子どものスケジュール管理能力を育成! 親ができるサポートを教えます
「今こんなことをしたら次はどうなる?」「今これをしないと、後で困ることになるよ」など、先を見据えて子どもの行動を促す親は多いでしょう。けれど、そういった時間の管理やスケジュール調整ができるのも経験値の高い大人だからこそ。子どもは、自分でスケジュールや時間を管理することはできないのでしょうか。今回は、子どもの先を見通す力、自己管理能力を高める方法について考えてみましょう。
目次
子どもが自分で時間やスケジュールを管理するのは無理なのか?
先のことを考えて計画したり、行動したりなど“先を見通す力”がある子どもは、少ないかもしれません。
私が教師になった頃、小学4年生の子どもたちに大声で「もっと、先のことを考えて動け!」と言ったことがあります。しかし、それを聞いていた先輩教師に「先生の気持ちは分かるけど、先のことを考えて行動させるのは無理よ」と言われたのです。
そもそも、経験値の浅い子どもにとって先を見通して行動させるのは難しいこと。むしろ、時間やスケジュールを管理できないのは普通です。また、あえて二度手間や失敗を経験させて学んでいくことも必要です。しかし、子どもに“先を見通す力”、時間やスケジュールの管理能力を身につける教育も大切なのではないかというのが私の考えです。失敗を経験しながらでも時間やスケジュールの管理ができるようになれば、これから成長していく中で勉強や生活面どちらにおいても生かすことができるのではないでしょうか。
次章では、私が実際に教師経験から感じた時間・スケジュール管理能力のメリットについて解説しましょう。
時間やスケジュール管理能力があるとどんなメリットがあるのか
普段の子どもの行動から、時間やスケジュールなどの自己管理能力を身につけさせる方法はあるのでしょうか。以下は、私が実際に教師経験の中で経験したことです。
- テストの記名
テストの際、“名前を最初に書く子”と“最後に書く子”に分かれます。後で書く子は記名を忘れてしまうというのが私の経験上、多くあります。この失敗を元に、先に記名すれば忘れないことを教えます。これも自己管理能力の一つ。先に何をやっておくべきかを学ぶことができるのです。 - 問題を解く順番
答えを“最初から順番に入れていこうとする子”と“分かるところから書く子”に分かれます。順番に埋めたい子は、後ろの方に分かる問題があるのに時間が足りなくなり空欄になってしまうことがあります。この失敗から“テストの問題を順番通りにやる必要はない”、“分かるところから埋めていけば点数も上がる”ということを教えることができます。 - 時間を知らせるチャイム
今の学校では、授業と休み時間の間にチャイムを鳴らさない学校も増えています。私は全くチャイムを鳴らさない、1日1回も鳴らさないという学校に勤めていたことがあります。そのような学校では、遊びと勉強(授業)の時間が分かっている、けじめのある生活ができている子が多かったのです。休み時間の子どもたちの様子を見ていると、チャイムが鳴らないのに休み時間の終わりが近づくと遊び道具を片付けられる子がいたり、高学年が時計を見て低学年を教室に戻したりしていました。低学年の子どもであっても、自分で時計を見て教室に戻ることができる子もいました。
“いつ・どこで・何をするか”という時間やスケジュール管理ができていない子どもは、例えば塾で“〇曜日の〇時にどの教科の授業があるか分からない”という場合が少なくありません。遅刻してきたり、違う教科のテキストを持ってきたりすることもあります。
では、実際に子どもに自己管理能力を身につけさせるにはどのような方法があるのでしょうか。
時間とスケジュール管理には親のサポート&ヒントが必須
スケジュールや時間管理の方法について、家庭でも実践できるものを紹介しましょう。
スケジュール管理
子どものスケジュール管理で思い浮かぶのは、“夏休みの計画”ではないでしょうか。学習の面で考えると、宿題では“得意な科目から終わらせるのか、苦手な科目から終わらせるのか”考えることも大切です。例えば「好きな学習、得意な学習を先にすればすぐ終わるだろう。苦手なものを勉強する時間がたくさんできるだろう」と考えたり、逆に「苦手な学習を先しておけば、得意な学習はそれほど時間がかからなから、全体の学習がスムーズに進められるだろう」などと考えられますよね。先を見通す力は、最初から子ども一人で考えさせるのは難しいかもしれません。「どうすれば夏休みの学習を計画的に進められるかな?」など、親からのヒントを与えることでスケジュール管理の大切さを理解させることができるでしょう。
時間管理
先述した通りテストの時は“何を先に書く、答えればいいか”を考えること、問題を解く前に“どの問題にどのくらいの時間をかけるのか”を考えさせてみるのも良いでしょう。
学校では、翌日や1週間の時間割を手作りのプリントに書かせてファイルさせる先生がいます。私が小学生の時にも担任が用意してくれましたが、これがとても楽しみでした。“クラスみんなの忘れ物をなくそう”と考えた担任が、私たちに「どうすればいい?」と投げかけてくれたのです。この時に出てきたのが“スケージュール表”の案でした。スケージュール表に入れる項目も担任と子どもたちとで一緒に決めたため、自分たちで作った連絡帳のように思えていました。だからこそ、書くのが楽しかったのかもしれません。
子どもたちは、自分が“参加”することをとても楽しく感じます。家庭でも、カレンダーやメモ帳などに予定(塾や習い事など)を書かせることができます。どのようなことをスケジュールに入れるか子どもと相談して作れば、“自分だけのスケジュール表”という特別な思いとともに楽しみながら書き込むことができるはずです。
親子でスケジュール表を作ってみよう!
しかし、「どうやって子どもとスケジュールを作るの?」「大人が使うような手帳を渡すだけでいいの?」など、スケジュール表の作成法に悩む人もいるでしょう。
ここでは、スケジュール表の作り方の一例を紹介します。
スケジュール表はノート? カレンダー?
低学年であれば文字が大きく書ける大きめのノート、高学年ならB5サイズほどのメモ帳が使いやすくおすすめです。曜日管理を意識させたい場合は、カレンダー形式のものが良いでしょう。また、時間管理を意識させたいなら1日1ページで予定が書けるようなメモ帳も〇。子どもに何を意識させたいかによって、適したスケジュール表を選ぶことが大切です。
スケジュールには何を書く?
月日・曜日・時間・塾や習い事とその持ち物・学校の宿題に取り組む時間・塾の宿題に取り組む時間・遊ぶ時間と場所などが挙げられます。“塾や習い事”の項目を“学校での授業・教科”にすれば、学校での予定にも使えます。「月曜日の習い事はなんだっけ?」「火曜日には何時からピアノのレッスンがあるんだっけ?」など親がスケジュールに書き込む内容のヒントを与えながら、子どもと一緒に作ると良いでしょう。
私は、1週間が見開きで目に見えるスケジュールを作っています。学校で「指導計画案」と呼ばれているもので1週間の間に何の行事、どの教科の授業を何時間目にする、何を教えるなど書き込めるようになっているものを使います。スケジュール表を作る際のヒントになるかもしれないので紹介しておきますね。
この表の「1、2…」の部分を時間、その横に塾、習い事、持ち物などを書けば手作りのスケジュール表ができあがります。
忙しくてゆっくり作成する時間が取れない…という人は、小学生向けの教材サイトが提供しているテンプレ―トが便利ですよ。
ちびむすカレンダー
毎日の生活習慣、宿題や家庭学習、習い事のチェックなど、目標や反省点が書き込めるカレンダー形式の「月間生活表」の他、1日1ページのスケジュールなどのテンプレートが無料でダウンロードできます。
学習プリント.com
夏休みの計画作りが楽しくなりそうな、カラフルスケジュール表。予定が終わったらチェックを入れる仕組みなので、スケジュール管理の訓練にも良さそうです。
ぜひ、親子で楽しみながらスケジュール表を作ってみてくださいね。
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東京都小学校準常勤講師・塾講師・ライター。30校以上の教育現場で教えてきた経験があり、進学塾では主に国語を担当。教師が集まる民間教育団体であるTOSS相模原・和(のどか)会員として指導法を学んでいる。https://www.toss.or.jp/