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2022.03.12

「12歳以下限定」のSNSを開発中。5児の父・本山勝寛さんに話を聞きました

公益財団法人日本財団で勤めたのち、2021年に株式会社4kidz(フォーキッズ)を設立した本山勝寛さん。2022年夏にリリース予定の子どものためのSNS「4kiz」のこと、さらにサービスの制作意図や、未来で活躍する子どもたちに対する思いや願いをお聞きしました。

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子どものためのSNSを作ろうと思ったきっかけ

前職「日本財団」の活動で気づいたこと

私は、前職では公益財団法人日本財団に14年間勤めていました。そこで「子ども第三の居場所」という事業の責任者をしていたのですが、その中で、子どもたちに「自分の発想を生かす場」をつくると、とても生き生きと活動することに気付きました。

例えば、ダジャレが好きな子が「僕はダジャレが好きだから、ダジャレコンテストがやりたいです」と提案するんです。

そこから彼が企画書をつくり、みんなにルールを説明して、実際にコンテストをやるというような流れなんですね。大人の発想では、なかなかダジャレのコンテストをするなんて思いつかないですよね。

こんなふうに「自分で考えて自分たちでやってみる」ことを通して、子どもたちが楽しみながらいきいきと成長していることに気付きました。

これは、大人が用意したものや教えられたことをインプットして受動的にやる活動とは全く違うなと感じるとともに、こういう場がもっと増えたらいいなと思いました。

5人の子どもの子育ての中で気づいたこと

私自身、子どもが5人いるのですが、我が子にもいろんなことに気付かされます。

例えば、コロナ禍で我が家の子どもたちもタブレット端末を使うようになりました。

その中で、絵を書くことが好きな娘のためにお絵描きアプリをインストールしたら、それを使っていろんな絵や漫画を描くようになったんですね。

娘は少し恥ずかしがり屋な性格なのですが、子どものためのオンラインの発信の場があれば、彼女も自分の作品を匿名でシェアできて、もっと創作の幅が広がるのではないかなと思いました。

当初はYouTubeを見ることがほとんどだったのですが、こんなふうにちょっとした場を与えれば、子どもはその中でいろんなものをクリエイティブな活動にしていくんですよね。

そういった姿をみて、発信の場となる子ども向けの安全なSNSがあれば、彼らの可能性がもっともっと広がるのではないかなと感じたのも、大きなきっかけの一つです。

子ども向けSNSの可能性と、現状の課題

学校教育の限界をフォローするオンラインの可能性

子どもたちが創造性を発揮できる場をつくるならば、やはりオンラインの場が最適なのではないかと思いました。

全ての子どもがいつでも、どこからでもアクセスできて、遠いところに住んでいる子ども同士でも互いに刺激し合えるというのは、オンラインの最大の利点です。
 
これまでは、子どもたちにとって学校がほぼ全てでしたが、社会の情報化やコロナ禍を経て、特にオンライン対応については、学校だけで取り組む限界も感じています。

これからは、安全面を確保しながら、子どももSNSなどのオンラインのプラットフォームを利用できる環境を整え、インプットだけではなくアウトプットの機会ももてるようにしたいと思いました。

SNSの世界に子どもの居場所がない

現在、大手SNSであるFacebookを利用している人は、世界で約29億人もいます。世界の3分の1以上の人が使っている計算ですが、その中に12歳以下の子どもは一人もいません

これは、Facebookをはじめ、ほとんどの既存のSNSの規約では「12歳以下の子どもたちは使えない」ことになっているからです。

これは子どもたちの安全のためという建前ではありますが、よく考えてみるとおかしいですよね。子どもたちが安全にSNSを利用できないのは、彼らのせいではなく、彼らを詐欺や性犯罪などの事件に巻き込む大人がいるからです。

私たち大人がするべきことは、子どもをSNSの世界に入れないことではなく「どうやったら子どもたちも安全にSNSを活用できるか」を考えること。

そこで私は、子どもたちはもちろん、保護者も安心して使えるSNSを作りたいと考え、株式会社4kiz(フォーキッズ)を立ち上げました。

クラウドファンディングでプロジェクトスタート

昨年11月、子どものためのSNSをつくるためのクラウドファンディングをスタートさせました。

ありがたいことに400人以上の方からご賛同、ご協力いただくことができ、今年の1月に目標額を達成しました。

value press

支援をしていただいた方は、小さなお子さんをもつ人、同じ教育関係の職業につく人など様々ですが、「子どもにとって安全なSNS」「未来の子どものための創造の場づくり」ということに共感していただいている方が多いように思います。

現在は、その支援をもとに開発を進めています。

子ども向けSNS「4kiz」でできること

子どもならではの創造性を発揮し、さらに発信力を身につけてほしい

12歳以下の子ども向けSNS「4kiz」では、子どもたちの豊かな創造力から生まれる様々な作品を発信してもらいたいなと思っています。

例えば、ブロックで作ったものをアップして、モノづくりが好きな子同士で交流したり、生き物が好きな子どもたちなら、昆虫の動画やペットの面白い動画をアップしたりして交流するということができればいいなと考えています。

作品といっても、手の込んだものや大掛かりなものでなければならないというわけではありません。工作や絵画はもちろん、写真や動画などの撮影物、さらには文章など、一人ひとりの発想を自由に発信してほしいです。

子どもたちは学校や塾、あるいはYouTubeなど、インプットの場はとても多いです。

しかし、これからの時代は、アウトプットする力が非常に重要だなと感じています。自分で考え、創作し、発表するという機会が、子どもたちには特に少ないのが現状です。

「4kiz」は、子どもたちが自らアウトプットしたくなるようなプラットフォームにしたいなと思っています。

本山勝寛さん提供

子どもが気になるのは「他の子どもが何をしているのか」

子どもは普段、大人から与えられた場で大人から教えられるという機会がとても多いです。しかし実際は、大人が思っている以上に同世代の子に対して関心をもっています。

大人がやっていることや学校で教わることよりも、自分と同じくらいの子が楽しそうにやっていることのほうが気になっているんですよね。

「4kiz」なら、全国、いずれは世界の同世代が何を考えて、どんなことをしているのかを知ることができます。そういった互いの姿を見ることで刺激し合えるようになることを目指しています。

こだわった「安全性」

前述のような交流を実現するため、「4kiz」には主に次の4つの安全機能を搭載予定です。

1つ目は、年齢による使用制限です。従来のSNSとは真逆で、12歳以下限定とし、基本的に大人が投稿することはできません(アカウントを管理する保護者を除く)。

大人の中には、間違った使い方、悪意のある使い方を目的としている人も残念ながらいます。そういったユーザーが入りづらいのが特徴です。

2つ目は、「ペアレンタルコントロール機能」をつけるということ。これは、親が自分のスマホから、子どもがどんな投稿をしているのかを確認したり、子どもがコメントを投稿する前にその内容を確認できたりするというものです。

他にも受け取るコメントの事前確認、使用時間の制限など、安全面、健康面でも保護者が配慮できる設計となっています。

もちろん、親は自分のスマホで管理、子どもは自分の端末で投稿するというように、別々の端末で使用することができます。

3つ目は、NGワードを設定し、いじめなどにつながる悪口や誹謗中傷を書き込めないようにしていることです。

子どもたちはまだ未熟な部分も多いですから、感情のままに他人の悪口や傷つけるようなことを書いてしまうことも考えられます。そういったことを未然に防ぐために、悪口などのNGキーワードを設定し、投稿できないようにします。
 
4つ目は、DM機能を設けていないということ。

「4kiz」は12歳以下しか使えないことにしていますが、年齢を偽る人が入ってくることも考えられます。対策はしているものの、そのような人を完全にゼロにするのは難しいのが現実です。

そこで、DM機能をつけないことにし、誰も見ていない1対1の場面が生まれないようにしました。「◯◯で会おうよ」などといった誘いのリスクのない、みんなが見れるパブリックな場所のみでのやりとりになります。

そのほかにも、おかしいなと思う人がいた場合、すぐに運営側に報告、通報できる機能もあります。

4kizの今後の展望と子どもたちへの願い

4kizを通して子どもたちに願うこと

一番は創造性、発信する力を身につけてほしいです。これからの時代、基礎学力も必要ですが、それ以上に創造性や新しいものを発信していく力が重要になっていくかと思います。子どもたちには、そのような力をもった人材になってほしいなと思います。

また、今ある好奇心をもっと高めてもらいたいです。

子どもはとても好奇心が強く、大人よりもいろいろなことに興味をもっています。

しかし、年齢が上がるにつれて「やらなければならないこと」が増え、「好奇心」や「興味」が後回しになり、それらが抑えつけられているのではないかと感じています。

「4kiz」を活用して、自分の好奇心や興味を発信して伸ばしていくとともに、他の子どもが発信しているものを見ることで、好奇心をさらに深め、ひろげることができれば、と期待しています。

CIO(最高ソウゾウ責任者)を置くねらい

弊社では、「CIO(最高ソウゾウ責任者)」を小学生から募集しています。これは、小学生の子どもたちにも本プロジェクトに参加してもらい、豊かなアイデアで協力してもらう取組です。

私は、大人が作ったものをただ与えるのではなく、子ども自身が考えて作っていくというのがとても重要だなと思っています。

もちろん、システム的なことは大人がやりますが、子どもの想像力や発信力を取り入れて作って「4kiz」を開発していくことに意義があると考え、この役職を設けました。

個人的には、こういった取組が他の企業にも波及してくれるといいなと思いますね。子どもの発想力を柔軟に取り入れるような社会になってほしいです。

株式会社4kizの展望

株式会社4kiz HPより

本サービスは「こどもの、こどもによる、こどものためのSNS」というコンセプトを掲げています。

意識しているのはアメリカの第16代大統領、リンカーンの言葉です。リンカーンが「人民の人民による人民のための政治」という言葉によって民主主義の革命を推進しましたよね。

現代の子どもたちにも、子どもが活躍できるプラットフォーム、子どもが安心できる場所を作ることによって、ある意味で「革命」を起こしてほしいです。そのきっかけや場所として「4kiz」が生かされればと思っています。

また、大きな夢ではありますが、「4kiz」を学校に並ぶ「子どもたちの新たなプラットフォーム」にしたいと思っています。

これまでのように、決まった先生、決まった場所、決まった時間、決まったカリキュラムで学ぶのではなく、子ども同士が互いに学び合う形を推進していきたいなと思います。

もちろん、子ども同士だけではなく、各界の大人のプロフェッショナルなど、いろいろな人とつながりを広げていければいいですね。

読者のみなさまへメッセージ

現在、今夏のリリースに向けて「4kiz」の準備・開発を進めています。ぜひ、「4kiz」を親子で楽しんでいただけますと幸いです。

そして、子どもが発信する作品を親の立場で応援したり褒めたりして、親子のコミュニケーションにも使ってほしいなと思います。

また、自分の子だけではなく「他の子がどんなことをしているか」ということを見るのも親にとって大きな刺激になると思います。そういった視点でも、ぜひ関心をもって見ていただければ幸いです。

アプリ詳細

  • アプリ名:4kiz
  • リリース時期:2022年夏ごろ予定
  • 価格:無料
  • リリース元:GooglePlay、Apple Store
  • ※2022年3月7日現在

プロフィール

本山勝寛(もとやま・かつひろ)

本山勝寛さん提供

東京大学工学部卒業、ハーバード教育大学院国際教育政策修士課程修了。日本財団でパラリンピックサポートセンターのディレクター、子どもサポートチーム、人材開発チームなどのリーダーを歴任。また、5児の父親でブロガーとして独自の子育て論、教育論を展開し、話題を呼ぶ。

2021年12月に株式会社4kizを起業し、子ども向けSNS「4kiz」を開発中。著書に、『そうゾウくんとえほんづくり』(KADOKAWA)、『好奇心を伸ばす子育て』『最強の独学術』『最強の暗記術』(大和書房)など。

<参考資料>
Meta 2021年第4四半期(10月-12月)業績ハイライト(Meta社)

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「ソクラテスのたまご」編集部

大人のための子育て・教育情報サイト「ソクラテスのたまご」で、子育て・教育の専門家150名以上の取材協力や監修のもと子育てに関する確かな情報を発信中。子育て・教育の悩みに特化した日本最大のオンライン相談サービス「ソクたま相談室」を運営。編集部員は、全員が子育て中の母親、父親です。|公式インスタグラム公式LINE

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