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2022.06.20

漢検3級で高校受験は有利になる!その理由と合格の秘訣を国語教師が教えます

漢検受験が高校受験で有利になることを知っていますか? 日本語ということで英検よりは親しみやすく、ハードルも低く感じる漢検。内申書に書けるレベルや受験方法、合格のコツを現役国語教師の猪狩はなさんが解説します。

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高校受験で有利になる漢字のレベルとは

漢字の能力を測定する「日本漢字能力検定(漢検)」。漢字の読み・書きだけでなく、漢字の意味を理解しているか、文章の中で適切に使うことができるかを問う技能検定です。

 各級のレベルと受検級の目安

漢検は、レベルに合わせて1~10級までの12段階に設定されており、下記の表のように1級へ向かうにつれて難しくなっていきます。

対象漢字数レベル検定料
1級約6000字大学・一般程度6000円
準1級約3000字大学・一般程度5500円
2級2136字高校卒業・大学・一般程度4500円
準2級1940字高校在学程度3500円
3級1607字中学校卒業程度3500円
4級1322字中学校在学程度3500円
5級1006字小学校6年生修了程度3000円
6級825字小学校5年生修了程度3000円
7級640字小学校4年生修了程度3000円
8級440字小学校3年生修了程度2500円
9級240字小学校2年生修了程度2500円
10級80字小学校1年生修了程度2500円

「何級を受ければいいんだろう?」と思ったときは、現在の学年か1つ上の学年にあたる級を選んで受検するのがおすすめですが、初めて漢検を受検する場合や、合格できるか不安な場合は1つ下の学年の級から挑戦してみるのもいいですね。

また、日本漢字検定協会の公式ホームページには、練習問題が掲載されています。自分の実力がわからないという人は、漢検の過去問題を実際に解いてみるのも参考になりますよ。

高校受験で有利になるのは3級から

上記の表にもあるように日本漢字検定協会が”中学校卒業程度”のレベルとしているのが漢検3級です。

そのため、入試の際に漢検を評価する高校の多くが”漢検3級以上”を最低ラインに設定しています。

各級の合格基準とは

また、各級の合格基準は下記のようになっています。

各級の合格基準

  • 1級・準1級・2級(200点満点)=80%程度
  • 準2級~7級(200点満点)=70%程度
  • 8級~10級(150点満点)=80%程度

受検する級によって合格基準も変わってくるので、あわせてチェックしておきましょう。

また、高校入試レベルの漢検3級の試験時間は60分。合格ラインは200点満点中70%程度の正解で合格(合格最低ラインは140点前後)となっています。2021年度第3回試験における漢検3級の合格率は、50.5%でした。

漢検の高校受験への影響をイメージした写真

全国の高校の半数以上が漢検を評価している

漢字検定協会の調査によると、全国の高校総数5523校のうち、入試において漢検を評価している校数は2678校(50%)としています。

漢検のHPには、漢検協会の独自調査に基づく「高等学校活用校検索」データベースというものもあります。学校名や地域・学校種などから、志望する高校が漢検を評価対象にしているかどうかを調べることができるページです。

ただし、このデータベースは漢検協会独自の調査に基づいたものなので、詳細を回答していない高校のデータは掲載されていません。データベースでヒットしない場合でも、志望校のHPや募集要項もあわせて調べてみてください。

高校受験で漢検が評価される3つのパターン

では、漢検はどのように入試の評価に関係してくるのでしょうか。3つのパターンを解説していきます。

【パターン①】推薦入試で条件が緩和される

私立高校では、推薦入試の出願要件に「内申点●点以上」と記載している学校も多いです。

内申点への漢検加点がある場合、学校の提示する基準に達していない場合でも加点分で出願資格を得られる場合があります。

推薦入試において内申点に加点される例

  • 豊島学院高等学校(東京都)
  • 漢検3級以上を取得している場合「推薦優遇」の加点を受けることができる。
  • 関東第一高等学校(東京都)
  • 漢検3級以上を取得している場合、内申基準に1ポイント加算される。

【パターン②】入試の内申点・評価点に加点される

学習意欲・人物評価に漢検を評価に入れている高校は2678校。そのうち、「出願時に提出する内申点に加点する」「試験の点数に加点する」としている高校は564校です。

「内申点に加点する」とある場合、多くの高校で1~2点が加点されて、この加点分が合否を分ける場合もあります

漢検を計画的に受検・取得しておくことで、受験前から他の受験生との差をつけられます。

【パターン③】総合判断の際に加味される

漢検は合否判定の総合判断のときに参考にされることも多いです。漢検を持っていることで「学習意欲が高い生徒である」「コツコツ努力を重ねることができる人物だ」と判断される要素になります。

募集要項に記載されている評価対象の級に達していない場合でも、「漢検を受験して合格した」という実績を見る高校もあるようです。志望している高校での漢検の扱いは確認しておくことをおすすめします。

合否の総合判断の際に加味される高校の例

  • 大阪学院大学高等学校(大阪府)
  • 個人報告書に記載があれば、合否判定の際に一定の配慮を行う。
  • 双葉高等学校(北海道)
  • 書類選考や面接などで、総合的な判断材料のひとつとして参考にする。

漢検受検は中学3年の秋までに

高校入試で漢検を活用したいという場合に気を付けたいのが、受検の時期です。漢検は、6月・10月・2月に実施されますが、高校入試の内申書に書くためには、中3の10月に実施される試験で合格しないと間に合わないので注意しましょう。10月受検は7月に申し込みが行われるので、受検予定の人は忘れずに手続きをしてくださいね。

高校入試で漢検を内申書に反映させたいと考えている場合は、計画的に受検スケジュールを立てておくのもおすすめです。試験慣れや学習習慣の確立にも役立ちますよ。

高校受験には10月までに漢検を受けるイメージ

志望校が未導入でも高校受験に役立つ

高校の半数以上が漢検による評価を導入しているとはいえ、志望校は導入していなかった、という場合もあり得ます。しかし、直接の加点がなくても、漢検の勉強で身につける漢字力・語彙力は高校受験全般に役立ちます

例えば、国語の試験では、漢字の読み書き問題はもちろんのこと、語彙力がアップすることで読解問題においても読み取りのスピードや正答率も上がります。

ほかの科目においても、「文章を読み取る」というスキルは必要不可欠。試験では、限られた時間のなかで問題文を読まなくてはいけません。わからない語句、知らない漢字が少ないということは、それだけ早く内容を読み取れるということ。ほかの受験生と差をつけるチャンスです。

漢字力・語彙力が身につくと、普段の授業でも理解度が上がり、定期テストでもプラスになります。日々の授業がわかる、問題が解けるという経験は、勉強全般に対する自信にも直結する大事な要素です。

高校受験に向けた漢検勉強をしているイメージ

3級合格に向けた勉強法【6つのステップ】

漢検3級の難易度・合格率、出題内容を踏まえた対策方法を見ていきます。漢字が苦手な人にも取り組みやすい、効率よく学べる勉強法やテキストを紹介します。

【勉強法①】漢検3級の出題内容と配点をチェック

漢検3級の試験では、次のような内容が大問別に出題されます。それぞれの配点も合わせて確認してみてください。

漢検3級の出題内容(配点)

  • 漢字の読み(30点)
  • 漢字の書き取り(40点)
  • 送り仮名(10点)
  • 同音・同訓異字(30点)
  • 対義語・類義語(20点)
  • 熟語(30点)
  • 熟語の構成(20点)
  • 誤字訂正(10点)
  • 部首・部首名(10点)

以上のような出題傾向を踏まえて、漢検合格に向けたおすすめの勉強法を紹介します。

【勉強法②】最初に1回分の過去問を解く

まずは漢検3級の過去問題を1回分でいいので解いてみましょう。

「いきなり過去問を解いても点数が取れない!」「過去問は勉強してから解きたい!」という声もよく耳にします。

しかし実は、勉強をスタートする前に本番同様の出題形式の試験問題を見ておくほうが、試験の全体像を把握し、自分の得意と苦手を知ることができるため、スムーズに勉強できます。

勉強を始める前なのだから、わからない問題ばかりで当然です。どのような漢字が、どんな風に出題されるのか。漢検は大問ごとに出題分野がわかれているので、どの分野が得意か・苦手か。この2点を確認しながら、採点まで行いましょう。

日本漢字検定協会の公式サイトでは、1回分の問題と解答が無料で閲覧できます。最新版の過去問題集も漢検協会公式からも発売されているのでチェックしてみてくださいね。

【勉強法③】自分に合った得点方法を計画する

漢検3級の合格基準は70%程度なので、200点満点のうち140点前後が合格最低ラインになります。過去問を解いたときの自分の得点率、自分の得意な分野、苦手な分野を踏まえて、どこで何点取って合格ラインを超えるか作戦を立てましょう。

例えば、筆記問題130点分で少なくとも100点をとり、残り70点のマーク形式で最低でも40点を狙うなど、やみくもに満点を目指すのではなく、堅実に合格できる方法を考えてください。

【勉強法④】分野別問題集で対策する

どこで何点取りたいかが決まったら、分野別に対策をしていきます。試験日までの日数から逆算して、下記2つを意識してバランスよく学習していきましょう。

  • 苦手分野の対策をして最低ラインを確保する
  • 得意な分野を固めて確実に得点していく

勉強を進めていくのにぴったりなのが、分野別問題集です。何種類か出版されているので自分にあったテキストを探してみてください。

【勉強法⑤】問題練習で漢字の知識を身につける

範囲となる漢字練習が進んできたら、試験の中でも配点の高い読み・書き取り対策の時間を増やしていきましょう。

読み・書き取りの勉強法

  • 声に出して読む
  • 手を動かして練習する
  • できるようになるまで繰り返す

トメ・ハネ・ハライも確認しつつ、「丁寧に書く」ことを意識して練習していきましょう。

【勉強法⑥】直前対策でラストスパートを

試験直前になったら、下記のことに取り組みましょう。

  • 今までの学習で繰り返し間違えている箇所を詰める。
  • 過去問を、時間を守って解き切り、間違えた問題は復習する。

基本的には、これまで使ってきた問題集を使い込んでいく勉強法がおすすめです。しかし、どうしても不安な部分があるという人や、本番まで時間がないという人は、以下のようなタイプの問題集もチェックしてみてください。


漢検は高校入学後の学習にも有利

高校に進学すると、国語だけでなく、数学・英語・理科・社会でも、学習内容も教科書の文章のレベルもあがります。漢検の勉強によって漢字の能力・語彙力を身につけておくと、高校入学後の学習でも有利に学習を進めることができるでしょう。大学受験を見据え、自分にあったペースで計画的に勉強する習慣をつけたい場合にもおすすめです。

これから高校、大学に進み、社会人として活躍していくためにも必要な基礎的な力でもある、言葉の力。漢検の取得を通じた「やればできる」という自信で、学びに向かう意欲もぐんぐんあがっていきます。

漢検は学年を問わず自分の実力に合わせた級から受検できるので、レベルや性格に沿って勉強してみてくださいね。

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猪狩はな

国語教師をしながらwebライターとして働く2児の母。持続可能に「好き」を楽しむキャリア形成を目指して奮闘中。小中高の教員免許、司書教諭資格に加え、育休中に保育士資格、復職後には色彩検定UD級を取得。好奇心旺盛な性格で趣味は銭湯めぐりと文房具集め。

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