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2024.06.04

HSCとは?4つの特徴や発達障害との違いを専門家が解説【セルフチェックあり】

近年、認知が広がりつつあるHSPやHSC。通称「繊細さん」とも呼ばれるこの気質は、発達障害との関連性などについて誤って認識されてしまっているのが現状です。この記事では、HSCの特徴の詳細や発達障害との違い、困りごとへの対応法などをピックアップしていきます。「HSCって聞いたことはあるけど一体どんなもの?」「我が子はもしかしてHSC?」「HSCの我が子へどう接したらいい?」そうお悩み中の方は、この記事をぜひ役立ててみてください。

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記事を執筆したのは…

梅田ミズキさん認定心理士、サービス介助士

大学で臨床心理学・産業組織心理学・発達心理学などを学び、卒業後は公的施設にて精神疾患の方のケアや介助業務、ご家族の相談対応などに従事しながら、ご家族宛てのミニ新聞やホームページ掲載用のコラムを執筆。現在はフリーライターとして独立し、くらしにまつわるエッセイ執筆や臨床心理・発達支援・療育関連のコンテンツ制作および書籍編集に携わりながら、心理カウンセラーも務めている。趣味は読書、映画鑑賞、気まぐれで向かうプチ旅行。

HSCとは何か

HSCの概念とは?

HSCとは、Highly Sensitive Child(ハイリ―・センシティブ・チャイルド)の頭文字を取った言葉です。日本語では「非常に敏感な子ども」と訳されています。

近年では、人一倍敏感な気質を持った人を指す「HSP(Highly Sensitive Person)」という言葉を耳にする機会も多いのではないでしょうか。HSCは、HSPの子ども版と考えると分かりやすいかもしれません。

HSCの子どもは繊細な感性を持っており、他者への思いやりがある反面、些細な刺激にも敏感に反応してしまう傾向があります。そのため、集団の中にいると非常に疲れやすかったり、味やにおい、感触などの小さな変化に気付くことでストレスが溜まりやすかったりするのが特徴です。

HSPとHSCは呼び方が異なるだけで、概念そのものは同じといえます。

HSCの提唱者は?

HSPとHSCは、ともにアメリカの心理学者エレイン・N・アーロン博士が提唱した概念です。1996年に提唱し、2015年には日本でもアーロン博士の著書の邦訳『the highly sensitive person(ひといちばい敏感な子)』が出版されました。

HSCの割合とは?

実はHSCは、それほど珍しい気質ではありません。

前述したアーロン博士の著書では、HSCの子どもの割合について『統計学的に人口のおおむね15~20%』と記載されています。つまり、約5人に1人の子どもがHSCに該当する計算です。

HSCは病気ではない

HSPやHSCは医学的な概念ではなく、生まれつきの気質を表しています。つまり、病気でも障害でもありません。

とはいえHSCの子どもは、周囲と自分を比較して自信をなくしてしまったり、生きづらさを感じてしまったりする場合が多くあります。そのため「この気質はけっして短所ではなく、多数の人にはない長所でもある」と教えてあげることが大切です。

なお、HSCは医学的概念ではないとの理由から、病院では診断できません。「子どもの繊細さが気になっている…」「我が子はHSCかも?」と気になる方は、HSCのセルフチェックリストで子どもの様子や言動に一致する項目があるかを確かめてみましょう。

HSCのセルフチェックリスト

次のセルフチェックリストは、HSP、HSCの概念を提唱したアーロン博士が作成したものです。子どもの日頃の様子や特性を思い浮かべながら、どの部分が合致するかを確認してみてください。

~セルフチェックをするにあたって~  

次の質問に、できるだけ正確にお答えください。子どもの様子と照らし合わせ、当てはまる、またはどちらかというと当てはまる場合は「はい」、当てはまらない、またはどちらかといえば当てはまらない場合は「いいえ」と答えてください。                            

私の子どもは

①すぐにびっくりする
②チクチクするような服や靴下の縫い目、肌に触れる襟元のタグなどを嫌がる
③想定外のできごとに動揺しやすい
④叱る際は、厳しい罰を与えるよりも穏やかな言葉で注意する方がより良い効果を得られる
⑤親の心を読んでいるように見える
⑥年齢の割に難しい言葉を使う
⑦ほんのわずかな匂い、いつもと違う匂いに気付く
⑧ユーモアセンスが優れている
⑨直感力に優れている
⑩興奮した日にはなかなか眠れない
⑪大きな変化には臨機応変に対応できない
⑫服が濡れたり砂で汚れた場合に着替えたがる
⑬次から次へと質問を投げかけてくる
⑭完璧主義である
⑮他人の困っていることによく気付く
⑯静かな遊びが好き
⑰深い意味合いの質問をしてくる
⑱痛みに非常に敏感
⑲うるさい場所が苦手
⑳物を移動させた場合や人の外見の変化など、細かいことによく気付く
㉑物事を非常に慎重に考える
㉒知らない人がいる場所では実力を発揮しにくい
㉓物事を深く考える

※【出典元】エレイン・N・アーロン著|明橋大二翻訳『ひといちばい敏感な子』

~評価の方法~

13個以上「はい」の場合、あなたの子どもはおそらくHSCでしょう。ただし、心理テストから完璧な結果を求めるのではなく、普段観察している子どもの様子を基に判断するのが最善です。かりに「はい」の項目が1個や2個でも、非常に当てはまると感じる場合には、HSCの可能性があるといえます。

HSCの特徴

アーロン博士によると、HSPまたはHSCには、次の4つの性質があるとされています。

  • Depth of processing:深く処理する
  • Overstimulation:過剰に刺激を受けやすい
  • Emotional response and empathy:全体的に感情の反応が強く、特に共感力が高い
  • Sensitivity to subtleties:ささいな刺激を察知する

上記の4つの特徴は、それぞれの頭文字を取って「DOES(ダズ)」と呼ばれます。DOESの具体的な特徴は、次のとおりです。

D:深く処理する

些細な手がかりから多くを推測したり、周囲の雰囲気を鋭敏に感じ取ったりする力を指します。未来を見越して先のことまで想像してしまうため、間違いを恐れ、用心深くなりがちです。

しかし、この特徴は必ずしもネガティブとはいえません。物事を深掘りする能力や多角的な視野を持つため、調べものをする際に細やかな情報を得やすいでしょう。

O:過剰に刺激を受けやすい

HSCではない子どもと比べると、触覚・嗅覚・味覚・視覚・聴覚などにおいて、外部からの刺激をより強く感じる気質です。気温の変化や痛み、音や臭い、物の肌触りなどさまざまなことが刺激になり、すぐに疲れてしまいます。

しかし、刺激を受けやすいからこそ、豊かな感性と表現力を持つのが魅力ともいえます。

E:全体的に感情の反応が強く、特に共感力が高い

ポジティブ・ネガティブを問わず、感情的な刺激に強く反応する気質です。例えば、自分ではなく他の子が叱責されている場面を目にしただけでまるで自分が叱られているかのように感じてしまったり、小説やドラマに強く感情移入してしまう子どもも少なくありません。

一方で、他者の微細な仕草や視線、表情、行動などから、相手の感情を敏感に読み取る力に長けているともいえます。

S:ささいな刺激を察知する

ちょっとしたことが気になり集中力を欠いてしまう、わずかな音が気になって仕方ないなど、ささいなことに敏感な気質です。「Overstimulation(過剰に刺激を受けやすい)とどう違うの?」と思われた方もいるかもしれません。Sensitivity to subtleties(ささいな刺激を察知する)は刺激そのものへの反応ではなく、子ども本人の”こだわり”による気質です。

HSCと発達障害の違い

HSCは発達障害と重なる特徴があるためよく混同されがちですが、この2つの概念は異なるものです。

HSCと発達障害との違いは「脳機能」

発達障害とHSCはいずれも情報処理の仕方が一般と異なりますが、発達障害は「脳機能の違いに起因する障害」、HSCは「脳に障害はないものの情報を受け取る力が著しく高い状態」です。
HSCは脳に障害があるわけではなく、情報を受け止める容量が一般的な人より大きい状況と考えると分かりやすいかもしれません。必要以上の情報を取り込んでしまうため脳内での処理が追い付かず、疲労が蓄積したり困りごとが生じたりします。

HSCと発達障害の共通点は「コミュニケーションの課題」や「刺激への敏感さ」

発達障害のなかでも、特に自閉スペクトラム症(ASD)と注意欠如・多動症(ADHD)にはHSCとの共通点があると考えられています。

例えば、HSCとASDはともに対人関係に課題があり、一人を好む傾向や、環境変化への敏感さなどが見られがちです。しかし、HSCは他者へも繊細に接する一方で、ASDは他者への関心が薄い点が大きな違いといえます。

また、HSCはADHDと同様に感覚刺激への敏感さがありますが、注意散漫になりがちなADHDに対してHSCは注意力が高く、衝動性もほとんどありません。

HSCと発達障害は併発する?

HSCと発達障害は、どちらも先天的なものです。そのため、後天的に新たに発症することはありません。

大前提として、HSCは「気質の概念」なのに対して発達障害は「診断名」です。しかし、2つの特性を併せ持って生まれるパターンはあります。

例えば、生きづらさを感じ続けるうちに2次障害としてうつ病やパニック障害などになり、治療を続けていたとしましょう。その際、HSCの特徴だと思っていたはずが、実はASDなどの発達障害だったというケースも少なくありません。

HSCの子が抱えやすい悩み

「HSCの基礎は分かったけど、HSCの子どもは具体的にどんなことで悩んでいるの…?」そんな疑問を持った方もいるはず。HSCの子どもが抱えやすいのは、次のような悩みです。

学校など環境になじみにくい

HSCには、子どもならではの課題があります。その代表的な一つが「学校などの環境になじみにくい」「不登校へと繋がりやすい」ことです。

敏感な子どもは非常に傷つきやすく、周囲の音や大きな声に必要以上に驚いたり、急な予定を変更するとパニックになる可能性があります。そんなHSCの子どもにとって学校は「予測不可能な刺激の多い環境」となりやすく、不登校と結びつきやすいのです。

非常に疲れやすい

HSCの子どもは、日常でたくさんの刺激を受けています。共感性も高く、他人のできごとを自分のことかのように受け止めてしまうため、非常に疲れやすいのが特徴です。

心身に症状が出やすい

日常の小さな刺激にも過敏に反応してしまうあまり、心身に何らかの症状が出ることも少なくありません。具体的には、過度の疲労感や集中力の低下、焦燥感、不安感の増加などが挙げられます。

自己肯定感を持ちにくい場合がある

環境にうまくなじめなかったり適切な休息を取れずストレスが溜まったりすると「自分は周りよりも劣っている」と考え込んでしまうのも、抱えやすい悩みの一つです。その結果、誉め言葉を受け入れられなかったり、失敗を恐れて挑戦を避けてしまったりする傾向が見られます。

HSC傾向の子どもへの接し方のポイント

「我が子はおそらくHSC…でも、どう接すればいい?」そんな方のために、HSC傾向の子どもへの接し方を5つご紹介します。

リラックスできる場所を確保する

HSCの子どもにとって、長い時間を大人数で過ごす学校などは苦痛に近いもの。そのため、家庭で存分にリラックスできる時間は、自分を充電する非常に大切な工程といえます。

家庭のみならず、子どもがゆっくり楽しめる習い事など「学校以外の安心できる場所」を用意するのがポイントです。

子どもに適したストレス発散法を一緒に探す

HSCの子どもは、無意識にストレスが蓄積されてしまいます。そのため、ストレスを発散できる方法を一緒に見つけ、自然な形で習慣化できるといいでしょう。

気持ちを紙に書いて頭の中を整理したい、お散歩に行きたいなど、ゆっくりと話を聞くと子どもの「どうしたいか」が見えてきます。

「疲れたら休んでいい」と言葉にして伝えてあげる

「休む」が得意ではないのも、HSCの子どもの特徴。学校から帰るとどっと疲れてぐったり…なんていうことも珍しくありません。

「疲れたらたまには休んでいいんだよ」「頑張りすぎなくていいよ」これらの一言が、HSCの子どもにとって「休んでいいんだ…!」と思える気付きや大きな支えになり得ます。

他の子と比べずその子のペースを尊重する

HSCの子どもは、無意識に周囲に合わせたり、頑張りすぎたりしてしまう傾向があります。そのため
「自分のペースで進めばいい」と積極的に伝えていくのも、接し方のポイントです。親が子どものペースを尊重することで、子どもは「ありのままの自分でいいんだな」と感じやすくなります。

スクールカウンセラーや心理士など専門家へ相談する

「誰に相談していいか分からない…」そんな方は、まずは専門の心理士に相談してみるのも一つです。HSCは医学概念ではなく医師の診断が受けられないため、概念の知識を持つ心理士が大きな存在となります。

HSCが気になるときに役立つ書籍や相談先

HSCの子どもは、見られる気質も一人ひとり異なります。そのため、我が子に適した対応を正確に知ることが大切です。

そこで、HSCへの理解をより深めるために役立つ書籍や相談先をご紹介します。

HSCに関する書籍

『ひといちばい繊細な子』

HSPおよびHSCを提唱したアメリカの心理学者、エレイン・N・アーロン博士が「生まれつき敏感な子どもたちをどう育てていけばよいか」を解説した本です。2015年に1万年堂出版より刊行された『ひといちばい敏感な子』を一部改訂、加筆しています。

『ひといちばい繊細な子』青春出版社|エレイン・N・アーロン著、明橋大二 翻訳

『一生幸せなHSCの育て方 「気が付き過ぎる」子どもの日常・学校生活の「悩み」と「伸ばし方」を理解する 』

HSCの特徴をはじめ、HSCが日常生活と学校生活で感じること、安心して成長するために必要なサポートについて紹介されています。

『一生幸せなHSCの育て方 「気が付き過ぎる」子どもの日常・学校生活の「悩み」と「伸ばし方」を理解する 』時事通信社|杉本景子 著

『HSCを守りたい』

「敏感で繊細な子どもたちが幸せな未来を築けるように」と、HSCの母であり心理カウンセラーの著者が、HSCの子を持つ18人の母親とともに作った本です。

『HSCを守りたい』 風鳴舎|斎藤暁子 著

『子どもの敏感さに困ったら読む本: 児童精神科医が教えるHSCとの関わり方』

HSPやHSCの臨床医である著者が、敏感な子どもたちのさまざまな特徴や傾向を解説しながら、気質を才能として輝かせる方法を紹介しています。

『子どもの敏感さに困ったら読む本: 児童精神科医が教えるHSCとの関わり方』 誠文堂新光社|長沼 睦雄 著

HSPやHSCの臨床医である著者が、敏感な子どもたちのさまざまな特徴や傾向を解説しながら、気質を才能として輝かせる方法を紹介しています。

HSCについて相談できる専門家・支援機関

HSCの子どもとの関わりは、医療機関や仲間、サポート体制を上手に使いましょう。クリニックや心療内科などの専門機関をはじめ、地域の支援センターや不登校支援センターなどを活用するのもおすすめです。

また、近年ではHSCの悩みを相談できるオンラインカウンセリングもあります。一人で抱え込まず、さまざまな人を頼りながら、HSCの子どもの良いところをどんどん見つけてみてください。

まとめ|HSCの「敏感さ」を強みに

「我が子はこういうことで悩んでいたんだ…!」と気付いた方もいらっしゃるかもしれません。
刺激を受けやすい繊細さや共感力の高さなど、HSCの気質は、接し方や環境づくりで子どもの強みにも変えられます。

適切に専門機関を活用しながら、子どもの魅力的な気質をどんどん引き出してみてください。

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梅田 ミズキ

大学で臨床心理学・産業組織心理学・発達心理学などを学び、卒業後は公的施設にて精神疾患の方のケアや介助業務、ご家族の相談対応などに従事しながら、ホームページ掲載用のコラムやミニ新聞を執筆。現在はフリーライターとして独立し、くらしにまつわるエッセイの執筆、臨床心理・発達支援・療育関連のコンテンツ制作および書籍編集に携わりながら、心理カウンセラーも務めている。趣味は読書、映画鑑賞、気まぐれで向かうプチ旅行。

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