2022年9月開校の「白馬インターナショナルスクール」が行う、日本初の“サステナビリティ教育”とは
近年日本で開校ラッシュが続く「ボーディングスクール」。全寮制で共同生活を送ることや、すべての授業が英語で行われることが大きな特徴ですが、自然豊かな地域が学校の設置場所に選ばれることはご存じでしょうか。
今回は、長野県の白馬村に2022年9月に開校した「白馬インターナショナルスクール」を取材。「子どもたちと学校をつくる」という独自の教育やカリキュラムについてもお聞きしました。
目次
ボーディングスクールのメッカ・スイスにも負けない白馬の自然環境
2022年9月1日に開校した白馬インターナショナルスクールは、中高一貫のボーディングスクール。日本初の「サステナビリティ教育」を打ち出した新しい形の学校について、広報ご担当の岡さんにお聞きしました。
ーーなぜ、長野県の白馬村を学校の所在地にしたのですか?
「大元のきっかけには、本校の代表が自身の子どもを自然豊かな場所で育てたいという思いから、白馬に移住したという経緯があります。そこで子育てを通じて教育活動に積極的に取り組む中で、『白馬に学校を作りたい』と考えたことがスタートでした。
本校は、学びの中でスキーやトレッキングなど、さまざまなアクティビティを想定していますが、豊かな経験ができる場所として、白馬はボーディングスクールのメッカであるスイスに負けない自然があることも決め手でした」
ーー自然豊かな白馬だからこそできる、教育のスタイルをつくろうとされたのですね。
「そうですね。白馬村は人口約8000人と決して大きな村ではありません。しかし、だからこそ地元の学校とも連携した、独自の学びや活動を展開できるのではないかと考えています」
持続可能性をテーマにした学習とは?
ーー学校HPやリリース情報で、持続可能性(サステナビリティ)をテーマにした学習を行うとありました。具体的にはどのような学びになるのですか?
「生活の延長上にある学びを積み重ねることで、子どもたちが持続可能な社会をつくる担い手となることを目指しています。机に向かってする学習も大事ですが、リアルな生活の中で、必要感のあるテーマに向かって学ぶ機会を重視しています。
具体的な例として、実は本校にはまだ本校舎がないのですが、その校舎建設プロジェクトに子どもたちも関わっているんですよ」
ーーえ、子どもたちが校舎をつくるのですか?
「もちろん実動的なことではなく、どんな校舎がよいか、どんな設備であれば環境に優しい学校になるかということを互いに意見を出し合い、考え合ってもらっています。校舎を建てること自体が子どもたちにとって必要性の高い、リアルな学習テーマになっているんです」
ーー自分たちが学ぶ場所を自分たちで考える経験はなかなかできないですし、ワクワクして取り組めそうですね。
「そうですね。そうしたプロジェクト型の学習を4年間行ったのち、最後の2年間は国際バカロレア課程を通じて、アカデミックな学びを探求していく予定です」
自ら体験することを重視した、6年間のカリキュラムって何?
ーープロジェクト型の学習について、もう少し聞かせてください。
「本校では、プロジェクト型学習のことを『プロジェクトベースドラーニング(以下、PBL)』と言っており、従来の机に向かい、教科書を使った学習だけではなく、何か一つのプロジェクトに取り組んでいく中で学びを深めていくことを重視しています。
PBLは、コミュニケーション能力や協調性、表現力といった非認知能力をのばすことに効果的だと言われています。
実際に子どもたちは、9月の第1学期に『Human Connection』をテーマにしたプロジェクトに取り組み、新たなホームとなった白馬の地域の人たちとのつながりを深めるために、地元の人のためのイベントを企画しました」
ーーこういった学びの形は教科学習にも適用されていくのですか?
「もちろんです。例えば理科の時間では、近隣にあるサントリーの工場と、地元の地質調査や生態系調査について協力して学習することができないかを、現在調整しています。
今、『社会に拓かれた学び』が注目されていますが、本校の最初の4年間では全ての学習を通して、まさに実社会に結びついた経験ができるカリキュラムとなっています」
「社会性と情動の学習(SEL)」とは?
ーーそのほか、白馬インターナショナルならではの学習はありますか?
「毎週水曜日に、学年を問わず集まって『社会性と情動の学習(SEL)』を行います。
これは、子どもたちが自分と向き合うことで自己理解し、その上で他人を理解し共生できる力を養う時間です。この時間を通して、社会性や自己肯定感、自己決定力を養っていきたいと考えています」
ーー具体的にどのように行われるのですか?
「子どもたちと教師が対話をする形で行われます。
実は、本校の校長であるクリス・バームは、SELを基盤とした中学校をアメリカで設立していて、すでにそちらでの実績もあるんですよ。本校でも、子どもたちの社会性や感情の面での成長に効果があると期待しています」
寮は温泉街の中! 地元と密接につながった生活
ーー寮についてはどのような仕組みなのでしょうか?
「寮は、2022年3月までスキーロッジとして経営されていた建物をリノベーションしたものを使用しています。また、本校の寮は、白馬村の中心地である温泉街に置いていることが大きな特徴となっています。
その理由は、学校は地域から隔絶されたものではなく、生徒たちはあくまで村の一部であるということを大事にしたいというところにあります。子どもたちにとって白馬村は単なる滞在場所ではなく、自分たちのホームであることを感じてほしいなと思っています」
ーー実際の寮での生活は、どんな様子なのですか?
「食事以外の家事は、子どもたちが分担して行うようになっています。
食事は、平日は専門の調理スタッフが地元の食材を使って用意してくれます。この食事が毎回とてもおいしくて、これは学校の新たなアピールポイントになりそうだねと、スタッフ間で話題になる程なんです(笑)」
ーー授業以外の学習サポートはどのようになっていますか?
「夕食後の時間は、教科学習をしてもいいし、自分の探求したい学習をしてもいいことになっています。その時間も教師がしっかりとついて行います。
普通の学校であれば家庭学習にあたる時間でも、教師がついて勉強をサポートしてもらえるというのは大きな魅力なのではないかなと思います」
リアルな体験を通して成長したい方は、ぜひ白馬へ!
ーー最後に、入学を検討している子どもたちにメッセージをお願いいたします。
「入試時点で十分な英語力がなくても、サポート体制があるので意欲があれば心配はいりません。学ぶ意欲と自主性をもって本校への入学を検討してもらえればと思います。
本校は大きな規模の学校ではありませんが、地域とともに成長することを大事にしています。その中で、答えのない問題について考えたり、課題解決をしていき、最終的には『自分たちがアクションを起こせば、社会を変えられる』という手応えを感じて卒業していってほしいと考えています。
教科書での学びだけではなく、リアルな体験を通して成長したい!という方は、ぜひ本校を検討してみてください」
白馬インターナショナルスクール
中高一貫のボーディングスクール。自ら課題を見つけ、持続可能な未来を創るためのアクションを重ねるサステナビリティ教育を導入。大自然とつながりながら、脳科学に裏付けられた社会性と情動の深い学びで10代のポテンシャルを最大限に引き出す学校。
HP:https://www.hakuba-is.jp/
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1991年生まれ、ライター兼編集。小学生向けファッション誌のほか、小学校教員向け専門誌の編集を経て、2022年にフリーに。小学校教育や性教育、10代のトレンドなどについて執筆している。夫と猫の3人暮らし。