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2022.08.14

HSCは親のせい?育て方は影響する?敏感な子の子育てに疲れる原因や対処法も解説

「人一倍敏感な子ども」を指すHSC(Highly Sensitive Child)。HSCの子どもを持つ親の中には「繊細で敏感な我が子の子育てが疲れる」「HSCは親のせい…?」と悩んでいる方もいるかもしれません。そこで今回は、HSCの原因や親が疲れてしまった際の対処法、HSCの強みなどについてお伝えします。

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HSCとは

HSC(Highly Sensitive Children)とは、日本語に訳すと「非常に敏感な子ども」という意味です。生まれつきとても敏感な感覚や感受性を持った子どもたちを指します。生まれ持った「性質」であって、治療すべき「病気」ではありません。

同じ性質を持った成人はHSP(Highly Sensitive Person)と呼ばれますが、HSCはその子ども版で、おおむね15歳くらいまでがHSCと呼ばれます。5人に1人の割合で存在するとされ、小中学校ならクラスに数人はいる計算になります。

HSCの子どもは、刺激や人の気持ちに敏感で、人一倍傷つきやすいという特徴があります。他の子どもが平気なことでも、非常に怖がったり、すぐに泣いたり、かんしゃくをおこしたりしやすく、困った子、わがままな子などと誤解されてしまうこともあります。

しかし、こうしたHSCの性質は、実は大きな強みでもあるのです。

HSCの原因は?遺伝や親の育て方の影響

「HSCの性質は理解できたけど、そもそも原因は?」と感じる方もいるのではないでしょうか。HSCの原因として話題になりやすいのが「遺伝」と「親の育て方の影響」です。

遺伝とHSCの関係

HSCは医学的な診断名ではなく、生まれながらの気質を表す言葉です。遺伝的要因が大きく関連しており、一般的に「HSPの親からはHSCの子どもが生まれやすい」と考えられています。

一方で留意しておきたいのが「必ずしも遺伝とは言い切れない」との点です。例えば、HSPではない親からHSCの子どもが生まれる、あるいは親がHSPでも子どもがHSCではない場合も多くあります。また、親子ともにHSPでも、刺激や不安を感じやすいポイントなど敏感な気質の現れ方はさまざまです。

親の育て方とHSCの関係

結論から言うと、HSCは親の育て方で形成されるものではありません。成長に伴って敏感な性質が変わるわけでもないといわれています。

HSCの子どもと暮らすなかで「自分の育て方が原因で子どもが敏感さを備えるようになったのではないか」と、自分を責めてしまう方もいます。しかし、繰り返しになりますがHSCは生まれつきの気質なため、ご家族は自分を責める必要はありません。

また、HSCはネガティブなものではないという認識を持つのも大切です。他人の痛みや苦しみにすばやく気付けたり、あらゆる事柄を自分ごととして捉えられたりするのは、生きていくうえで非常に重要な性質といえます。

HSC気質の子の子育ては疲れる?具体的なケースと対処法

HSCの子ども本人だけではなく、親も疲れや不安を感じやすいものです。しかし、ちょっとした工夫と子どもに適した対応で、そのストレスは軽減しやすくなります。ここでは、HSCの子どもを持つ親が疲れてしまう具体的なケースと、その対処法について紹介します。

①たびたび起こる癇癪に疲弊してしまう

HSCの子どもは、人の思いや言葉を敏感に察知できる一方、自分の感情を周囲に伝えることは得意ではない傾向があります。そのため、どんなときにも受け入れてくれる親の前では安心して甘えられ、家庭内で癇癪を起こしてしまいやすいのが特徴です。とはいえ、突然の大きな泣き声や怒鳴り声に振り回されると、親も精神的に参ってしまいます。

癇癪が起きた場合、子どもの感情の高ぶりを冷静に受け止め、寄り添う態度を見せるのが重要です。まずは刺激の少ない静かな空間で子どもを落ち着かせ、感情が静まるまで待つという対応が効果的といえます。
さらに、HSCの子どもが安心して気持ちを落ち着けるために、親が感情や行動を代わりに言語化してあげましょう。「急に大きな音が聴こえて驚いたね」「一生懸命考えていたんだよね」など子どもの気持ちを代弁すれば、親自身も冷静さを取り戻しやすくなります。

②不登校の対応に疲れてしまう

刺激に敏感なHSCの子どもは、学校など人が集まる空間にストレスを感じる傾向があり、その結果として不登校になりやすい傾向があります。

HSCの子どもが不登校になった場合は「刺激に反応しすぎている」「影響を受けすぎだ」など、表面的な部分での言葉がけは控えましょう。敏感な心の奥には、言葉にできない気持ちが隠れています。「ちゃんと分かっているよ」「分かろうとしているよ」と、寄り添う姿勢を見せていくのが大切です。

また「我が子が早くまた学校へ復帰できるようにしなくては」と頑張りすぎてしまうと、親自身の疲労を招くことにもなりかねません。無理はせず、まずは学校側と十分な連携を取って子どもの状況を共有しながら、徐々に登校できるような支援を目指していきましょう。同時に、子どもの心理的サポートを専門家に依頼するなど、自身の負担を軽減する対策も検討しながらゆったりと乗り越えましょう。

③親が自分を責めてしまう

前述したように、なかには「自分が原因で子どもがこのようになったのではないか」と自責の念に駆られ、精神的に辛くなってしまう親もいます。しかし、前述したようにHSCは生まれつきの性質であり、親の育て方が直接的な原因ではありません。

まずは自分を責める必要がないと理解し、HSCの特性を学ぶことが大切です。そして子どもの行動に振り回されそうになったら、一度立ち止まって冷静に分析し直すようにしましょう。

さらに、親自身の気持ちを整理する機会を設け、ストレス軽減をはかるのもおすすめです。クリニックや専門機関への相談をはじめ、同じようにHSCの子どもを育てる親が集うコミュニティやHSCに理解のある方と話し合いましょう。ご家庭だけで抱え込む必要はありません。「人を頼る」のも、立派な育児のひとつです。

HSCの4つの強み

1.深く考える

HSCの子どもは、周囲の状況や他者の気持ちを深く考える傾向があります。ほかの子が単純に「Aだ!」と考えることでも、「Aだとは思うけど、Bという面もあるかもしれない…」などと慎重に考えているのです。

そのため、考えたことを行動に移すまでに時間がかかり、「行動が遅い」「引っ込み思案」などとマイナス評価をされがちです。しかし、それは物事を多角的にじっくり考える賢さ、思慮深さの表れなのです。

2.刺激に対して過剰に反応する

刺激への反応が強いのは、感覚・感性が鋭いことを意味します。この特性から芸術の分野で優れた力を発揮する子どももいます。また、直感力に優れ、子どもながらに物事の本質を見抜き、大人並みに鋭い着眼点で物事を見ることができる場合もあります。

3.共感力が高く、他人の感情に影響を受けやすい

HSCの子どもは、ほかの子どもが叱られているのに、まるで自分が叱られているような反応をすることがあります。これは、共感性が非常に高く、人の気持ちをわがことのように受けとめている表れです。他者の心の痛みや喜びに寄り添える力は、人として大切な能力と言えます。

4.周囲のささいなことにも気がつく

環境の変化に敏感なHSCの子どもは、他の子が見逃してしまうようなささいなことにも気づく力があります。いつもと違ってちょっと元気がない家族や友達の様子に気づき、気にして配慮しようとする優しさを見せることもあります。

HSCへの関わり方のポイントは?

HSCの子どもと接する際には、「自己肯定感を持てるよう配慮すること」を特に心がけましょう。自己肯定感はすべての人にとって大切なものですが、HSCの子どもは特に自己肯定感が低くなりがちなので、周囲の大人の配慮が重要です。

「刺激に反応しすぎる」「行動が遅い」などの表面的な部分だけを見て評価するのではなく、子どもが言葉にできない気持ちをくみ取って、わかっているよと伝えることです。

「急に大きな音がしたから、びっくりしたよね」「どうしたらいいかなって、しっかり考えていたんだね」などと、必要に応じてかわりに言語化してあげましょう。気持ちを代弁してもらえることで、お子さんは安心し、気持ちを落ち着けやすくなります。

また、上でご紹介したHSCの強みを頭に入れておき、お子さんの良さを積極的に見つけてほめましょう。「じっくりよく考えたね」「泣いているお友達に優しくしていたね」「よく気づいてくれたね、ありがとう」と、温かいことばをかけるよう心がけます。

その積み重ねがお子さんの自己肯定感を高め、HSCの性質の良い面を伸ばしていくことでしょう。

自分の特性とうまく付き合える子に

くり返しになりますが、HSCは生まれ持った性質であって病気ではありません。もちろん、親の育て方のせいで現れるものでもありません。

わが子がHSCかもと思ったら、大切なのはその診断を白黒つけることよりも、特性を理解して長所を伸ばし、才能に変えるような働きかけをすることです。そうすることで、お子さん自身が、成長するにつれて自分の特性を理解し、うまくセルフコントロールしながら、自己肯定感を持って周囲と関われるようになることでしょう。

接し方に迷ったら、専門家に相談しよう!

HSCの特性を理解したつもりでも、ときには、敏感すぎるわが子の反応にとまどってしまうこともあるかもしれません。そんなときは、抱え込まずに専門家に相談してみましょう。

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子どもが100人いれば、親が抱える悩みも100通り。中には「誰に相談すればいいのか分からない」という悩みもあるはずです。そこで、「ソクラテスのたまご」では、それ.....

お子さんへの接し方に迷ったとき、お父さん・お母さんがつらくなったときは、ぜひ気軽に相談してみてください。お子さんを温かく導くために、まずは保護者が心にゆとりを持てるとよいですね。

<参考資料>
一般財団法人日本キッズコーチング協会「HSPの強みを活かす。才能を伸ばす最適な関わり方とは」(PR TIMES)

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