家庭が居場所になっていない。SOSを出せない、一見“普通の子”たちの親がしていること
子どもは、成長するほど複雑な感情を覚えるようになります。時には、友達にも言えないような悩みをひとりで抱えることもあるでしょう。NPO法人第3の家族は、15歳~25歳の男女を対象に家庭環境についてのアンケート調査をおこないました。「家庭が居場所になっていない」と感じる子の、切実な苦悩とは?
目次
少年少女の約2割が「自分の家庭が居場所になっていない」と感じている
NPO法人「第3の家族」は、15歳~25歳の男女を対象に、「家庭を自分の居場所だと思う人」200人と「家庭を自分の居場所だと思えていない人」200人に対して、それぞれアンケート調査をおこないました。
アンケート結果を集計すると、およそ2割が「自分の家庭が居場所になっていない」と感じていることがわかりました。
そこで【家庭が居場所でない人対象】に「家庭環境の悩みを周りの人に知られたくないために、周囲の人に嘘をついたり隠したことはありますか?」と質問しました。
その結果は、「はい」が49%、「いいえ」が51%となりました。。
およそ半数が上手に嘘をついているようですね。ニコニコ振る舞っていれば一見“普通の子”なので、誰かに苦悩を気づいてもらえることは少ないかもしれません。
では、家庭が居場所でないと思っているのはなぜでしょうか。もしかすると親との関係にヒントがあるかもしれません。
家庭が居場所になっていない子の親がしていること
【家庭が居場所でない人対象】に「あなたの親がしていると思うこと全てに選択をしてください」と質問すると、このような結果になりました。
- 自己肯定感をなくす人格否定(例:自分の性格や行動について否定される) 20%
- 生きづらさを感じる過保護(例:なんでも親のコントロール下にある。行動に自由がない)16%
- 親の理想を子どもに押し付ける(例:過度に勉強を強制される。振る舞いを強制される)20%
- 子ども間差別(例:兄弟や姉妹の間で、自分だけ対応が違うように感じる) 14%
- 子どもに依存する(例:自分が親を守らなきゃいけないと思う。親の世話をする)10%
- 激しい気分の浮き沈み(例:親が自分に構ってもらうために過度なアピールをする。激しく怒る)10%
- お金による支配(例:親に自分のお金を取られる。親が望まないものにはお金を出さないとおどされる)8%
- 理不尽な無視(例:話を聞いてもらえない。存在を無視される) 7%
- 過度な監視・管理(例:交友関係に口出しをされる。GPS で監視される) 7%
- 暴力・ものを投げる(例:殴る。たたく。ものを投げられる。体を傷つけられる)7%
- 人前で馬鹿にする(例:友達や知り合いの前で容姿や学力などを馬鹿にされる) 6%
- 子どもを異性として好む・嫌う(例:親に異性として好まれる。親に異性として嫉妬される)4%
- 周囲の意見を聞かない(例:学校の先生や病院の先生のアドバイスや意見を無視する)6%
- 生活に必要なことをしない(例:親が家に帰ってこないことがある。病院に連れて行ってもらえない)5%
- 押し付ける宗教観(自分は望んでいないのに、宗教を強制される。生活するお金が宗教のために使われてしまっている)5%
- その他 3%
- あてはまるものはない 49%
いわゆる“毒親”の存在が見え隠れしますが、実は「あてはまるものはない」の回答が49%と最多です。もし自由回答欄を設けていたら、本音にもっと迫れたかもしれません。
家庭が居場所でない子は、推しやSNSに救われている
本来、家庭はくつろげる場所。学校や職場で何かあっても、家で心身を充電するからこそ、また外へと踏み出せます。
しかし、家庭がそのような場になっていない、家庭が居場所になっていない人は、どのように気持ちをリセットしているのでしょうか。
【家庭が居場所でない人対象】に、「家で嫌なことがあったときの『救い』を教えてください」と質問すると、このような結果になりました。
- 音楽 36%
- ゲーム 17%
- 漫画 10%
- 読書 8%
- 勉強 4%
- 睡眠 24%
- 食事 14%
- お菓子 18%
- 運動やスポーツ 18%
- 友達 17%
- 先輩 4%
- 後輩 4%
- 先生 4%
- 近所の人 3%
- 好きな推し 31%
- SNS 24%
- その他 5%
推しやSNS、音楽など、好きなことでリフレッシュする方が多いようです。家に居場所がなくても、没頭できる趣味があれば、それが心を救ってくれるのですね。
家庭が居場所でない人は、生きづらい傾向がある
では、【家庭が居場所でない】子と【家庭が居場所である】子の差を見ていきましょう。
「気分障害(うつ・躁うつ)の経験がありますか」と質問すると、このような結果になりました。
「気分障害がある気がする。またはそのような時期があったような気がする」について、「居場所でない」子の回答が9%も高くなっています。一方、「気分障害の経験はない」は、「居場所である」子のほうが9%高めです。
また「次のうち、経験したことがあること全てに選択をしてください」の質問では、意外な結果になりました。
「居場所でない」子は、「居場所である」子に比べてパパ活やママ活をしやすいようです。しかし「いじめの加害者になる」「夜の街で遊ぶ」など好ましくない行動は、「居場所である」子のほうが高い割合になっています。居場所があったとしても、それが精神的な寄りどころや幸福感とイコールかというと、そうとは限らないのかもしれません。
アンケートによると、少年少女の約2割が「自分の家庭に居場所がない」と感じていることがわかりました。
居場所がないからといって非行に走るとは限りませんが、気分障害を自覚する子が多くみられました。もしかすると居場所がない子は、外に発散するのではなくて(非行)、内側にナイフを向けるのかもしれません(自己嫌悪・劣等感等)。
家庭問題は、誰かに相談してサッと解決するようなものでもありません。一見“普通の子”たちが心をさらけ出せるような、社会全体でのサポートが求められます。
<参考資料>
・第3の家族「家庭環境データ」
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