教育は未知にあふれている

ソクラテスのたまご

2019.10.10

片付けられないのは発達障害だから? コツをつかんでしくみを作れば進んで片付けられる子に

「うちの子は片付けが苦手…」「何度注意しても片付けられない」と悩んでいる保護者は多く、インターネット上や本の中では「片付けが苦手な子は発達障害かも」などという言葉が書かれていることもあります。この記事では、はじめに発達障害とはなにかについてを解説。その後、発達障害のあるなしに関係なく片付けが進んでできるようになるためのアイデアを紹介します。

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片付けと発達障害の関係とは? そもそも発達障害ってなんだろう

ひとことで発達障害といっても、個々の症状や特性などについて統一された定義はありません。研究している分野によって定義なのが現状です。そのため、今回の記事では法律の「発達障害者支援法」に書かれた定義について紹介します。

 

「発達障害者支援法」の第一章二条では、発達障害について下記のように書かれています。

 

この法律において「発達障害」は、自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるものをいう。

引用元:発達障害者支援法|電子政府の総合窓口

 

簡単にいうと、発達障害者はさまざまな脳にかかわる障害ということです。「LD・ADHD等関連用語集【第4版】」では、特に片付けに関係あるのがADHD(注意欠陥多動性障害/注意欠如・多動症)といわれています。ADHDは、落ちつきがなかったり、不注意になってしまうことが主な症状とされています。注意散漫のために片付けがしにくくなる場合もあるでしょう。

 

ただし、気をつけておきたいのが、片付けができないからといって発達障害とは限らないということです。発達障害には関係なく片付けが苦手な子もたくさんいます。

 

実際に、これまで私が携わってきた教育現場でも、発達障害と診断されていなくても片付けが苦手な場合はたくさんありました。発達障害かどうかの診断は医師が専門的な検査や問診を行います。「うちの子が片付けられないのは発達障害だから」と決めつけるのではなく、もしも心配な場合には学校や自治体の相談センター、医療機関で相談することをおすすめします。

 

 

 

“片づけさせる”から“自分から片づける”子になるために

発達障害の有無にかかわらず、片付けができる子になると助かりますよね。ここでは、片付けが自分からできるような子になるためのアイデアを紹介します。私の教師としての経験などで効果を感じられる方法を紹介していくので、気になったものがあったら取り組んでみてください。

 

子どもとモノの定位置を決める

片付けが苦手な子どもは、モノを決められた位置に置くという習慣があまりないかもしれません。そのため、まずは、モノの定位置を決めるのがおすすめです。例えば、「使い終わったゲームはゲームの箱へ」など、子どもがよく使うものを1つ決めて取り組むとよいでしょう。

 

モノの定位置を決めるときのポイントは、子どもに位置を決めさせるということです。誰かに言われたところにしまうよりも、自分で決めたところに入れるほうがやる気もあがります。

 

モノの置き場がわかる地図や写真を貼っておく

モノの定位置を決めていくと、子どもは片付けたいけれどどこに置くかを忘れてしまうということがあります。

 

その場合には、モノの置き場所の地図を一緒につくるのがおすすめです。好きなイラストを入れながら地図を作成するとよいでしょう。ただし、イラストに熱中しすぎてしまったり、不注意な傾向がある場合にはシンプルな地図かモノの配置の写真を撮ると良いでしょう。

 

学校でプリントの整理をしてみる

家で「決めた場所にものを入れる」という習慣が定着してきたら、学校でプリント類を整理することにチャレンジするのがおすすめです。プリントは「先生に出すもの」と「お母さん・お父さんに出すもの」など2種類程度に分類し、習慣づけられるようにします。学校では家で片付けるほど時間がないことが多いためファイリングするだけでも大変かもしれませんが、学校でプリントの整理ができるようになると家で整理をする負担を減らしていくことができます。

 

できたときはほめ、できないときは声掛けを

片付けの習慣がつかないうちは、片付けられたらすぐにほめましょう。ほめるときには「すごいね」だけではなく、「ゲームをゲームの箱にしまえてすごいね」など具体的にほめるのがおすすめです。 片付けができていない場合には、「やりなさい!」などというのではなく「ゲームをゲーム箱にしまってね」などやることを具体的に示すと、やるべきことが分かりやすく子どもも行動に移しやすいですよ。

 

また、声掛けのタイミングは子どもの都合に合わせるのがポイント。子どもが作業中の場合は、終わってから声をかけましょう。子どものやっていることを尊重しつつ、ゆっくりじっくりと習慣をつくっていくのが、遠回りのようで近道です。

 

 

 

片付けができないのは子どもだけの問題?

実は、片付けができないのは子ども本人の問題ではなく、環境が問題になっている場合もあります。

 

例えば、家の中にものが散乱している場合には、子どもは片付ける気持ちは起きませんよね。また、モノが多すぎると、子どもが扱える量の限界を超えてしまっている可能性があります。子どもは一生懸命に片付けているつもりなのに片付けきれず、その結果、片付けを放棄しているように見えているのかもしれません。

 

このように、子どもをとりまく環境から片付けについて考えていくことも大切です。

 

今回は、発達障害の子や片付けが苦手な子の対応方法について紹介してきました。片付けのしくみを作り、定着させていくためのには時間がかかります。大人は、長い目で見守ることが大切です。

 

しかし、子どもは毎日少しずつ成長していきます。また、成長のペースも人それぞれ。周りの子より片付けができないと思うこともあるかもしれませんが、焦らず自分の子のペースに合わせていくのがベストです。

 

 

<参考文献・資料>

 

鈴木 勇哉

鈴木 勇哉

教育大学を卒業後、公立小学校にて発達障害・学習障害・吃音の児童を中心に携わる。 現在は、教員時代の経験や教育の最新の知識を学びながら、フリーライターとして活動中。 Twitter:@suzuyou_writer ブログ:https://suzuyou.com/

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