【発達障害の子どもの不登校】親ができる対応や家での過ごし方は?相談先や事例も紹介
発達障害の子どもが不登校になると、親は対応に悩むことが多いのではないでしょうか。適切な関わり方や家庭での過ごし方を知ることは、子どもの心と生活の安定に大いに役立ちます。そこでこの記事では、発達障害の子どもが不登校になった時の向き合い方や家での過ごし方、今後の選択肢などを詳しく紹介します。加えて、親が相談できる機関もお伝えします。悩みを抱える保護者にとって、実践的なヒントとなれば幸いです。
目次
発達障害と不登校の関係とは?
不登校とは、何らかの要因により、年間30日以上欠席した児童生徒のうち、病気や経済的な理由を除いたものを指します。
不登校のきっかけはさまざまですが、発達障害が原因となることはあるのでしょうか。
発達障害が不登校の原因?
注意欠陥・多動性障害(ADHD)、自閉スペクトラム症(ASD)やLD(学習障害)などの発達障害を持つ子どもたちは、学校生活で困難に直面することが多いと言われています。
失敗したり傷ついたりした経験が重なると、学校に通うこと自体がストレスとなり、不登校に繋がる可能性も考えられます。障害ごとの困難さについては、のちほど詳しく解説します。
また、皆が教室で一斉に同じ内容を学ぶスタイルになじまないために登校しなくなる子どももいます。この場合、特定のきっかけはなく、学校とその子の個性がフィットしないことが不登校の理由です。
二次障害で不登校が起きることも
発達障害の二次障害とは、発達障害がもたらす困難やストレスによって生じる心理的、社会的な問題のこと。
発達障害と不登校の関係は複雑であり、「発達障害だから不登校になった」と断言することはできません。
しかし、発達障害のある子どもが不登校になった場合には、その背景に特性ゆえに抱えている困りごとがあったのではないか、と考えてみることが大切です。
不登校に占める発達障害の子どもの割合は?
文部科学省が2023年10月4日に公表した「令和4年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」によると、小・中学校における不登校児童生徒数は29万9,048人で、前年度から54,108人(22.1%)増加し、過去最多となりました。
在籍児童生徒に占める不登校児童生徒の割合は3.2%(前年度は2.6%)。不登校が増え続けていることが分かります。
※参考:文部科学省「令和4年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果及びこれを踏まえた緊急対策等について(通知)
全体に占める発達障害の子どもの割合
2022年に行われた文部科学省調査によれば、「学習面または行動面で著しい困難を示す」とされた児童生徒の割合は小・中学校段階で8.8%とされています(必ずしも発達障害等の診断を受けている子どもの数ではないことには注意が必要です)。
※参考:文部科学省「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果(令和4年)について
教育の未来を研究する会『最新教育動向2024必ず押さえておきたい時事ワード60&視点120』2023年明治図書出版
不登校のうち、発達障害を持つ子どもの割合
不登校児のうち、発達障害を持つ子どもの割合はどれくらいなのでしょうか。公的なデータでは明らかにされていないので、他のデータから読み解いていきます。
岩佐ら(2022)によって行われた研究では、自閉スペクトラム症の成人のうち不登校経験者の割合はIQ70以上の自閉スペクトラム症者で30.6%、IQ70未満の自閉スペクトラム症者で16.5%だったことが報告されています。3.2%という文部科学省の調査結果と比べると、割合の違いが明確です。
また、ムンクハウゲンMunkhaugenら(2017)がノルウェーで行った研究では、知的障害のない9~16歳の自閉スペクトラム症(ASD)の小中学生78名と定型発達の小中学生138名の生徒を対象に学校拒否行動の割合を比較しました。定型発達では7.1%だった学校拒否行動の割合が、自閉スペクトラム症の小中学生では42.6%にのぼり、自閉スペクトラム症の小中学生は学校拒否行動が有意に高いと報告されています。
※参考:シンリンラボ【特集 令和型の不登校にどう向き合うか】不登校と発達障害|本郷美奈子
発達障害の種類別、不登校の原因になりやすい特性や困りごと
発達障害の子どもたちに不登校に陥りやすい傾向があるのは、なぜでしょうか。ここでは、ADHD(注意欠如・多動性障害)・ASD(自閉スペクトラム症)・LD(学習障害)について、特性と学校生活で起こりやすい困りごとを見ていきましょう。
1.ADHD(注意欠如・多動性障害)
ADHD(注意欠如・多動症)は、落ち着きのなさや集中しづらさが特徴の発達障害です。不注意・多動性・衝動性の3つの特性によって、学校生活の中で不適応を引き起こすことがあります。
例えば、集中力の欠如によって授業中にたびたび離席をしてしまったり、衝動性や不注意のせいで友達とトラブルになったりします。忘れ物や遅刻も多く、周囲からも「困った子ども」「不真面目」というレッテルを貼られることも。
一見あっけらかんとした楽天家に見られがちなADHDの子どもですが、教師や友達からの指摘や叱責には深く傷ついています。その結果、自己肯定感が低下し、不登校につながる場合があるのです。
2.ASD(自閉スペクトラム症)
コミュニケーションや対人関係の難しさから、学校で孤立しやすいASD。空気を読むことも苦手なため、同調圧力の強い日本の学校では浮いた存在になりがちです。細かいことに気が付き、ルールを守ることにこだわるあまり、友達のちょっとしたミスを追求しすぎてしまうこともあります。
加えて、見通しがもてないと不安になるため、学校生活で起こるスケジュールの変更には負担感が。長時間続き、ゴールが見えにくい行事の練習などもストレスになります。
これらの要因から、不安やしんどさを感じて登校できなくなっていくケースが見られます。
3.LD(学習障害)
読み書きや計算など、特定の学習スキルに困難を抱えるLD。学習が難しくなる小学校3年生ごろから授業についていけなくなり、苦痛になることが多いでしょう。
本人としてはがんばっているのに、「真面目に取り組んでいない」「家庭での学習が足りない」と指摘されてしまうこともあり、自信を失いがちです。
その結果、学業不振がきっかけで不登校に繋がる可能性があります。
4.その他
上記の特性以外にも、以下のような困りごとを抱える子どもが見られます。
①感覚過敏
五感の過敏さから以下のような困難さがあり、学校生活に支障が出ます。
【例】
・まぶしさを感じやすい(視覚過敏)
・大きな音や声、リコーダーなど特定の音色が苦手(聴覚過敏)
・制服や体操着が着られない(触覚過敏)
・給食やトイレ、ゴミ箱などによる校内の臭いに耐えられない(嗅覚過敏)
②発達性協調運動症(OCD)
協調運動(身体の動きをコントロールして行う運動)が苦手で、日常生活に支障が出る状態です。動きのぎこちなさや不器用さから、以下のような活動で自信をなくしてしまうことがあります。
【例】
・器械体操(跳び箱、マットなど)
・球技(ドッジボール、サッカー、バスケットボールなど)
・遊具(うんてい、鉄棒など)
・書字や工作
発達障害児が不登校になったときに取りたい親の対応とは?
子どもが学校に行けなくなると、親としては心が乱れることでしょう。子どもを問いただしたくなったり、学校に強い不信感を抱いたりするかもしれません。そんな時こそ心がけたい、対応のコツをお伝えします。
子どもの気持ちを理解し、寄り添う
登校できなくなった理由にかかわらず、子どもは疲れて傷ついています。
親としては学校に行けなくなった理由が気になるところですが、子どもが話したがらないなら無理に聞き出す必要はありません。まずは子どもに寄り添い、心と体を休ませてあげてください。
少し経って、子どもが話し始めたら、不安な気持ちや悲しみをじっくり聞きましょう。
学校との連携を強化する
子どもが不登校になった場合、まず大切にしてほしいのが学校との連携強化です。
「嫌な思いをしたので、学校と関わりたくない」「休んでいる間は連絡しづらい」などの事情もあるでしょう。でも、学校とのつながりが完全に途切れてしまうと、子どもの今後に向けた情報も入りにくくなってしまいます。
子どもの状況や今後に関わらず、学校とのつながりは保っていきましょう。
・保護者から積極的に情報提供をする
子どもの特性や困りごと、家庭での様子などを学校に伝えるのがおすすめです。
不登校の期間中は、保護者からの連絡がない限り、学校は家庭環境や子どもの状況を把握できません。「最近はこんな様子です」といった軽い感じで良いので、電話や連絡帳などで伝えましょう。
幅広い先生との信頼関係を大切に
担任だけでなく、学校内の先生方との関係づくりを大切にしましょう。
いじめなどが原因で不登校になった場合、学校に対する不信感が生まれるかもしれません。しかしどの学校にも、理解のある先生が必ず1人はいるはず。担任との関係が良くない場合は、スクールカウンセラーや特別支援コーディネーターとつながりをもちましょう。
要望を伝える際には、学校側と対立するのではなく、子どものために一緒に考えていくスタンスで臨めると良いですね。
・幅広い先生との信頼関係を大切に
担任だけでなく、学校内の先生方との関係づくりを大切にしましょう。
いじめなどが原因で不登校になった場合、学校に対する不信感が生まれるかもしれません。しかしどの学校にも、理解のある先生が必ず1人はいるはず。担任との関係が良くない場合は、スクールカウンセラーや特別支援コーディネーターとつながりをもちましょう。
要望を伝える際には、学校側と対立するのではなく、子どものために一緒に考えていくスタンスで臨めると良いですね。
専門機関へ相談する
親だけで不登校の大変さを抱え込まないためにも、積極的に専門家の支援を受けましょう。思い詰めていた心が少しラクになったり、有益な情報が入ってきたりするかもしれません。
具体的な相談先については後ほど詳しくお伝えします。
不登校になっている発達障害児との接し方、向き合い方のポイント
子どもが登校しなくなってしばらく経つと、「家庭内でどう向き合えば良いのだろう」という悩みが生まれてくることでしょう。お互いに心の安定を保ちながら、今後に向けて前進するためのポイントをお伝えします。
できるだけポジティブなコミュニケーションを
子どもの自己肯定感を育み二次障害を予防するためには、周囲の理解とサポートがとても大事です。
発達障害は目に見えにくいので、理解のない周囲から責められたり、必要な配慮が得られなかったりします。家庭では、子どもの行動を否定するのではなく、「あなたはここにいて良いんだよ」というメッセージを伝えられるといいですね。
そのためには、小さなことでも言葉に出してほめていきましょう。また、家事を手伝ってくれた時は、「ありがとう。助かったよ」と伝えることも有効です。
反対に「そろそろ学校に行ってよ」と登校を強いるのは逆効果。子どもの内面で準備が整うまでは、待つ姿勢を貫きましょう。
子どもの自己理解をサポートする
発達段階や子どもの性格にもよりますが、自分自身への理解が進むと、トラブル回避や二次障害の予防につながります。
特性ゆえの言動で友達を怒らせても「ぼくは悪くない」と頑なに思っていたり、「何をやっても友達のようにできない。私はダメな子なんだ」と自分を卑下しすぎたりといったケースはとても多いのです。
自分の得意なことや苦手なこと、サポートが必要なことが分かってくると、学校生活をスムーズに進めるための方法も見つけやすくなります。
とはいえ、親からの指摘だと受け入れにくい子どももいるかもしれませんね。そのようなときは、以下のような漫画や本の力を借りるのもおすすめです。
親自身も心のケアも忘れずに
子どもが不登校になると、親は自分の育て方に自信を失ったり、子どもの将来を不安に感じたりするかもしれません。しかし大切なのは、決して自分を責めないこと。発達障害は、親の育て方や本人の努力不足が原因ではありません。
まずは親のメンタルケアを最優先しましょう。一人で抱え込まず、家族やフリースクールの先生、カウンセラーなどに相談したり、同じ悩みを持つ保護者と交流したりして、モヤモヤを吐き出してください。自分の時間もできるだけ確保し、趣味やリラクゼーションを楽しめると良いですね。
「私の元気は家族のため」と考えて、自分の心と体をしっかりケアしてください。
学校以外の学びの場を検討する
学校以外にも、学びの場は多様化しています。のちほど詳しく解説しますが、教育機関によっては学校と連携し、出席日数にカウントするところも増えています。学校に復帰するのも良いですし、学校以外の場に居場所を見出すのも一つの選択です。
子どもの気持ちが落ち着き、次のことを考えられるようになったら、選択肢を示したり一緒に見学に行ったりしてじっくり検討するのも良いでしょう。
不登校中の家での過ごし方
不登校の状態が続くと、生活リズムの乱れや学習の遅れなどが気になってくるのではないでしょうか。しかし、家での過ごし方に気をつけることで、悩みを最小限に抑えることは十分可能です。
生活リズムを整え、朝型生活を維持しよう
不登校の子どもは、生活リズムが乱れがち。朝型生活を保つことは非常に重要です。規則正しい生活は、子どもの体内時計を整え、日中の集中力や学習効率を高める効果があります。
親としてここは譲らず、学校に行っていた頃と同じようなタイムスケジュールで生活させましょう。朝7時に起床し、7時半には朝食を摂る、といった具体的なリズムを示すことが大切です。
しかし中には、概日リズム睡眠障害などのために昼夜逆転になるケースもあります。子どもがどうしても夜眠れず朝起きられない場合には、睡眠外来の受診も検討しましょう。
家事を手伝わせ、家族の一員として頼ろう
家族の一員として頼りにされれば、子どもは自分をかけがえのない存在として感じられるようになるでしょう。家族との絆が深まり、心理的な安定感も得られます。
例えば、料理の手伝いや掃除、洗濯など、日常的な家事を一緒に行ってみましょう。慣れてきたら、子どもと相談して特定の家事を担当させます。
家事には計画力やマルチタスク能力、ワーキングメモリーなどさまざまな力が求められ、生活リズムの改善にもつながります。また、生活力が身につき、将来役立つことは間違いありません。
最初は手取り足取り教えるのが大変かもしれませんが、ぜひ家事を通して、日常の中で成長の機会を増やしてください。
運動習慣を身につけさせよう
学校に行かなくなるとどうしても運動量が減り、体力が落ちたり、肥満につながったりします。しかし、運動は心身の健康を維持するために欠かせません。無理なく続けられる運動習慣を持つことで、ストレス解消や体力向上、生活リズムの改善につなげたいですね。
例えば、家庭用ゲーム機でダンスゲームやフィットネスゲームを使えば、楽しみながら運動できます。また、YouTubeには多くのストレッチやダンス、筋トレの動画があり、手軽に始められます。中には犬や猫などのペットを飼い始め、散歩や室内遊びを通じて自然と体を動かす機会が増えたというケースも。
ちなみに、外でウォーキングやランニングをする場合は学校の授業時間を選ぶのがおすすめ。友達とばったり会って気まずい思いをせずに済みます。
ゲームやスマホ、タブレットは時間と場所をルール化しよう
長時間動画を観たり、夜中までゲームに没頭したりする習慣がつくと、生活リズムが乱れ、再登校が難しくなります。また、SNSでのトラブルやネガティブな情報に触れすぎるのも心配です。
ゲームやスマホの害を防ぐためには、親子で話し合ってルールを決め、それを見えるところに貼り出しましょう。「平日は夕食後1時間まで」「スマホやタブレットは自室に持ち込まず、リビングで使う」など、具体的な時間と場所を設定します。
お互いにストレスなくルールを守らせるには、デバイスやアプリの機能を利用して使用時間を制限し、仕組み化するのがコツ。スマホのスクリーンタイム機能や、ゲーム機のペアレンタルコントロールを活用しましょう。
親子の関係はつかずはなれずがベスト
親子の絆は大切ですが、「私がなんとかしなければ」とべったりになるのは避けたいもの。一方、無関心になったり、子どもをほったらかしにするのも良くありません。
適度な距離感を保つことが、子どもの自立と成長を促します。例えば、親子で好きなことに一緒に取り組む時間をつくりましょう。映画や散歩などを共に楽しめば、自然な会話の機会が増え、子どもも安心感を得られます。
もちろん、お互いに1人の時間もしっかりと確保してください。親子関係が息苦しくならないよう、互いに適度な距離を保っていきましょう。
学校以外の居場所を探そう
学校以外の居場所を持つことで、子どもは社会とのつながりを保つことができます。孤立感が薄れ、精神的な安定にも役立つでしょう。
例えば、のちほど紹介する教育支援センターやフリースクールの利用が有効です。学校とは異なる環境で学び続けることができ、自信を回復するきっかけになるかもしれません。
また、地域に「ちょっと立ち寄れる」「少しおしゃべりできる」気のおけない関係の人がいると、子どもにとって大きな支えになります。近所の人や行きつけのお店との関係は意外と支えになるのです。
不登校でも仲良しの友達とならば遊べる子どももいます。友人関係が続くことで、学校の情報が自然と入ってきて、復帰のきっかけになることも。欠席していても変わらない友人関係、大切にしたいですね。
学習への興味を持ち続けられるようにしよう
学校に通わなくても、本や動画を通じて勉強することはできます。毎日少しでも学習に触れることで、学びのリズムと学習意欲を保ちましょう。
インターネットやTV番組などで子どもに合った学習方法を取り入れることで、無理なく学び続けることができます。
例えば、NHK for Schoolは各教科の学習内容を親しみやすく解説しているサイト。インターネット環境があれば無料でたくさんの動画を視聴できるのでおすすめです。
机上の学習に限定せず、子どもの「好き」や「得意」を伸ばすことも大切です。自然や科学、アートなど、興味のある分野の本や動画を紹介してあげましょう。
また、家庭教師のサポートやオンライン学習プラットフォームを活用することで、個々のペースに合わせた学習も可能です。学習の遅れが不登校のきっかけになった場合はとくに、学習面でのサポートが再登校につながります。
今後の過ごし方と将来の進路
子どもの状況や希望に合わせて、柔軟に進路を検討できる時代になりつつあります。学校に戻る(再登校)はもちろんのこと、別の学びの場も。不登校であっても、将来の選択肢が狭まるわけではないのです。
ここでは、小中学校で不登校になった子どもが次に進むステップや、高校以降の進路について解説します。
学校への復帰
不登校になっても、一定の期間の後に再登校(学校への復帰)するようになる子どもはたくさんいます。
ポイントは焦らず段階的に進めること。急に学校へ戻ることは、多くの場合子どもにとってかなりのストレスになります。学校とのつながりをゆるく維持しながら、子どもが少しずつ学校生活に戻れるタイミングを見つけましょう。
行けそうなタイミングはその子によって異なります。学期や年度の切り替わり、子どもが好きな行事や給食など、一緒に探ってみましょう。少しずつ学校との接点を増やしていくことができます。
また、教室での学習がすべてではありません。保健室など別室への登校や、放課後の登校から始めるのも良いでしょう。ぜひ学校と相談してみてください。
転校
特定の先生や友達が苦手、いじめを受けているなどの理由があれば、他学区の公立校や私立校への転校を視野に入れることも考えられます。
転校は、いわばリセットの機会。環境を変えることが子どもの精神的な負担をやわらげ、心の安定を取り戻す助けになります。転校を希望する場合は、在籍校に相談してみましょう。
しかし、新しい環境でのスタートにはかなりのエネルギーが必要なのも事実。新しい友達や先生に慣れるには時間がかかり、子ども自身も緊張します。転校先でも再び不登校になる可能性がゼロではないことも頭に入れておきましょう。
教育支援センター(適応指導教室)
不登校の児童生徒の学校復帰を支援する場所が教育支援センター(適応指導教室)です。各自治体の教育委員会が設置している施設で、これまで通っていた学校に在籍のまま通所します。もちろん出席扱いです。
学習面では個別指導を行うところが多いようです。また、コミュニケーションの練習やカウンセリングが行われる場合もあります。
各自治体によって設置状況や支援内容は異なるので、利用を検討する際には在籍校や教育委員会に問い合わせて情報収集をしましょう。
※参考:文部科学省「教育支援センター(適応指導教室)に関する実態調査」結果
フリースクール
フリースクールは、不登校の子供に対し、学習活動、教育相談、体験活動などの活動を行っている民間の施設です。規模や活動内容はさまざま。従来の学校とは異なるカリキュラムや方針で運営されており、費用も多岐にわたります。
一部のフリースクールでは、地域の小中学校と連携し、登校が出席扱いとなる場合もあります。学校以外の選択肢の一つとして、子ども自身の状況や希望、家庭の経済状況などを考慮した上で、検討しても良いでしょう。
発達障害や不登校の子どもをサポートする塾
フリースクールとは別に、不登校の子どもむけの塾も増えています。発達障害児に特化したサポートを提供しているところもあるので、お住まいの地域にお子さんに合った塾があるかどうかインターネットなどで調べてみるのも良いでしょう。
気になるところがあれば、無料体験や無料相談を受けてみては。外の空気を吸うきっかけになったり、親の悩みを話せる場になったりするかもしれません。
通信制高校への進学
通信制高校は、インターネットや郵便などの通信手段を用いて教育を行う高等学校です。学習時間や時期、方法等を選択して学ぶことができます。
自宅学習を基本としつつ、登校する頻度を自分で選べる学校も。自分のペースで学習を進めたい子どもや、従来の学校生活に馴染みにくい子どもにとって、選択肢のひとつとなっています。
対人関係のストレスを軽減できるという点も、通信制高校の魅力。 コミュニケーションが苦手な生徒でも、ストレスなく過ごせる可能性があります。
サポートが手厚い学校や大学への進学を視野に学習指導に力を入れている学校など、特色はさまざま。目的に合った学校を選ぶことが大切です。
特別支援学校分教室への進学
特別支援学校分教室とは、特別支援学校が他の学校内に設置する教室です。本校の学級として扱われ、職員も本校から配置されます。「特別支援学校卒業」となるため、高等学校卒業資格は得られないものの、将来を見通した細やかな指導が受けられるのが特徴です。
在籍しているのは軽度発達障害の生徒が多いですが、選考の基準は自治体によって異なります。設置数にも差があるので、教育委員会に問い合わせてみましょう。
高等学校卒業程度認定試験(旧大学入学資格検定)
高校卒業者と同等の学力を証明できる試験制度で、大学や専門学校への進学資格を得るために活用が可能です。
通信教育や通学、独学で学んで受験する人が多く、合格後には大学の他、専門学校、短期大学、海外の大学などに進学するケースもあります。
就職
不登校がきっかけで高校へ進学しなかった場合、中卒で就職するという選択肢も考えられます。
本当にやりたい仕事があったり、早く働きたい気持ちがあったりする場合は、考えてみても良いかもしれません。ただし、高卒や大卒と比べ、給与や待遇、仕事内容の面で不利になる可能性は高いでしょう。
検討したい場合は公的な窓口に相談するのがおすすめです。厚生労働省では若者向けの就職支援を行っているので、参考にしてください。
※参考:厚生労働省「若者への就職支援」
在宅
在宅のまま好きなことをしたり勉強したりして、将来的に進学や就職をめざすという道もあります。
しかしその場合は自己管理能力が必要。親の細やかなサポートも求められます。生活リズムの乱れやひきこもりにつながる可能性も否定できません。
在宅で過ごす場合も、外部の専門家などとのつながりを保ち、いつでも相談できるようにしておきましょう。
発達障害と不登校についての相談先
子どもの不登校が続き、発達障害との関連も考えられる場合は、専門家に相談することをおすすめします。
頼りになる相談先をまとめました。
自治体の相談窓口
学校以外にも、相談できる公的機関は複数あります。無料で利用でき秘密も守られるので、「とりあえず誰かに話したい」と感じたら電話をしてみましょう。
児童相談所や児童相談センター、児童家庭支援センター
不登校に限らず、子育ての悩みや子どもの行動問題を相談できます。親子関係の悩みにも対応していますので、子どもとうまくコミュニケーションが取れない場合は相談してみると良いでしょう。
※参考:こども家庭庁「児童相談所一覧」
ひきこもり地域支援センター
子どもが家から出られなくなってしまった場合や、「このまま成人してひきこもりの状態になるのでは」と心配な場合におすすめの相談先です。社会福祉士、精神保健福祉士、公認心理師等の資格を持つひきこもり支援コーディネーターが中心となり、学校や家族会など地域における関係機関と連携しながら、ひきこもりに関する専門的な支援を行います。
医療機関
児童精神科や小児科などで、発達障害の特性や二次障害について診断や薬の処方、過ごし方のアドバイスを受けられることがあります。
専門家によるカウンセリングや親向けの相談を提供しているところもあるので、近隣の医療機関を調べてみましょう。
ただ、中には初診が数ヶ月先というところもあります。本格的にしんどくなってから医療機関を探して予約するのは大変。早めに動くことをおすすめします。
親の会・支援団体
近くに仲間を見つけるのが難しい、不登校児の家族。同じ悩みを持つ親同士が相談し合ったり、先輩ママ・パパの話が聞けたりすると心強いのではないでしょうか。
全国には不登校児の親の会がたくさんあります。仲間を見つけたい人には特におすすめです。
また、不登校の子どもとその家族を支援する団体も全国にあります。親の相談に乗ったり、子どもにオンラインで面談や学習の機会を提供したりしているところもあるので、気になる方は調べてみましょう。
※参考:NPO法人 登校拒否・不登校を考える全国ネットワーク
不安を家庭だけで抱え込まず、子どもの学びの場を見つけよう
発達障害の子どもの不登校について、家庭での過ごし方や対応のコツ、相談先をお伝えしました。
大切なのは、親子共に不安を減らし、安定した気持ちで過ごすこと。そして、具体的な対応や家庭での工夫を通じて、子どもが自分らしく学べる環境を整えることです。
再登校を選ぶにしても、新たな学びの場を探すにしても、家庭だけで抱え込まずに幅広い相談先を頼りましょう。より効果的なサポートにつながります。
子どもが自分の良さを活かしながら成長していくための方法を、これからも一緒に探っていきましょう。
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