2020.05.13

「外出自粛で子どものストレスが心配」「子どもがゲームばかりしている」親の対応方法を心理学者がアドバイス

外出自粛が長引き、子どものメンタル面や生活面で心配事が増えていませんか?親としての対応方法について、心理学の専門家のアドバイスをまとめました。子どもの成長は個々であること、また、専門家の意向も踏まえ、あえて回答に対象年齢は記載していません。そのまま使うもよし、わが子に合う対応の参考にするもよし、家庭ごとのふさわしい対応の参考にしてみてくださいね。

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※このQ&Aは、筑波大学 松井豊先生が中心となって作成された資料「心理学者からのアドバイス ver2.0」を、許可を頂いて転載し、ソクラテスのたまご編集部が再構成しました。

 

回答した心理学の専門家はこちら

安藤 智子先生 筑波大学大学院 人間総合科学研究科 教授

発達臨床心理学が専門。詳しいプロフィールはこちら

福田一彦先生江戸川大学 社会学部人間心理学科 教授

実験心理学が専門。詳しいプロフィールはこちら

飯田順子先生筑波大学大学院 人間総合科学研究科 准教授

学校心理学、スクールカウンセリングが専門。詳しいプロフィールはこちら

 

Q1 子どもにストレスが溜まっている「サイン」はどんなことがありますか?

回答者:安藤 智子先生(筑波大学大学院 人間総合科学研究科 教授)

 

体調面の変化

お子さんによって、おなかが痛くなったり、頭痛がしたり、前はできたことができなくなったりすることもあるでしょう。


ストレスではなく、新型コロナなどの感染症の可能性も考慮に入れながら、痛いところに手を当てたり、消化のよいものを準備したりしましょう。

 

態度の変化

いつもより乱暴なことを言って困らせたり、逆に親や周りの不安を察知して「自分がしっかりしなきゃ」と気持ちを無理に抑え込んだりすることもあります。


きょうだいで遊んでいる時、思いがけず力が強く出て、弟や妹を倒してしまうことがあるかもしれません。

その時に「危ないでしょ」と厳しく注意したくなりますが、ちょっとお子さんの顔を見てみましょう。困惑したような顔をしているのではないでしょうか。「思っていたよりも強く力が出ちゃったかな」「倒そうと思ってなかったのに、びっくりしたね」のように、気持ちに寄り添うことばを探して伝えてみましょう。


いつもよりおとなしくなっている子には、楽しくできる取り組みを一緒に探しましょう。また、次の質問への回答のように話を聴いてみましょう。

 

Q2 子どもが不安だと言ってきたら、どう対応したらよいですか?

回答者:安藤 智子先生(筑波大学大学院 人間総合科学研究科 教授)

 

子どもが不安な気持ちを伝えてきたら、落ち着いて聞いてあげましょう。
基本は、「不安がらなくてよいよ」ではなく、「そう思うよね」と肯定することから始めましょう。ささやかなやりとりひとつひとつが、子どもの心を支えます。

 

 

何を不安に感じているのかを聞いてみましょう。「友達に会えないの?」など、具体的なことには、子どもの理解に合わせた言葉で話してください。「気になっていることを教えてくれてありがとう。」という姿勢で向き合うとよいです。

 

今後の発達の過程で、“本当に困ったときに親に言ったら安心できる”という体験は、子どもの心身の発達にとって、大きな基盤になります。

 

Q3 自宅で過ごしている子どもに、家族がしてあげられることはどんなことがありますか?

回答者:安藤 智子先生(筑波大学大学院 人間総合科学研究科 教授)

 

状況が日々変化し、見通しがつかず、いつもと違う生活の中で、お子さんにはできるだけのことをしてあげたいと思いますね。

 

1)自分たちでできる範囲で見通しがつく生活をしましょう。

毎日、きっちりと予定を立てて、それを実行するというのとは少し違います。家族の生活が、おおよそ毎日同じような流れをもって繰り返されるとよいです。

朝起きて、着替えて、朝食を食べて、少しゆっくりして…、昼食を食べて、おやつを食べて、お風呂に入って、夕食を食べて、眠る、というように、特に食事や睡眠など、生理的欲求の見通しがつくような流れを決めておくとよいでしょう。

 

2)気晴らしの時間をつくりましょう

散歩をしたり、遊んだり、楽しめる時間をつくりましょう。身体を動かして、リフレッシュする時間がもてるのもよいですね。

 

3)効力感(できた実感)をもてることをしましょう

行きたい学校にいけない、いつも行っている場所に行けないなどの制限で、子どもが無力感を感じるのは当然です。小さなことでよいので、「できた!」とか「やった!」と効力感をもてることができるとよいでしょう。


例えば、小麦粉とバターと砂糖と卵をこねてクッキーを焼く、工作をつくるなど簡単だけど形になる取り組みもよいでしょう。

気に入ったものがあれば、これを、毎日のルーティンに入れてもよいでしょう。
クッキーはバリエーションを付けて毎日のおやつにしたり、工作をシリーズにして物語をつくったりするのも良いですね。

 

 

「つまらないな」「怖いな」「したくないな」「こわしちゃうぞ」のようなネガティブな気持ちが、お子さんから出てくるかもしれません。それはとてもウェルカムです!本当だねと受けとめましょう。
どこかにこういう気持ちがあるのだと分かっていてあげる、それを私に教えてくれてありがとうというような気持ちで受け止めるとよいでしょう。


ささやかなやりとりのひとつひとつが、お子さんの心を支えます。

 

Q4 子どもが、深く眠れていないようです。親として何かできることがありますか?

回答者:福田一彦先生(江戸川大学 社会学部人間心理学科 教授)

 

自宅にずっといることで夜・昼のメリハリがなくなって、日中うとうとしたり、夜に眠れなくなったりすることがあります。朝はなるべくキチンと起きて、昼寝などは(大人も含めて)とらないようにしましょう。

深い眠りのためには、運動して疲れることが必要だと考える方もいますが、実はそれほど強い関係はありません。

むしろ、昼間は寝ないことの方が重要。昼間は明るく、夜は暗く、という光の制御が実は大事です。キャンプに行くと良く眠れるのは余計な人工照明がないことも一因です。

 

Q5 休校期間が長引き、学習面で遅れはしないかと心配です。

回答者:飯田順子先生(筑波大学大学院 人間総合科学研究科 准教授)

 

どうしてもこの現状ですと、学習がしにくいことはあると思います。学校再開時は、学校もそのあたりを考慮して進めてくれると思いますので、過度に不安にならず、できることを維持できると良いでしょう。基本的な生活習慣や学習習慣を維持しておくことは、学校が再開したときに大切になります。家庭でできることとして、以下のようなことをお勧めします。


1)基本的な生活習慣を維持する

学校がなくても起きる時間や、洋服を着替えること、朝ご飯をとること、寝る時間等は、これまでと同様の生活習慣を続けましょう。家族で顔を合わせて会話をすることは、外に出られないイライラを紛らわすことにもつながります。

 

2)学習の目標をたて、時間を有効に使う

小学生の場合には、1日漢字ドリル、計算ドリル〇ページ、教科書を〇分読むなど、学校の教材を活用して学習計画をたてましょう。


中学生の場合には、親が具体的にやることを決め確認することは難しいと思いますが、“具体的な目標を立ててみることを進めてみる”“自分が学生のときにやっていた勉強法の話をする”“その日にどんな学習をしたのか尋ねる”など、子どもの学習に親が興味をもっていることを示すことで、子どもの学習意欲が下がらないようにすることができると思います。

 

3)よいインターネット教材を一緒に探してみる

今、多くの学習教材がインターネットで無料配信されています。こうした情報を子どもに伝え、一緒に子どもが興味をもてる教材を探してみてもよいでしょう。

 

ソクラテスのたまごでは、休校期間中に無料で公開されている読書コンテンツをまとめています。ぜひご覧ください。

休校中に無料利用できる読書/教育サービスまとめ【5月版・随時更新】

 

4)最後に一番大事なことは、親子の普通の会話を維持することです

勉強の遅れを心配するあまり、ついつい注意ばかりふえてしまうと、子どものやる気が 下がってしまいます。子どものできていることをほめたり、一緒にテレビを見て笑うなど、 よい関係を維持して、必要に応じて助言できるとよいでしょう。

 

Q6 子どもがゲームばかりしています。親としてはどうすれば良いでしょうか。

回答者:飯田順子先生(筑波大学大学院 人間総合科学研究科 准教授)

 

テレビやインターネットの視聴時間、ゲームの使用時間を制限することはとても重要です。

 

 

これまでに制限を設けている場合には、それをもう一度確認し、カレンダーなど目に見えるところに書いておくことをお勧めします。“ルールの視覚化”と言われますが、こうしておくと、親が毎回注意するのではなく、子ども自身も気をつけることができます。


これまでにそうした制限を設けていない場合には、いきなり親の方で決めたルールは子どもも受け入れにくいと思います。子どもの状況を心配する気持ちを伝え、ルールを設けることを提案し、ルールを一緒に決めることを提案してみるのはいかがでしょうか。

 

ルールを決めるときに、子どもの意見を取り入れることは、子どもがルールが自分のものであると意識することにつながり、とても重要です。子どもが2時間を提案し、親としては1時間にしてほしいということを伝え、妥協点として1時間半に落ち着くかもしれません。少し長いなと思っても、ここではルールを導入することが目標なので、良しとしましょう。

そして、ルールを守れた場合と守れない場合の約束事も子どもの意見を取り入れて決めておきます。

 


もう1つ、ゲームの時間を制限すると同時に、ゲームの代わりにやること(代替行動とよばれます)を親子で一緒に考えてみることもおすすめです。やることがないと、やはりまたゲームに戻ってしまいます。

 

勉強が楽しく充実していれば勉強に専念すると思うので、もしかしたら勉強が苦になっていることも考えられます。学習習慣は維持しつつも、勉強以外のこと、例えば、

  • 一緒に夕食を作ること
  • 本を読むこと(この際まんがでも OK)
  • 趣味(楽器や軽い運動など)
  • ゆっくりお風呂に入る
  • 親子で会話する

など、行動の選択肢を広げることも大切です。

 

自身のストレスや、パートナーとのコミュニケーションに悩んでいる方はこちらの記事もご覧ください。

在宅勤務のパパママが不安を乗り越えてワンチームを築く方法を心理学者がアドバイス

 

「ソクラテスのたまご」編集部

「ソクラテスのたまご」編集部

教育に関する有識者の皆さまと一緒に、子を持つお父さん・お母さんでもある「ソクラテスのたまご」編集部のメンバーが、子どものために大人が知っておきたいさまざまな情報を発信していきます。

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