気に入った服ばかり着る、好きなものだけ食べる……子どもが「そうせざるを得ない」残酷な理由
子どもの貧困の本質的解決を目指して活動する認定NPO法人 Learning for All (以下、LFA)が、2022年12月20日(火)に、啓発ムービー『子どもって、』を公開しました。外からは見えづらい「子どもの貧困」について、考えてみませんか。
子どもの貧困が見えづらい理由
公益社団法人 セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンが2019年に実施した「子どもの貧困と子どもの権利に関する全国市民意識調査」によれば、「子どもの貧困の実態を知っている」と回答した人は3割程度。
「日本の子どもの7人に1人は貧困状態にある」ことが判明していますが、その実態まで認知されているとはまだまだ言えない状況です。
子どもの貧困が見えづらい理由として、LFAは「日常生活において気づかれにくい」「表面上の印象と、その裏に隠れている実態がわかりにくいから」であると述べています。
「子どもらしい行動」に隠れているもの
「いつもボロボロの衣服」「あきらかに痩せ細っている」などの目に見えるサインがあれば、周囲の大人も早期に気がつくチャンスがあるかもしれません。
しかし実際は、日常生活の一コマの「子どもの行動」に、実は貧困が隠れていることも多いそう。『子どもって、』には、以下のような子どもたちが登場します。
たとえば、いつもお気に入りの服ばかり着て小学校に登校する子。周りから見れば「よっぽどその服が好きなんだな」と、不自然には感じないかもしれません。しかし「家でお風呂に入る習慣がないために、同じ服ばかり着ている」ケースが隠れていることも。
また、自分が好きなものしか食べない子。「好き嫌いが多い」「偏食」とみなされ、見過ごされやすいかもしれませんが、実は「家では1日1回しか食べられないから、毎回好きなものを食べている」こともあり得るのだそうです。
そのほかに、大人ぶる子や家事を自分でやりたがる子も登場。これらも、親が家事や育児をしない・またはできないなどの事情で「そうせざるを得ない」ケースがあるそうです。
子どもの貧困には複数の課題が絡み合う
これらの行動をするすべての子どもが、隠れ貧困であるとは限りません。
しかし、「1日3食ごはんを食べる」「毎日入浴する」「親が家事・育児をする」といった、一般的には当たり前とされることが「当たり前ではない」子どもたちがいることや、その数が決して少なくはないことは事実です。
LFAは、本質的な問題は「経済的な貧しさ」だけではなく、子どもたちが「家事・育児・介護の担い手になっている(ヤングケアラー)」「虐待を受けている」「学校へ行かない(行けない)」「将来の希望を持ちにくい」など、複数の課題が絡み合っていることだと述べています。
まずは「知ること」から始めよう
隠れ貧困に置かれている子どもたちが、必ずしも「わかりやすいサイン」を出しているとは限りません。
問題のある家庭で生活していても、外では明るくふるまう子、しっかり者に見える子どももいるはず。そういった場合、周囲の大人は、その子が抱える問題により気づきにくいかもしれません。
私たち大人ができることは「子どもの貧困は目に見えづらい」「何気ない行動に見えても、貧困が理由というケースもある」とまず知ること。たとえば我が子の同級生を見たときに「あの子、もしかしてそうかも?」と気づくことができるきっかけになるかもしれません。
<参考資料>
・認定NPO法人 Learning for All 「子どもの貧困」は見た目だけでは分からない、”隠れ貧困”。あなたの認識が試される啓発ムービー『子どもって、』を12月20日より公開(PR TIMES)
・「子どもの貧困と子どもの権利に関する全国市民意識調査」(公益社団法人 セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン)
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1987年生まれ。日本大学芸術学部卒業後、出版社勤務等を経てライターとして活動。主に女性の生き方、ワークスタイル、夫婦・子育て、社会問題などのジャンルで執筆。小説執筆も行い、短編小説入賞経験あり。