価値観が合わない夫と結婚して
インスタグラムで育児にまつわる情報を発信している「ソクたまアンバサダー」。そんなアンバサダーのみなさんに、子育てや教育について、それぞれの視点で執筆してもらうコラムです。今回は、インスタグラムで日々のことを綴っている、はるさんの子育てコラムをお届けします。
「ねぇ、買って付けたから見てみてよ」
なぜか夫がニヤつきながら言うから不思議に思ったけれど、見たらその理由が分かった。
コレだけじゃ分からない……?
この写真なら伝わるだろうか……?
扉を開けて見た瞬間、爆笑してしまった。だって、あまりにも照明が小さすぎる!
先月引っ越しをした我が家は、部屋に照明が付いていないことに気が付かなかった。そこで、夫に照明を買って付けてほしいとお願い……した結果がコレだったって話。
おそらくこのサイズ、脱衣所とかトイレのサイズだと思うから、部屋の扉を開けた瞬間違和感しかない。(だって隣の火災報知機とほぼサイズが同じ!)
たぶん夫のことだから「まぁこれでいっかぁ」なーんて、サイズもよく見ずに買ったのだろうけれど、想像以上(笑)さらに夫が言う。
「電気付けてみて!」
夫の言う通りに付けてみたら、、普通に明るい。
見た目以上に使える!!
普通に明るいことにこれまた笑えてきちゃって、照明は今でもこのまま付いている。不格好だけど「部屋を明るくする」役目は果たしているし、この部屋の照明を見るたびに今でも「ちっちゃ!(笑)」って笑えて愉快な気持ちになるから。
こういう出来事って「あー面白いな!!」って捉えることもできれば、「どうしてこんな変なサイズを買ったの?(買い直して……!)」ってケンカになる案件でもあると思う。
ケンカにならなかったのは、夫の価値観(見た目は気にしない、使えればOKというポジティブさ)を私がすんなりと受け入れられたから。
だけど、もし新婚ホヤホヤの私たちだったら絶対にケンカになっていた。だって、今では考えられないほど私と夫の価値観が究極に反対だったから。たとえるなら、犬と猫。
価値観が正反対なことは分かって結婚したつもりだったし、その正反対なところに惹かれていたのも事実。だけど、「付き合う」と「結婚」は別問題。夫と価値観が違うことは、結婚生活の中で大きな問題になった。
どれだけ価値観が違かったかというと、夫は自分大好きな自由人で、世界の中心は自分。ものすごくポジティブで、何事も「何とかなるさ」な人。
私はと言うと、人に合わせることを良しとしてきた人間。「しっかり」「ちゃんと」が口癖というか習慣。基本ネガティブで心配性な人。
よく結婚したな!と思うほどに正反対だった。
こんな2人だったから、生活を共にするのが本当に苦痛だった。
夫は子どもができても、好きな時間に起き、出掛けたい時に出掛け、好きなだけ仕事をする。だって「自分がしたいから」。
それが間違っているわけではないと分かっていても、「子どもがいるのに」「自分勝手すぎる」「パパなんだからもう少し考えてほしい」そう思ってしまう、夫を受け入れられない私。
周りの事を考えて行動するのが私にとっての価値観だったから、好き放題やっている夫が許せなかった。夫が私と子どもの事を考えて行動を改めるべきだといつも思っていた。そして、そんな気持ちはいつしか憎しみに変わっていき「離婚」の文字が頭をかすんだこともある。
でも、ある時気付いてしまった。
夫はあんなに自分優先で私とは正反対なのに、これまで生きてこれている。しかも、私よりすごく楽しそうな気がする。
あれ……? 私だってもっと自分優先で生きてみてもいいんじゃない?
そこからだった。自分が持って生きていた価値観を「本当にいいのかな?」って思い始めたのは。
そんなに人に合わせなきゃいけない?
「ちゃんと」「しっかり」しなきゃいけない?
「もしこうなったら」そのとき考えたらいいんじゃない?
周りの人の事を考えることも大事。だけど、自己犠牲までして周りを優先しすぎている自分に気が付いたから、少しずつ辞めていった。夫も好きな時間に寝て起きているんだから、私にもそうする権利があるはずだ!と思って同じように寝て起きてみたこともある。(笑)
そうして少しずつ、私の凝り固まった価値観がほぐれていった。
夫の照明事件を笑い飛ばせた自分をなんだか嬉しく思ったと同時に、そんな時期もあったなぁと振り返る。きっと昔の私だったら「部屋の大きさに合ってないものをどうして買ったの!?」って夫を問い詰めていたと思う。だってサイズが間違ってるから、見た目もよくないから。小さすぎる照明は、「ちゃんと」とは程遠いから。
それを笑い飛ばせただなんて、まんまと夫色に染められてしまったのだろうか……。夫色と言うとちょっと気持ちがわるいけど、夫といることで自分の価値観を見直せたのは本当で、それはきっと夫も同じだ。
夫は相変わらず好きな時間に寝て起きるけれど、昔よりちょうどよく私と子どもたちに合わせてくれているのが態度と言葉から伝わってくる。あれほど自由奔放だった夫も、だいぶ柔らかくなった。
これまで生きてきた環境がちがうのだから、価値観が違うのは当たり前。そう分かっていても「価値観が違う=苦しく辛いコト」だと思っていた。だけど、「価値観が合わない」でおわらせるのはもったいない。
夫婦だからといって価値観をすべて受け入れる必要はないけれど、「目の前の出来事は自分になにかを教えてくれるモノ」。そう思ったら必ず学びがあるはずだ。
私にとっては、価値観が違うからこそ出逢えた夫の価値観は、紛れもなくギフトだったよ。
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