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2020.08.07
2020.09.23

子どもの成長を妨げる「カーリングペアレント」とは? 特徴と事例、予防策を解説

「カーリングペアレント」という言葉を知っていますか? 子どもに対して過保護で過干渉な親を指し、子どもの自立の芽を摘んでしまう原因になるといわれています。今回は、カーリングペアレントの特徴や子どもに与える悪影響、カーリングーペアレントにならないための対策を解説します。「私って、過保護すぎるのかな?」と普段の育児に不安を覚えている人は、ぜひ参考にしてみてくださいね。

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監修者

佐藤めぐみさん公認心理師・オランダ心理学会認定心理士

ソクたまでは、連載「親子の悩み相談室」を担当。欧米の大学・大学院で心理学を学び、「ポジティブ育児メソッド」を考案。現在は公認心理師として、育児相談室・ポジカフェでの心理カウンセリング、ポジティブ育児研究所での子育て心理学講座、メディアや企業への執筆活動などを通じ、ママをサポートする活動を行う。ドイツ在住。中学生の娘の母親として子育てにも奮闘中。https://megumi-sato.com/

カーリングペアレントってなに? その特徴は?

「カーリングペアレント」は子どもの失敗要因になりそうなことに次々と手を出してしまう、過保護で過干渉な親のこと。

平昌五輪で「そだねー」の言葉とともに大注目されたカーリング。氷の上をすべる石の前を選手たちがブラシでごしごしこする姿が印象的なスポーツです。ブラシで氷をこするのは、氷を溶かすことで石の速度や方向を調節し、思い通りの方向に誘導するため。カーリングペアレントとは、このカーリングの動作に親の育児態度を例えた言葉です。デンマーク発祥の言葉ですが、氷上のスポーツを親の養育態度に重ね合わせるのは北欧ならではともいえますね。

カーリングペアレントは、子どもが思わぬ方向にそれてしまわないように先回りをして障害物を取り除いていきます。子どもが失敗したり、嫌な思いをしたりするのは親なら誰しも見たくないものです。カーリングペアレントは子どもを守ろうとして人生に降りかかるさまざまな障害物を消し、平穏な道を歩かせようとします。

しかし、失敗のない人生は成長のない人生と同じこと。カーリングペアレントに育てられた子どもは、大きくなるにつれて自立・主体性の面でいろいろな問題が生じるようになります。

ちなみに、アメリカやヨーロッパではカーリングペアレントの代わりにヘリコプターペアレントという言葉を用いています。日本では子どもの成長を妨げる存在として「毒親」という言葉が有名ですが、カーリングペアレントやヘリコプターペアレントもまた、子どもの自立を危うくする存在なのです。

“毒親”についての記事はコチラ
“過保護”と“過干渉”が子供の自立を妨げる? 診断テストで毒親度もチェック!
子どもの成長を妨げる「ヘリコプターペアレント」とは? 特徴と事例、予防策を解説

カーリングペアレントになりやすい親のタイプ

  • 理想主義者で妥協できない人
    「子どもが失敗したり悲しんだりする姿は見たくない」というのは、果たして本当に子どものことを思ってのことでしょうか。

    子どもの理想像が頭の中でできあがっている人にとって、“失敗するわが子の姿=理想からずれてしまった姿”は受け入れがたいものです。親自身が子どもの失敗を恐れているため、先回りして障害物を取り除いてしまおうとするのです。

    この気持ちの裏には、「理想の親でいなければならない」という強い思いが潜んでいます。子どもが失敗することで、親である自分自身の評価が下がるのではないかという恐怖を常に感じているのです。

     

  • 子どもと自分を重ねてしまう人
    子どもと親は本来は全く違う生き物です。

    しかし親の中には子どもの中に幼い自分を投影させ、自分とわが子の境目が非常にあいまいになってしまう人がいます。特に母親が、娘と自分とを同一視してしまうことが多いとされています。自分の中で子どもの可能性を決めつけて、子どもに先んじて障害物を取り除こうとしてしまうのです。

     

  • 子どものトラブルを面倒に感じる人
    子どもがトラブルに出合い失敗すると、そこには大きな混乱が生じます。思い通りにいかなかった子どもは時に泣きわめくこともあるでしょうし、それをなだめたり諭したりするには膨大なエネルギーが必要です。その面倒事を回避する手っ取り早い方法が、最初からトラブルが起こらないように障害を回避すること。

    例えば、難しい遊びを禁止すれば子どもはけがも失敗もしません。ただし、そこから何かを学ぶこともありません。

     

  • 時間や気持ちに余裕がない人
    子どもが障害物に出合えば、それを乗り越えるためには時間がかかります。しかし、時間や気持ちに余裕がない親は子どもが障害物を克服するための間、そばで見守っていることができません。親が障害を取り除いて“やってあげる”方が、ずっと早く目標に到達できるからです。

    朝の支度や宿題など本来は子どもがすべきことでも親が代わりにやってあげて、時間を短縮しようとしてしまいます。

     

  • 気が利く人
    気が利くというのは、本来であればとてもすばらしい性質です。しかし、親が子どもに対して気を利かせすぎるのは問題。子どもが助けを求める前に障害物に気が付いてしまい、それを取り除いてしまうからです。

    社会に出た時に大切なのは、困ったり悩んだりした場合に“自分からSOSを出す”こと。気を利かせ先回りをしすぎると、子どもは何も言わなくてもしてもらえることが当たり前になってしまうのです。

カーリングペアレントがどのような親を指すのか分かったところで、カーリングペアレントは具体的にどのような親なのか、実際にあった事例を紹介しましょう。

実際にあった! 驚きのカーリングペアレント事例

娘のピアノに過干渉! 一度の失敗で心が折れてしまい…

ある母親は、娘のピアノレッスンにとても熱心に付き合っていました。毎日、自宅でレッスンに取り組む娘のそばには盛んに口を出す母親の姿がありました。レッスンの成果により娘のピアノの技術は上達、コンクールで受賞を重ねていきます。母親は娘を自慢に思い、その一方でそのような娘を育てた自分に大きな自信を持っていました。

しかし、母親は理想を求めるあまり娘が失敗を過度に恐れる性格になっていることには気が付いてはいませんでした。あるコンクールで賞をとれなかったことに大きなショックを受けた娘は、それ以来ピアノを弾かなくなってしまったのです。理想の子ども、理想の母親にこだわり続けた結果、子どもも母親も失敗を受け入れることができなくなっていたのです。

子供の代弁者になっていたら、いつの間にか消極的な子に

息子のことが心配で、日頃からつい口出しをしていた母親。息子が友達とけんかになることを避けるため、遊具の順番を代わってくれない子に「代わってあげてね」と声を掛ける。息子が友達に手をあげてしまった時は、子どもに代わって「ごめんね」と謝ってあげる。

このようなことを繰り返した結果、息子は自分の意見を言えない、失敗を恐れて新しいことには挑戦しない消極的な子になってしまいました。

学校の準備は全て母親がやってあげる!?

子どもがつまづきそうなことには、何でも先回りして指摘していた母親。雨が降りそうなら傘を用意し、時間割を把握して子どもが必要なものはあらかじめ先に出しておきます。

カーリングペアレントは、明日の子どもの用意を何もかも親がしてしまうということがとても多いもの。

親が全て先回りして準備してしまった結果、親任せで自分で動かなくなってしまったという事例はよく見られます。

ここまでの内容を読んでいて、「私もカーリングペアレントかな?」と不安になった人はいませんか? しかし、親なら子どもを思って保護しようとするのは当たり前のこと。

次章で、普通の親とカーリングペアレントのボーダーラインを見比べてみましょう。

カーリングペアレントと“普通”の親のボーダーラインを教えます!

これはSAFE! 親なら当然の愛情

子どもが小さいうちは、親がある程度手助けを行う場面は必要です。命に関わるような危険な行動を先回りして止めるのは当然ですし、難しいことを無理にさせることはありません。また、子どもが本当に追い詰められている時には親が代弁者になることも大切です。

  • 交通量の多い道を歩く時に、正しい歩き方を何度も指示した
    交通事故を防ぐためには「横断歩道を手を挙げて渡る」「左右を確認して車が来ないか確かめる」「右側通行をする」など、正しい歩き方を何度も指示して覚えさせるのは必要なことです。
  • 宿題の内容を理解していないようだったので、もっと簡単な問題から解かせた
    宿題が難しくて解けない時は、簡単な問題から知識を振り返ることが大切です。これは失敗を回避しているのではなく、成功するために回り道をしているだけにすぎません。
  • 子どもがクラスメイトから無視されたり持ち物を隠されたりしているので、学校の先生に相談した
    子どもが自分でSOSを出すことは大事ですが、親にも言えないほど気持ちが追い詰められているのなら話は別。特に一対多でいじめられているような時は、親は子どもの全面的な味方になってあげましょう。

ここまでするとOUT! カーリングペアレントの傾向あり

カーリングペアレントは、子どもに任せるべきところまで口や手を出してしまいます。しかし、子どもの成長のためにもある程度は子ども自身にやらせてみることが必要です。子どもと親の役割にうまく境界線が引けていない場合、カーリングペアレントの危険性があります。

  • 子どもが新しいおもちゃで遊ぶ時に、何度も遊び方を指示した
    子どものおもちゃ遊びには、危険性がある場合を除いては正しい遊び方というものは存在しません。自由な発想で遊ぶことが子どもの創造性を育みます。大人の目線で遊び方を指示する必要はないですね。
  • 宿題の内容を理解していないようだったから、提出日に間に合うように答えを教えた
    子どもの宿題は、親の宿題ではありません。子どもの理解を助けるため補助は必要ですが、提出日を最優先して親が代わりに答えを教えてしまっては子どもの勉強になりません。
  • 子どもがけんかした相手に電話をかけ「これからも仲良くしてあげてね」と言った
    子ども同士のけんかは、仲直りの仕方を学ぶ絶好の機会です。親が仲直りの段取りを整えてしまうと、子どものコミュニケーション能力が育たなくなります。

カーリングペアレントが子どもに及ぼす影響

カーリングペアレントが問題なのは、子ども自身が「自分の親に問題がある」と気が付かない点にもあります。子どもにとって親は二人だけ(父親と母親)ですから、それが“普通”だと思ってしまうのです。自分の親に対する違和感を思春期くらいの年齢で気づくこともありますが、場合によってはそのまま大人になってしまうことも…。

では、カーリングペアレントの元で育った子どもには、どのような影響があるのか具体的に解説しましょう。

失敗を過度に恐れる完璧主義者に

カーリングペアレントの心の中には、「失敗したわが子を受け入れられない」という気持ちがあります。その気持ちは、子どもにも敏感に伝わります。すると、子どもは「失敗した私を親は受け入れてくれない」と感じるようになります。

その結果、子どもは失敗を過度に恐れ、完璧であることにこだわるようになります。少しでも失敗する可能性のあることには、最初から挑戦しません。また、できると思っていたことが完璧にできなかった時には非常に大きな挫折感を味わい、立ち直れなくなることもあります。

自信のないネガティブ思考に

カーリングペアレントは、先回りをして子どもの世話を焼くことが愛情表現だと考えています。

しかし、何でも親が代わりにしてしまうと子どもは自分で何かを達成したという経験を得ることができません。さらに、自分は常に親に心配されているダメな人間だと感じてしまい、何事にも自信が持てないネガティブな考え方をするようになってしまいます。

自立心と自主性の欠如

過保護、過干渉な親を持つことで、子どもは自分で考えたり判断したりする機会を失います。

また、自分で何かをしようとすると親に「それは危ないよ」「それは失敗するよ」と止められてしまうため、自分で何かをしようとする意欲自体がなくなってしまいます。結果、いつも親の顔色を見ないと物事が決められない自立心や自主性を欠いた人間ができあがってしまうのです。

粘り強さがなくなる

カーリングペアレントは、子どもが衝突しそうな要因を次々に摘み取ってしまいます。これでは、物事に繰り返し挑戦するという粘り強さを養う機会は訪れません。ちょっとしたつまづきがあれば、すぐに諦める子になってしまうのです。

加えて、トラブルは前もって親が解決してくれるため、物事がスムーズに進むことに慣れてしまいます。そのため、待つことや我慢がとても苦手。自分の思い通りにならないと、すぐに怒ったりパニックになったりします。

カーリングな毒親にならないために。今日から始める4つの予防策

カーリングペアレントは、子どもの成長にさまざまな悪影響を与えることが分かりました。

しかし、自分の子育てにカーリングペアレントの傾向があると分かっても、いきなり子どもとの関わり方変えるのは難しいものです。そこで、今日から始められるカーリングペアレント予防法を4つ紹介しましょう。

予防策1:心に余裕を持ち“待てる”親になる

自我の芽生えた子どもは何でも自分でやりたがるようになりますが、親がやってあげた方が早いことは多いでしょう。しかし、ここで親は待ってあげることが重要。

子どもがやりたいと感じた時に挑戦させてあげることで、自立心や主体性が育ってくるのです。カーリングペアレントになりやすい親は、子どもを“待つ”ことができません。忙しい毎日であっても「1分くらい大丈夫」と心に余裕を持ち、“待てる”親を目指しましょう。子どもが靴下を履こうとしている横で、自分も“隙間家事”で手を動かしていると待つことがラクになります。

予防策2:困難を解決してあげるのではなく、ヒントを与える

親が子どもに代わって困難を解決してあげるのは、子どもの成長を妨げることにつながります。とはいえ、かわいい子どもが困っている姿には手を差し伸べてあげたくなりますよね。

そんな時は、手を出す代わりに解決するための選択肢を用意してあげましょう。ただし、方法の押し付けは禁物。どの解決法を選び取るのかは、あくまで子どもに任せましょう。

予防策3:失敗を受け入れ、次にどうすべきかを一緒に考える

人は、誰しも失敗することがあります。大切なのは、失敗した後どうするかです。

経験の浅い子どもにとって、失敗はとてもショックなもの。しかし、その姿を親が受け入れてくれることで、“どんな自分でも愛される”という自己肯定感が育ちます。失敗に落ち込むわが子の気持ちに寄り添いながら、次にどうすれば失敗しないのかを一緒に考えていくことが大切です。

予防策4:トラブルの際は、子どもの話を聞き共感する

わが子がぶつかったトラブルには短絡的な解決ではなく、子どもがどう感じたのかを丁寧に聞き、気持ちに共感してあげましょう。

例えば、けんかではどちらかが一方的に悪いように見えても、互いにそれなりの言い分があるものです。子どもの感情を聞き出したら、それを子ども自身が口にして相手に伝えられるように励ましてあげてくださいね。

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