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2023.05.26

「わたしのこと好き?」って何度も聞かれるのは、愛する我が子であってもダルい

インスタグラムで育児にまつわる情報を発信している「ソクたまアンバサダー」。そんなアンバサダーのみなさんに、子育てや教育について、それぞれの視点で執筆してもらうコラムです。今回はリズ子さんの子育てコラムをお届けします。

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これは誓って言えるのだけど、私は今までの人生で誰かに向かって「私のこと好き?」と問いかけたことが一度もない。

たまに、「私のどんなところが好き?」とか「私のことどれくらい好き?」と夫に具体的に聞くことはある。

(村上春樹のように「世界中のジャングルの虎がみんな溶けてバターになってしまうくらい好き」なんて言葉を期待して聞くけど、だいたいそんな言葉は返ってこない。)

だけど、「私のこと好き?」と聞いたことは、ない。

夫とコミュニケーションをとるときは、いつも「この人は私のことが大好き!」という前提で話を進める。

いや、だって、私のことが好きだから結婚したんでしょうし? 

まさか、好きではない相手と暮らしているなんてことはないだろう、と思いたい。(願望)

とにかく私は、誰かに対して「私のこと好き?」とは絶対に聞かないと決めている。

なぜなら、この質問には「好きだよ」以外の答えがなさすぎるから。

本当は「今はあんまり好きじゃないな」と思っていても、そんなストレートに答える人はなかなかいない。

だいたいは気分じゃないときでも、とりあえず「好きだよ」と言っておくのが暗黙のルールでもある。

つまり「私のこと好き?」という質問は、相手に「好きだよって言わせたい!」という魂胆がミエミエで、面倒くさい人間代表のようなセリフに思えるのだった。

ところが……。

去年の秋頃、5歳の長女から「私のこと好き?」という質問をよくされるようになった。

最初のうちは「まさか、親からの愛情に不安を感じているのかしら……」と心配になり、その都度「うん、大好き!」と答えたり「当たり前じゃん!長女ちゃんに会いたかったから産んだんだよ!!」とか、「大好きなんてもんじゃなくて、大大大大好き!!」と必死になって答えていた。

だけど、1日に何回も聞かれると「またその質問?」とうんざりしてくる。あれ、さっきも答えなかったっけ? 聞いてなかった? うん、聞いてたよね、それでもまた気になる……? そうか、そうなのか……。

「私のこと好き?」という問いかけは、いくら愛する我が子とはいえ、何回も聞かれるとやっぱりダルい。

私は気が短いから、「こんなに愛情かけて育ててるのにさぁ、それでも信じてくれないの?」と不満もたまってくるし、もどかしさもある。「同じこと何度も言わせないでよー」という言葉が、喉元まで出かかる。

そんなふうに、我が子に対して申し訳ないと思いつつも「その絡み、ちょっとダルいなー」と思っていた頃、長女よりも少し年上の子どもと関わる機会があった。

年上のその子は、会うたびに長女に「おんぶしてほしい?」と聞く。

それが、めっちゃ聞く。何度も聞く。隣で長女が3歩進むごとに聞く。

「ねえねえ、おんぶしてほしい?」

その子の、おんぶをしたそうな懸命な姿を見ていたら「ああ、この子は長女に『おんぶしてほしい!』って言ってほしいんだな」というのが手に取るようにわかった。

つまりその子は、長女の意思に関わらず、自分が長女をおんぶしたいし、長女に頼られたいという気持ちがある。そしてその欲求は、とてもかわいい。

だけど悲しいかな……。言葉の選び方ひとつで印象は変わってしまう。

「おんぶしたい!」と言われたら「じゃあおんぶしてもらおうかな~」なんて微笑ましい気持ちになるけど、本当は自分がおんぶをしたいだけなのに「おんぶしてほしい?」と何度も聞かれたら「いや、別にしてもらわなくても……」と、ちょっと突っかかりたくなってくる。(いや、私が聞かれてるわけじゃないんだけどさ。)

なんだろう、この強制的に言わされている感。

最初は嬉しいと思っていたことも、だんだん億劫だと感じるこの気持ち。

相手に言わせることによって、自分を満たしたいという欲求は、こんな小さな頃から発動しているのだ。

最初のうちはかわいいかもしれない。でもそれが何度も続くと、やっぱり負担になる。

「私のこと好き?」でもなく「おんぶしてほしい?」でもなく、もっと別の伝え方に変えられたら……。

というわけで、私は長女に別のアプローチをしてみることにした。

長女「ねえママ、長女ちゃんのこと好き?」

私「長女ちゃんはどう思う?」

長女「ママは長女ちゃんのこと大好きだと思うー」

私「そうだよ。知ってるってことは、ただママに好きって言ってもらいたいってこと?」

長女「うん」

私「そういうときは『私のこと好き?』って聞くんじゃなくて、『好きって言って!』って言えばいいんだよ

長女「えー。(にやにや) ねえ、ママ!長女ちゃんのこと好きって言って!」

私「大好きー!!」

人に言ってほしい言葉があるときは、まわりくどく言ってもらおうとするよりも、ストレートに相手に伝えること。

同じように、人にしてほしいことがあるときも、面倒くさい手を使わずに、素直にしてほしいと伝えること。

これって、仲良くなりたい相手と関係を築くのに、すごく大事なことだ。

……なーんてかっこつけて書いたけど、これって実は子どもの長女よりも、大人である私のほうがうまくできていなかったりする。

だから、寂しいのに怒ってしまったり、悲しいのに意地を張ったり、怒りたいのに泣いてしまったり、感情がこんがらがって、なかなかに大変。

大人なんて子どもよりずっとズル賢しくなっているから、本当の感情を隠して何十にもオブラートに包んだり、ひどいときは過剰梱包かってくらい包みすぎたりして、自分でさえなんなのかわからなくなるくらい。

しかもガムテープとかセロハンテープとか、やたらとべたべた貼りすぎて、なかなかに開封まで時間がかかるんだよね……。もっとコンパクトに包装すればいいのにね。

素直な気持ちの伝え方は、子どもと一緒に練習していこうかな。

<このコラムを書いたソクたまアンバサダーはこちら>

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リズ子

ゆとり世代のライターで2児の母。Instagramでは子ども向けの遊び情報を発信。著書『どこにでもいる普通の女子大生が新卒入社した会社で地獄をみてたった8日で辞めた話』

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