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2020.10.09

ひとり親・母子世帯が受給できる手当や助成金・支援制度【新型コロナ対応情報つき】

離婚や離別など、ひとり親で子どもを育てる母子・父子世帯。一人で子どもを育てるのは、肉体的・精神的な負担だけでなく、経済的な負担も大きいものです。今回はひとり親(母子・父子)世帯向けに国や都道府県、市区町村などが支給している手当や給付金、助成・割引制度、各種減免・免除などを紹介します。

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全国で広がるひとり親世帯。国勢調査(*)によると平成27年におけるひとり親世帯は83万人で、平成2年と比較すると1.2倍も増えています。

ひとり親世帯の不安で大きいのは、やはり経済面。実際にひとり親世帯の平均年収は、母子世帯で243万円父子世帯で420万円(**)であり、特に母子世帯では収入面で不安を抱えている人が少なくありません。

今回はひとり親・母子世帯が健やかに暮らせるよう、国や都道府県、市区町村などが充実させている手当や給付金、助成・割引制度、各種減免・免除などを紹介します。

ただしこれらの制度は地域差が大きいため、ひとり親・母子世帯で支援を希望する人は、お近くの市区町村窓口にご相談ください。

(*)東京都福祉保健局|直近の調査に基づくひとり親家庭の現状(令和元年5月27日)
(**)厚生労働省|平成28年度 全国ひとり親世帯等調査の結果

国から支給されるひとり親・母子手当

まず最初に紹介するのは、国から支給されるひとり親や母子世帯向けの手当です。

  1. 児童手当
  2. 児童扶養手当
  3. 特別児童扶養手当
  4. 障害児福祉手当

児童手当は、子育てを支援する共に、子どもが健やかに育つことを目的として、国から子育て世代の世帯に給付される手当です。

支給対象者

児童手当はひとり親世帯だけではなく、中学校を卒業するまでの子どもを育てる全ての人を対象としています。

支給金額

子ども一人当たりの児童手当の支給額は、1ヶ月あたり次の通りです。ただし、支給金額には所得制限があります。

子どもの年齢支給額
3歳未満一律15,000円
3歳から小学校卒業まで10,000円
第三子以降は15,000円
中学生一律10,000円
参照:内閣府|児童手当制度のご案内

手続き方法

児童手当は国の制度ですが、窓口は各自治体となっています。

子どもが生まれたときや、他の自治体から引っ越したとき、児童手当を受け取るには住んでいる自治体の役所に「認定請求書」を提出する必要があります。

また児童手当を受け取るには、毎年「現況届」を提出しなければなりません。現況届は6月1日の状況を確認するためのもので、役所から書類が郵送されてきます。必要事項を記入して返送しましょう。現況届を提出しないと、6月以降、手当を受け取れなくなりますので、ご注意ください。

児童扶養手当

児童扶養手当は、父母の離婚や死別、婚姻によらない出産などのために親がひとりである子どものために国から支給される手当です。

児童扶養手当はひとり親であっても子どもが健全に育つ環境を経済的にサポートし、子どもの福祉増進を目的として作られました。

支給対象者

児童扶養手当は母子・父子父子問わず、原則すべてのひとり親世帯に支給されます。子どもが18歳になってから初めて3月31日を迎えるまでの間が対象です。

支給金額

子どもの人数や所得に応じて支給金額が異なります。1ヶ月の支給額は次の通りです。ただし母親や父親など、扶養者の前年の所得などによって、一部支給となることがあります。

子どもの人数全部支給一部支給
1人の場合43,160円10,180円~43,150円
2人目への加算10,190円5,100円~10,180円
3人目以降の加算6,110円3,060円~6,100円
※令和2年4月から適用された金額であり、今後変更となる可能性があります。
参照:厚生労働省|ひとり親のご家庭へ、大切なお知らせ

手続き方法

児童手当と同様に、児童扶養手当も国の制度で、窓口は各自治体となっています。自治体により必要な書類が多少異なりますので、詳細は各自治体に確認してみましょう。

例えば東京都北区の場合、申請に必要な書類は以下の通りです。

  • 申請者の印鑑
  • 申請者名義の預金通帳
  • 申請者と子どもの戸籍謄本
  • 住宅が賃貸の場合、賃貸契約書や公営住宅使用許可証
  • マイナンバー利用の必要書類

参照:北区|児童扶養手当(申請手続)

児童扶養手当を受け取るには、児童手当と同じように、現況届を提出しなければなりません。現況届は毎年8月に各自治体から郵送されてきますので、必要事項を記入して提出しましょう。

特別児童扶養手当

特別児童扶養手当とは、精神または身体に障害を持つ20歳までの子どもを育てる、ひとり親を含めた全ての父母に支給される手当です。

支給金額

特別児童扶養手当の支給金額は障害の程度によって異なります。1級であれば月額52,500円、2級であれば月額34,970円がそれぞれ支給されます。

特別児童扶養手当は要件が満たされれば児童扶養手当との併用も可能です。

手続き方法

お住まいの市区町村窓口で申請を行いましょう。

障害児福祉手当

障害児福祉手当とは、精神または身体に重度の障害を持ち、常に介護を必要とする状態である20歳までの子ども本人に支給される手当です。

支給金額

支給金額は月額14,880円です。

手続き方法

お住まいの市区町村窓口で申請を行いましょう。

市町村から支給されるひとり親・母子手当

市町村によっては、ひとり親や母子世帯に向けて独自の手当を支給しているところがあります。

今回は東京都の例を中心に取り上げますが、お住まいの地域でも各種手当が充実しているかもしれません。お近くの市町村窓口に問い合わせてみるのも良いでしょう。

  1. 住宅手当
  2. 児童育成手当(東京都)

住宅手当

自治体によってはひとり親世帯向けに、独自に住宅手当を支給する制度を実施している場合があります。

例えば、東京都国立市では18歳までの子どもを持つひとり親世帯に対して、1万円を限度として家賃の3分の1が助成(*)されます。

住宅手当の他にも、ひとり親世帯向けに公営住宅の入居優遇措置や、アパートに入居するときの保証金を助成する制度など、自治体によって独自に住宅費用を支援する制度を設けている場合があります。一度お住まいの近くにある役所に行って確認してみるとよいでしょう。


(*)東京都国立市|ひとり親家庭への支援

児童育成手当(東京都)

離婚や死別などによって、ひとり親世帯となった人を支援するために、東京都は児童育成手当を独自に設けています。

支給対象者

都内に住所があり、父母が離婚・死亡している、重度の障害がある、父母に育児放棄されたりDV保護命令を受けている子どもを養育している人に対して支給されます。

支給金額

子ども一人に対して、月額13,500円が支給されます。

手続きと方法

区市町村の子ども担当課など、担当窓口で手続きを行います。詳細は各区市町村に確認してください。

参考:目黒区|児童育成手当

ひとり親・母子世帯向け給付金

ひとり親や母子世帯には、国や市町村からの手当に加え、厚生労働省から給付金が受け取れます。

  1. 自立支援給付金・事業
  2. ひとり親世帯臨時特別給付金

自立支援給付金・事業

厚生労働省は経済的に困窮しがちな母子家庭などのひとり親世帯に対して、経済的な自立に向けての就業支援を行うために、自立支援給付金の給付や各種事業を行っています。

自立支援教育訓練給付金

自立支援教育訓練給付金は、20歳未満の子どもを持つ、一定の条件を満たしているひとり親世帯の親に対して、自立促進のために支給される給付金です。

雇用保険制度の教育訓練講座などを受講し、終了した場合に受講料の60%が支給されます。

高等職業訓練促進給付金等事業

20歳未満の子どもを持ったひとり親世帯の親が、看護師や介護福祉士などの資格取得を目指す場合、資格取得に向けての勉強の間の生活の負担を軽減するため、高等職業訓練促進給付金が支給されます。

高等職業訓練促進給付金の支給対象者は「児童扶養手当の支給を受けているか又は同等の所得水準にあること」など、一定の条件を満たす必要があります。

高等職業訓練促進給付金は4年を上限として毎月支給される給付金で、市町村民税非課税世帯では月額10万円市町村民税課税世帯は月額70,500円が支給されます。

ただし養成機関における課程修了までの期間の最後の12カ月は、市町村民税非課税世帯は月額14万円市町村民税課税世帯は11万500円が支給されます。

上記給付金の他にも、入学時の経済的な負担軽減のため、高等職業訓練修了支援給付金が支給されます。

高等職業訓練修了支援給付金は市町村税非課税世帯は5万円市町村税課税世帯は25,000円が職業訓練終了後に給付されます。

ひとり親世帯臨時特別給付金

新型コロナウイルス感染症の影響で、収入の減少や子育ての負担増加によって、心身ともに困難な状況となっているひとり親世帯に対し、厚生労働省はひとり親世帯臨時特別給付金を支給しています。

ひとり親世帯臨時特別給付金は、児童扶養手当を受給している世帯に対して、1世帯5万円第2子以降1人につき3万円基本給付として支給されます。

また新型コロナウイルスの影響で家計が急変し収入が減少した児童扶養手当受給世帯に対しては、追加給付として1世帯5万円が支給されます。

基本給付を受け取るには原則申請は不要ですが、追加給付の受け取りは申請が必要です。お近くの市町村窓口か、直接郵送をして申請を行いましょう。

ひとり親・母子世帯が受けられる助成・割引制度

都道府県や市町村等の公的機関から、ひとり親や母子世帯向けに各種助成や割引制度があります。

  1. 医療費の助成
  2. 生活保護
  3. 遺族年金
  4. 交通機関割引制度
  5. 粗大ごみ等処理手数料割引制度

医療費の助成

ひとり親世帯に対して、医療費を助成する制度は各自治体が整備しています。自治体によって詳細は支給額など制度の詳細は異なりますが、おおむね同じような制度だといえるでしょう。ここでは東京都を例に挙げてご紹介します。

支給対象者

東京都では、以下に該当するひとり親世代は医療費の助成を受けられます。

  • 子どもを育てるひとり親世帯の母または父
  • 両親のいない子どもを育てる養育者
  • ひとり親世帯の子ども、養育者に養育されている子どもで、18歳になってから初めて3月31日を迎えるまでの者(障害がある場合は20歳未満)

ただし生活保護受給世帯、所得が限度額以上、施設などに措置入所している場合は対象外となります。

支給金額

医療費の助成は1ヶ月で上限額が決まっています。ただし、住民税非課税世帯は入院・通院共に自己負担はありません。また子どもの人数や所得によって支給額に制限があります。

1ヶ月の負担上限額
通院14,000円
年間上限:144,000円
入院世帯での上限:57,600円
12カ月で3回限度額を超えた場合
4回目以降は44,400円

手続き方法

医療費の助成は、自治体窓口で申請します。認定されれば医療証が郵送されます。医療機関にかかったときには、健康保険証と併せて医療証を提示しましょう。また、1年に一度、現況届の提出が必要です。

生活保護

今まで見てきた諸手当を受給しても、働く時間が十分確保できないなどの理由から、経済的に困窮している人は、生活保護を受けることができます。

生活保護は、憲法で保障された「健康で文化的な最低限度の生活」を保障し、困窮している人の自立を促す制度です。

支給対象者

生活保護の対象となるのは次のような人です。

  1. 資産がない
    預貯金・土地・家屋など、売却して生活費に充てられるような資産がない
  1. 働くことができない
    病気やけがなど、何らかの理由で働くことが困難である
  1. 諸制度を活用しても困窮している
    手当や社会保険制度などを活用してもなお、生活が困窮している
  1. 親族などから十分な援助が受けられない
    3親等以内の親族から十分な生活援助を受けることができない

支給金額

地域ごとの物価や土地の価格などの違いから、住んでいる地域によって「級値」があり、また家族構成や年齢、級値により生活保護水準が異なります。

生活保護を受ける場合に参考になる、目安となる生活保護費をシミュレーションできるサイトがあります。自治体の窓口に直接問い合わせるのが確実ではあるものの、このようなサイトを参考にするのも良いでしょう。

例えば東京都北区在住40歳女性で、12歳の子どもがいるひとり親世帯の場合、生活保護費は月額182,860円支給されます。

手続き方法

福祉事務所の生活保護担当に相談すると、諸制度の活用や生活保護の概要などの説明を受けることができます。

生活保護受給の申請を行ったら、預貯金などの資産調査や就労可能調査などの調査が入ります。また生活保護の受給が開始すれば、年に数回ケースワーカーの訪問指導や就労に向けての助言などがあります。

遺族年金

遺族年金とは、公的年金に加入していた人や受給していた人が亡くなったときに、残された妻や夫が受け取ることができる年金です。

遺族年金には遺族基礎年金遺族厚生年金の二種類が存在し、亡くなった方が加入していた年金制度によって支給される年金が異なります。

遺族基礎年金

遺族基礎年金は国民年金に加入していた人が亡くなったとき、子どものいる配偶者または、子どもが受け取ることができます。

遺族基礎年金が受け取れる子どもは、18歳になって初めて3月31日を迎えるまでとされています。ただし障害を持っている子どもの場合、20歳未満とします。子どもが結婚しているときは除外されます。

遺族基礎年金は年間781,700円が支給されます。子ども一人に対し224,900円加算され、3人目以降は75,000円が加算されます。

遺族厚生年金

遺族厚生年金は厚生年金に加入していた人がなくなったとき、妻・子ども・孫などが支給対象となります。

厚生年金に加入していた期間や所得によって変動しますが、本人が受け取るはずであった厚生年金のおよそ4分の3の額が支給されます。

手続き方法

遺族年金を受給するには、市区町村役場または年金事務所などで年金請求書を提出します。申請時には年金手帳や戸籍謄本、住民票の写しなどが必要となります。

交通機関割引制度

児童扶養手当を受給している世帯や、生活保護を受けている世帯などに対して、公共交通機関の利用料を割引する制度があります。各自治体で設けられている制度ですので、お近くの市役所で確認しましょう。

交通機関割引制度では、JRの運賃が3割引きとなったり、公営バスの利用料が割引されたりします。

粗大ごみ等処理手数料割引制度

児童扶養手当・特別児童扶養手当を受給している世帯などに対して、粗大ごみの処理にかかる手数料を免除される制度があります。実施しているかどうか、また制度の概要については各自治体に確認してください。

ひとり親・母子世帯が受けられる減免・免除

その他、ひとり親・母子世帯では保育料の減免・免除を中心に、各種減免・免除の制度が整っています。

  1. 保育料の減免・免除
  2. 寡婦控除・寡夫控除・ひとり親控除
  3. 国民年金保険料の免除
  4. 国民健康保険の免除
  5. 上下水道減免制度
  6. 非課税貯蓄制度(マル優)

保育料の減免・免除

ひとり親世帯や多子世帯に対して、保育料を減免あるいは免除する制度があります。各自治体ごとに制度の概要が異なりますので、確認してください。

例えば東京都港区の場合、ひとり親世帯や障害を持つ子どもがいる世帯などを対象として、保育料・給食費が無料です。ただし延長保育料はかかります。

参考:東京都港区|保育料・給食費

寡婦控除・寡夫控除・ひとり親控除

寡婦控除・寡夫控除・ひとり親控除とは、経済的に困窮しがちな寡婦・寡夫・ひとり親を支援するために、一定の金額の所得控除を受けることができる制度です。

支給対象者

寡婦控除が受けられる寡婦は、以下に該当する人が対象となります。

寡婦:夫と離婚・死別した後、結婚をしていない人など

寡夫とひとり親はいずれも子どもを有し合計所得が500万円以下であり、かつ以下に該当する人が対象となります。

寡夫:妻と離婚・死別した後、結婚をしていない人など

ひとり親:事実婚を含む結婚をしていない人など

控除額

寡婦:年間27万円

寡夫:年間27万円

ひとり親控除:年間35万円

手続き方法

確定申告や年末調整の申請時に、寡婦、寡夫控除の欄に記入して、申請します。

国民年金保険料の免除

失業や休業による収入減少により、国民年金を払うことが難しい場合、国民年金保険料の納付を免除される制度があります。

手続きを行えば年金を受け取るときに半額を受け取ることができます。ただし手続きをせず未納となれば、年金を十分に受け取ることができません。

国民年金保険料の免除は、前年度の所得によって、全額免除、4分の3免除、半額免除、4分の1免除とあります。

国民年金保険料の免除を希望する場合は、市町村役場の国民年金担当窓口に申請書を提出しましょう。

国民健康保険の免除

災害や何らかの事情によって、収入が減少し、生活が困難となった世帯に対して、国民健康保険の保険料の一部を免除する制度があります。

国民健康保険の免除は自治体が実施しているものなので、役所に確認してみましょう。

上下水道減免制度

上下水道の料金を減免する制度を導入している自治体もあります。制度の概要は自治体によって異なりますので確認してください。

支給対象者

児童扶養手当や特別児童扶養手当を受給している世帯や、生活保護を受けている世帯などを対象にしている自治体が多いようです。

支給金額

自治体によって減免される額は異なります。東京都の場合、東京都水道局が管轄です。住んでいる地域を所管する営業所に確認してください。

東京都在住の子どもと二人暮らしの世帯を例に、どれくらい上下水道の減免が行われるか見ていきましょう。

1ヶ月の平均使用水量はおよそ16㎥とされています。水道料金は基本料金と10㎡までの従量料金が減免されるため、6㎥分の料金のみの支払いとなります。下水道料金は8㎥までの料金が減免されますので、残り8㎥分の料金となります。

参考:東京都水道局|水道料金・下水道料金の減免のご案内水の上手な使い方

非課税貯蓄制度(マル優)

預貯金や公債・社債などの利子には所得税と住民税が課されますが、障害者など十分な収入を得られない人に対して、元本350万円までは非課税とする、非課税貯蓄制度(マル優)が設けられています。

非課税貯蓄制度(マル優)は、児童扶養手当や遺族年金を受給している人などが対象です。

非課税貯蓄制度(マル優)を利用するには、金融機関に対して、対象者であることを示す公的な書類とマイナンバーカードを提示し、非課税貯蓄申告書を提出する必要があります。

今回お伝えしたように、ひとり親や母子世帯向けに、国や自治体ではさまざまな手当や給付金を始め、税金や公共料金の減免を行っています。地域差があるため、支給を希望する場合はお近くの自治体窓口までお問い合わせください。

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