【田舎で子育て】校外活動「キュリオスクール」など独自の支援が多数!岡山県新庄村(しんじょうそん)

“田舎”での子育てに興味があっても「実際どうなの?」と不安がありますよね。そこで、田舎での子育てはどうなのか、どんなサポート制度があるのかを紹介していきます。今回は中国地方で一番小さな自治体である岡山県新庄村をピックアップ。ぜひ参考にしてください。
目次
新庄村ってこんな村

岡山県の西北端に位置し、お隣はすぐ鳥取県という新庄村(しんじょうそん)。面積は67.1km2で、370世帯、約800人が暮らす小さな村です。毛無山(けなしやま)を主峰とする1000m級の連山に囲まれ、面積の91%が山林。ブナの原生林を中心とした森林は、多彩な植物や野鳥の宝庫です。また、古くは山陰と山陽を結ぶ出雲街道の宿場町「新庄宿」として栄え、旧出雲街道では現在も人々が生活を営みながら、往時の風情を残しています。
主な産業は農業・林業です。8月の平均気温は24.5度、1月の平均気温は1.1度(※新見地点)。冬の降雪量は多く、積雪は50〜60cmほど。
近隣の主な都市への交通は、真庭市まで車で約30分、津山市、新見市、鳥取県米子市までそれぞれ車で約1時間、県庁所在地の岡山市までは約1時間30分。
そんな新庄村を象徴する3つのスポット・名産品を紹介します。
がいせん桜

明治39年、日露戦争の戦勝記念として植樹された132本の桜並木が、タイムスリップしたような建物が並ぶ旧出雲街道沿いに続きます。夜桜も楽しめる4月の「がいせん桜まつり」では、多くの人々でにぎわいます。
毛無山

中国地方の尾根にあたる山。毛無山ブナ林は「水源の森百選」、毛無山ブナとカタクリの花は「環境省選定 日本のかおり風景100選」に認定されています。初心者から楽しめる登山コースもあります。
ひめのもち

夏の昼夜の寒暖差が大きい気象条件は、餅米の生産に適しています。旭川の源流であるブナの原生林、毛無山一体から湧き出る清流に育まれた餅米「ひめのもち」は、きめ細かくコシの強い丸餅や大福、しゃぶしゃぶ餅などで親しまれています。
“子どもファースト”を掲げる新庄村の手厚い子育てサポート
新庄村での生活支援、子育て支援はどのようなものがあるのでしょうか。後述の「新庄村の支援制度一覧」にまとめたように、かなり充実したサポートが行われています。
まず移住にあたっては、転入奨励金や引越し費用の助成金があります。例えば空き家バンクに登録された物件を購入しリノベーションして住むケースだと、物件内に残置物があった場合の片付け費用、購入費用、改修費用の補助制度があり、合わせて最大170万円の助成が受けられます。
子育て支援で特に目を引くのは、おむつのサブスク(現物支給または実費を助成)、小・中学校の給食無償提供、高校生までの児童・生徒の医療費無料など。村内に高校はありませんが、高校通学費の助成や奨学金制度も用意しています。
創造的なマインドとスキルを育む「キュリオスクール」

新庄村では人財育成のための取り組みとして、学校外活動にも力を入れています。注目は、国際バカロレア機構が提供する国際的な教育プログラムに基づいて、デザイン思考を取り入れた教室「キュリオスクール」。小・中学生を対象に、週に1日開催する公営塾です。受講料は1か月あたり一人1500円、きょうだい児の割引制度もあり、古民家を改装したコワーキングスペースで受講します。
創造力を育み、課題解決の力を養うことが狙い。子どもたちは高校入学時に村外に出ることになるため、社会的なギャップを乗り越える力をつけさせたいと2016年から始まりました。多くの子どもたちが生き生きと学んでいます。
第三の居場所「すくすくハウス」

また2024年4月、新庄村では「こどもまんなか村」宣言を提唱。この宣言では、子どもたちが健やかに成長できる村の実現に向けて、子どもたちを真ん中に、子育てに関わるみんなが幸せになる社会をめざしています。
そこで新たに始まった取り組みが、子どもの第三の居場所「すくすくハウス」です。2019年に小中学校一貫校となったことで空いた小学校の職員室のスペースを拠点に、放課後から夜間まで、子どもが自由に過ごせる場所です。日々の学習や生活の支援を行うほか、地域の方々の協力によるダンス教室や読み聞かせなど、豊かな体験の場も提供。登録制で利用料は無料です。
関連して、月に1回程度、大人も子どもも利用できる『すくすくキッチン』も開催しています。児童、生徒、親、地域の方、役場の方などみんなでテーブルを囲んで食事しながら、世代を超えて交流できる場です。
新庄村の移住・子育て支援制度一覧
生活関連
支援制度 | 助成金額等 | 支援内容詳細 |
---|---|---|
転入奨励金 | 100,000円/世帯 | 下記の条件のいずれかを満たす場合に奨励金を贈る。 (1)40歳未満の構成員を含む家族が転入した場合 ※構成員1名だけの単独世帯を含む ※中学卒業未満の子どもを1名含む世帯は5万円を加算 ※中学卒業未満の子どもを2名以上含む世帯は10万円を加算 (2)50歳未満の夫婦のみ家族が転入した場合 |
引越費用助成金 | 上限100,000円/世帯 | 転入奨励金の支援要件を満たす方が引越費用の領収書を添付して申請した場合に実費(上限10万円)を助成。 |
ひとり親家庭医療扶助 | 医療費の減額 | 医療費の3割負担を1割負担に減額(所得によって変動有り) |
結婚祝金 | 100,000円/組 | 永住の意志のある者が婚姻した場合に祝い金を贈る。 |
妊婦検診助成 | 14回まで無料 | 妊娠期における検診、歯科検診が無料で受診できる。 |
出産準備金 | 出産ごとに300,000円 | 出産の経費を軽減するため贈られる。 |
通勤助成金 | 距離に応じて(最大7,000円/月) | 下記の条件を全て満たす場合に助成 (1)60歳未満 (2)片道10㎞以上の事業所に通勤する (3)事業所から通勤に対する支援を受けていない |
起業家支援基金貸付事業 | 1事業につき5,000,000円 | 起業家の育成、支援のために基金の貸し付け(個人事業の場合は最大で2,000,000円) |
住宅関連
支援制度 | 助成金額等 | 支援内容詳細 |
---|---|---|
空き家片付け推進事業交付金 | 上限200,000円/世帯 | 空き家情報バンク登録物件の売主又は貸主に20万円又は対象経費のいずれか低い額で交付 |
空き家購入補助 | 上限1,000,000円 | 空き家情報バンク登録物件の買主に対象経費1/2以内(上限100万円)で補助 |
空き家改修補助 | 上限500,000円 | 空き家情報バンク登録物件の買主に対象経費1/2以内(上限50万円)で補助 |
子育て関連
支援制度 | 助成金額等 | 支援内容詳細 |
---|---|---|
新生児聴覚検査の助成 | – | 無料券の発行 |
高校卒業までの医療費無料 | – | 高校卒業までの児童及び生徒の医療費を支給 |
新庄村乳児おむつ助成金 | 実費または現物 | おむつを購入した時の領収書を住民福祉課に提出すると実費を翌月助成。サブスクリプションの場合は役場に申請書提出で現物支給 |
チャイルドシート購入助成 | 25,000円以内/台 | 購入金額の2分の1以内を助成 |
任意予防接種助成 | 接種内容に応じて助成 | インフルエンザ予防接種など行政措置として実施する予防接種について助成 |
新生児訪問 | – | 保健師、栄養士による訪問。無料 |
ひなどり会(母子クラブ)の活動 | – | 就学前の親子育児サークル。一家庭あたり年会費1,500円 |
子供第三の居場所事業 | – | 子どもたちが、放課後から夜間(18:00)までの時間を過ごすことができる拠点。無料 新庄村すくすくハウス |
保育所関連
支援制度 | 助成金額等 | 支援内容詳細 |
---|---|---|
保育料、一時保育料、給食費 | – | 新庄村保育所通園の子どもの保育料が無料 |
保育園給食時の牛乳の費用の一部補助 | 1食あたり15円 | 給食時の牛乳の費用の一部補助 |
子どもへの読み聞かせ | – | 毎週水曜日、公民館で読み聞かせを実施。無料 |
小・中学生関連
支援制度 | 助成金額等 | 支援内容詳細 | |
---|---|---|---|
小学校スクールバス無料運行 | – | 村内遠方の児童の無料送迎 | |
給食費無償提供 | – | 子育て支援として給食費無償(小・中学校) | |
小・中学校修学旅行補助 | 小学生10,000円、中学生15,000円 | 修学旅行費用の一部補助 | |
小学校海の学習・キャンプ補助 | – | 野外活動の費用の補助 | |
キュリオスクール | – | 放課後の学習支援。思考力養成の学習(デザイン思考)を毎週火曜日に小学校1~3年生のクラスと4~6年生のクラスに分けて実施。1か月1500円/人。兄弟姉妹で受講の場合、割引あり | |
ジュニアスポーツクラブ活動 | – | サッカー・ソフトバレー(土曜午前中心)の活動。初年度のみ加入金2,000円、年会費2,000円 | |
中学生自転車ヘルメット補助 | 1,200円/人 | 自転車通学用のヘルメットの購入補助 |
高校生以上関連
支援制度 | 助成金額等 | 支援内容詳細 |
---|---|---|
通学等助成金 | 5,000円/月 | 19歳未満で高等学校及び専門学校等に通学する場合に助成(3年以内) |
奨学金制度 | 高校生20,000円/月大学生30,000円/月 | 新庄村に本籍及び住所を有する学生に対して選考の上で貸与。返還は、貸与年数の2倍の期間以内 |
移住者インタビュー|新庄村での子育てってどうですか?
ご夫婦とも岩手県出身で、お隣の岡山県真庭市を経て、夫の仕事の関係で新庄村に移り住んだCさん。移住歴11年の子育て体験についてうかがいました。

●新庄村で子育てしてみて、どうですか?
うちは3人子どもがいて、移住したときは真ん中が小学校に、下の子が保育園に上がるときでした。上の子は小学3年生に上がるタイミングで、転校になってどうかなと心配だったのですが、あっという間に慣れて、元気いっぱい遊んでいました。
小さな村なので、保育園も小・中学校も1校ずつ(現在は一貫校)。どちらも家から歩いて数分で行けます。当時は「ママカフェ」といって、同世代の子どもがいるお母さんたちと集まれる場があって、そこで情報交換できたのが助かりました。孤立しない、ひとりにならないようなコミュニティがあるのがとてもいいと思います。保育園から中学まで保護者の顔ぶれも一緒なので、今でもずっと仲良くさせてもらっています。
●村の子育て支援は活用しましたか?よかったものは?
高校生まで医療費が無料になったのはありがたいですね。ここ数年で給食費も無料になりましたし、小・中学校の修学旅行費の補助が出るのも本当に助かっています。その前は普通に積み立てていたので、補助金が出ると決まった年は積立金が戻ってきたのが嬉しかったです(笑)。
子どもが小さいころよく行った公民館での絵本の読み聞かせは、30年以上続いているとか。私も誘われて読み聞かせサークルに入り、今は保育園でも読み聞かせしたりしています。最近ではおむつのサブスクも始まったようですし、子育て支援制度は年々手厚くなっているなと感じています。
●子育てする中で、印象的なエピソードはありますか?
夫の出張中に私が体調を崩してしまったとき、4人の子育てをしている友人が鍋いっぱいのおでんを作って届けてくれて、感動したことは忘れられません。大変なときはお互い様、そんないい関係性が築けていると思います。友人というより、もう家族みたいな存在かも。ご近所のおばあちゃんたちも、孫やひ孫のように接してくれるんですよ。


●最後に、子育て世代に向けて、新庄村のいいところを教えてください!
車通りが少なくて安全で、田んぼが多いおだやかなところ。冬は雪がすごいけれど、除雪車がすぐ入るので外に出られないということもなく、むしろ子どもたちは雪を楽しみにしています。スキー場にも近く、小・中学校ではスキー教室もあるので、滑れない子はいないくらいです。
好きな場所は、桜並木のトンネルが美しい「がいせん桜通り」。実は、夏の鮮やかな緑や秋の紅葉もとてもきれいで。春以外は人もほとんどいないので、ウォーキングしながらその景色をひとり占めしています。移住に興味がある方は、春や秋のお祭りのときに、ぜひ一度遊びに来てみてくださいね。

移住担当者からのメッセージ
最後に、新庄村役場 総務企画課内移住定住推進室・千葉智明さんよりメッセージをいただきました。
「私自身移住者ですが、新庄村の人たちはとても寛容に迎え入れてくれます。住民と役場の距離が近く、なんでも相談しやすい雰囲気。移住のことも子育てのことも、『移住定住推進室』にお問い合わせいただけたら、各担当者にすぐにおつなぎします。
アドバイスとしては、移住といってもいきなり家を購入するのはハードルが高いですよね。まずは村営住宅に住んでみて、暮らしながらゆっくり考えていただければ。古民家を探したい、改修して住みたい、という相談にものりますよ」
▶新庄村への移住に興味がある方はこちらから総務企画課 移住定住推進室までお問い合わせください。
岡山県新庄村ホームページ:http://www.vill.shinjo.okayama.jp/index.php?id=1
岡山県新庄村定住促進サイト:http://www.vill.shinjo.okayama.jp/index.php?id=98
画像提供:新庄村
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