子育てには正解があると思っていた私を変えた言葉
インスタグラムで育児にまつわる情報を発信している「ソクたまアンバサダー」。そんなアンバサダーのみなさんに、子育てや教育について、それぞれの視点で執筆してもらうコラムです。今回は、インスタグラムで日々のことを綴っている、はるさんの子育てコラムをお届けします。
もし、長女が生まれた頃の私に出逢えるとしたら、「あなたはどうしたいの?」と聞きたい。
初めての育児は5年前、長女が生まれてから始まった。長女が生まれた瞬間喜びに包まれるかと思いきや、
「え……。どうやって育てたらいいんだろう……」
そう思ってしまった自分にショックだったのをよく覚えている。喜びだと思ったのに、当たり前に感謝が溢れると思ったのに、自分が感じたのは「強い責任感」と「大きな不安」。
娘が生まれた瞬間から「お母さん」になったけど、目の前の赤ちゃんがなんで泣いてるかも分からない。
ミルクをあげても吐き戻しが多いし、全然寝てくれない。その度に必死に答えを探しながら長女を育てた。
分からないことがあったらまず検索して試してみる。検索しすぎて何が正解か分からなくなってドロドロに疲れたことも数知れず。
「○ヶ月の発達具合は○○です」に当てはまらないようならドキドキした。健診に行く度に「大丈夫ですね」の言葉がもらえてホッとした。
だって、子育てには正解があると思っていたから。
今までのテストだって正解したらマルを貰えて、間違っていたらバツだった。テストでいい点数をとると褒められた。いいコト(正解)をしたら褒められて、そうでなければ何か言われた。
振り返ればいつだって、正解を求められて育ってきたように思う。だから私は、「いい母親」になればいいと思ったのだ。
「いい母親=正解」で、そうしたら子どもがちゃんと育つし自分にマルがあげられると思った。
そんな私の1人目の育児は、離乳食もほぼ毎回手作り。(過去の写真を見返すとね、「がんばって作りました!」的な写真があるの。本当に大量に作ってた。)
晴れの日には必ず公園もしくは児童館。寝る時間は19時半で7時にはカーテンを開けて起こす。テレビは〇時間まで。寝る前の読み聞かせは必ず、などなど……。
「〇〇した方がいいい」ならそうするし、「〇〇すべき」ならそうしなきゃと思ってしていた。よく言われる「〇〇べき、ねば思考」でガチガチだった私。
でも、今だから思う。ただただ一生懸命で、不安を解消して安心したかっただけだったってこと。「〇〇べき、ねば」をしているお母さんでいることが、自分の中での安心材料だった。
世間一般的に「いいだろう」と思われることをしていることで、誰かに「そうやっていたら子どもはちゃんと(正しく)育つよ」って言ってもらいたかったのかもしれない。
いつもいつも外側に答えを求めていたのは、不安だったから。だけど、不安を辿っていけば、根っこの根っこにあったのは愛だった。目の前の命が大切だったからずっとムリをして、自分の気持ちはそっちのけで、そうしてまでも必死に子育てをしていたあの頃。
必死すぎて育児が楽しめなかった。すんごく可愛かったのに、それは今思い返しても心残り。
そんな時期がだんだんと終わっていったのは、子育ての話をしていた時、相手からのある言葉がきっかけだった。
「それは、(私が)したくてしているの?」
そう聞かれてハッとした。と同時に頭に浮かんだのは「え、だってした方がいいと思うし……」だった。ちっとも主語が私じゃない。だけど、その時はそのことにすら気が付かなかった。
「したくてしているの?それ、本当にしなきゃいけないこと?」
もう一度聞かれて言葉に詰まってしまった。私がしたくて選んでいることだと思っていたけれど、よく考えたらどれもちがう。「〇〇べき、ねば」の主語は私じゃない、「社会や他人」だ。そんな自分にびっくりした。
そう言えば、長女が生まれてからしばらくの間「私がどうしたいか」で物事を選んでいないことに気が付いた。いや、選ぶ勇気がなかった。
私がどうしたいかを選んで間違ったら、責任を取るのはもちろん私。それを避けるために、あたかも正解のような「〇〇べき、ねば」という社会や他人の選択肢を選んで安心していたかったのが本音だった。
「私はどうしたいんだろう」
そう考えてもしばらくの間「〇〇べき、ねば」で暮らしていた私の心からは、「(私は)こうしたいよ!」っていう気持ちが聞こえてこない。私は自分のことが自分でも分からないことに悲しくなった。
だけど、気付いたらそこから取り戻せるのだ。
そうやって少しずつ、私は正解ではなく「自分はどうしたいのか」を選択するようになった。子育てにも正解があると思っていたけれど、よく考えたら同じ人間は誰一人いないのだから正解なんてものはない。
私たちができることは、自分で選んだものを後から振り返って正解にしていけるように過ごしていくこと。
自分で決めるってことは、時には間違えてしまうことだってあるし、失敗したなと反省する事だって多々ある。それでも、「じゃぁどうしたらいいのか、どうしたいのか」とまた進んでいくだけ。その勇気と覚悟を少しずつ積み重ねていけばいい。
それに、目の前の小さな命は確かに儚いけれど、きっと思っているよりも強い。命の強さも信じて、勇気と責任感も持って、「私はどうしたいかな?」と今日も子どもと向き合い続けている。
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