刷り込みから、わが子に対して意図せず「ジェンダーバイアス」をかけてしまっている方もいるかもしれません。
「ジェンダーバイアス」は子どもの自己肯定感にも関わる重大な問題。
今回は、親が言ってしまいがちな「ジェンダーバイアス」にまつわる9つの言葉を紹介します。もしかすると、つい使っている…という言葉もあるかもしれません。
ジェンダーバイアスとは
ジェンダーバイアスとは、「男らしさ」「女らしさ」といった、性別による差や男女の役割に関する無意識の思い込み、偏見・先入観のことです。
SDGs(国連が定める持続可能な開発目標)のひとつにも「ジェンダー平等の実現」が掲げられています。「男だから」「女だから」という理由で何かを決めつけたり役割を与えたりすることは、今後ますます世界的に「NG」になっていくでしょう。
一方で、株式会社こどもりびんぐ「シルミル研究所」のアンケート調査によれば、「ジェンダーバイアスという言葉を知らない・聞いたことがあるが意味までは理解していない」と回答した保護者が約6割(60.2%)も。
また、「自分の子どもと接するときにジェンダーバイアスをとても意識している・やや意識している」と回答した保護者は約5割(49.6%)となっています。
子育てのシーンで、無意識のうちにジェンダーバイアスがかかった言葉がけ・接し方をしてしまっている保護者も、決して少なくなさそうです。
ジェンダーバイアスなNGワード9選【チェックリスト】
それでは、親が子どもに何気なく言ってしまいがちな「ジェンダーバイアス」にまつわる言葉には、どのようなものがあるのでしょうか。
深く考えず、または「よかれと思って」かけている言葉も、意外とあるかもしれません。
まずは普段、下記のような言葉を使っていないか、チェックしてみてください。
親がつい言いがちな「ジェンダーバイアス」な9つの禁句
- 男のくせに泣くな、男の子なんだから我慢しなさい
- 女の子なのにだらしない、女の子だからしっかりしてる
- 男の子なのにピンクなんて…、女の子なのに黒がいいの?
- そんなんじゃ、男の子(女の子)にモテないよ
- 女子力が高い(低い)
- 女の子なんだから愛想よく、男の子なんだからナヨナヨしないの
- (長男や女の子に)将来、面倒見てね
- 女の子(男の子)とばっかり遊んで…
- 女の子だからキツいorませてる、男の子のほうがやさしい
1.男のくせに泣くな、男の子なんだから我慢しなさい
「男は感情を見せるべきではない」「つらくてもメソメソすべきではない」という考えは、どちらかというとママよりパパのほうに多いかもしれません。
親からそう言われて育ってきたり、我慢する・耐えることで褒められた経験があると、自分の息子にも同じようにすべき、と思ってしまっているところがあるのかも……。
でも、正直に自分の弱さや気持ちを出せるのは、むしろ「強い」と思いませんか? いつも泣いてばかり、我慢が一切できない……であれば話は別ですが、男の子だからといって、常に感情をセーブさせる必要はないのではないでしょうか。
女の子なのにだらしない、女の子だからしっかりしてる
女の子は身の回りのことができて、ちゃんとしているべき、男の子は少々、抜けていてだらしなくてもしょうがない…。
知らず知らずのうちに、親である私たちにはそんなイメージを持ってしまっているかもしれません。自分の親がそう言っていた、というケースもありそうです。
ですが当然、女の子の性格や気質がステレオタイプなわけではありません。たとえば、片付けは苦手でも行動力があるとか、忘れ物は多いけれど人にやさしいとか、それぞれ良いところをたくさん持っているはず。
生活習慣のためのしつけは必要でも、「女の子だからしっかりしていないといけないんだ」というわけではないでしょう。このようなジェンダーバイアスが、女の子の自己肯定感を低くしてしまう 可能性もあります。
男の子なのにピンクなんて…、女の子なのに黒がいいの?
小学校のランドセルも「赤」「黒」の二択ではなくなり、一人ひとり好みの色を選ぶことが普通になってきました。とはいえ、「色」による性別のイメージは、まだ根強くあるのではないでしょうか。
大人側に「これは男の子の色、これは女の子の色」という刷り込みがあると、やがて、子どもがそう思ってしまうようになるかもしれません。色に限らず、おもちゃや遊びに関しても「男の子の遊び・女の子の遊び」と分けることも同様です。
男女である程度好みの傾向はあるものの、基本的には、それぞれの子どもの趣味嗜好を大事にしたいものです。
そんなんじゃ、男の子(女の子)にモテないよ
ある程度の年齢になれば、「◯◯ちゃんがかわいい」「◯◯くんってカッコいい」という会話も出てきて、異性を意識するようになったりするのは自然なこと。親としても、自分の子どもが「モテ」ていたら、やっぱり嬉しいですよね。
でも、いわゆる「異性ウケ」のいい子にすることが、必ずしも本人の幸せにつながるとはいえません。むしろ「モテる子がよくて、モテない自分はダメ」という劣等感にもつながってしまうかも…。
「異性に良く思われること」がモチベーションややる気につながる子であれば良いですが、そうでない子には、むやみに言わないほうが良いでしょう。
女子力が高い(低い)
たとえば身だしなみにこだわりがあったり、料理やお裁縫が得意だったり、きれい好きだったりする子を見ると、男の子相手であっても「“女子力”が高い」という評価をしてしまうことがあります。逆に考えると、「そういったことをやるのは、本来は女の子の役割」という意識の裏返しともいえそうです。
たとえば、アクティブでスポーツが大の得意、という女の子がいても、「男子力が高い」とは言いませんよね。
「女子力」はメディアなどから流行した言葉でもありますが、たとえほめ言葉であっても、これからの時代にはそぐわないのかもしれません。
女の子なんだから愛想よく、男の子なんだからナヨナヨしないの
大人に対してよりも、子どもに対してのほうが、「女の子(男の子)らしい・らしくない」というジャッジをしてしまいがちかもしれません。
一般的な「こうあるべき」なキャラクターからかけ離れていると不安になって、子どもに思わず言ってしまったりすることも…。
でも、あまりニコニコしない女の子でも、おとなしめな男の子でも、それはそれでひとつの個性。自己肯定感を育てるうえでも、その個性を大切にしてあげたいですね。
人間関係を円滑にしていくための振る舞いを、親として少しずつ教えていくことは確かに必要ですが、無理に子どもを変えようとすると「否定されている」という気になり、自信を失ってしまうかもしれません。
(長男や女の子に)将来、面倒見てね
「長男は家を継ぐべき」という風潮は近年薄れていますが、ちょっとした冗談のつもりで「私たちの面倒はよろしくね」と言ってしまったことはありませんか?
また、男の子と比べると、女の子のほうが大人になっても親と接する機会が多かったり、結婚後も実家の近くに住んだりするケースが多いことから、「女の子=ずっとそばにいてくれる」という意識で接してしまうこともあるかもしれません。
子どもは純粋で、親が思っている以上に親のことを慕い、心配したりしているもの。
たとえ軽い気持ちであっても、子どものうちから親の老後のことを言っていると、責任感の強い子ほど「親の近くから離れてはいけない」「自分が親を守ってあげないと」と考えすぎて、将来の選択肢を狭めることにつながってしまうかもしれません。
女の子(男の子)とばっかり遊んで…
自分の子どもが異性とばかり遊んでいると、「同性の友達はいないの?」と、心配になってしまう方もいるかもしれません。
でも、同性であれ異性であれ、本人が居心地よく遊べていれば、そこまで心配することはないのではないでしょうか。
子ども本人も今後、成長過程のなかで同性との付き合いにシフトしていく可能性も大いにあります。
同性と接することを過剰に嫌がる・避けるようであれば少し気にしてみても良いかもしれませんが、そこまでではないなら、ゆったりとした目線で見守っても良いのかもしれません。
女の子だからキツいorませてる、男の子のほうがやさしい
直接子どもに投げかけなくても、自分の子どもの発言や行動を見てついそんなふうに感じてしまったり、ママ同士の話題に上がったりすることはありませんか?
子どもにもよりますが、女の子のほうが小さいうちからいろいろなことに気づいて、ときに同性であるママに対してズバッと言うことがあるようです。反対に、男の子はママに優しくて、ほめてくれる……。特に、男女両方を育てているママの中には、そんなふうに思ったことがあるかもしれません。
確かに、母親への振る舞い方の傾向は、男女で多少の違いはあるでしょう。
でも、女の子も男の子も、ママが好きな気持ちは同じ。「女の子は…」というネガティブな想いは意外とわが子に伝わって、内心では傷ついているかも。
ママだけでなくパパも、「娘には甘いのに、息子には厳しい」発言やジャッジを無意識にしてしまっていないか、振り返ってみてはいかがでしょうか。
性別ではなく「ひとりの人」として
毎日の子育てのなかで、今回ご紹介したような「ジェンダーバイアス」をかけて子どもを見たり、接したりしてしまっているシーンはありませんでしたか?
もちろん、生まれながらの男女の違いはありますし、それらをすべて否定する必要はありません。また、子ども自身が「自分の性別」「男女」を意識する場面・時期もあるでしょう。
ただし、いくら無意識で悪気がないとしても、親のジェンダーバイアスがあまりに強すぎると、子どもが“ありのままの自分”を認められなくなり、自己肯定感が低くなってしまったり、将来、その子自身もジェンダーバイアスに囚われ、生きづらさを感じてしまう可能性もゼロではありません。
「男の子だから」「女の子だから」ではなく「ひとりの子ども」として尊重し、性質を理解して受け入れ、良いところを伸ばしていくという意識を持てたらいいですね。
<参考資料>
・株式会社こどもりびんぐ「保護者の約5割がジェンダーバイアスに気を付けている一方、性別を理由に子どもが欲しがった商品を購入しなかった人も」(PR TIMES)
・PRESIDENT Online 脳科学が分析「自己肯定感が単に高いだけの人」が行き詰まる超シンプルな理由
・教育新聞 女子高生の6割、性差別を経験 「自己肯定感に関わる」
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1987年生まれ。日本大学芸術学部卒業後、出版社勤務等を経てライターとして活動。主に女性の生き方、ワークスタイル、夫婦・子育て、社会問題などのジャンルで執筆。小説執筆も行い、短編小説入賞経験あり。