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2022.06.08

【塾なし高校受験】塾に行かずに志望校に合格した子の学習計画や使った問題集とは

高校受験(受検)をする中学生は、塾に行くのが当たり前だと思われがちです。しかし、果たして本当にそうなのでしょうか。長女が塾なしで高校受験に見事合格した三上広子さん(仮名)は、「塾はあくまで選択肢のひとつであって、必要とは限らない」と言います。受験勉強をどのように進め、塾なしのデメリットにどう対策したのか、お話を伺いました。

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※本ページはプロモーションが含まれています

今回の執筆者

三上広子さん(神奈川県在住)。長女のはるかさんは、「部活に全力投球したい」「習い事を辞めたくない」という希望から家庭学習(通信教材)のみで高校受験に挑み、見事、第一志望の県立高校に合格しました。

塾なしは少数派…でも高校受験には対応できる

現在高校生の娘は、公立中学校から高校受験も塾なしで第一志望の県立高校に合格することができました。娘の周りの友達はみんな塾に通っていましたし、塾なしで高校入試を乗り切ったのは同級生では娘だけです。

ですが、今振り返って思うのは、「少なくとも公立高校が第一志望なら、塾なしでも十分入試には対応できる」ということです。自宅学習での受験勉強や塾なしのデメリットにどのように対策したかなど、わが家の場合をお伝えしたいと思います。

早めに地域の高校入試の仕組みを理解しておく

公立高校の入試は、地域によって仕組みが大きく異なります。内申点ひとつとっても、神奈川県では中2と中3の成績が影響します。一方で同じ首都圏でも、東京都は中3のみ、埼玉県は中1からの成績が内申点に反映されると聞きます。

また、神奈川県の場合、内申点と当日のテストの点数、面接(2024年度から面接は廃止予定)、特色検査(実施する学校のみ)の配点比率が、学校によってそれぞれ違います。

このような仕組みを知らなければ、「志望校に合格するには入試本番で何点以上を目指したい」といった目標を立てることもできません。まずは、自分の地域の高校入試制度について、しっかりと理解しておくことが大切です

公立高校の入試の仕組みや、合否を判断する値の計算方法、各学校の配点比率などは、県の教育委員会のウェブサイトに掲載されています。

分かりにくい場合は、インターネットで「神奈川県 高校入試 仕組み」などと検索すると、それらについて解説したサイトがたくさん見つかります。特に、地域の大手塾のサイトには高校入試制度について丁寧に説明されたものが多く、参考になります。

塾なし高校受験で高校入試の情報を入手しているイメージ写真

定期テスト・内申書対策は教科書・ワーク、プリントと通信教材

受験勉強を含めて市販の問題集や学習アプリなどは使用していません。

定期テスト・内申対策にしたこと

定期テストの対策には、教科書、ワーク、授業で配られたプリントを使いました。授業で習った内容に加えて、教科書巻末にある応用問題も解くようにしていたそうです。

また、提出物は実技科目も含めて真面目に取り組み、必ず期限内に提出していました。

高校によっては、英検や漢検、数検といった検定を取得すると、級に応じて内申点に加算される場合があります。娘も、内申対策の一環として英検を取得しました。なお、中3の冬になると調査書の記載に間に合わないため、遅くとも中3秋までの取得をおすすめします。

学校の勉強以外にはZ会の通信教材だけ

学校の勉強以外でやっていた通信教材はZ会 です。

小学生時代は別の通信教育をやっていたのですが、中学入学と同時にZ会に切り替え、高校受験をする中学生向けのコースを英・数・国・理・社の5科目を受講しました。

「持ち運びしやすい」「手で書く方が頭に入りやすい」との理由で、タブレットではなくテキストでの受講を選びました。学校の授業進度に合わせた内容ではありませんでしたが、教科書では扱っていないような応用問題も多く、かなり力がついたようです。

塾なしで高校受験を乗り切れた1つの要因が、通信教育で学習習慣がついていたおかげかもしれません。

入試直前には「入試特訓」と題した演習形式のテキストがあり、集中して取り組んでいました。

三上さんが使用していたZ会のテキスト。入試直前の実戦形式のもの

本格的な受験勉強は中3秋から、足したのは過去問のみ

娘は吹奏楽部に所属しており、引退が他の部活よりも遅い11月頭の文化祭でした。本腰を入れて受験勉強を始めたのは11月以降です

それまでは、定期テスト前を除けば、家庭での学習時間は宿題なども含めて1日1~2時間ほど塾に通っている子に比べれば少なかったのではないかと思います。

部活を引退してからは、まず、たまっていたZ会のテキストに取りかかり、少しずつペースアップしていきました。12月以降になると、平均して平日4~5時間、休日は8~10時間ほど勉強していました

購入した問題集は過去問2冊だけ

本格的な受験勉強を始めた後に購入したのは共通問題と特色検査の過去問題集だけです。

本格的な受験勉強を始めた中3の秋くらいから取り組み始め、共通問題は過去6年分を3回、特色検査は過去2年分を2回解き、間違いやすいポイントを確実につぶしていったそうです。

三上さんの長女が使っていた過去問題集

教科横断型問題へ3つの対策

神奈川県の一部の公立高校では、共通問題に加えて、「特色検査」という教科横断型の総合問題が実施されます。ほかの地域でも、呼び方は違っても似たような総合問題や自校問題を出題する高校があるのではないでしょうか。

娘が受験した高校は特色検査実施校だったので、対策が必要でした。ですが、特色検査は共通問題とは異なり、教科書の学習内容がそのまま出題される訳ではありません。ボリュームがかなり多く出題形式も独特なので、模試や過去問で問題に慣れ、時間配分のコツをつかむようにしていたそうです。

振り返って、特色検査対策に特に有効だったと思うのは以下の3点です。

【対策①】本をたくさん読

娘は小さい頃から本が好きな子でした。そのおかげで読解力がつき、「要点は何か」「何を問われているのか」をスピーディにつかみやすかったのではないかと思います。長文に全く苦手意識を感じずに済んだのもメリットだったそうです。

【対策②】実技科目に手を抜かな

総合問題である特色検査では、問題の中に音楽や体育など実技科目に関する話題が登場することがあります。実際に問題を解く際に問われるのは数学や理科の知識でも、問題文の中に分からない用語があると、どうしても気持ちが焦ってしまいがちです。娘曰く、「特色検査対策としても実技科目は手を抜かない方がいい」とのことです。

【対策③】英語の長文読解力をつける

Z会 の英語のテキストには、毎回必ず長文問題がありました。それを続けていたおかげで英文の読解力がつき、「英語が得意」という自信がついたそうです。特色検査には必ずといっていいほど英語の長文が登場するので、かなり強みになったと思います。

間違えた問題をまとめてファイルし、後で見返せるようにノートではなくルーズリーフを使用して勉強をしていたそう

塾なし高校受験、デメリットへ5つの対策

塾に通っていないと、「タイムリーな受験情報が入らない」「自分で学習計画を立てなければならない」など、さまざまな不利な点があります。塾なしのデメリットに対しては、次のように対策をしていました。

【対策①】受験情報はインターネットで情報収集

塾に行っていれば、その地域のタイムリーな受験情報が手に入ります。周りの保護者の中には「子どもを塾に行かせているのは学力アップというよりは情報収集のため」と言う方もいました。

ですが今の時代、欲しい情報はほとんどインターネットで入手できます。前述した高校入試の仕組みに加え、前年度までの倍率なども教育委員会が公開していますし、高校ごとの偏差値や内申点の目安は中学から資料が配付されました(ネットや市販の入試ガイドにも掲載されています)。

また、「○○高校 合格ライン」「○○高校 ボーダー」などと検索すれば、志望校合格に必要な当日点の目安も調べることができます

ネットでは分からない校風などを知るには、実際に学校説明会に足を運ぶのが一番です。わが家の場合は、公立3校、併願私立3校の説明会に参加しました。

【対策②】継続して模試を受け全体の中での立ち位置を把握

中学校の成績や定期テストの点数だけでは、入試における実際の自分の立ち位置が把握できません。そのため、中3になってからは1~2ヵ月に1度のペースで模試を受けていました

娘が利用したのは神奈川全県模試とZ会の在宅受験模試ですが、塾のオープン模試を受けるのもよいと思います。

模試を受けると、偏差値や志望校の合格率が分かります。ただ、偏差値は母集団によって変動するので、参考程度にとどめるようにしていました。重視したのは、苦手分野の確認と復習、前回の模試からどう変化したか、志望校別の順位などです。入試直前には、過去問に加えてそれまで受けた模試の問題も総ざらいしました。

【対策③】学校の先生を頼り、相談する

中3になると、中学校では進路に関する三者面談が何度か行われます。初回の面談時に、「塾に通っていないのでいろいろ相談することがあるかもしれませんがよろしくお願いします」ということを担任の先生に伝えておきました。

だからといって学校から特別な学習指導がある訳ではありませんが、「こんな資料があるよ」など、折に触れて声を掛けてくださっていたそうです。

塾の先生はもちろん受験勉強のプロですが、学校の先生も中学生を教えるプロです。公立高校の入試問題は教科書の範囲内ですから、苦手分野や分からないところも、質問すれば答えてくれるでしょう。

娘の場合、勉強については解説を読んで自力で解決できたようですが、面接の練習は自宅学習ではどうにもなりません。「面接の練習は塾でやったから学校では必要ない」という子が多い中、担任や進路指導の先生にお願いして多めに模擬面接をやってもらったそうです。

【対策④】塾の自習室の代わりに図書館の自習室に通う

部活を引退してからは、ほぼ毎日近所の図書館の自習室で勉強していました。自習室では小学生から大人までさまざまな人が黙々と勉強しています。世代の違う人達が真剣に勉強に取り組む姿に刺激を受け、「自分も頑張らなくては」とモチベーションが上がったそうです。

図書館以外にも、地区センターやコミュニティセンターの多くには無料の学習室が設けられています。また、有料のレンタルスペースやコワーキングスペースでも、学生向けの安価なプランが用意されているケースがあります。

【対策⑤】スタディプランナーを活用し、学習計画やモチベーションを維持

基本的にはZ会 テキストのカリキュラムに沿って勉強していたので、「いつ頃何をやるか」という学習計画に困ったことはありません。中3秋までに基礎を固め、秋以降は実践問題と過去問を中心に進めました。

日々の学習計画やモチベーション維持には、スタディプランナー(勉強ログノート)を活用。その週に取り組みたいことを日々の予定に落とし込み、色分けをしたり感想を書き込んだりして記録していました。スケジュール管理と同時に、見返したときに「これだけやった」という達成感にもつながっていたようです。

三上さんのスタディプランナー

つらいのは志望校選びのアドバイスがないこと

塾に通っていると、「この高校が良いのではないか」「学力的にこの高校は厳しいのでは」など、さまざまなアドバイスが受けられると思います。

一方、(学校にもよるかもしれませんが)中学の先生は、特定の高校を薦めたり合否の予測を伝えたりすることはありません。つまり、志望校は本人と親が考えて決めるしかないということです。

わが家の場合は、私も夫も志望校については全く口出ししませんでした。「薦められたから」「親が喜びそうだから」などの理由で志望校を決めてほしくなかったからです。学校見学には一緒に行きましたが、娘には、全ての学校に対して良いと思ったところだけを感想として伝えました。

志望校が決まるまで本人はかなり悩んでいましたが、結果として「自分が本当に行きたいと思う高校」を選べたのではないかと思います。

私がしたのは、候補の高校のアクセスや校風、設備、行事、難易度などさまざまな情報を整理して比較一覧表を作ったことと、ひたすら娘の話を聞いたことです。

「高校受験=塾」がマストではない

公立高校の場合、入試問題は教科書の範囲から出題されます。逆にいえば、教科書の内容を完璧にしておけば、ほとんどの公立高校には合格できるということです。

娘の話で印象的だったのが「学校の授業が基本。基本が身に付いていなければ応用もできない」「塾の宿題をやっていて学校の提出物をやる時間がない、という子がいるけれど、それでは本末転倒」ということでした。

塾は勉強ツールとしての選択肢のひとつでしかありません。塾に行くことが子どもにとってベストであれば通った方がいいと思いますが、必ずしも「塾ありき」ではないと思います。

娘本人は、塾に行かなかったことについて「周りに影響されずに1人で集中して勉強できた」「部活も習い事もやりきれて満足」と言っています。

とことん悩んで自分の意志で志望校を決めたことで、将来を考えるきっかけにもなったようです。「高校受験=塾がマスト」と決めつけず、子どもに合った納得の高校受験を迎えてほしいと思います。

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