スクールソーシャルワーカーとは?子どもの困りごとに寄り添う仕事内容や どこに配置されているのかなどを解説
いじめや不登校、虐待、貧困、学力格差など、さまざまな悩みや困難を抱える子どもがいます。そんな子どもたちと家族の相談を聞き、学校という枠を超えて支援するのがスクールソーシャルワーカーです。どのように支援を行い、どこにいるのかなど、何かあったときに相談先として覚えておきたいスクールソーシャルワーカーについて紹介します。
目次
学校で起きたトラブルの背景にも注目して支援するスクールソーシャルワーカー
例えば、不登校といっても、いじめや家庭環境や障害の有無など背景や原因にあるものは人それぞれ違います。そこで、不登校という学校に関わる出来事だけでなく、その背景にある困難も含めて子どもやその家族を支援するのがスクールソーシャルワーカーです。
どんなことを行うのかというと、まずは当事者である子どもやその家族、学校からていねいに話を聞き取り、客観的に状況・課題を把握します。そして、課題解決のためのプランニングをして子ども自身が望む生き方へ近づくための目標を立て、達成できるように保護者や学校、関係機関に協力を働きかけます。
また、協力を求める関係機関は、教育に関わるところだけではありません。保健・医療・福祉のサービスが役に立ちそうならうまく使えるようにサポートし、ボランティア団体を紹介することもあります。
例えば、不登校の背景に経済的・学力的な問題があるなら、勉強を教えてくれるボランティア団体を紹介したり、奨学金制度や就学援助制度、児童扶養手当制度などをの手続きを手伝います。
つまり、子どもや家庭が抱える問題を解決するための目標を考え、達成するためのチームを作り、チームがきちんと機能するように調整していくのがスクールソーシャルワーカーの役割です。
スクールソーシャルワーカーはどこにいるの?
文部科学省は、平成 20年度より「スクールソーシャルワーカー活用事業」を開始し、予算上、平成29年度には全国に5,047人を配置することになっています。
とはいえ、スクールソーシャルワーカーはどこにいるのでしょう。 自治体により、配置方式は違いますが、日本社会福祉士養成校協会の資料によると大まかに分けて学校に配置されている場合と教育委員会などに配置されている場合があります。
学校配置型
特定の学校に配置する「単独校配置方式」と拠点校に配置し、近隣校を巡回する「拠点校配置方式」があります。
メリット:児童や保護者が直接相談しやすく、教育者とも信頼関係が築きやすい。迅速に情報収集ができる。
デメリット:対応できるケースが限られるため非効率的。スクールソーシャルワーカーの力量によって学校ごとの支援に差が生まれる。
教育委員会配置型
教育委員会、教育相談センターなどに所属しており、要請があった学校に随時派遣される「派遣方式」と複数校を定期的に巡回する「巡回方式」があります。
メリット:多くの学校を効率的に支援できたり、行政のネットワークに参加しやすい。
デメリット:教職員や保護者との信頼関係を構築しにくい。緊急支援に迅速に対応できない。
わが子の通う学校にスクールソーシャルワーカーが配置されているのかは、学校か市町村の教育委員会に相談をしましょう。また、公的機関にいるスクールソーシャルワーカーへの相談は、基本的に無料です。
「スクールソーシャルワーカー」と「スクールカウンセラー」との違いとは?
子どもが相談をする相手と聞くとスクールカウンセラーを思い浮かべる人もいるかもしれません。しかし、スクールソーシャルワーカーとスクールカウンセラーでは、課題に対する視点や活動する場所が違います。
スクールカウンセラーは、学校内の相談室を拠点にして子どもの心に着目します。心理的な問題に起因する症状をカウンセリングなどの心理療法によって改善していきます。つまり心の専門家です。
一方、スクールソーシャルワーカーは学校内に限らず家庭や役所で相談するなど活動場所はさまざま。子ども自身だけでなく生活環境全体に着目して、子ども・家庭が抱える生活の困りごとをチームで改善していく専門家です。
また、スクールカウンセラーになるには、臨床心理士、精神科医の資格者をはじめ子どもの心理について勉強・経験を積んだ人物。
一方、スクールソーシャルワーカーは、福祉制度や教育行政、背横断援助を学ぶ「社会福祉士」「精神保健福祉士」または、不登校・ひきこもりの方への支援経験、教育現場での経験のいずれかがある元教育経験者という条件で募集をされていることが多いようです。
スクールソーシャルワーカーとスクールカウンセラーは、どちらも悩みを抱える子どもをサポートしていくという点では同じです。ともに情報共有をして協力し合って子どもと家族を支援していくことが望まれています。
社会が変わっていき、子どもが成長していく中で困難を抱えて込んでしまい息苦しくなっている家庭もあるかもしれません。スクールソーシャルワーカーなど専門職につながることで、どの子どもも家族も前向きに生きていけるようになれるといいですね。
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エディター、ライター、環境アレルギーアドバイザー。新聞社勤務を経て、女性のライフスタイルや医療、金融、教育、福祉関連の書籍・雑誌・Webサイト記事の編集・執筆を手掛ける。プライベートでは2児の母。