中学受験の学校選び。コロナ時代の情報収集はどう進める?
コロナウイルスの影響で、昨年に続き今年も学校の雰囲気や“相性”を知る機会が減少しています。百聞は一見に如かず。けれど、気軽に学校へ足を運べないという現状…。この状況下で、志望校はどう選べば良いのでしょうか。中学受験専門家・西村 創さんに、どんな状況にも左右されない情報収集の仕方を教えてもらいます。
目次
コロナ禍でも、受験者数が増加したのはなぜか
まず、学校選びについての解説に入る前に、全国的に年々高まりを見せている私立中学の人気についてお話ししましょう。
中学受験をする理由として多く挙げられるのは、次の5つ。
- 高度な学びの機会を得られる
- 高校受験よりも選択できる学校が多い
- 難関大学への進学率が有利になる
- 大学付属校であれば受験が1回だけで済む
- 地元の公立中学にはない教育環境に身を置ける
他に、「周りがみんな受験するから」「親の母校に子どもを通わせたいから」「学校の成績が良いから」といった理由もあります。
しかし、続く新型コロナウイルスの影響で昨年の中学受験者数は減少すると予測されていました。ところが、2021年度入試の受験率は、東京都ではなんと3人に1人。2009年度に次ぐ二番目に多いという結果に。
この背景にあるのは、
- 中学受験の「インターネット出願」が本格始動し、受験自体のハードルが下がった
- コロナ禍における私立校のオンライン対応の柔軟性が顕著だった
- 海外への大学への進学熱の上昇
- 私立校のいじめ問題に対する明確な対応策
などが考えられます。
「海外への大学への進学熱の上昇」というのは、例えば広尾学園のように海外の大学への合格率を伸ばしている学校が人気となっています。大学の国際学部や観光学科などはコロナ禍で軒並み志望者数が急激にダウンしていますが、留学ではなく海外の大学に入学したいと考える人が増えているのです。
2021年度入試の受験者数も、急激な増加はないものの減少することはないでしょう。中学受験の都内四大模試と呼ばれる「サピックス」「四谷大塚」「日能研」「首都圏模試」の受験者数が、すでに2020年度を上回っていることからも、間違いなく受験率も上がることが予測できます。
そもそも、中学受験の志望校はどんな要素で選ぶ?
さて、ここから今回の記事の本題である「中学受験の志望校の選び方」について解説していきましょう。
11月から12月のこの時期、中学受験を予定している小学6年生はほぼ志望校が固まっている状況でしょう。一方、ある程度志望校を絞れているけれど情報収集中というのが小学5年生ではないでしょうか。
小学5年生の今の時期は、学習内容が一番難しくなる時期。そのため、成績の伸び悩みやモチベーションの低下などで学校選びに悩んでいる家庭は多いかもしれません。
では、そもそも学校選びはどのような視点で行うべきなのでしょうか。
学校選びの検討材料には、次のようなものが挙げられます。
- 偏差値
- 共学/別学
- 通学距離
- 進学校/大学付属校
- 学校の教育方針
- 校風と子どもとの相性
学校選びは“物件探し”
家庭によって重視するポイントはそれぞれ違うと思いますが、学校の情報を見ていくとそれぞれみんな“良さ”があるんです。けれど、そうすると「ここもいい」「あそこもいい」となかなか絞り切れなくなってしまいます。
私がいつも保護者に伝えるのは、「学校探しは物件探しと一緒」だということ。駅近・築浅で広くておしゃれだったら良いですがその分、値段は高くなりますよね。
物件の値段は、中学受験の偏差値なんです。理想を込めれば込めるほど物件の値段が上がるように、偏差値も上がっていきます。だから、諦められる部分と諦められない部分を決めなければなりません。
物件の場合、“3LDKは絶対譲れないけど、駅から離れてもまあいいかな”というふうに決めていきますよね。家庭によって“これは絶対!”というこだわりポイントはそれぞれあると思うので、優先順位をつけながら家族で話し合うことが大切です。
家庭の教育方針を親がしっかり把握した上で、方向性を固めておきます。それから、わが子の関心を確認して考えのすり合わせを行います。そうすると、おのずと優先順位が見えてくるはずです。
しかし、優先順位が固まっても、学校選びの情報収集に苦労したのが昨年と今年の小学6年生。コロナウイルス感染拡大により、説明会や学校見学に対するハードルが上がり、情報収集の手段が格段に減ってしまったからです。
学校選びの情報収集は、状況に左右されてはいけない!
このところ感染者数はグンと減少し、制限も少しずつ緩和され、状況は良くなってきていると感じますよね。けれど、今後再び感染拡大する可能性はゼロではありません。また、コロナ時代ではなくともなんらかの事情で情報収集の選択肢が狭まることがあるかもしれません。
だからこそ、状況に左右されない情報収集のワザを覚えておいてほしいんです。
例えば昨年と今年、保護者の困り事として多かったのが「ウェブ説明会の予約が取れない」ということでした。でも、学校見学がスムーズに進まなくてもできることはあります。
学校説明会よりも、下校中の生徒をチェックしよう
学校見学に行ける行けないに関わらず、ぜひやってみてほしいのが“中学校の下校時間に合わせて帰宅途中の生徒の様子を見に行く”こと。生徒の素の状態が分かります。それを見て、わが子が同じように下校している姿を想像できるかどうかという部分が実は重要なのです。
もちろん、子どもが「いいな」「この学校に行きたい」と思う気持ちが一番大事ですが、最初から「どの学校がいい?」と聞いて答えられる子どもは少ないでしょう。まずは親が見て「いいな」と思う学校に絞る。それからもう一度子どもと一緒に見に行くという二段階にすると、親子の認識のすり合わせにもつながります。
コロナ禍での学校選び。情報収集で失敗しない7つのポイント
最後に、中学受験の情報収集の仕方について解説します。コロナ前と後とで変わってしまった、やりにくくなったと思われる情報収集ですが、このポイントを覚えておけば情報収集で困ることは少ないと思います。
①学校のサイトはアピールポイントをチェック
「どの学校のサイトを見ても、同じようなことばかり書いてある」
「良いことしか書かれてないから、違いが分からない」
そんなふうに感じる人は、多いのではないでしょうか。確かに、学校の公式サイトから判断するのは難しい部分は多いのですが、これは塾選びに似た部分もあると思うんです。
何を強調し、一番アピールしているかを見てみましょう。
校舎内部の施設の写真、建学の精神や校訓など、アピールしたい部分から学校の“カラー”を見出すのです。学校のアピールポイントが、自分たちの考える優先順位と合致しているかどうかという点を確認することが重要です。
サイトのトップページにある学校の考えは、それぞれ同じように見えてしっかり違いが表れています。そこから、見えてくるものはあるはずです。
②オンライン説明会のメリットを有効活用すべし!
オンライン説明会の最大のメリットは、見学できる学校の数が圧倒的に増えること。現地まで足を運ぶ必要もなく、学校や塾、習い事などで日々忙しい子どもでも手軽に家で一緒に見ることができます。
オンラインの学校見学や学園祭も、学校のカラーが見えてくるので参加するのをおすすめします。
ただし、オンラインにおける学校の対応は差が大きいのも事実。見せ方を工夫している学校もあれば、撮影や編集に慣れていない学校もまだまだ多くあります。この点からも、学校選びにつながる部分はあるでしょう。
③志望校の絞り込みは小6からでOK。ただし…
先述した通り、学校の要素からある程度候補が上がっているというのが小学5年生の段階。この時点では、焦って絞り切らずに広く構えていて全く問題ありません。
小学6年になると受験が現実的になってくるため自然と偏差値で絞れてくるはずですが、現実問題として“合格”することを考えた時、入試問題が似た傾向の学校に絞ると勉強しやすくなります。入試傾向が違う学校を何種類も受験すると、かなり手広く勉強する必要性が出てきますから。
④クチコミに振り回されるのはやめよう
学校の情報をインターネットで調べていると、よく目に留まるのがクチコミサイト。しかし、このクチコミが実はくせ者でもあります。
クチコミの良い情報だけうのみにするのも問題ですが、悪い情報があると不安をあおられてすごく気になってしまういますよね。クチコミに振り回されてしまうと本当に知りたい情報を知ることができなかったり、信じるべき道に迷いが生じてしまったりすることもあります。
そもそも、良いクチコミというのは書き込む人が少ないものです。よほど感動したことがあれば別ですが、だいたいは悪い思いをした鬱憤を晴らすために書き込む人が多い傾向にあります。また、悪評というのは拡散されやすいためどうしてもネガティブな情報が集まり目に留まりやすいのです。
一概に断言することはできませんが、クチコミは“悪い情報ほど集まる場”だと心得た上で見るようにしましょう。
⑤塾を徹底的に利用すべし!
「こんなこと、相談してもいいのかな?」と遠慮してはいけません。家庭の方針がどうなのか、どういう雰囲気の学校を望むのかなど細かく伝えることで、精度の高い情報が得られます。
ソムリエにワインを聞くときと同じです。「このくらいの予算で、それほど甘口でなく」「このメニューに合うものは?」などと伝えれば、「例えば、こういうワインはいかがですか?」と答えてもらえますよね。でも、何の前情報もなしに「なんかおいしいワイン飲みたいんで」と言われても困っちゃいますよね。
高い授業料を払っているわけですから、徹底的に塾を活用していいのです。自分たちが学校に求めるものをリスト化した上で、塾に相談してみてくださいね。
⑥通学距離・時間は親子で確認してみる
意外と盲点なのが、通学距離です。“自宅から30分以内”など、通学距離を時間で決めて絞っていくケースは多いと思いますが、上りや下り、乗り換えによっても時間に違いが出てきます。
お子さんが平日の通学時間帯に足を運ぶのはなかなか難しいかもしれませんが、まずは親だけで良いので、通学に要する時間、電車の混み具合、乗り換えのしやすさなどを確認してみてください。
冬休みなどの長期休暇に入ったら平日、お子さんと一緒に通学距離と時間を確認してみましょう。そこで、実際に通えるかどうかの判断をしてくださいね。
⑦受験前の気持ちの行き違いはNG
学校選びでは、どうしても“外”を見ようという意識が働きがちです。“外”というのは「どの学校がいいだろう」ということ。しかし、先にも解説しましたが、まずは親が「どういう学校を自分たちは望んでいるのか」を考えることが肝心です。
受験が近付いてくると、夫婦間や親子間での衝突が多くなります。
「親はここを薦めてるけど、僕は行きたくない」
「夫はここに行かせたいと言っているけど、うちの子に合わないと思う」
などとといった相談が、非常に多くなるんです。
しかし、こういった気持ちの行き違いは、子どものメンタルや成績にも悪影響を及ぼします。
受験本番が近付く前に、夫婦間で考えを共有しておく。その後、子どもの考えを聞いて家族内における認識のすり合わせをしておくことが大切です。
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中学受験で志望校を選ぶ時、偏差値や学校の教育方針、校風、通学距離など家庭によってさまざまな検討要素が浮かんでくるでしょう。しかし、外堀を埋める前に確認しておきたいのが“自分たちはどんな学校を望んでいるのか”ということ。この点にブレがなければ、どんな状況下であっても学校選びのための情報収集でつまずくこともないはずです。
コロナウイルスの状況によっては、今後も直接学校見学ができる機会に制限が設けられることも考えられます。でも、情報収集の方法は一つではありません。今回紹介した内容を参考に、学校選びについてもう一度、考えてみてくださいね。
<取材・執筆 ソクラテスのたまご編集部>
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岩手県出身。大学卒業後、ゲーム会社で広報宣伝職を経験した後、ママ向け雑誌やブライダル誌を手掛ける編プロに所属。現在はフリーランスのエディター&ライターとして活動中。一人息子の中学受験で気持ちに全く余裕がない中、唯一の癒しとなっているのが愛犬と過ごす時間です。