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2021.02.08

【不登校中の勉強】 塾へ通わせるタイミングと塾選びのポイントを専門家が解説します

「不登校だけど勉強はしたい」「学校ではなく塾へ行ってみたい」という子は意外と多いそう。もしかすると「だったら学校へ行けばいいじゃない」と思うかもしれませんが、心に傷を抱える子たちにとって簡単に片付けられることではありません。そこで選択肢に挙がるのが塾です。不登校生の塾選びにはどのような点に気をつければいいのか不登校生の学習支援や受験指導、進路相談を行う阿部伸一さんが塾選びについて解説します。

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不登校は不登校専門の塾を選ぶべきか

ひとことで不登校といっても原因はさまざま、そして心の傷や回復の程度も異なります。そのため、一概に「不登校ならこの塾がいい」と断言することはできません。

もし子ども本人の心がしっかりと回復していて、本人が望むのであれば不登校専門の塾である必要はありません。むしろ学校へ通っている子たちに混じって学習を進める方が、学力面だけではなく心の面にも良い影響を与えるケースもあります。

逆に、心が回復をしていないのに「受験生だから」と、無理やり合格実績重視の有名進学塾へ通わせることはおすすめしません

中には「厳しい環境に身を置けば勉強するようになるだろう」と考えてしまう人もいるかもしれませんが、厳しい環境だからこそ通えなくなって自信を喪失したり、また無理をしすぎて余計に心の傷が深くなったりする可能性は高いです。

今一度、わが子の状態を把握して、そして塾へ通う目的を考えて、それをふまえた塾選びをすることが大切です。

不登校の中学生が勉強を進める上でのポイントを、阿部さんが以下記事で解説しています。合わせてご覧ください、

【中学生の不登校】勉強の遅れが心配な親ができることは?自宅でできる5つの勉強方法も解説
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不登校の学習支援塾と一般の塾の違いとは

不登校専門の学習塾が増えてきています。ですが、不登校専門といっても千差万別。ごく最近になって開設された塾もあれば、数十年に渡って運営している塾もあります。大手企業の一部門となっている塾もあれば、全国展開を目指して教室を増やしている塾もあれば、地元密着で個人開業されている塾もあります。

あまりにも多岐に渡るため「不登校専門の塾とは」とひとことで語ることには無理があるのですが、いくつかの「不登校専門塾」の“売り“としては「講師が不登校経験者」「カウンセラーがいる」といった特徴が見られます。

講師が不登校経験者

実際の授業を担当する講師が元不登校生なので「お子さんの気持ちがわかる」「自身の経験を語ってあげられる」「こんなお兄さん、お姉さんのようになりたいとロールモデルになれる」といったメリットがうたわれています。

カウンセラーがいる

カウンセラーに限らず、児童心理に長けている元教員というような従業員または講師がいることで、子どもの状態を把握することができます。方針を決めるにあたって知識が生かされることが特徴でしょう。

ただ、不登校生を“心に傷を負っていて、今はまだ回復の途中”とした場合、絶対に抑えていただきたい点があります。それはその塾の責任者あるいは担当者が「『不登校』に対して理解があるかどうか」です。

不登校に対して理解がある塾とは

では、不登校生に対して理解があるとは、どんな塾なのでしょうか。

例えば不登校生が“学校をサボっている”“怠けている”のではなく、“学校へ行きたくても行けない”“動きたくても動けない”状態にあることを理解してもらえているかどうか、といった点です。

子どものタイプによっては「期待に応えようと無理をしすぎる」「周りに同世代の生徒がいると集中できない」「得意不得意の差が大きい」などのケースも少なくありません。

それらに対して「それは努力次第」などと言うのではなく「それがこの子の特性であり個性」だと理解し、そこを活かしてあげられるような理解が必要です。

この「理解がある」という点においては、先に不登校専門塾の特徴で挙げた不登校経験やカウンセラーが必ずしも備えているとは限りません。

もちろん、不登校経験者やカウンセラーの方が理解をしてくれる確率は高いです。自分自身が苦しんだ経験によって理解もしやすいでしょうし、専門的な知識によって理解もしやすくなります。ですが、不登校というだけで子どもたちをひとくくりにすることはできません。抱えているものは人によってさまざまです。

逆に、不登校経験者やカウンセラーではなくても、“理解がある人”は多くいます。

“理解がある”責任者あるいは担当者のいる塾であれば、心の傷を負って回復している途中の子どもでも頑張れる環境になりやすいでしょう。

どんな塾に通っても、学習面の壁には当たりますし、悩みごとやトラブルが起こる可能性はあります。そのようなときに、“理解がある担当者”が近くにいるかどうかは、そうでない場合との大きな差です。

塾の規模や実績、責任者や担当者の肩書きよりも、「不登校生に対しての理解」をはじめに確認してください。

不登校に対して理解がある人ほど、子どもそれぞれのタイプを見極めたり、接し方を考えたりすることには慎重です。「ウチのやり方なら間違いないです。「ウチのやり方なら間違いないです。自信があります」といったタイプよりも「お子さんに合わせて様子を見ながら進めます」と言ってくれる塾のほうが安心です。

不登校の子の学びを支える塾については、こちらの記事でも詳しく解説しています。

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わが子に合った塾を選ぶための5つのポイント

塾選びは、塾の良し悪しではなく、子どもにとって合うか、合わないかが大切です。そこで、わが子に合った塾を選ぶための5つのポイントをアドバイスします。

【ポイント①】オンラインか個別か集団か

学習形態は様々ですが、まだ回復過程の子は集団塾よりも個別形式の塾が合うケースが多いです。どれほどカリキュラムが素晴らしくても、それについていくことが前提の学習形態はプレッシャーが大きいです。ただ、集団塾の良さもありますので、まずは個別形式で始めて、回復をしてきたら集団塾で頑張るという流れが合う子もいます。

最近はオンラインで勉強を教えてもらえる塾もありますが、オンラインこそサービスの良し悪し以前に、タイプや性格によって合う・合わないがハッキリしがちです。

単純に「自分の顔が画面に映る」だけで抵抗を持つ子もいれば、逆に「外出せず自宅でできるのが良い」という子もいますので、評判や実績や口コミだけではなく実際に体験をしてみることが重要です。

【ポイント②】実際に塾へ足を運ぶ

オンラインではない塾を選ぶ際には、必ずその塾へ足を運んでみて下さい。そして教室の中で担当者あるいは責任者と話をしてください。

インターネットの評判よりも、実際に足を運んで、実際に会話をして得られる情報のほうが重要です。不登校や個々の事情に対して理解があるかどうかも、実際に責任者や担当者と言葉を交わさないと分からないと思った方がよいでしょう。

【ポイント③】まずは保護者だけで話を聞く

子どもの年令や状態にもよりますが、まずは保護者だけで塾と話をすることをおすすめします。

よく「子どもが決めることだから」と保護者が子ども自身に塾選びをさせるケースを耳にしますが、不登校生あるいは不登校経験がある子の場合は、保護者から原因や経緯、自宅での様子を塾へ伝えて下さい。

むしろ不登校に対して理解がある塾ほど、その情報を事前に知りたいはずです。そして、きちんと情報を得るには、子ども本人が同席していない方が望ましいケースが多いです。

よって、候補となる塾とは、まず保護者だけで話をしてみて、その上で選択肢になるようであれば、次は実際に子ども自身を塾との面談や体験授業にのぞませてあげましょう。

また、オンライン授業の場合も教室へ行く必要がないとはいえ、まずは保護者だけで話をして、次にオンラインで授業体験をしてみてから検討することをおすすめします。

【ポイント④】子どもの気持ちに合った立地を選ぶ

また立地がお子さんにとって重要な要素になることがあります。自宅の近くが「通いやすいから良い」という子もいれば、自宅から離れるほうが「知っている人と会わなくて済むから良い」という子もいます。

ほかにも、最寄りが大きなターミナル駅だと「買い物もできるし」と通いやすく感じる子もいれば「人混みが嫌いだから」と通いたがらない子もいます。

【ポイント⑤】子どもの感覚、こだわりを大切にする

立地だけでなく教室の明るさや清潔さが大事な決め手になる子もいますし、担当者や講師の明るく元気な挨拶が苦手で敬遠する子もいます。

また教室のレイアウトが重要になることも多いです。ほかの生徒が視界に入ることで集中できなかったり、逆に誰かいないと淋しくて落ち着かなかったりなどさまざまです。

足を運ばなければわからないことは、感覚的なものが多いです。実際に教室へ行ってみて、その上で決めるようにしましょう。

ネットで得る情報よりも、そして口コミよりも、実際に見聞きした感覚を大事にして“良い塾”ではなく“合う塾”を探す意識を持つようにしましょう。

学力向上だけではない塾へ行く3つのメリット

学習塾とは、“勉強のため”“成績のため”“受験のため”に通うものというイメージがあり、実際にその目的で利用する方が多いです。しかし、塾に通うことのメリットはそれだけではありません。

【メリット①】心の回復につながる

不登校の子どもにとって必要なのは、勉強よりも成績よりも受験よりも“心の回復”です。

塾へ通うことができるようになれば、学力の向上や学習の習慣づけなどにより、不登校によって失っていた自信を取り戻せるようになることは多いです。自信が心の回復にもつながります。

【メリット②】家族以外の大人に認めてもらえる

それに加えて、不登校生にとっては塾の授業が貴重なコミュニケーションの機会になります。特に同世代や集団が苦手な子にとっては、塾での大人との出会いがプラスに働く可能性が大いにあります。

不登校の子に限らず、思春期に“いい大人”や“素敵な大人”と出会えることは、その後の生き方を左右するほどに幸せなことです。

心の傷を回復している途中の子にとっては、家族以外に自分を認めてもらえる機会は貴重です。そこで得られるものには学力以上の価値があると思います。

【メリット③】保護者が自分の時間を作れる

保護者にとっても大きなメリットがあります。それは、保護者が“自分の時間を作ることができる”ことです。

わが子が不登校になって以来、どれほど悩みの日々を送ってこられたことでしょう。悩みの性質上、周りには言えず、ひとりで抱えている保護者も多いことと思います。心に傷を負った状態なのは子どもだけではありません

そうした保護者にとって“自分の時間を作ること”は、気持ちの安定を図る上でとても大切な取り組みのひとつです。

しかし、日々の生活をしながら、子育てもして、そして先のことで悩んでいる状態では、なかなか「自分の時間」など作れません。

また、わが子が不登校で苦しんでいるのに、自分だけが“自分の時間”を作って良いのだろうかと躊躇されるケースも多いです。

ですが、保護者もひとりの人間として自分の時間をもっていいのです。子どもが塾へ通うことで、少しでも“自分の時間”が作りやすくなることも通塾の大きなメリットです。

不登校の子にとって“いい塾”とは、学習を通して心の回復にも取り組んでいくことができるような“不登校に理解のある塾”です。さらに、その子の感覚や気持ちに合っていれば学習にも取り組み続けやすくなることでしょう。

もし、子どもが少し動き始めたり、勉強や受験を意識するようになったら、良い塾ではなく合った塾をという姿勢で探してみてください。大切なわが子に合った塾に出会えることを願っています。

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阿部伸一

不登校専門のカウンセラー。不登校専門の個別指導塾、家庭教師派遣、サポート校の運営を行う。2003年より学習サービス事業の株式会社REOにて「不登校専門サポートコース」を発足。2010年より「特定非営利活動法人いばしょづくり」にて不登校経験者や保護者向けのイベントや交流の活動を開始し、各地でセミナー、講演、個別相談会、またオンラインでの活動も行っている。著書に「不登校は天才の卵」(宝島社)などがある。 オフィシャルサイト:https://abe-futoukou.jp/

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