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ソクラテスのたまご

2019.11.01

小学生の苦手な学習内容は共通!? 親ができる学習の壁のフォローとは

長い間、私が多くの学校や塾で教えてきたことで分かったことがあります。子どもがつまずきやすい学習内容、苦手とする学習内容は毎年、ほぼ同じだということ。もちろん、子どもによって好き嫌い、苦手得意の個人差はあります。しかし、他の教師に聞いてもやはり同じ学習内容が挙がるのです。今回は、小学生が苦手意識を持ちやすい学習内容とその対策について解説しましょう。

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【学年別】小学生の多くがつまずきやすい学習内容

まずは、小学生が苦手とする学習内容を学年別に見ていきましょう。

 

1年:ひらがな/繰り上がりのある足し算/繰り下がりのある引き算/カタカナ/漢字


2年:繰り上がりのある筆算/繰り下がりのある筆算/数直線/□を使う式/長方形と正方形の見分け/時計/かけ算/何倍になるかの学習


3年:正三角形と二等辺三角形の見分け/円とは何かの学習/コンパスの使用


4年 :大きな数/概数/四捨五入/仮分数から帯分数(帯分数から仮分数)にする/都道府県の位置を覚える学習


5年:公約数/公倍数/通分/約分/分数どうしの足し算と引き算/割合を求める学習


6年:単位換算/分数同士のかけ算とわり算


高学年になるに連れて勉強の難易度はもちろん、上がっていきます。小学生がつまずきやすい学習内容を見てみると、低学年のうち2年生の算数では、つまずいてしまうであろう学習内容が多くあることが分かります。

 

なぜ、これらの学習でつまずくのか、苦手意識を持つのか。2年生の算数を中心に考えてみましょう。

 

 

苦手な学習内容 ~小学2年生・算数の場合~

繰り上がり・繰り下がりのある筆算

繰り上がりでよくあるのは、足し算で十の位に繰り上げた数字を足し忘れてしまうこと。繰り下がりでは、“101-3”のような問題でつまずく子、10の位が9になることを理解できない子が出てきます。

 

九九

九九では、“覚えられない”ことが最大のネックになってきます。意味をきちんと理解できたとしても、同じ数字を足していけばいいのだと分かったとしても、最終的には覚えなければいけません。中には覚えなくても生活はできる! と考える人もいるかもしれませんが、九九は覚えておいた方がが便利で何かと役に立ちます。 

 

数直線

直線上に数を対応させて表す数直線では数をある規則にそって埋めていけばいいのですが、この規則性がつかめなかったり“0”や“1”になる場所を間違えたりする子がいます。

 

□を使う式

“□+20=50”のような問題で、□に合う数を求めるような問題では毎年、必ずと言っていいほどつまずく子が出てきます。“□に入る数字は30”と分かっても、“30という数字を出すための式、50-20”を書けない子が多くいるのです。

 

 

苦手な学習内容 ~小学2年生・算数以外の学年、教科の場合~

“ことわざ”・“慣用句”・“四字熟語”、“4年生の都道府県の位置を覚えること”など、覚える必要のある学習内容を苦手とする子どもが多いようです。

 

中学入試の国語の問題集を見ると、ことわざ、慣用句、四字熟語が多く載っています。似たことわざや反対のことわざを見つける問題をよく見ますが、覚えていないと手も足も出ません。いくら意味を考えて覚えようと言っても(意味をつかむのが大切なことを否定はしませんが)、結局は覚えていないと解けません。

 

5年生の割合の学習は、小学校の学習の中でも最難関と言われることの多いもの。問題に書かれている数字のどれが“もとにする量”、“比べられる量”、“割合”になるのか分からなくなってしまうのです。“5÷3”なのか“3÷5”なのかが分からなくなってしまう子が多くいます。

 

では、これら多くの子どもが苦手とする学習内容、学習の壁はどのように克服していけばよいのでしょうか。

 

 

 

 

学習の壁はこうフォローする! ~小学2年生・算数の場合~

多くの子どもが苦手とする学習をどのように教えればよいのか考えてみます。もちろん、「これが絶対にいい、これしかない!」というものではありません。ベストではなくベターな教え方として捉え、参考にしてもらえればと思います。今回は、筆算と□を使う式に絞って紹介します。

 

【2年生・算数でつまずきやすい学習の教え方】

①筆算での繰り上がり
よく見られるのは、繰り上がった数字を足し忘れてしまうことです。教科書では、繰り上がった1の数字は十の位の4の上に書かせるように指示されていますが、この1を足し忘れてしまう子がいるのです。おそらく、“4+2=6”に先に目が行き、1が繰り上がっていることを忘れてしまうのでしょう。

 

 

上は、先輩教師から教えてもらった方法です。“5+9=14”なのですから、繰り上がりの1を先に筆算の横線(“2”の下)にわざとかけて書かせるのです。このとき「ジュウヨン」と言わせながら、1→4の順で書かせます。「ジュウヨン」」なのですから「4→1」という順序では書かせないようにします。4+2のすぐ後に1がありますから、子どもは「あっ! 1を足すんだ」と気が付くのです。

 

②筆算での繰り下がり

 


 
「“101-3の計算は初めに一の位。1から3は引けない。十の位から10もらえない。1(百の位の)を0にして10もらう(ここで0の上に10と書かせます)。10を9にして10もらう(ここで一の位の1の上に10と書かせます)。10-3=7。7+1で8。次に十の位。9-0=9。答えは98です」というよう声に出して言わせながら計算させます。1から3を引けないので十の位からも借りることができません。したがって百の位から借りるのですが、100は10が10個ということが分かっていないとどうして10に一度するか納得できない子も出てきます。事前に“100は10が10個”ということを理解させておくとことが大切になります。

 

③□を使う式

“□+20=70”という式、□の中に入る数字を求める問題があったとします。初めてこの問題を解く子どもの中には、問題の意味が理解できない子もいます。子どもに伝えておくと良いのは「□はそのままにしておきなさい。□の中に数字を書くのではなく、□の数字を求める式と答えを書きなさい」ということ。「□をそのままにしておく」ということを伝えることで、“70-20=50″という式を出しやすくなるようです。これは、先輩教師の授業を見て気付いたことです

 

 

 

 

学習の壁はこうフォローする! ~小学2年生・算数以外の場合~

ことわざ、慣用句、四字熟語

最近、書店などで人気の学習漫画を見せるという方法があります。慣用句を苦手とする小学6年生の子がいましたが、学習漫画をを通して問題をすらすら解けるようになりました。子どもは興味を持つと覚えるのも早いようです。

 

都道府県の位置を覚えること

私がよく実践するのは、先輩教師に教えてもらった略図を書かせて覚えさせる方法です。例えば、下の図のように中国地方を黒板、ホワイトボード、ノートなどに長方形にして書かせてその中に県名を入れます。

 

 

①図を見せながら“山口県、島根県、鳥取県、広島県、岡山県”と唱えさせます。
②“山口、島根、鳥取、広島、岡山”というように、後ろの文字から1文字ずつ消して唱えさせます。
③次に“山、島、鳥、広、岡”と言う文字だけを見せて、“山口県、島根県…”と唱えさせ、覚えさせます。

 

割合の学習

割合の学習は、2つの数量を比べた時に、片方がもう片方の何倍になるかを求めるもの。答える時に“%”で答える場合もあります。


割合の意味を教えるよりもまずは問題を解く技術、問題の解き方のパターンを中心に教えればよいと考える教師は多く、私もその一人。割合の意味を教えることで子どもが何も理解できなくなるよりは、まずは解けるようにしてあげた方が良いのです。世の中には理由が分からなくてもできれば良いということが多くありますよね。例えば、“テレビがどうして映るのか理由が分からなくても、スイッチをつければ見ることができる”といったようにです。

 

割合の問題を解かせる時の教え方はさまざま。線分図を使う、表にする、面積図を使う、面積図と線分図を組み合わせる…などがあります。問題を解けるようにさえなれば、どんな方法でもOK。私がよく実践するのは表にするやり方です。

 

例えば次のような問題があったとします。

 

「50人定員のバスに40人が乗っていたら乗車率は何%ですか 」

 


上のような表にします。50÷50は1なので、40÷50とすぐに式を立てることができるのです。後は計算して%に直すだけ。0.8は80%と出せます(0.1%が10%になることをは先に教えておく必要があります)。

家庭で教えるときも基本的には同じ。例えば、都道府県を親が子どもに教えるのであれば、書いたり消したりができて持ち運びのできるホワイトボードに書かせると便利でしょう。ただし、先ほども書いたようにベストの教え方かどうかは家庭で子どもに実際に教えてみて分かるもの。子どもに合う、子どもが理解しやすい良い教え方が見つかったら、保護者同士で情報交換してみるのも良いのではないでしょうか。

 

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須貝 誠

須貝 誠

東京都小学校準常勤講師・塾講師・ライター。30校以上の教育現場で教えてきた経験があり、進学塾では主に国語を担当。教師が集まる民間教育団体であるTOSS相模原・和(のどか)会員として指導法を学んでいる。https://www.toss.or.jp/

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