高校受験の勉強はいつから始める?入塾のタイミングや塾なし受験対策、学年別の学習法を解説
高校受験で失敗はしたくない!でも、中学生活を受験勉強だけに捧げるわけにはいきません。そこで、効率のいい勉強の進め方(学年別)や部活との両立、入塾のタイミングなどを兵庫いぶき塾の塾長・篠原尚斗さんが解説します。
目次
高校受験の基礎知識
高校受験の勉強をいつから始めるべきかを解説する前に、ゴール地点となる高校受験がいつ実施されるかなど、基本的な知識について解説します。
高校受験の日程とは
高校受験の日程は、基本的には下記のようなスケジュールで行われます。地域による差も大きいので、事前に必ず調べる必要があります。
- 私立高校:1月中旬〜2月中旬
入試には、面接や小論文などで合否判定を行う推薦入試と一般入試があり、推薦入試は1月中旬〜下旬、一般入試は2月上旬〜中旬ごろに実施されます。
私立高校の入試には、1つの高校のみを受験する単願と複数の高校を受験する併願があり、単願の場合、合格したら必ず入学しなければなりません。
- 公立高校入試:1月下旬〜3月中旬
私立高校と同じく推薦入試と一般入試があり、推薦入試は1月下旬~2月中旬ごろ、そして一般入試は2月中旬~3月中旬ごろ実施されます。
公立高校の場合、受験できるのは1校のみで合格すれば必ず入学しなければいけません。
受験方式や制度については、中学で行われる進路説明会などで確認するようにしましょう。
志望校を決める時期は?
高校受験の志望校を最終確定するのは、11〜12月に行われる中学校の3者面談になります。それまでに家庭内で志望する高校を決めておきましょう。
多くの場合、中学3年生の夏休みに各高校に開催されるオープンスクールや学校説明会に参加し、9月または10月ごろには志望校を決める人が多いようです。
ただし、本人の中で希望する高校が決まっていても、2学期の成績や気持ちの変化で12月くらいまでは変更することも珍しくありません。
【学年別】受験を見据えた勉強のすすめ方
高校受験に向けた受験勉強はできるだけ早めに始めたほうがよいでしょう。といっても、高校受験用の問題集に中学1年生から取り組もうという話ではありません。
実は、意識の有無に関わらず高校受験に向けた勉強は中学校に入学したタイミングから始まっています。
なぜなら、高校受験には中学1~3年生で学ぶ内容までが出題されるからです。中学1年生からしっかり知識と学習習慣をつけていくことがそのまま受験の結果に直結します。
それでは、高校受験を見据えた勉強は具体的には何をやるべきか。学年別の勉強のすすめ方を紹介していきます。
中学1年生の勉強のすすめ方
中学1年生は学校で行われる学校の定期テスト(中間・期末・学年末)での好成績を目標に学習しましょう。
中学校の勉強は、それぞれが切り離されたものではなく、中学1~3年生までの知識や理論を積み上げていきます。
例えば、中学3年生の英語の文法を理解するためには、中学1年生で学習する内容の理解が不可欠です。いわば、中学1年生で学ぶ内容は、2、3年生で学ぶことの基礎ともいえます。
そこで、きちんと基礎固めができるように学校で配布されるワークに取り組みましょう。
多くの学校では、定期テストごとにテスト範囲のワークを解くことが宿題になります。分からない問題は早めに教師に質問をして、すべて自力で解けるようになるまで繰り返し取り組みましょう。
また、中学1年生は、小学校との環境の変化などに慣れ、新しい人間関係を築くなどの苦労もあります。体調やメンタルを崩さないように心がけましょう。
中学2年生の勉強のすすめ方
学校のテストでの高得点を目標に取り組むという点では、基本的に中学1年生と同じ勉強法でよいでしょう。
ただし、注意点もあります。
中学2年生は、部活やクラブでは主力になる学年のため、活動がハードになり、勉強に疲労の影響が出てしまうこともあります。そんな中学2年生の学習のポイントは、限られた時間に効率よく学習することです。
例えば、勉強は定期テスト前にまとめて取り組むのではなく、学校で授業を受けた範囲をその日のうちに復習して、日ごろからコツコツ取り組むようにしましょう。
毎日コツコツというと効率が悪いように感じるかもしれませんが、中学2年生が学習する内容は1年生に比べて難易度が高くなります。
そのため、中学1年生はテスト前にまとめて勉強して何とかなったという人も、その方法がきかなくなってきます。使う学習教材は学校のワークで構いませんので、学んだことはその日のうちに自力で解答できるようにしておくようにしましょう。
コツコツ学習をすることは、遠回りに思えて結果的にメリットだらけ、高校受験に有利に働きます。
また、志望校や夢など勉強のモチベーションとなるような目標を持つのも効果的でしょう。
中学生活にも慣れてきて少し飽きが出てしまい、生活が乱れ始めがちなのも中学2年生ですが、日々の授業態度や提出物も内申点を左右する重大なポイントです。
高校入試では、入試の点だけではなく、内申点も評価の対象となります。入試さえがんばればいいというわけではないのです。
中学3年生の勉強のすすめ方
中学3年生の勉強でやるべき内容は大きく分けて次の3つのポイントです。
- 中学3年生の学習
中学3年生で学習する内容は、中学1、2年生で学んできた内容と比較すると一気にレベルが上がります。
そのため、中学3年生で学ぶ内容をマスターするためには、中学1、2年生のころよりも勉強時間を多くを必要とすることは覚悟しておきましょう。
繰り返しになりますが、高校受験には内申点も重要です。高校受験用の勉強だけでなく、学校のテスト向けの勉強も手を抜かないという、なかなかハードな1年になります。
- 中学1年生・中学2年生で学習した内容の復習
また、中学1、2年生の復習というと「何からやるべき?」と思うかもしれませんが、まずは学校で配られたワークを行えばOKです。
夏休みが終わる頃までには、中学1、2年生の復習を行い、基礎固めを終えるようにしましょう。
- 受験用の問題集や過去問の演習
夏休み後、基礎固めが終わったら、いよいよ受験問題集に挑戦していきましょう。そして、受験直前期には過去問の演習を行っていきます。
過去問を解いていくうちに、志望校の問題傾向を知り、現在の学力や弱点を見つけられるでしょう。弱点分野は、問題集を使って練習して克服していきます。体調管理に気を付けながら、過去問と分野別の勉強を並行して行っていきましょう。
勉強を部活と両立するための2つのアドバイス
勉強と部活をうまく両立するために、学校の授業に集中し、隙間時間を上手に利用することを心掛けましょう。
学校の授業に集中する
部活から帰宅した後に、自主学習の時間の確保は難しいことでしょう。そのため、学校の授業が1日の中で最も勉強に集中できる時間といえます。学校の授業はしっかり理解し、できるだけ多くの知識を授業中に覚えるようにしましょう。
隙間時間を上手に利用する
部活や趣味、習い事に忙しい学生は、すきま時間を上手に利用して勉強量を確保しましょう。電車やバスの待ち時間、ご飯の前の待ち時間など、たとえ10分程度だとしても、学校の授業内容の復習や単語・漢字の暗記などに使うことで、すきま時間を有効活用することできます。
塾に入るなら中3の夏前までに
高校受験対策を目的として塾に入るなら、集団指導・個別指導ともに中学3年生の夏休みまでの入塾をおすすめします。
なぜなら、集団指導塾の多くでは、中学校3年生の夏ごろから受験対策のカリキュラムがスタートし、秋以降の高校受験対策の授業は夏期講習で学習した内容が土台になります。2学期以降の入塾では、勉強がやりにくいと感じてしまう可能性が高くなってしまいます。
また、個別指導塾だとしても、2学期以降の入塾では、高校受験の全範囲を受講することは時間的に厳しくなります。
中学校3年生の夏休みは、部活を引退した後であるなど、学習時間が確保しやすい時期です。夏休み以降は塾など、学習に集中しやすい環境で学習することが大切です。
塾に入らなくてもできる勉強法
高校受験の勉強=塾というイメージがある人もいるかもしれませんが、例えば、部活が忙しいなど、さまざまな事情で塾には行かない場合、下記のような方法で勉強をすることもできます。
学校のワーク
学校のワークにしっかり取り組むことは、学校のテストだけでなく高校入試にも役立ちます。
よく、「基礎固めをするためにおすすめの問題集を教えてください」と言われることがありますが、「まずは学校のワークをすべて自力で解答できるようにしてください」と答えています。
もし、中学1~3年分のワークがすべて解けるなら、偏差値60以下の高校なら余裕で合格できると思いますよ。
市販の問題集
市販の問題集にもオススメはたくさんありますが、2つのシリーズを紹介します。
教科書ワーク(文理)
「学校のワークをやりたい」と思っていても、ワーク自体にメモを書き込んでしまって勉強しにくい子や、1年生のときのワークをなくしてしまったという子は少なくありません。
そんなときには、解説も詳しくてわかりやすいこちらのワークがおすすめです。
高校入試でる順ターゲット(旺文社)
5教科のラインナップが発売されていますが、特におすすめなのが英単語・英熟語・漢字語句文法・社会の4冊です。
高校受験の暗記問題で困らないだけの力を身に付けることができます。スマホアプリとも連携しているので、本で勉強した内容をアプリでテストできるのもいいですね。
学習系アプリ(スタディサプリ)
最近は、学習系アプリを活用する子も少なくありません。数あるサービスの中でもおすすめは、テレビCMなどでもお馴染みのスタディサプリです。
魅力的なのは、スマホで全教科全学年の授業を受けることができる点です。学校の授業を個人的に受け直すことは難しいですが、スタディサプリでは、授業が単元ごとに細かく分かれているので、参考書の代わりに苦手な単元だけを選んで視聴することも可能です。
高校受験に失敗しないための7つのルール
ここからは高校受験に失敗しないためのルールを7つご紹介します。
【ルール1】目標を決める
勉強は思ったように進まなかったり成果が出せなかったり、つらいときが必ず出てきます。そんなときでもがんばる原動力になるのは目標です。
目標は大き過ぎるものじゃなくてOKです。小さな目標を立てて一つ一つ達成していきましょう。
小さな目標の例
- 毎日10個単語を覚える
- 毎日5問文章題を解く
- 学校の単語テストで満点を取る
- 毎朝30分勉強する
【ルール2】計画的に勉強する
机に向かってから、「何を勉強しようかな」と考える勉強法は効率がいいとはいえません。なぜなら、何をやるか考えている間に、時間が経過し集中力も低下してしまうからです。
そうならないためには、「何を」「いつまでに」やるか決めて、スマホのメモ帳に記入しておきましょう。
学習計画の例
- 毎○月△日までに問題集の●●ページまで終わらせる
- 単語を毎日●●個覚える
<こちらのアプリも便利!>
ノートとテスト勉強スケジュールを一括管理!コクヨが「Carry Campus」リリース
【ルール3】体調管理に最善を尽くす
体調が悪いと勉強に集中することはできません。体調管理はしっかりと行いましょう。
中でも、受験生の多くが経験するのは睡魔との戦いです。
成長期の中学生の身体に眠気が襲ってくるのは当たり前です。「勉強をしていてもどうしても眠気ががまんできない」そんなときは無理をするのではなく15分以内で昼寝をしましょう。15分以上寝てしまうと、本格的な睡眠に入ってしまい、「何もできなかった!」ということになってしまいますよ。
【ルール4】学校の勉強を大切にする
“受験勉強=市販の問題集や塾の宿題だけ”と思っている人が少なくありません。
ですが、受験勉強の基本は学校の勉強です。1日の大半を過ごす学校の勉強をおろそかにするのは効率が悪いことだと肝に銘じておきましょう。
【ルール5】アウトプット中心の勉強を行う
高校受験の合否は「点数がどれだけ取れるか」、すなわち「問題がどれだけ解けるか」で決まります。
どんな小さなミスでも間違っていれば評価は0です。日ごろの勉強でも「点数を取る」ということを意識して取り組むことが大切です。問題をどんどん解くことを優先して、アウトプット中心の勉強を行いましょう。
【ルール6】苦手としっかり向き合う
学力が上がるというのは、今まで解けなかった問題が解けるようになることです。知っている、分かる問題ばかりを勉強していても学力は伸びません。
苦手な問題、解けない問題と向き合い解けるようにすることで学力は伸びます。自分の苦手と向き合うことはしんどいことですが、頑張って取り組みましょう。
【ルール7】相談できる相手をつくる
勉強がつらくなったとき、友人や家族・先生などに相談することは心を落ち着かせ、「また、次も頑張ろう!」と感じるきっかけになります。
高校受験に対して不安を感じたときに大切なことは、あわてず目の前のやるべきことにコツコツ取り組むことです。
あなたが不安に思っていることは他の受験生も同じように不安に思っていることです。必要以上に孤独を感じることなく、志望校合格のためにがんばって取り組んでほしいと思います。
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兵庫いぶき塾の塾長。 これまで15年以上、学習塾で教務部長や教室長として勤務。 2020年3月、兵庫県西宮市で兵庫いぶき塾を開校。 現在は、兵庫いぶき塾で小学生から高校生まで指導を行っている。 また、中学生のための学習情報サイト"いぶきwebスクール"を運営中。 兵庫いぶき塾:https://hyogoibuki.com/ いぶきWebスクール:https://ibuki-webschool.com/