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2021.03.17

中学で不登校に…無気力だった僕が夢のために大学進学するまで【通信制高校生徒インタビュー②】

文部科学省が発表したデータによれば、通信制高校に通う生徒の約半数には、小・中学校や前籍校での不登校経験があるそうです。「KTCおおぞら高等学院」3年生の佐野匠さんも、不登校だった中学時代を経て通信制高校に入学。卒業後には志望する大学に進学することが決まっています。通信制高校での3年間でご自身の中にどのような変化があったのか、お話を伺いました。

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中1の秋から不登校になり無気力な生活へ

小学校時代は児童会長を務めるなど「人前に立つのが好きだった」という佐野さん。中学入学後も学級委員を任されるなど積極的に活動していましたが、1年生も後半に入ったあるとき、それまでの頑張りからプツンと糸が切れたように「もういいや」と無気力になってしまったそうです。

「何か直接的な原因があった訳ではないのですが、それを境に学校に行かなくなってしまいました。そのときスクールカウンセラーの方に大変お世話になり、『将来は自分もスクールカウンセラーになりたい』と考えるようになったんです。

スクールカウンセラーになるためには高校を卒業しなければいけませんが、中学で授業にほとんど参加していなかったため、学力面に大きな不安がありました。全日制高校への進学は難しいのではないかと思い、通信制高校を選ぶことにしたんです」(佐野さん、以下同)

「信じた道を行きなさい」という親の言葉がうれしかった

佐野さんが「KTCおおぞら高等学院」に興味を持ったのは、同校が展開する中学生サポートコース「くれしぇんど」がきっかけでした。

「くれしぇんど」は、不登校などの状況にある中学生に、学習やコミュニケーションといったサポートを行うサービス。佐野さんはちょうど通信制高校について調べていた頃くれしぇんどに通い、親しみやすさを感じたそうです。

「通信制高校への進学を親に相談すると『自分の進みたいように進みなさい』と言われました。特定の学校を無理にすすめることもなく、『自分の信じた道を行きなさい』と後押ししてくれたのがとてもうれしかったです」

その後、佐野さんは「KTCおおぞら高等学院」に入学。現在は、みらい学科子ども・福祉コースに在籍しています。

教育のマメ知識

<不登校中の中学生も参加できる高校準備室「くれしぇんど」>
佐野さんも中学時代に利用していたのが「KTCおおぞら高等学院」による中学生向けのサポートコース「くれしぇんど」です。

「くれしぇんど」は、キャンパスへの通学・登校と在宅の両面でサポートを受けることができ、「学校へ行く練習がしたい」「中学の勉強を基礎から学びなおしたい」「社会性を身に付けたい」という中学生やその保護者の思いを応援します。

詳しくは下記のページから問い合わせを
中学生サポートコース「くれしぇんど」

通信制高校で人生をリセットできた

「KTCおおぞら高等学院」のみらい学科には、佐野さんが所属する子ども・福祉コース以外にも「プログラミングコース」「マンガイラストコース」などさまざまなコースがあり、各分野の専門講師によるレッスンが受けられます。

佐野さんがみらい学科を選んだのも、スクールカウンセラーという将来の夢に向けて、志望大学の教授の授業を受けられることが大きな理由だったそうです。

中学時代は不登校だったという佐野さんですが、「KTCおおぞら高等学院」に入学後は平日ほとんどキャンパスに登校するように。通信制高校に入ったことで、何か心境の変化があったのでしょうか。

全く知り合いのいない新しい環境に飛び込んだことで、かえって抵抗なく通学できたのかもしれません。今では家に一人でいるよりも、キャンパスに行って友達に会う方が楽しいです」

スクールカウンセラーについては、以下の記事で詳しく解説しています。

スクールカウンセラーとは?役割や仕事内容、相談の仕方を現役カウンセラーがアドバイス
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知り合いに会わずに通学できる遅めの始業時間

「KTCおおぞら高等学院」では、一般的な全日制高校に比べて始業時間を遅く設定しています。これは、起立性調節障害や睡眠リズム障害などで朝早く起きることが難しい生徒への配慮からなのだとか。この時間設定も、毎日の通学を後押しした要因だと佐野さんは言います。

「他の高校よりも始業時間が遅いので、通学中に中学時代の同級生と顔を合わせることがありません。できるだけ顔見知りとは会いたくないと思っていたので、ありがたかったですね」

起立性調節障害について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

朝、起きられない、だるいのは起立性調節障害だから?症状や治療、親ができることを医師が解説【チェックリスト付き】
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避けていた人との交流を積極的に取るようになった

入学するまで、「通信制高校は不登校などの事情を抱えた生徒が多く、暗い感じなんだろうな」と思っていたという佐野さん。しかし実際に入学してみると、事前のイメージに反して明るく社交的な生徒が多かったといいます。

「入学してしばらくは自分からうまくコミュニケーションをとることができなかったのですが、周りから声をかけてもらって徐々に友達が増えていきました。お互いのことを知ると、それぞれが抱えている事情も豊かな個性だと思えるようになります。自分にはない魅力を持っていたり、自分が知らない世界を知っていたりする子がたくさんいて、とても輝いて見えました」

その頃の経験から、3年生になった今は、下級生にも積極的に話しかけるように心がけているのだとか。

また「自分を変えたい」という思いから、1年生のときには接客業のアルバイトもスタート。それまでは何をやってもあまり長続きしなかったという佐野さんですが、同じバイトを現在までずっと続けているそうです。

学習面の不安を解消するには

通信制高校へ入学するにあたり、佐野さんが抱えていた大きな不安が学習面の遅れでした。

「同級生が中学に行っている間、僕はほとんど家にいて全然勉強をしていなかったので、授業についていけないのではないかと本当に心配でした。でも、入学してみると、わからない部分はコーチに質問でき、周りの友達が教えてくれるので授業への不安はすぐになくなりました。このようなきめ細かいサポートが受けられたのも、通信制高校を選んで良かったことの一つです」

中学の学習内容の復習もフォロー

「KTCおおぞら高等学院」では、午後の時間を使って、好きなことや好きなものを見つけるための「みらいの架け橋レッスン」というオリジナル授業を行っています。

「みらいの架け橋レッスン」では、スポーツやネイル・ヘアメイク、各種検定などのほか、学習面のフォローも実施。小・中学校での学習内容につまずきがある場合も、基本に立ち返って復習することができるそうです。

また夏休みや冬休みには希望者を対象に講習会を開き、通常授業よりハイレベルな内容や受験勉強にも対応。佐野さんも夏期講習や冬期講習を活用して学力をつけていったといいます。

授業を受けていればレポートは難しくない

通信制高校の学習の基本となるのがレポート提出です。レポートと聞くと「大変そう」と思う人もいるかもしれませんが、実際のところはどうなのでしょうか。

「レポートの量は教科によって違いますが、授業を受けていれば大変なことはないはずです。問題も教科書をきちんと読めば解けるものばかり。僕の場合は、課題というより授業の復習としてレポートに取り組んでいました

勉強以外の相談もできる大人に出会えた喜び

3年間の高校生活を振り返り、「人間関係について学べたことが将来につながる」と語る佐野さん。友人や先輩・後輩とのコミュニケーションだけではなく、教職員から得たものも非常に大きかったそうです。

「KTCおおぞら高等学院」では、先生を「マイコーチ」と呼びます。佐野さんにとってコーチは、勉強や進路、日常生活のことなど、何でも相談にのってくれる頼りになる存在だといいます。

「コーチの方々はいつも一人ひとりの生徒の様子を気にかけ、サポートしてくれます。友達と些細な理由で喧嘩をしたときも、双方の話を聞いてアドバイスをしてくれました。また、学校行事でつい無理をしてしまったとき、コーチが『頑張りすぎだから少し休んだ方がいい』と声をかけてくれたのもうれしかったです。もしあのときコーチや友達の支えがなかったら、また中学の頃のように頑張りすぎてしまい、学校に行けなくなっていたかもしれません

佐野さんとマイコーチ。勉強のことだけでなく友人関係、進路の悩みまで何でも話せる関係なのだそう

将来の夢の実現を目指して大学へ

佐野さんの将来の夢はスクールカウンセラー。その夢の実現のため高校卒業後は進学を希望し、指定校推薦で大学に合格しました。大学で学んだ後は大学院に進み、臨床心理士と公認心理師の資格取得を目指すそうです。

漠然とした憧れだったものが、「KTCおおぞら高等学院」に入学して学習をし直し、周囲のサポートによって現実の道となっていった佐野さん。

通信制高校というと自由な時間が多く、ダラダラ過ごしているようなイメージがあるかもしれませんが、実際のキャンパスでは周囲の学生も真剣に進路について考え、友達同士で話す機会も多いのだとか。

友達の話を聞いて「そういう道を目指しているんだ」と共感したり、逆に友達から夢を応援してもらったりすることもあるそうです。

普段はふざけているような子でも、進路についてはみんな真面目に考えています。周りを見る限りでは、進学を希望する人が多いイメージ。コーチが面接練習などをしてくれるので、それを見て友達同士でアドバイスしあうこともあります」

教育のマメ知識

<卒業生の半数以上が大学へ進学>
「KTCおおぞら高等学院」によると卒業生の進路は下記のような割合になっています。

  • 進学=60%
  • 就職=20%
  • その他(未定、フリーター、留学など)=20%

また、進学先の内訳は、大学30%、専門学校40%、短期大学20%、その他10%となっています。
「KTCおおぞら高等学院」の場合、提携先である「屋久島おおぞら高等学校」の指定校推薦枠に全国の国立大や早稲田大学、立命館大学、立教大学など有名私立大学なども用意されています。

通信制高校に通ってからの変化と成長

佐野さんは、「『KTCおおぞら高等学院』に通うようになってコミュニケーションの幅が広がった」と言います。個性豊かな友人たちと接し、違いを含めて受け入れることで、“相手の背景”を自分の経験値として活かせるようになったそうです。

そのような変化は、保護者の視点からはどのように感じられたのでしょうか。佐野さんのお母さんは次のように話します。

「中1から不登校になり、正直、高校進学は無理なのではと、半ば諦めの気持ちがありました。

本人の希望で通信制高校に進学したものの、まともに中学校の授業を受けていなかったため『勉強についていけるだろうか』『お友達とうまく関わっていけるだろうか』と、不安でいっぱいでした。

同時に、通信制高校は登校せずにレポートを提出するだけ、という印象があり『それでは高校生活がつまらないものになってしまう』とも思っていました。

でも、いざ入学してみると、そんな心配はすべて杞憂に終わりました。入学してから息子はいろいろな行事に積極的に参加し、新しいことにもチャレンジするようになりました。また、それまでは何か問いかけても『うん』『まあ』といった簡単な返事が多かった息子が、自分の意見を言葉や文章でしっかりと表現できるようになりました

もし他の高校へ進学していたとしても、すぐにやめてしまっていたかもしれません。『KTCおおぞら高等学院』へ進学してたくさんのお友達に恵まれ、コーチの皆さんにも気にかけていただき、息子のペースで学校生活を送ることができて本当に良かったと思っています」

今はたくさんの友人に囲まれて、ときにケンカしたり、励まし合ったりしながら社会性がどんどん育まれていった様子の佐野さん

佐野さんは、通信制高校への進学を「今までの人生で一番大きな選択だった」と振り返ります。

「もし周りから『絶対に全日制高校に行くように』と言われていたら、高校に行かずに中卒で働いていたでしょう。僕にとって通信制高校を選んだことは、人生が良い方向に変わるきっかけになりました。『KTCおおぞら高等学院』への入学は、将来の夢に向けた大きな一歩だったと思います」

取材協力

KTCおおぞら学院高等学院
それぞれのペースで学ぶことができ、高校を卒業するだけでなく、その後の進路や社会で生きていくためのサポートをしてくれる通信制高等学校「屋久島おおぞら高等学校」の指定サポート校。キャンパスは全国にあり、体験入学も開催中。学校見学・個別相談もおこなってますのでお気軽にお問合せください。

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加藤朋実

広告代理店、企業の広報を経て、2008年よりフリーランスライターとして活動。子育て、ライフスタイル、教育、医療、住まい、グルメなど、幅広いジャンルで執筆を行う。人物インタビューや企業インタビュー、イベント取材など、取材経験も多数。そのほか、コラム原稿や書籍原稿の執筆なども手掛けている。趣味は音楽鑑賞と読書、野球観戦。プライベートでは一児の母。

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