小学校の担任と合わない、不信感がある!もめずにクレーム、苦情を伝える方法
学校での心配事や悩みを相談する相手といえば担任教師ですが、その担任教師が悩みの原因だった場合はどうすればよいのでしょうか。子どもを助けてあげたいけどモンスターペアレンツと思われないか不安ですよね。そこで、小学校の教員として30年以上のキャリアがある上級教育カウンセラーの望月保美さんにもめずに状況改善していくための対応をアドバイスしてもらいました。
目次
小学校でありがちな担任へのクレームを紹介
幼稚園や保育園時代と違い、子どもの学校での生活も担任教師の様子も分かりにくい小学校。そんな中。子どもから“違和感のある担任の態度、発言“を聞いてしまうと、不信感がわいてきてしまいますよね。
実際に30年以上、小学校で教師をしていた望月さんは、以下のようなクレームを聞いたことがあるそうです。
小学校でよくある担任教師へのクレーム例
- ルールが厳しすぎる(例:授業中のトイレNG 、給食を残せないなど)
- いつも怒っていて話しづらい
- ほかのクラスに比べて宿題が多すぎる
- 特定の子をひいきしている
- 子どもが話しかけてもスルーする
- 学級がまとまっていない
- 言葉遣いが悪い
- 度の超えた怒り方をする など
ほかにも、いろいろなケースを学年主任、生活指導主任としても見てきた望月さん。「担任への不信感を学校へ伝えるのは悪いことではない」と話します。
「担任教師は毎日子どもを預けている相手なので、なるべく心象を害したくはないですよね。ただ、教師は教育の専門家ですが、子どもの専門家は産まれてから今まで育ててきた親御さんです。子どもの様子をみて気になることがあれば伝えていいと思いますよ」(望月さん、以下同)
次から具体的な方法をアドバイスしていきましょう。
まずは担任自身に困っていることを伝える
原因は担任にあるのだから、「クレームを伝えるなら担任教師以外」と考えてしまいがちですが、意外にも「まずは担任教師へ伝えましょう」と望月さん。
「誰でも自分のいないところで自分の悪口を言われていたらいい気分はしませんよね。まずは、子どもの学校生活に悩みがあることを担任本人に伝えてみてください」
ただし、気を付けたいのは伝え方です。
批判するのではなく様子を聞くスタンスで
例えば、“宿題を忘れたことをヒステリックに叱られて子どもが傷ついている”とします。
「うちの子が家で泣いていて、ここまで叱る先生の態度はおかしいと思います!」と批判するような姿勢では、相手も身構えてしまいます。
そこで望月さんが推奨するのは下記のような言い方です。
「うちの子って忘れ物が多いでしょ?先生もご迷惑ですよね?」
「忘れ物が多くて困っているんですが、家庭ではどこまでチェックすればいいですか?」
「先日、家で忘れ物のことで泣いていて、どんな状況だったのか話を聞いてもよく分からなかったので、先生がお気づきだったら教えてくださいますか?」
基本的に批判するのではなく、“担任教師を信頼しているからこそ相談や情報収集をしたい”といった姿勢で聞くのがいいのではないかと望月さん。
「上記のように伝えたときに『そうなんですよ。毎日忘れてくるんですよ!』という風に保護者の言葉をそのまま返すような返答をするのであれば、子どものことを困った子として見ているだろうし、きっと子どもにも『毎日忘れて!』と怒っていると想像できます。
でも、ここでやめないで、子どもが自宅で泣いているという事実を伝えてみてください。そして担任の先生の反応を見てください。そして、保護者が“困っている感”“悩んでいる感”を出したときに『このまま話していてもダメだな(状況はよくならないな)』と感じたら、ほかの先生に相談をしてみてください」
ただ、保護者の話を受けて担任教師が子どもへの見方を変えたり、態度を改めたりする可能性もあるのでしばらく様子をみたほうがよさそうです。
「せっかく担任と話すのであれば、『もう先生はお気付きかなと思うんですけど』と断りを入れた上で、『育てている中で気づいたんですが、うちの子はすごくわんぱく坊主だと思っていたけど、意外と繊細で気にするところもあるんですよね』といったように、子どもの内面を伝えてもいいですね。担任がその子を理解することに役立つかもしれません」
次は話しやすい教師、スクールカウンセラーへ
学校内で相談を上げていく正当なルートでいえば、担任の次が学年主任。それから副校長、校長へという順序なのだそう。しかし、保護者が相談する先が必ずしもこのルートである必要はないそうです。
「例えば、以前の担任など保護者が話しやすくて、子どものことも分かっている先生でいいと思います。ただ、その際も『今の担任に困っているんだけど!先生どう思う?』といった聞き方をすると、聞かれた先生は返答に困ってしまいますよね。
『うちの子が、学校のこういったことに困っているようなんだけど、先生から見てどうでした?』と聞けば、答えやすいと思います。困っていることは伝わるし、アドバイスをくれるかもしれません。先生によっては『気にかけて子どもの様子を見ておきますね』と言ってくれるはずです」
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望月保美さんへの相談ページを見てみるまた、スクールカウンセラーはまさに保護者や子どもの学校生活に対する心のケアをする役割を担っているので適役です。もし、子どもが「学校へ行きたくない」と言い出していればなおさらでしょう。
ただし、スクールカウンセラーは学校に常勤しているわけではないので担任について詳しく知らない可能性もあることも覚えておきましょう。
スクールカウンセラーに関する記事はこちら
保護者同士は悪口大会になりやすい
子どもの話だけでは学校の状況がよく分からない場合、同じクラスの保護者を通じてクラスの状況を聞くこともあるかもしれません。
「情報収集として仲のいい保護者に話を聞くのはよいでしょう。ただし、話すうちにエスカレートして批判や悪口大会になってしまうのはよくないので注意しましょう」
クレーマーにならない副校長、校長への相談の仕方
話しやすい教師が特に思い浮かばない場合は、担任の次に学年主任、副校長・校長に相談してもいいそうです。
「話す際は、やはり担任や学校を批判するのではなく、下手に出て相談する姿勢にしましょう。また、『担任の先生にはお話をしてみましたが、私の言い方が悪くて、うまく伝わらなかったのか状況は何も変わりませんでした。うちの子も悪い部分はあると思うんですが…』と言えば副校長や校長が『クレーマーが来たな!』という風に感じることはないと思います」
校長や副校長は意外と普段の授業の様子などを知っている可能性もあるのだそう。
「よく授業中に校長や副校長が校内をうろうろ歩いていることがあると思うんですが、実は普段の授業の様子を見て回っているんですよね。なので、あの先生は“ヒステリックに叱ることがある”など知っていることもあります。そのため、保護者からの話が校長・副校長が思っている部分があったり、いろんな保護者から同じような相談が重なったりすれば、担任教師に指導をするケースもあります」
ですが、保護者が相談する目的は、あくまで子どもの学校生活でのストレスを減らすこと。校長・副校長に相談することで「うちの子を傷つけた恨みを晴らしてやる!」というように感情的にならないように気を付けたいですね。
担任にも事情があることを理解しよう
保護者は子どもというフィルターを介して担任教師について知ることがほとんどです。そのため、子どもの視点にはないクラスの事情を知ることはできません。しかし、以下のように担任がさまざまな事情に配慮した結果、誤解を招いているという可能性があります。
えこひいき→ 個々のペースに合わせているだけ
例えば、宿題で作文が提出したとき、Aちゃんは原稿用紙に半分しか書いてなかったのに許されて、原稿用紙の3分の2の文章量で提出したB君は「原稿用紙の最後まで書きなさい」と注意されたとします。
「B君は『先生はAちゃんをえこひいきしている』と思うかもしれません。しかし、実はAちゃんは能力的に半分でも十分にがんばっていて、B君は最後まで書ける能力があるという事実が隠されていたとするとどうでしょう。教師は変な先入観を持たせないために『この子はこういう特性がある子だから』というような説明を子どもたちにすることはありません。そのため、このような誤解を生んでしまうケースもあります」
ほかにも、荒い言葉遣い、若者コトバは、子どもたちに親近感をもってもらうためという場合もあります。望月さんは「言葉遣いに関しては、立場的に子どもの見本となるような話し方にしてほしいですけどね」と話しますが、家庭内で「あの担任の先生は大丈夫かしら?」と悶々としているだけでは分からない事情もあるようです。
クレームは電話ではなく対面がいい
ここまで、担任のクレームは誰にどの順番で伝えたらいいのかを解説してきましたが、伝える際は、できれば対面がいいそうです。
「電話だとお互いの表情が分からないので真意が伝わらない場合があります。ただ、『相談があるのでお時間を作ってくださいますか?』とあらたまって伝えると『よっぽどのこと』と身構えられてしまうので、できれば、担任の先生に何気なく話すのがいいですね」
ただ、以前は学校公開など学校へ行く機会もよくあったと思いますが、今は新型コロナの影響でなかなか学校へはいけません。
「ひとつの手としては何か届け物をするために学校へ行くのはどうでしょう。あと、保護者会などにはなるべく参加して、少しでもお互いを知り合う努力をしたほうがいいですね」
担任教師と保護者といっても人間同士。分かり合うことで状況は変わっていきます。
「教師はひとりで約30人をみているので、そんなつもりはなくても見えていない部分があります。保護者が批判や指摘という態度で来なければ、今後気を付けよう、その子の見方を変えていこうと思うことができるはずです。保護者の気持ちをクレームではなく教えてもらえたと思うような関係を築けるといいですね」
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エディター、ライター、環境アレルギーアドバイザー。新聞社勤務を経て、女性のライフスタイルや医療、金融、教育、福祉関連の書籍・雑誌・Webサイト記事の編集・執筆を手掛ける。プライベートでは2児の母。