教育は未知にあふれている

ソクラテスのたまご

2019.08.26

子どもの特徴に合わせたコツがある 小学生でも覚えられる漢字学習のステップとは

学校教育の現場でよくある漢字の覚えかたが「ノートにこの漢字を10個ずつ書きなさい」という教え方です。しかし、本当にこの方法で漢字を書けるようになるのでしょうか。なかには書けるようになる子もいるかもしれませんが、実際には、それだけで書けるようにはならない子のほうが多いという実感があります。そこで、現役教師である筆者が、漢字が苦手な子にアドバイスしている方法を紹介します。わが子に漢字を教えるときの参考にしてみてください。

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まず試してほしい漢字の覚え方4つのステップ

はじめに子どもが漢字を書けるようなる覚え方“指書き”“空書き”“なぞり書き”“写し書き”を紹介します。私が所属する教育団体の先輩に教えてもらった方法で、下記の4ステップを順番に教えるのです。

 

【STEP1】指書き

えんぴつを持たず人差し指だけで筆順通りに漢字を書かせることです。お手本の漢字を指でなぞらせたり、指で机の上に書かせたりします。

 

また、ポイントは、画数を数えさせながら書かせます。伸ばして書くところや、はねるところは、イントネーションを変えて言わせるようにしましょう。口で唱えると耳からも情報が入り、漢字を覚えやすくなります。漢字を覚えるまで指書きを何度も繰りし、ましょう。

 

【STEP2】空書き

空中に指で書かせることで、指書きで子どもが正しく覚えたかどうかを確認できます。

 

【STEP3】なぞり書き

薄く漢字が書かれている紙を用意しましょう。薄く書かれた紙がなければ、赤えんぴつでうすく漢字を書いてあげるのもいいですね。指で正しく書けるようになったら、次はえんぴつで丁寧になぞらせるのです。

 

【STEP4】写し書き

最後は、自分で手本の漢字を見て書きます。すでに指書きで覚えているので、3回程度練習書きをすればいいでしょう。学校でも塾でも中学受験など、どんなときにも使える漢字の覚え方です。

 

 

 

自作の漢字テストで覚えているかを確認する

4つのステップで覚えたら、最後は子ども自身にテストを作らせて回答させます。

 

テストの作りかた

テスト範囲の漢字を使った単語をひらがなでノートの一番上のマスにズラリと横に書かせます。すぐ横に漢字が書けるように間隔は空けさせましょう。

 

回答・確認のさせ方

振り仮名の横に正しい漢字を書かせます。送り仮名のある漢字は送り仮名も書かせます。テストが終わったら解答と比べさせて、はね、とめなど厳しくチェックさせます。

 

大切なのは、このテストを1回で終わらせず、2回目も行わせること。学校でも、多くの教師が再テストをさせていることでしょう。しかも、1回目とまるっきり同じ内容の再テストをやらせている教師が多いと思います。

 

しかし、家庭で行うなら、1回目のテストで間違えた漢字、書けなかった漢字、送り仮名を間違えた漢字だけを練習させたあと、その漢字だけをテストすればじゅうぶんです。

 

大事なのは覚えていない漢字を覚える、正しく書けていなかった漢字を正しく書けるようにすることです。もし、2回目のテストでも書けない漢字があれば、その漢字だけを指書きに戻って教えるなどして覚えさせていきましょう。

 

 

視覚情報を入れるのが得意な子の覚え方

子どものなかには耳で聞くことよりも目から情報を入れることを得意とする子がいます。

 

言葉で伝えたことを覚えていないあるいはすぐに忘れてしまうような子がいるかもしれません。そのような子は、もしかしたら、目で見ることのほうが得意なのかもしれません。絵や写真、テレビで見たことなどをよく覚えているような子も耳で聞くよりも、目から情報を入れることを得意としているのではないかと考えられます。 


ここでは、目で見ることを得意としている子に、どのように漢字を教えればいいのか方法を紹介します。


その方法は、漢字のりんかくをつかませる、漢字を分解して目でつかませることです。

 

漢字のりんかくをつかませる

漢字のりんかくを示して覚えさせることです。注意するのは、漢字を絵にしたものを覚えさせるのではないことです。漢字のりんかくを意識させるのです。これに適したカードがあります。

 

私が所属する教育団体が出している教材の「輪郭漢字カード第1集」は、絵の中に漢字が書かれているカードです。ただし、絵ではなく漢字が主役になっています。これらのカードを何度もめくり、読み方を聞くことなどを繰り返すことで、次第に子どもが漢字の形を覚えていくことができます。

 

漢字を分解して目でつかませる

例えば、【嵐】という字であれば、字を山と風に分けてみせ、2つの漢字を合体させると【嵐】になると教えます。

 

【休】という字であれば【イ】は赤、【木】は黄色というように、へんやつくりなどで色分するのもいでしょう。目からの情報を入れやすいようにすることが大切です。

 

 

 

聴覚情報を入れるのが得意な子の覚え方

一方で、目で見るよりも耳で聞くことを得意とする子もいます。

 

私が出会った子の中には、ホワイトボードに書かれた漢字を写すとき、ホワイトボードだけに目を向け、ノートを見ずに鉛筆を動かしている子がいました。ノートを見ないので、漢字がぐちゃぐちゃです。もしかしたら、目でとらえるよりも耳で聞くことを得意としている子なのかもしれないと思いました。

 

耳で聞くのが得意な子には、口で唱えさせる方法が適しています。自分の口で唱えさせ耳で聞かせるのです。この場面を意図的に増やしましょう。

 

ひとつの漢字を分解して呪文や歌のように唱えさせます。

 

たとえば「主」という字であれば
、=テンポよく
王=おどる王様
主=主人です

 

「喜」のように一見、難しそうな漢字でも
“十つぶの豆を口に入れて喜んだ”

 

「小学全漢字おぼえるカード」(学研プラス)から引用

 

などのように漢字を分解して呪文にしてしまいます。その呪文を繰り返し唱えさせ耳で聞かせていくといいのではないでしょうか。

 

ちなみに、この呪文は私が作ったのではありません。学研プラスの「小学全漢字おぼえるカード」に載っていたものです。もちろん、自分で呪文を作ってもかまいません。書ければいいのです。

 

 

やらせてはいけない漢字の覚え方もある

漢字ノートに同じ漢字を何列分か書かせる方法を経験してきたという人は多いのではないでしょうか。この方法で新しい漢字を覚えられるという子もいるかもしれませんが、書けないままになる子も多いのです。

 

私が小学生だったときのことです。当時、私は忘れ物グセがあり、宿題もよく忘れていました。担任教師は、罰として「漢字を3000文字、来週の土曜日までに書いて来い」と言いましが、小学生ですからそう簡単に3000文字など書けません。そこで、何とか間に合わせようと私が取ったのが次の方法です。

 

「休」という漢字なら“イ(にんべん)”だけをズラリと先に書き、そのあと“木”だけを書いていくのです。教師の目には、3000文字を書いたように見えますが、漢字テストの日、私は書けませんでした。覚えようとして書いていないので当然です。

 

当時の私は、3000文字書き終えるということだけが目的になっており、ただ書くだけの作業、とにかく終わらそうとする作業になっていたのです。つまり、「漢字を何個書きなさい」という教え方は効果がないのです。

 

ちなみに、冒頭で紹介した基本的な覚え方の4ステップは、口で唱え耳で聞く場面も、目で見て書く場面もあるので、視覚優位、聴覚優位な子どちらにも適していると言えます。

 

漢字学習の目的は、“書く作業”ではありません。わが子にあった方法が見つかり、漢字を覚やすくなるといいですね。

 

須貝 誠

須貝 誠

東京都小学校準常勤講師・塾講師・ライター。30校以上の教育現場で教えてきた経験があり、進学塾では主に国語を担当。教師が集まる民間教育団体であるTOSS相模原・和(のどか)会員として指導法を学んでいる。https://www.toss.or.jp/

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