小学生の整形願望は親のせい? 3つの原因と親の対応法
SNSを通して多様な価値観が広がる今の時代。小学生が親の同意を得て整形するケースもよく目にするようになりました。整形できるとはいえ、まだ子ども。大人へと成長するなかで、顔立ちが変わる可能性もあります。なぜ、小学生で整形をしたいという精神状態になるのでしょうか?児童精神科医の前田佳宏先生にお伺いしました。
小学生の整形、9割近くが「反対」
小学生の子どもが整形をすることについて、親はどう捉えているのでしょうか? Instagramで保護者に向けて行ったアンケート調査によると、小学生の子どもの整形について「賛成」と答えたのはわずか7%。小学生の整形をポジティブにとらえている保護者は少ないことがわかります。
また「自分の子どもが整形をしたいと言い出したらどうするか」という質問に対して、「反対する」と答えた保護者は87%と、9割近くの保護者が小学生の子どもの整形に対して否定的であることがわかりました。
アンケートのなかでは「成長過程で顔が変わる可能性がある」という声や「大人になってから自分の顔を好きになった」という声もありました。
子どもの整形願望には2種類ある
小学生の子どもが「整形したい」と親に伝えてきた場合、いったい何があったのかと戸惑いますよね。前田先生によると、子どもの整形願望には、病気の疑いが少ないケースと、病気が疑われるケースの2種類があると言います。
病気の疑いが少ないケース
病気の疑いが少ないケースは、現状の容姿に不満があるというよりは、前向きな気持ちで「整形をしたい」と考えるそうです。
児童精神科医:前田佳宏さん
「今の顔に困っているわけではなくて、有利な選択肢があればそれをしてみたい。さらにかわいくなりたいと思っているお子さんは、病気の疑いが少ないケースです。一時的に整形をしたいと思っている場合が多く、親が止めたらすんなり受け入れることも多いと思います」
病気が疑われるケース
病気が疑われるケースは、自分の顔の美醜にとらわれて、整形願望が非常に強くなっている状態です。
児童精神科医:前田佳宏さん
「顔がコンプレックスになりすぎて、学校に行けない。教室に入れないレベルになると、病気を疑うレベルになりますね。この場合は、顔がコンプレックスになってしまっている原因を取り除けるようにケアすることが理想的です」
病気と診断されることもあるので、精神科医を受診することも検討してみるといいかもしれません。
子どもが「整形したい」と相談してきた場合、まずは、子どもの整形願望がどちらのタイプか見極めることが重要です。
考えられる病気については下記記事を読んでみてくださいね。
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前田佳宏医師への相談ページを見てみる子どもが整形願望をもつ3つの原因
小学生の子どもの整形願望が強いのは、周りからの要因が大きいと言います。特に、身近な人であればあるほど、その影響は大きくなるそうです。
1:親からの影響
子どもの整形願望には、親子関係も影響していることがあります。これは、親が子どもの外見を否定的に捉えることだけでなく「顔がいいからなんとかなるよ」という一見ポジティブな言動も同じなようです。
児童精神科医:前田佳宏さん
「子どもは親の言動をよく見ています。子どもにかけた言葉だけでなく、親が他人との関わりのなかで『あの子は可愛い』『あの人は太った』などと外見で判断する発言をしていると、子ども自身も『可愛くなければならない』『痩せていなければならない』などと容姿に対して強いプレッシャーやコンプレックスを抱いてしまうことがあります」
子どもは一番身近な親からの影響を強く受けるものです。子どもに対して直接言っているわけではなくても傷ついてしまうことがあります。テレビを見ながら芸能人への外見を評価したり、親戚や友達への容姿の評価についても、よく見て自分と重ねている可能性もあるのだとか。
2:SNSやメディアからの影響
最近は、テレビをつければ美容整形のCM、電車に乗れば二重整形の広告など、子どもでも整形に関する情報を浴びやすくなっています。また、SNSでも子どもが気軽に整形している様子が流れています。そういった影響により、子ども自身が自分の顔をどう思うかというよりも、子どもが「世間は自分の顔をこう見るんだ」と思い込んでしまう場合もあります。
児童精神科医:前田佳宏さん
「そういったメディアからの情報を、親がどういうスタンスで受け取るか考えることも大事だと思います。子どもには、なぜそういう広告を出でいるのか。そのCMが出る理由や事情について説明してみてもいいかもしれません」
美容整形の広告やCMは、「整形をしてほしい」という目的があって流されているものです。その目的や、社会の仕組みについて子どもに教えてみるのも方法のひとつですね。
3:生活がうまくいっていない
直接自分の容姿が原因なわけではないのに、うまくいかないことを顔のせいにしてしまっている場合もあります。
児童精神科医:前田佳宏さん
「たとえば、友達がいない場合。クラスに人気な子がいて、その子が二重まぶただったら『この子は二重まぶただから人気なんだ』と思ってしまう。自分がうまくいかないことを『私は二重まぶたではないからだ』と思ってしまい、原因を全部顔のせいにしてしまうこともあります。人は顔で評価する。周りの子たちがうまくいくのは、顔がいいからだと思ってしまうんです」
すべてを顔のせいにしてしまい、顔さえよければ現実が変わると思っているパターンです。この場合、整形願望の奥にある、子どもの本当の願望(友達がほしいなど)を見つけてみるところから始めましょう。
整形願望の強い子どもに親ができること
実際に子どもから「整形したい」と相談を受けた場合、親は子どもにどう対応すればいいのでしょうか。
児童精神科医:前田佳宏さん
「まずは、どうして整形したいと思うのか、話をちゃんと聞いてあげてください。整形しないとどうなってしまうのか。もしかしたら、整形しないと友達ができないと思っているのかもしれないし、いじめられると思っているのかもしれません。やみくもに整形はダメとは言わず、子どもの整形願望の裏に何があるのかをちゃんと聞くことが必要です」
日頃から子どもの話に耳を傾け、困ったことを相談してもらえる親子関係を築くことも大切です。
まずは子どもの気持ちに寄り添うこと
子どもから「整形したい」と言われたら、その願望がポジティブな気持ちから来ているのか、ネガティブな感情からきているのか見極めることが必要です。そしてネガティブな感情からきている場合、子どもに寄り添いながら、整形願望の奥にある本当の理由を見つけていく必要があります。
親子間で相談しあっても難しい場合は、専門家に相談するなど第三者を加えることによって解決につながることもあります。ソクたま相談室などを利用して、専門家に相談してみるのもひとつの手ですね。
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