「わたしのこと好き?」って何度も聞かれるのは、愛する我が子であってもダルい
インスタグラムで育児にまつわる情報を発信している「ソクたまアンバサダー」。そんなアンバサダーのみなさんに、子育てや教育について、それぞれの視点で執筆してもらうコラムです。今回はリズ子さんの子育てコラムをお届けします。
これは誓って言えるのだけど、私は今までの人生で誰かに向かって「私のこと好き?」と問いかけたことが一度もない。
たまに、「私のどんなところが好き?」とか「私のことどれくらい好き?」と夫に具体的に聞くことはある。
(村上春樹のように「世界中のジャングルの虎がみんな溶けてバターになってしまうくらい好き」なんて言葉を期待して聞くけど、だいたいそんな言葉は返ってこない。)
だけど、「私のこと好き?」と聞いたことは、ない。
夫とコミュニケーションをとるときは、いつも「この人は私のことが大好き!」という前提で話を進める。
いや、だって、私のことが好きだから結婚したんでしょうし?
まさか、好きではない相手と暮らしているなんてことはないだろう、と思いたい。(願望)
とにかく私は、誰かに対して「私のこと好き?」とは絶対に聞かないと決めている。
なぜなら、この質問には「好きだよ」以外の答えがなさすぎるから。
本当は「今はあんまり好きじゃないな」と思っていても、そんなストレートに答える人はなかなかいない。
だいたいは気分じゃないときでも、とりあえず「好きだよ」と言っておくのが暗黙のルールでもある。
つまり「私のこと好き?」という質問は、相手に「好きだよって言わせたい!」という魂胆がミエミエで、面倒くさい人間代表のようなセリフに思えるのだった。
ところが……。
去年の秋頃、5歳の長女から「私のこと好き?」という質問をよくされるようになった。
最初のうちは「まさか、親からの愛情に不安を感じているのかしら……」と心配になり、その都度「うん、大好き!」と答えたり「当たり前じゃん!長女ちゃんに会いたかったから産んだんだよ!!」とか、「大好きなんてもんじゃなくて、大大大大好き!!」と必死になって答えていた。
だけど、1日に何回も聞かれると「またその質問?」とうんざりしてくる。あれ、さっきも答えなかったっけ? 聞いてなかった? うん、聞いてたよね、それでもまた気になる……? そうか、そうなのか……。
「私のこと好き?」という問いかけは、いくら愛する我が子とはいえ、何回も聞かれるとやっぱりダルい。
私は気が短いから、「こんなに愛情かけて育ててるのにさぁ、それでも信じてくれないの?」と不満もたまってくるし、もどかしさもある。「同じこと何度も言わせないでよー」という言葉が、喉元まで出かかる。
そんなふうに、我が子に対して申し訳ないと思いつつも「その絡み、ちょっとダルいなー」と思っていた頃、長女よりも少し年上の子どもと関わる機会があった。
年上のその子は、会うたびに長女に「おんぶしてほしい?」と聞く。
それが、めっちゃ聞く。何度も聞く。隣で長女が3歩進むごとに聞く。
「ねえねえ、おんぶしてほしい?」
その子の、おんぶをしたそうな懸命な姿を見ていたら「ああ、この子は長女に『おんぶしてほしい!』って言ってほしいんだな」というのが手に取るようにわかった。
つまりその子は、長女の意思に関わらず、自分が長女をおんぶしたいし、長女に頼られたいという気持ちがある。そしてその欲求は、とてもかわいい。
だけど悲しいかな……。言葉の選び方ひとつで印象は変わってしまう。
「おんぶしたい!」と言われたら「じゃあおんぶしてもらおうかな~」なんて微笑ましい気持ちになるけど、本当は自分がおんぶをしたいだけなのに「おんぶしてほしい?」と何度も聞かれたら「いや、別にしてもらわなくても……」と、ちょっと突っかかりたくなってくる。(いや、私が聞かれてるわけじゃないんだけどさ。)
なんだろう、この強制的に言わされている感。
最初は嬉しいと思っていたことも、だんだん億劫だと感じるこの気持ち。
相手に言わせることによって、自分を満たしたいという欲求は、こんな小さな頃から発動しているのだ。
最初のうちはかわいいかもしれない。でもそれが何度も続くと、やっぱり負担になる。
「私のこと好き?」でもなく「おんぶしてほしい?」でもなく、もっと別の伝え方に変えられたら……。
というわけで、私は長女に別のアプローチをしてみることにした。
長女「ねえママ、長女ちゃんのこと好き?」
私「長女ちゃんはどう思う?」
長女「ママは長女ちゃんのこと大好きだと思うー」
私「そうだよ。知ってるってことは、ただママに好きって言ってもらいたいってこと?」
長女「うん」
私「そういうときは『私のこと好き?』って聞くんじゃなくて、『好きって言って!』って言えばいいんだよ」
長女「えー。(にやにや) ねえ、ママ!長女ちゃんのこと好きって言って!」
私「大好きー!!」
人に言ってほしい言葉があるときは、まわりくどく言ってもらおうとするよりも、ストレートに相手に伝えること。
同じように、人にしてほしいことがあるときも、面倒くさい手を使わずに、素直にしてほしいと伝えること。
これって、仲良くなりたい相手と関係を築くのに、すごく大事なことだ。
……なーんてかっこつけて書いたけど、これって実は子どもの長女よりも、大人である私のほうがうまくできていなかったりする。
だから、寂しいのに怒ってしまったり、悲しいのに意地を張ったり、怒りたいのに泣いてしまったり、感情がこんがらがって、なかなかに大変。
大人なんて子どもよりずっとズル賢しくなっているから、本当の感情を隠して何十にもオブラートに包んだり、ひどいときは過剰梱包かってくらい包みすぎたりして、自分でさえなんなのかわからなくなるくらい。
しかもガムテープとかセロハンテープとか、やたらとべたべた貼りすぎて、なかなかに開封まで時間がかかるんだよね……。もっとコンパクトに包装すればいいのにね。
素直な気持ちの伝え方は、子どもと一緒に練習していこうかな。
<このコラムを書いたソクたまアンバサダーはこちら>
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