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2022.03.20

小学校になじめない「小1プロブレム」とは? その原因と家庭でできる対策を紹介

幼稚園や保育園を卒園し、晴れて小学1年生となる春。真新しいランドセルや教科書に心が高鳴りますが、なかには環境の違いに戸惑ってしまう子も少なくありません。時間の経過とともに慣れていき、スムーズに集団活動に溶け込む子どもも多いものですが、中には問題行動を起こしてしまう子どももいます。
今回は小学校入学当初の子どもに見られる「小1プロブレム」の概要を知るとともに、家庭でできることを考えていきましょう。

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小1プロブレムとは?

小1プロブレムって、どのような状態?

東京都教育委員会によると「第1学年の学級において、入学後の落ち着かない状態がいつまでも解消されず、教師の話を聞かない、指示通りに行動しない、勝手に授業中に教室の中を立ち歩いたり教室から出て行ったりするなど、授業規律が成立しない状態へと拡大し、こうした状態が数か月にわたって継続する状態」をいうのだそう。

実際に、以下のような様子が報告されています。

  • 教室の中を勝手に立ち歩いたり、教室の外に出てしまう
  • 担任の指示通りに行動しない
  • 友達とのけんかやトラブルが日常的に起きてしまう
  • 私語が止まず、ざわざわとしている

初めての学校生活に気持ちが浮き足立ってしまったり、ワクワクすることによってこのような状態になることは考えられますが、それが何ヶ月も続くことが小1プロブレムの特徴です。

なぜ小1プロブレムが起こってしまうのか?

小1プロブレムは、あるひとつの理由で起こるわけではありません。家庭環境や保育園での様子、学校の環境などが重なり合って生じると考えられています。

日本保育協会「保小連携に関する調査研究報告書」は、具体的に次のような要因をあげています。

少子化、核家族化

昔よりきょうだいが少ない、あるいは一人っ子の環境が多いことから、同世代の子ども同士の交流が減っていることが原因のひとつだと考えられています。

年下の子にやさしくする、みんなで協力するという機会は子どもの社会性を育てますが、家庭内ではなかなかそういった経験をさせることがないという方もいるのではないでしょうか。

また、核家族化による家庭内での教育の形の変化もあげられています。

地域との関わりの減少

現在、残念ながら子どもが巻き込まれる事件や事故が増えており、子どもだけで遊びに行くことは少なくなっているのではないでしょうか。都市開発により、そもそも公園が減らされている地域もあります。

そのような背景から、登園時以外では一人遊びや親と遊ぶ時間が増え、他の同年代や、近所の人と関わることが以前よりも少なくなってしまったことも、小1プロブレムに関係があると考えられています。

幼稚園、保育園と小学校の接続の課題

遊ぶことがメインであった幼稚園や保育園と、学ぶことがメインの小学校では生活環境が全く異なります。環境が変わるタイミングで「慣らす時間」が全くないと、大人でも体調をくずしたり心が疲れてしまいますよね。

子どもも同じで、幼保と小学校で連携して、子どもたちがスムーズに小学校生活に慣れることができるようにしたいものですが、実際はカリキュラムなどの多くの課題があります。

また、単純に教師の指導力不足や、学校としての支援体制が整っていないなどの原因も挙げられています。

小1プロブレムの実態と学校や幼稚園・保育園の対応

都内の4分の1の公立小学校で「小1プロブレム」が発生

2009年の東京都の調査では、都内公立小学校の校長1,313名のうち、23.9%が「不適応状況の1年生が発生したことがある」と回答しました。

4分の1の公立小学校で起こっていることから、決してめずらしいことや、自分たちとは関係ないというわけではないと言えます。

また、同調査で「その状態がいつからいつまで続いたか」という質問をしたところ、7割以上が進学まもない4、5月からその様子が見られ、発生したうちの半数以上が年度末まで続いたようです。

数ヶ月でおさまったり、叱って言い聞かせたら落ち着いたりすることではないということが分かりますね。

「幼保小の架け橋プログラム」とは?

このような行動がみられると、小学校では「担任以外の教師が指導の協力に入る」「校長先生や教頭先生が協力的に指導を行う」など、複数人でのサポートをしてくれるようです。

さらに現在、文部科学省では、5歳児向けの「幼保小の架け橋プログラム」の取り組みを進めており、2022年度からはモデル地域でのカリキュラムの開発・実践・検証を行う予定となっています。

具体的には、幼稚園・保育園などからよりスムーズに小学校に入学できるようにするための仕組みができることが期待されています。

これは、義務教育を前倒しするというものではなく、「小学校入学までに子どもに育ってほしい姿に到達するため」に幼稚園や保育園、さらには小学校が連携して子どもたちを育てようというプログラムです。

では、「小学校入学までに育ってほしい子どもの姿」とは、具体的にどのようなものなのでしょうか。

10個の「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」

文部科学省は、次の10個を「幼児期の終わりまでに育ってほしい」と考え、実現するように指導や保育を行っています。

これらはいずれも、子どもたちが小学校生活にスムーズに移行できるようにするために必要な力です。

幼稚園や保育園で育ててほしいのはもちろんですが、家庭でのしつけにも大きく関わっている部分もあるため、親も知っているといいかもしれませんね。

  • 健康な心と体
  • 自立心
  • 協同性
  • 道徳性・規範意識の芽生え
  • 社会生活と関わり
  • 思考力の芽生え
  • 自然との関わり・生命尊重
  • 量・図形、文字等への関心・感覚
  • 言葉による伝え合い
  • 豊かな感性と表現

家庭でできる小1プロブレム予防

家庭における小1プロブレムの原因

小1プロブレムが起こる大きな原因のひとつとして、前の項目にも示したとおり、「家庭でのしつけが十分ではない」ということがたびたび挙げられています。

では、どのようなしつけが足りていないとされているのでしょうか。

日本保育協会「保小連携に関する調査研究報告書」は、核家族やきょうだいが少ないという環境では、思い通りにいかずに葛藤することや我慢する機会が減っており、そのような場面が多い集団生活に慣れていないこと。

そしてもうひとつとして、挨拶や姿勢、身の回りの整理整頓などの、基本的な生活習慣のしつけが不十分であるのではないかとしています。

小1プロブレムを防ぐために家庭でできること

そうは言っても、小学校入学前の子どもに「◯◯をやりなさい!」とガミガミ言うこともしたくないですよね。

小1プロブレムで子どもも親も苦しまないためにはどうすれば良いのでしょう。「しもつまきっずなび」を参考に、就学前に取り組める対策の一例をご紹介します。

おうちでの「時間割」を作ってみる

小学校での生活は、時間割を基に進められます。入学を前に、家庭でも、ご飯を食べる時間やテレビを見る時間などを決めて、時間で動く生活をしてみると、学校生活のイメージがわきやすくなります。

それにより、規則正しく生活する基本的習慣が身に付くことも期待できます。

文字数の多い絵本の読み聞かせをしてみる

小学校の授業は、基本的に教科書に沿って進められます。文字を読んだり、話を聞いたりする時間が長くなるため、家庭でも文字に触れる機会を増やしてみるとよいかもしれません。

読み聞かせをすることで、語彙が増えたり、想像力が豊かになったり、様々な効果が期待できます。

座学の習い事にチャレンジしてみる

最後は少しハードルが上がりますが、座学の習い事に挑戦し、「座って学ぶこと」に慣れさせるのもおすすめです。定番のそろばんやお習字のほか、幼児教室なども考えられますね。

しかし、これはお金がかかり、送り迎えも必要なことになってしまいます。難しい場合は、家庭で親が先生役になって座学を体験させてみるのもよいかもしれません。

小1プロブレムは、幼保や小学校の課題とされがちですが、その要因として、幼児期の家庭での過ごし方を指摘する声は少なくありません。

まずは、このような問題があることを親が知り、家庭での関わり方を改めて考えてみることで、子どもがストレスなく小学校生活を送れるようになるのではないでしょうか。

その上で、子ども一人ひとりに合わせた対策や支援を考えられたら良いのではないかと、筆者は思います。

<参考資料>
東京都公立小・中学校における第1学年の児童・生徒の学校生活への適応状況にかかわる実態調査について
東京都教育委員会「東京都教育ビジョン(平成16年4月策定)本文」
文部科学省「幼児期の終わりまでに育ってほしい幼児の具体的な姿(参考例)」
文部科学省「幼保小の架け橋プログラムについて」
社会福祉法人日本保育協会「保小連携に関する調査研究報告書」
下妻市教育委員会「しもつまきっずなび」

「ソクラテスのたまご」編集部

「ソクラテスのたまご」編集部

教育に関する有識者の皆さまと一緒に、子を持つお父さん・お母さんでもある「ソクラテスのたまご」編集部のメンバーが、子どものために大人が知っておきたいさまざまな情報を発信していきます。

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