反抗期の子どもがいる親は必見! 怒りっぽい子供にはどう対処すればいいの
アンガーマネジメントのトレーニングを続けていらっしゃいますか? 前回の記事では、親子間の上手な怒り方のヒントについて紹介しました。アンガーマネジメントの基本は自分自身の怒りの感情と向き合い、自分でコントロールする術を身につけていくものです。けれども、読者のなかには怒っている子に対してどう接したらよいか知りたいという人も少なくないはず。そこで、今回は怒っている子どもへの対応のヒントについてお伝えします。
子どもの“欲求”と“感情”に目を向けて
手や足が出たり、暴言を吐いている子どもに対して、「ダメ!」「やめなさい!」と言うことが裏目に出てしまうことはありませんか? 暴力は許されるものではありません。しかし、子どもの“欲求”と“感情”に目を向けずに叱ってしまうと逆に不満や怒りが大きくなり、感情的なシコリが残り、関係性がこじれてしまいます。
子どもの怒りに対したときは、叱る前にその子の“欲求”と“感情”に目を向けてみましょう。子どもが強く怒っているときほど、その子が求めていた“欲求”と本当の“感情”があるはずです。
実は、私にも「今の言葉、何?」「叩くのはおかしい!」と思わず言ってしまい、後から「本当はこんなこと思っていたんだなぁ」「気づくのが遅かったな」と後悔することもありました。
怒りの裏にあった“怖い”という本心
これは、息子が5才のときのエピソードです。朝4時くらいに目が覚めた息子から「ママ、トイレ!」と起こされました。当時、仮面ライダーにはハマっていた息子は、段ボールで自作したライダーベルトをして寝ていたこともあり、私はつい「ライダーだから、トイレに一人で行けるよね」と言ってしまったのです。
すると「ママの意地悪!」とキックがお腹を直撃し、私が「蹴るなんて許せない!」と言うと再びキック。「ママは一緒には行きませんからね!(←こういうときって敬語になることありませんか?)」と返したことで、息子はトイレにも行かず、お互いふて寝をすることになってしまいました。
朝7時、息子が怒りを引きずった様子で起きてきました。救いだったのは息子が“怒りの温度計”について知っていたことです(怒りの温度計とは、怒りの度数をイメージすること。詳しくはこちらの記事へ)。
「ボクはさっき、こうだった!」と、息子は温度計のメモリを超えた上のほうを指さしました。かなり怒ってキレていたようです。
そこで、「今の怒りの温度はどのくらい?」と聞くと、「(10段階中)6くらい」とのこと。「どうしたら下がる?」と聞いてみると「ママ、謝って!」。今までも私が謝ると息子も謝って仲直りに至っていた経緯もあり、「ゴメンね」と言うと息子も謝ってくれました。
もちろん、謝ることに対して「私は何も悪くないのに…」とも思いましたが、大切なのは何のために謝るのかということ。言われたから謝るのではなく、謝る目的と効果を考えて自分で判断して謝っているので気持ちよく関係性を修復することができました。
また、こちらの記事でも解説しましたが、怒りは第二次感情であり、怒りの裏には隠された本当の気持ちがあります。このときも「怒っているように見えたけど本当はどんな気持ちだった?」と聞くと、「ボク、あのとき“怖かった”の…」とポツリとひとこと。ひとりでトイレに行くのが怖かったようなのです。
「怖い」という気持ちに気付けず、「仮面ライダーだから行けるよね」と安易に返してしまったことでケンカになったのだと猛反省しました。本当の気持ちを知ると、「ほかにも仮面ライダーのつもりなのに一人でトイレに行けない恥ずかしさがあったのかな…」などと冷静に考えることができました。「今度から怖かったら正直に言ってね。一緒に行くから!」と言うと、息子はニンマリしていました。
分かってあげたいという姿勢、気持ちを忘れずに
この息子とのエピソードは、保護者や先生向けだけではなく、中学生や高校生にアンガーマネジメントの話をするときにも伝えることがあります。登場人物の心理を想像しやすい話だからということもありますが、思春期で感情のコントロールがしにくくなり朝から親とバトルをしてきた日にこの話を聞く子もいます。このエピソードで自分の事も振り返ってくれるのです。
本当の気持ちを隠したり、気づかなかったりして怒りでぶつけている子もいます。怒っているか怒っていないかのどちらかになり、急にキレていたことに気づく子もいます。
子ども自身が怒りの温度計で自身の怒りのレベルを把握し、どうやったら下がるかを考え、知っているだけでも、ムダに怒りをまき散らしたり、相手のせいにして責めたり、「どうせ…」と諦めたりするのを防ぐことができます。もちろん、怒りの裏にある本当の気持ちが分かると怒りで表現せずに済むことがあります。
怒っている子は「わかって欲しい」「こうしたかった」という“欲求”や「悔しい」「ガッカリ」などの“感情”をうまく言葉にできず怒りで表します。ですから、「わかってあげたい」「どうしたかったのか聴いてあげたい」といった能動的な姿勢や態度で、怒りの裏に隠れている本当の気持ちに寄り添おうとすることで、親は怒っている子どもと落ち着いて関わりやすくなります。
子どもの真の感情は誰にも否定できないもの
子どもの行動を注意するとき、「どうしてそうしたの?」と出来事を責めてしまいがちです。ところが、出来事は既に過去のこと。そうではなく、例えば叩き合いをはじめたとき、「話を聴きたいから、この手は離そう」「怒っていることはわかったよ。だから、まずは離れよう」と、子どもの感情と欲求を理解する姿勢を示せる声がけをしてみましょう。
ただし、“欲求”は通らないこともあります。息子とのエピソードでいうと、彼の欲求は「一緒にトイレに行って欲しい」ということでした。もちろん一緒に行けるときもありますが、例えば“足がしびれて動けない”とか“あまりにも眠くて起き上がれない”という事態もあります。100%望み通りにいかないことがあることを子どもにも知ってもらう必要があります。
一方で、感情(特に怒りの裏にある本当の気持ち)は、本人が感じている真の感情ですから、他人が変えることはできません。「怖い」と言っているのに、親が「怖くなんかないから!」と言ってしまったら、子どもは「分かってくれない!」といい、さらに激怒したことでしょう。相手が思っている感情をそのまま受け止めて認めることは大切なことですよね。
思春期の子どもがいる保護者にとって毎日は試練の連続かもしれません。そんなときこそ今日からできることを少しずつトレーニング。アンガーマネジメントにレッツトライ!
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一般社団法人日本アンガーマネジメント協会(東京)アンガーマネジメントファシリテーター。子育てや教育・福祉・司法関係において、心に触れる実践的なアンガーマネジメントを伝え、一人一人が大切にされる教育社会を目指して怒りの連鎖を断ち切るために活動を続けている。著書に「マンガでわかる怒らない子育て」(永岡書店)「イラスト版子どものアンガーマネジメント~怒りをコントロールする43のスキル」(合同出版)などがある。 https://www.angermanagement.co.jp/