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2020.08.10
2020.08.24

視覚優位タイプとは?特徴に合った勉強法や生活の工夫を専門家が解説

人は五感を使って情報を得たり、理解していますが、人によっては「目で見たほうが理解しやすい」「耳で聞いたほうが覚えやすい」など、方法次第で理解力や記憶力が違うことがあります。その中で、今回紹介するのが“目で見ることで理解しやすくなる”「視覚優位」タイプについて。「何度言っても覚えられない」「ヒアリングが苦手」という子は、視覚優位タイプの特徴を踏まえた勉強法にすることで学習しやすくなるかもしれません。心理師の車重徳さんが視覚優位タイプについて解説します。

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視覚優位タイプの子の特徴とは?

東京都教職員センターの資料によると、児童や生徒は見聞きしたり、体験することで学習をするものの、学ぶ方法や手段は一人ずつ異なり感覚や情報を処理する手段には得意、不得意があると書かれています。

そして、情報を知覚する手段として、以下の3つのタイプを挙げています。

情報を知覚する手段に関して

聴 覚 優 位…聴覚からの情報収集・理解を得意とする
視 覚 優 位…視覚からの情報収集・理解を得意とする
体感覚優位…体感したり、行動したりすることからの情報の収集・理解を得意とする

引用元:
東京都教職員センター「基礎的・基本的な知識・技能を確実に習得させる指導の工夫」

中でも視覚優位タイプとはどんなことなのかを詳しく説明すると下記のような特徴があります。

視覚優位の子の特徴

目で見るほうが耳で聞くよりも…

  • 情報の認識することが早い
  • 情報を早く記憶することができる
  • 情報を深く理解できる

例えば、授業で教師の説明や指示をよく聞いて理解するよりも、教科書やドリルや黒板に書かれたことを見たほうが、学習内容を理解しやすい子、計算方法を学ぶときに口頭で説明されるよりも実際に解いていくところを見たほうが理解でき、似た問題も解けるようになっていく子などが、視覚優位タイプの子だといえます。

視覚優位タイプの子の割合は?

実際に子ども全体の何%が視覚優位タイプなのかという調査は行われていません。しかし、私が接してきた子どもたちの様子では、視覚優位タイプの子が4割、聴覚優位タイプの子が3割、どちらでもない子が3割程度だと感じています。

視覚優位タイプは2種類ある

また、ひとことでちなみに視覚優位タイプといっても認識の仕方には、下記の2通りがあります。

言語認識
紙に書かれた文字が認識しやすい。

イメージ認識
紙に描かれた絵や写真が認識しやすい。

例えば、YouTubeで見たい動画を探すとき

  • 動画の画像写真から探すのか
  • タイトルの文字から探すのか

どちらのほうが探しやすいのかということです。

今度、YouTubeを視聴するときは、意識してみてください。なんとなく自分の特性を意識できると思いますよ。

KaufdexによるPixabayからの画像

視覚優位性タイプの長所とは

人間は誰にでも長所と短所がありますが、特徴や特性があると知るとマイナス面に目を向けてしまう傾向があります。しかし、物事には表と裏があるように、特性にもプラスの面があります。

例えば、視覚優位タイプの場合は、下記のような長所が考えられます。

学校の授業では…

  • たくさんあるものの中から⾃分のものをすぐに⾒つけ出せる
  • 漢字や英単語など、何度も書かなくても⾒るだけで覚えられる
  • 絵や図などを鮮明に覚えることができる など

⽇常⽣活ででは…

  • 家の中での探し物がすぐに⾒つかる
  • 買い物の際、欲しい物をすぐに⾒つけられる
  • ⼈の顔を覚えるのが得意 など

どの項目も生きていくうえで役立つ力ですよね。マイナス面をフォローしていくことも必要ですが、いいところを認めて生かすという視点も忘れないでくださいね。

発達障害と視覚優位タイプの関係とは

また、視覚優位タイプのように、物事の認識・理解・記憶の仕方に偏りを感じると、「これは発達障害だからなの?」と考えたり、「視覚優位=発達障害、グレーゾーン」と考えてしまう人がいますが、それは間違いです。視覚優位と発達障害には何の関係もありません

発達障害を診断するためには、国際的に下記の基準が使用されますが、どちらにも視覚優位に関する記述はありません。

発達障害の診断基準

DSM5
アメリカ精神医学会による精神疾患の診断基準・診断分類。

ICD11
世界保健機関(WHO)が作成している疾病及び関連保健問題の国際統計分類。

親の育て方で視覚優位タイプになるわけではない

また、わが子が視覚優位タイプの場合、「私の子育て方のせいかしら」と考える保護者がいますが、視覚優位タイプかどうかは先天的な特性なので親の子育て法とは関係ありません。

【チェックリスト】子どもが視覚優位タイプが調べてみよう

では、次に、自分の子どもが視覚優位なのかどうかをチェックできる2種類の方法を紹介します。

感覚診断テスト

普段の子どもの様子を思い浮かべながら、下記の質問の1~3のどれに当てはまるか考え、1~3がそれぞれ何個になるか数えてみてください。

<Q1>
子どもがよく使う言葉はどちらですか?

  1. はっきり言って
  2. 自分はこう思う
  3. どちらも当てはまらない

<Q2>
会話をするとき、子どもはどんな動きをよくしますか?

  1. 手をよく動かす
  2. 手が口元にいく
  3. どちらも当てはまらない

<Q3>
会話をするとき、子どもはどこをよく見ますか?

  1. 上を見がち
  2. きょろきょろしがち
  3. どちらも当てはまらない

<Q4>
子どもはどちらの状況が苦手ですか?

  1. 目がチカチカするような場所(ゲームセンターなど)
  2. ざわざわとうるさい場所(混んでいるファミレスなど)
  3. どちらも当てはまらない

<Q5>
学校の授業はどんな授業が好きですか?

  1. 教科書や黒板を見る授業
  2. 先生の話を聞く
  3. どちらも当てはまらない

<Q6>
海と聞いて思い浮かべるものは?

  1. 海岸から海を眺めている様子
  2. 波の音やカモメがなく声
  3. どちらも当てはまらない

<Q7>
どちらをすることが好きですか?

  1. 映像を見ること(テレビやYoutube など)
  2. 音を聞くこと(ラジオや音楽を聴くなど)
  3. どちらでもない

数えた結果、1が多かった子は、視覚優位タイプの可能性があります。また、2が多かった場合は、聴覚優位タイプの可能性があり、3が多かった場合は、視覚や聴覚をバランスよく切り替えて使っているタイプの可能性があります。

単語記憶テスト

<ステップ1>
10枚のカード(紙でも可)にそれぞれ単語を1つずつ書いてください。10個の単語は、野菜やフルーツなど同じテーマのものにしましょう。

<ステップ2>
書いたカード(紙)を1枚ずつ見せていきます。ただし、単語を読み上げたり、声をかけたりしないこと。

<ステップ3>
1時間後、先ほど見せた単語を何個覚えているか確認して記録しておいて下さい。

<ステップ4>
数日後、<ステップ1>とは違うテーマの単語10個を紙にメモしてください。このときも10個の単語は同じテーマに基づいた内容にしましょう。

<ステップ5>
メモをした紙を子どもに見せないようにして書いた単語を1回ずつ読み上げて下さい。

<ステップ6>
1時間後、先ほど読み上げた単語を何個覚えているか確認して記録してください。

<ステップ7>
<ステップ3>と<ステップ6>で覚えていた単語の数が多いのは、どちらですか。<ステップ3>のほうが多い場合は視覚優位タイプの傾向があります。<ステップ6>のほうが多い場合は聴覚優位タイプの傾向があります。

ただし、上記はあくまで視覚優位タイプの傾向があるかを知るためのチェックテストです。正式な結果が知りたい場合は、知能検査である「WISC4(ウィスク4)検査」を受けてくださいね。

視覚優位タイプの子の悩みとは

では、さらに視覚優位タイプについて知るために、視覚優位タイプの子が学校や家庭でどんなことに不自由を感じているかも知っておきましょう。

まず、第一に挙げられることは人よりも色々なことに気付きやすいということです。

人間の視覚は視界に入っているものすべてを見ているわけではありません。実際は、視界に入った中で認識できたものだけを見ているのです。しかし、視覚優位タイプの子は、目で見て認識する情報が多いため、周囲の人が気づかないことに気付きすぎてしまう傾向があります。

世の中には見えない方が幸せだと感じることもあり、見えてしまったことによってガッカリしたり嫌な気分になったりします。

さらに、視覚優位タイプの子は、視覚的な記憶が強いことでツラい思いをしたり、ツラい思いを引きずり過ぎたりすることがあります。見たくないものの記憶が脳内に映像として鮮明に残り続けるのです。

PexelsによるPixabayからの画像

視覚優位タイプの子が学校生活で困ること

視覚優位タイプの子は人より多くのものを見ています。集中力がないとほかのことが気になって本来持っている能力を発揮できないことがあります。

例えば、黒板を書き写すとき、黒板の内容に集中しなければならないのに黒板の横にある掲示物が気になってノートをとることに集中できないのです。

また、視覚優位タイプの子は、聴覚が劣位というケースが多いため、学校生活では下記のような困りごとに悩む場合があります。

学校生活の悩みポイント

  • 授業中、口頭の指示が理解しにくい
  • 避難訓練などで放送の内容が頭に入りにくい
  • 友達同士の会話についていけないことがある

視覚優位タイプの子が家庭で困ること

次に家庭ではどんなことに困っているのでしょうか。下記の内容に対して「いつも怒ってしまっている」という場合、子ども自身にはどうしようもないことかもしれませんよ。

家庭での悩みポイント

  • 口頭の指示がなかなか理解できない
  • 会話がかみ合わない
  • 自分の思いを相手に伝えられない
  • 時系列が把握しにくいことがある。

視覚優位タイプの子のための勉強法と生活の工夫

それでは、上記のようなことに悩んでいる場合、視覚優位タイプの子はどのように行動していけばいいところを発揮できるのでしょうか。

すべきことは紙に書き出し貼っておく

朝の歯磨き、洗顔、夕方の宿題、翌日の準備など、行動しなければならない項目は、すべてて書き出しおくようにしましょう。自宅での過ごし方に時間割を作って壁に貼っておくのもいいですね。

また、紙に書くときは、色、文字の大きさ、フォントでも認識のしやすさは変わります。どのように書くと読みやすいのかを子どもと相談しながら作ってみてください。子どもが自分の得意な傾向を知っておくことは、今後の人生で役立つかもしれませんよ。

【国語】文章題や漢字を分かりやすくする工夫

では、視覚優位タイプの子の学習はどのように進めていけばいいのでしょうか。勉強で苦しんでいる子は、特性にあった学習法を知ることで成果が変わっていきます。

国語の長文問題は、文章に出てくる情景をイラストや映像を使って視覚的な情報をプラスしてあげると理解しやすくなります。また、覚えなければならない漢字や語句などは下記の工夫をしてみてください。

国語の覚える系の効率アップ術

  • カードや単語帳を使って覚える
  • 漢字を何度も書くよりも、部首によって色を変えるなど視覚的なイメージに工夫して記憶を強化する
  • 象形文字からの漢字の成り立ちから覚える

【算数】を分かりやすくする工夫

算数のコツは、意味を理解させることよりも暗記してパターン化させることです。例えば、文章題では「加えて」「合わせて」「全部で」「まとめると」などの言葉が出てきたら「+」を使うという風に覚えさせるのです。

学習は、“理解して解く”方法だけが正解ではありません。“解いてから理解する”方法もあります。視覚優位タイプの子の場合、後者が向いているように感じます。

なぜなら、視覚優位タイプの子は、瞬間的に視覚から多くの情報を入手しますが、その際に「問題が難しい」「勉強が嫌い」などのバイアスがかかってしまうと理解するのに時間がかかってしまいます。そのため、まずは問題をパターン化して解答欄を埋めることを優先させたほうが解ける喜び、本人の自信につながるのです。解ける楽しさも正解する喜びは、勉強への苦手意識を克服するためには必要です。

また、解いた内容を理解させるためには、本人の興味があることや日常に関連付けて説明すると理解しやすいですよ。単純なことですが、文字のフォント、大きさ、色を変えた問題文を使って説明するだけでも視覚優位タイプの子は理解のしやすさが格段にあがります。

もちろん、パターン化して解くことですべての問題が正解になるわけではありません。応用問題になっていくほど例外が出てきてしまうことでしょう。ですが、まずは基本を解ける力を身に付けることを目標にしましょう。

また、年齢が低いとアドバイスだけでは実際に何をやればいいのか分からないケースが多々あります。その場合は、実際にやり方を見せて学習法を伝えましょう。

ここまで視覚優位タイプの子に向けた学習法のアドバイスをしましたが、視覚優位タイプの子の中には、その子なりに自分に合った学習法で能力を伸ばしていく子もたくさんいます。「視覚優位タイプだからこの学習法じゃなきゃダメ」などと決めつけず、その子のなりの模索や努力を認めてあげられたらいいですね。

視覚優位タイプの子のために親ができること

子どもの苦手や悩みの原因が分かると保護者としては「打つ手が見つかった!」「これなら何とかなりそうだ」と前向きに感じる人も多いかもしれません。

しかし、子ども本人もそうだとは限りません。中には、視覚優位タイプである自分のことをマイナスに捉えてしまう子もいます。だからこそ、視覚優位タイプの特性があることを本人に伝える際は、細心の注意を払って欲しいのです。

例えば、今回の記事の内容を基に、下記のような順番で話し、誤解のないように伝えてみてはいかがでしょうか。

本人に伝える順番

  1. 人によって視覚優位タイプ、聴覚優位タイプなどの特性があること
  2. その中で、視覚優位タイプであること
  3. 視覚優位タイプのメリットについて
  4. 視覚優位タイプの悩みが解消できそうな過ごし方、勉強方法

多くの人に多少なりとも優位性のタイプがあることや、その特性を生かすことで生きやすくなるということをポジティブな印象で伝えてあげてください。この記事で少しでも親子の日々がいい方向へ向かうことを願います。

車重徳

車重徳

心理士、カウンセラー、アンガーマネジメントファシリテーター。長年、発達障害や学習障害、精神疾患の子どもや大人のサポートや指導に従事。「WISC-Ⅳ検査」については、臨床心理士に対しての研修や指導も行っている。 https://www.wisc4.info

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