【小学生・国語】採点への疑問を解決 元教師が教える丸付けの仕方とは?
家庭でも国語を教えてあげたいけれど、いまいちどのように採点したらいいか分からない、合っていると思ったら間違えていた…という経験はありませんか? 今回は、小学校の教師がどのように国語の採点をしているかや、採点をするときのポイントなどを紹介します。子どもの国語の教え方に迷ったら、ぜひ参考にしてみてください。
小学生の国語が採点しにくい理由
他の教科と比べて、国語という教科は採点しにくいと感じるものですが、その理由は大きく分けて下記の2つがあります。
国語の採点が難しい理由
・正解が一つではないことがある
・解答、採点する人によって受け取り方が変わることがある
他の教科では答えが1つしかない場合が多いですが、国語は、“正解が1つではないことがある”ため、記述問題を中心に採点に迷う問題をよく見かけます。
例えば、漢字の場合、“明日”という単語の読み方は、“あす”“あした”のどちらで丸をつけたらいいのか、どちらも丸でいいのか。記述問題では、問いに対して、単語や熟語だけで答えてもいいのか、文章で答えるべきか、語尾の言葉はどう書くべきかなど、迷う点が多くあります。
記述問題では、「くまさんは、どこをながめていましたか?」という問いに対して、「空」や「青空」などの単語や熟語だけで答えてもいいのか、「空をながめていました。」と文章で答えるべきか、語尾の言葉は「ながめていた。」でもいいのかなど、迷う点が多くあります。
また、国語には「作者の思いを考えて書きましょう」という自分の考えを書く問題もよく出題されますが、物語に抱く印象、感想は人それぞれなので、子どもなりに一生懸命考えを答えても、作者の思いと子どもの受け取り方にズレが生じて不正解になってしまうこともありますよね。
では、このような問題に巡り合ったとき、保護者はどのように子どもを正解へ導いていけばよいのでしょうか。次の段落からは、具体的な問題の採点の仕方とポイントを解説していきましょう。
教師の採点の仕方とポイント【漢字の問題】
漢字に関する問題で迷いがちなのは、下記の3点ではないでしょうか?
読み仮名
1つの漢字でも、様々な読み方をするものがあります。教師が読み仮名の採点をするときは、その漢字単体で読む問題か、その漢字の上下に言葉がついていたり、熟語になったりしているのかを必ず見て採点をしています。家庭で採点するときも、このポイントを頭に入れておくと役立ちます。
送り仮名
送り仮名を採点するときは、“危ない”“危い”など、学校で習う送り仮名と、看板などで見かける送り仮名が違い、混乱する場合があります。しかし、送り仮名は学校で習ったものを書いていないと不正解となりますので、教科書やドリルで確認して採点することがポイントです。
漢字の形
漢字の形は、文化庁では「骨組みが合っていればよし」とされていますが、教師が教えた漢字よりも字形が崩れていたり、枠からはみ出したりしていると不正解とする教師もいるのが現状です。しかし、それは「漢字をしっかりと覚えて欲しい」「美しい字を書けるようになってほしい」など、指導意図には教師の思いが込められています。
正直なところ、漢字の丸付けは教師にとって楽なものではありません。書き直しを見たり、なぞらせるお手本を書いたりと、大変な作業が多いです。それでも伸ばしていってあげたいという教師の思いに寄り添うかどうかは自由ですが、教師にも覚悟や思いがあるということは理解してほしいところです。
また、漢字は練習を繰り返しながら覚えるものです。子どもによってはなかなか満点にならない場合もあります。「どんどん覚えてきたね!」などモチベーションを保てるようにサポートしてあげましょう。
教師の採点の仕方とポイント【記述問題】
教師が国語の採点をするときは、必ず基準を決めてから採点をしていきます。その基準は教師や単元により異なる点もありますが、今回は私や私が見てきた多くの教師の採点の仕方とポイントをご紹介します。
記述問題では、下記の2点を重点的に見て採点します。
キーワードが入っているか
キーワードとは、答えに必ず入っていないといけない言葉のことです。その言葉がない場合は不正解となりますが、反対にそのキーワードが入っていれば、余計な文章や言葉が含まれていても、意味が損なわなければ正解となることがほとんどです。
文末に相応しい言葉が使われているか
問題文の中で「どんなことですか」「理由を答えましょう」などと問われたときに、「~こと」「~から」「~ため」などの言葉を使い、きちんと問われた内容に合った答え方で書けているかを見て採点をしていきます。
教師の立場からしても、上記2点は家庭でもぜひ見てほしい点です。その問題が欲しているキーワードがきちんと解答の中に入っているか、相応しい言葉を使って答えられているかをよく見て採点していくことがポイントです。
キーワードが入っておらず不正解になった場合は、「この問題を作った人は、何が知りたいのかな?」「大事な言葉を付け加えてみよう」など声かけをし、もう一度その質問の意図を考え直させる必要があります。
また、文末の言葉遣いで不正解になった場合には、問題文の「どんなことですか」「理由を答えましょう」などの問題文の文末に線や丸で印をつけ、聞き方に対しての答え方を意識できるようにサポートしてあげましょう。「この言葉が出てきたら、何という言葉をつけるんだった?」と何度か声かけを繰り返しているうちに、覚えられるようになってきます。
教師の採点の仕方とポイント【自分の考えを書く問題】
自分の考えを書く問題には、下記のような回答ルールがあります。
問題の答えになっていれば、どんなものでもOKなもの
例えば「この登場人物についてどう思いますか」という質問では、子ども一人ひとりの受け取り方が違うため、その登場人物について自分が感じたことを書けていれば、教師はどんな答えでも正解にする場合がほとんどです。
作者の気持ちを考えるなど、一般的な意見を求められるもの
「作者はどんな思いでこの作品を書いていると思いますか」という問題では、一般的な考え方を求められているということが多いため、模範解答と同じ傾向の内容でないと正解にならない場合が多くあります。そのため、教師は模範解答とズレた考えを書いている場合は、不正解とすることが多いのです。
自分の考えを書く問題を家庭で採点するポイントは、まず、自分の考えを自由に書いていい問題か、一般的な考えを書くべきかを見極めるということです。しかし、見極めると言ってもなかなか難しいものです。正直なところ、自分の考えを書く問題の採点は、教師自身も迷い、悩んでいるものです。
もし、なかなか見極められない、どう答えていたら正解なのか分からないという場合は、問題に沿った自分の考えを表記できていたら正解としておきましょう。補足や訂正などがある場合は、教師が行うはずです。しかし、自分の考えであっても、問われている内容からそれていたり、本文を抜き出して書いたりしているだけの場合は不正解とします。
不正解の場合、「こんなことが思い浮かんだんだね」と、子どもの回答の意図を認めつつ「じゃあ、あなたがこの(登場人物の)立場だったらどんな気持ちかな?」「作者はどんなこと考えながら書いたと思う?」など、質問の意図に合った考え方ができるように誘導する声かけをしてサポートしてあげましょう。
保護者自身が自分の中でしっかりと採点の基準を決めておくことで、例えば、宿題やプリントを丸付けする場面でも迷う回数がぐっと減ります。
また、採点基準を決めたら、子どもにその基準を伝えることをおすすめします。実は、教師も「先生はこんな風に見て丸つけするよ」と伝えることが少なくありません。そうすることで、子どもが問題を解くときにブレずに答えていくこともできるからです。
国語の採点は長年つとめた教師でも迷うときがあります。正解・不正解の理由がよく分からないから教えることをやめると考えるのではなく、ぜひ、これからも子どもの勉強に寄り添っていってあげてください。
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短大卒業後、小学校教員を8年間経験。その8年間の経験から、自分や教育に対する様々な疑問を抱き始め、まずは自分を変えようとヨーロッパへ留学。現場では得られないたくさんの経験を積み重ねるが、留学中も教育への関心はたえず、非常勤講師として小学校に勤務中。好奇心旺盛なため、やりたいと思ったことには進んで挑戦中。