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2022.11.10

学歴のために、子どもを壊していく親たち。日本よりも熾烈な「台湾家庭の実情」が衝撃!

「我が子を有名大学に進学させたい」「医者になれるよう、今から塾に通わせている」。
我が子の将来に期待し、教育に力を注ぐ親たち。その熱量、子どもたちにとっては…? 有名大学に進学すること、イコール幸せの確約なのでしょうか?

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『子供はあなたの所有物じゃない』衝撃的なタイトルに隠された台湾の実情は?

日本は、いわゆる“学歴社会”であると言われてきました。

いい高校・いい大学に入った者こそが、いい職業に就く。激しい受験戦争をくぐり抜けるために、長い時間を費やして、知識を詰め込む。それを良しとする文化を長く歴史に刻んできました。

そんな日本以上に厳しい学歴社会であると言われているのが、台湾です。

台湾は、世界有数の「超」学歴社会と言われ、高校生普通科の大学進学率(2020年)は95%以上! 幼少期から英才教育に力を入れたり、小学生のうちから学習塾に通ったりするのが一般的な風習になっています。

家庭教師として、多くの子どもたちと関わってきた呉暁楽(ご・ぎょうらく)氏は、教育熱心なあまりに歪んでしまった、台湾家庭の実情を目にしてきました。その実体験を元に、9つの家庭それぞれのエピソードを描いたデビュー小説、『子供はあなたの所有物じゃない』(光文社)を10月19日に発売。

台湾では、2014年に刊行され、6.6万部の大ベストセラーになった作品です。これは、人口の少ない台湾では異例の数字です。2018年には、台湾の公共放送・台湾公共電視台にて実写ドラマ化され、現在Netflixでも配信中です。

日本も他人事じゃない!?受験戦争に過熱する親たち

有名大学に進学させること、それが教育のゴールで、全てなのでしょうか。

「子どもをいい学校に入れなければならない」

程度に違いはあれ、そんな思いがあるのは、日本も台湾も同じです。

受験や数値に縛られ、苦しむ親や子ども。日本でも『翼の翼』という小説が昨年大ヒットしました。この小説も、中学受験に翻弄される主人公とその家族がテーマに描かれています。

教育“熱心“を通り越し、”過熱“してしまう親の心情。その凄まじさを描いた著者である朝比奈あすかさんも、『子供はあなたの所有物じゃない』を推奨。「子どもを壊してゆく親たちの姿はひたすらおぞましく、それなのに他人事と思えなかった」とコメントしています。

追い詰められた台湾家庭のリアル

家庭教師として勉強を教えるだけではなく、親子関係や学校での人間関係など様々な子どもたちの悩みに向き合ってきた著者。

それぞれの家庭が抱える複雑な事情に、熾烈を極める教育熱。我が子を良い学校に入れようと躍起になる親たち。子どもも大人も幸せになれない、追い詰められた台湾家庭の実情がリアルに描かれています。いくつかあらすじを紹介します。

【あらすじ】

  • 陳君とはスタバで勉強をする。授業料は自分が払うと言い、常にタクシー移動、高価な服飾品自慢など金銭でマウントを取りたがる彼。陳家は裕福だが、あまりに複雑な事情があった……「帰る家がなくなった彼」
  • 男尊女卑の強い家庭に生まれたジャスミンは、兄との明らかな差別に悩んでいる。親の歓心を買うため、常に自分を殺して親の望む道を歩んできたが……「受け継がないもの」
  • 長女を志望大学に合格させた実績から、弟も指導してほしいと紀ママに頼まれる。しかし勉強が得意な姉と違い、弟は勉強嫌いでバスケットボールにのめり込み……「才能」

自分の子どもには、幸せになってほしい。将来、不自由のない生活が送れるよう安定した職業についてほしい。

きっと親なら誰しもそう思うはずです。しかし、親が教育に“過熱”しすぎてしまうと、子どもはオーバーヒートしてしまうかもしれません。

教育の本質とは…? 学ぶ意味とは…? 考える機会になる1冊です。

<参考資料>
株式会社光文社 【台湾で6.6万部の大ベストセラー】学歴社会に翻弄される家族の物語、『子供はあなたの所有物じゃない』が10月19日、光文社より邦訳刊行!【Netflixドラマ原案】(PR TIMES)

堀之内梢

国立大学教育学部卒業。専門教科の国語を愛し、教科担当制の私立小学校にて勤務。好きな教材は「おにたのぼうし」。好きな文法は品詞分類。学級担任として、多くの子ども・保護者と関わる。現在は教員業の傍ら、教材執筆者・ライターとしても活動中。プライベートでは1児の母。

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