「生理痛に鎮痛剤を飲み続けたら効かなくなる?」子どもに聞かれたら、答えられますか?
生理の悩み事として多いものといえば、生理痛。最近は子ども用の鎮痛剤などが販売されており、誰でも手に取りやすくなっていますが、今も昔も変わらず子どもたちにとって不安や疑問が多いテーマです。みなさんは子どもの疑問に正しく答えられますか?
今回は、書籍『思春期女子のからだと心Q&A』から、「知っているようでちゃんと説明できるかは微妙……」な生理痛の仕組みと鎮痛剤についてのQ&Aを紹介します。
子どもたちのリアルな疑問にしっかり答えることができますか?
生理や性病、避妊など、思春期を迎えた子どもたちが興味をもつ体についてのさまざまな話題。いざ真正面から疑問をぶつけられると、うまく答えられないこともあるのではないでしょうか。
それは、大人である私たちが十分な性教育を受けてこなかったことが原因の一つでもあります。学校の性教育の学習はまだまだ十分とはいえず、教えられないままだったり、曖昧な表現すぎて実用的ではなかったりすることが多いのです。
しかし、子どもの体を守るためにも、大人がしっかりと正しい知識を伝えていかなければなりません。そんなときに子どもがもつ疑問に答えるための知識として役立つのが、今回紹介する『思春期女子のからだと心Q&A』。
産婦人科医兼中高の学校医としても活躍する著者が、自身の診療現場でのエピソードも含めて、あらゆる疑問をくわしく解説しています。
今回は、本書から「生理痛」についてのQ&Aを一部抜粋してご紹介します。
Q:生理痛がつらくて学校を休んだ。病気かな?
A:思春期のうちはまだ病気ではないことが多い。ですが……。
女の子は平均12歳くらいで「初潮」を迎え、しばらくすると「排卵」が起こり、子宮内膜(赤ちゃんのベッド)を厚くして「妊娠の準備」をします。
妊娠が成立しないと子宮内膜は剥がれ落ち、膣から体外へ排出されます。これが「月経」です。
月経のとき、多くの女性は多少の「お腹や腰の重だるさや不快感」を感じますが、より症状が強く日常生活に支障をきたすものを「月経困難症」といいます。これには「機能性月経困難症」(病気がないタイプ)と「器質性月経困難症」(病気があるタイプ)の2つがあります。
思春期の女の子はまだ「機能性」のことが多いのですが、そのまま「器質性」へ発展していくことがあります。月経は子宮内膜の剥がれであり、病理学的にはそこに炎症が起こっています。月経の旅に炎症が繰り返され、そこに何らかの免疫反応が働き器質性へ発展していくのだと考えられています。
Q:生理痛ってどうして起こるの?
A:月経の際に出る発痛物質が脳に伝わるためです。
まず、「痛みはなぜ起こるのか?」ということから考えていきましょう。
人間の痛みはすべて脳が感じています。月経痛は、子宮内膜が剥がれたときに発生する「プロスタグランディン」という発痛物質が、脊髄神経へ電気信号として「脳」に「痛み」を伝えています。そのため、この「プロスタグランディン」を抑えることが一つの対処法になります。
では、どうすれば良いのか。
まず初めの対処法は、一般に市販されている「鎮痛剤を服用すること」です。
ポイントは「早めに服用すること」、そして「痛みの閾値を上げていくこと」です。できれば、痛みを感じる前に薬を飲んで「痛くない状態をつくること」です。
一度つらい痛みを経験すると、「次も痛いのでは……」と脳は痛みに敏感になります。痛み物質を水に例えると、その受け皿になるバケツから水があふれてしまうということです。それなら、バケツを大きくすればあふれませんよね。
Q:鎮痛剤を飲み続けると、効かなくなるってホント?
A:それは間違い。薬剤師と相談して決めるのも良いでしょう。
いま市販されている鎮痛剤は、用法要領を守れば思春期でも安心して服用できるものがほとんどで、耐性はありません。
痛み止めを選ぶ基準は特にありません。価格やパッケージで決めてもよいと思います。薬剤師さんと相談して、自分に合うものを探してみるのもよいでしょう。
そして、学校でも服用できるよう、いつも「お守りとして持つ」ことをおすすめします。服用する際は空腹時を避け、何か食べ物(クッキーなどでもよい)とたっぷりの水分をとりましょう。
わからないことは親子で一緒に学ぶ姿勢も大切
昔からの迷信で、「生理は病気ではないのだから多少痛くても様子見で大丈夫」「痛み止めは飲まない方がよい」と信じている方はまだまだ一定数います。
しかし現代は生理や体について気軽にネットで調べられる時代。大人も知識をアップデートしていくことが大切です。
本書を通して、親子で知識を性に関する知識を身につけていってもよいかもしれませんね。
- 書名:思春期女子のからだと心Q&A 資料ダウンロード付き
- 著者:八田真理子
- 価格:1,980円
- 出版社:労働教育センター
※本記事は、『思春期女子のからだと心Q&A』本文を出版社の許可を得て、一部引用させていただきました。
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