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2020.08.12
2020.08.24

フランスの教育制度とは?3歳から始まる義務教育や日本との違いを紹介【世界の教育シリーズ①】

世界から3周半遅れているといわれている日本の教育。では、海外の教育事情はどんな感じなのでしょう。世界を知り、視野を広げることで教育への考え方や子育ての可能性は広がっていくかもしれません。そこで、今回はフランスの教育事情を紹介。留学先としても人気の高いフランスではどんな教育が行われているのでしょうか。

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フランスの教育制度とは

フランスの義務教育は、幼稚園からが始まります。そのため、フランスの子どもたちは2~3歳から勉強を始め、幼稚園(3年間)、小学校(5年間)、中学校(4年間)へと進学していきます。

義務教育は中学校まで。卒業後は働くか、普通高校、工業高校、職業高校のいずれかへと進学します。

では、それぞれの学校でどんなことを学び、どんな特徴があるのか見ていきましょう。

エコール・マテルネル/幼稚園3年

フランスの幼稚園は、1年目(年少)=Petite section(プティットゥ・セクション)、 2年目(年中)=Moyenne section(モアイェンヌ・セクション)、3年目(年長)Grande section(グランドゥ・セクション)の3年間。2019年度から義務教育になりました。

フランスの幼稚園では、子どもたちが、絵を描いたり、歌や踊りを習ったり、園庭で遊んだりする中でフランス語、数え方、英語などを学びます。ほとんどの子どもが、幼稚園を卒園するまでにアルファベットや自分の名前が書けるようになりますが、幼稚園にさえ通っていれば誰でも習得できるわけではありません。

発音の仕方や理解度が悪いと保護者が幼稚園から呼び出しを受け、「発音矯正士に相談するように」と指導されることがあります。発音矯正士とは、発音や話し方といった言語に関する問題を解決するための専門家で、苦手な発音を矯正したり、表現方法を教えたりします。発音矯正士の元へ通っている子どもは意外と多く、レッスンが半年待ちというケースもまれではありません。

エコール・プリメール/小学校5年

フランスの小学校は5年間ですが、最初の1年間は、教育課程の準備期間であり、カリキュラムはフランス語と簡単な算数が中心になります。特にフランス語は、1年かけて発音を学びます。「1年も!?」と不思議に思う人もいるかもしれませんが、フランス語には多くの音があるため、発音したり、音を聞き分けたりするのが難しいのです。

歴史や地理、理科の授業が始まるのは、小学2年(CE1)以降。また、こうした座学以外に演劇を見に行ったり、プール教室へ通ったりする校外学習も盛んです。また、小学校までは大人が送り迎えをする義務があるうえ、平日休みの学校もあるため有料でシッターなどを雇っているケースも珍しくありません。

コレージュ/中学校4年

フランスの中学校は4年間です。3年生のときには職業体験が行われ、興味のある仕事や将来やってみたい仕事の受け入れ先を生徒本人や家族が自ら探して交渉し、1週間ほどの研修を行います。この体験で学んだことをレポートにまとめ、みんなの前で発表し、成績が付けられます。

また、卒業試験にあたる「Diplôme national du brevet(ディプロム・ナショナル・ドゥ・ブレヴェ)」という全国統一試験を受けなければなりません。この試験は、さほど難しくはなく85%程度が合格ラインとなっています。

リセ/高校3年

フランスには3種類の高校があります。

高校が3種類

普通教育課程高校(3年制)
大学進学のために「普通バカロレア」を取得する高校

工業高校(3年制)
工業の専門的な知識を学び、「工業バカロレア」を取得する高校

職業高校(2~4年制)
2年間学び「CAP(職業適性証)」「BEP(職業教育免状)」とよばれる国家資格を取得して働くパターンと、さらに2年間専門課程を学ぶ4年制で「職業バカロレア」を取得するパターンがあります。

フランスの高校は、日本の高校受験のような入学試験はなく、中学3年生のときに生徒と家庭で進路を決め、学校の会議で決定されていきます。ただし、入学試験はないものの入学後は、1年生から高校終了試験であるバカロレアの準備が始まるなど、学業は非常に大変です。

バカロレアは単なる高校の卒業試験ではありません。フランスには大学受験はない代わりにバカロレアに通らなければ大学進学はできないのです(普通教育課程高校の場合)。中には、バカロレアを断念して高校を辞めてしまう学生もいますが、バカロレアに通っていないことは就職などでも不利になってしまいます。

日本と違う教育のポイント

制度自体も日本とは大きく違うフランスの教育ですが、ほかにも日本とは違う点が多々あります。そのうちのいくつかを挙げてみましょう。

家庭科は家庭で学ぶもの

フランスの学校には家庭科の授業がありません。日常生活で必要な仕事は家で学んでいくことで、学校では学問を中心に学ぶというのがフランスのスタンスのようです。

飛び級するのは当たり前

フランスの教育制度は落第や飛び級があることで有名です。長期入院をした場合や、どうしてもついていけない場合など落第する場合がありますが、最近では少ないようです。一方、飛び級は今も頻繁に行われています。通常、飛び級は学校から提案されて生徒が家族と決めます。ただし、飛び級すると突然難しくなる教科もあるため、反対する家庭も多いようです。

英語だけでなく中学生から第2外国語を習得

フランスでは、中学生から第一外国語としてほとんどの生徒が英語を勉強します。ただ、学校によっては、第一外国語を英語ではなく、ドイツ語、スペイン語などから選べる学校もあります。加えて、中学在学中にドイツ語、スペイン語、イタリア語などの第2外国語も学び始めます。

フランスでは家庭教師が主流

フランスには日本のような大学受験はないため予備校は存在しません。ただ、バカロレア取得はかなり厳しいため、個別に勉強をさせる家庭もあります。フランスにも塾のような場所はありますが、一般的には家庭教師をつけます。教員の資格を持った者や教員になりたい大学生などが個人指導のように勉強を教えます。

時代に合わせて教育制度は変えていく

もうひとつ大きな違いを感じるのは、フランスは時代によって教育制度が変わっていくという点。日本の教育は、約150年間変化がないといわれていますが、フランスは、大きな教育改革がこの数年の間にも2つ行われます。

義務教育は3歳から 理由と国民の反応は?

フランスでは、2019年度から義務教育が3歳に引き下げられました。なぜなら、現在、高校へ進学しない子どもの80%が小学校入学までに学業に問題を抱えていたことが分かっており、国家としては3歳からフランス語の基礎を学ばせることで学業に起因する社会的な不平等を解消していこうと考えたのです。

フランスでは共働き家庭やひとり親家庭が多いため、子どもが3歳から義務教育を受けることに対して反対する声はあまり聞かれません。幼稚園には預かり保育があるため、むしろ子どものことを気にせずに働くことができると好意的に思っている親は多いように実感します。

<参考資料>
Pourquoi rendre l’école obligatoire dès 3 ans ? | Gouvernement.fr

問題点を改善するためバカロレアが2021年度に制度変更

2021年以降、普通教育課程高校のバカロレアの制度が大きく変わります。

バカロレアは、試験の科目数が多く、筆記試験が中心。そのため、年度末になると学校全体がバカロレアの合格に向けられてしまい、ほかの学年の授業に支障が出てしまうなどの問題点がありました。

こうした問題を解決するために、2021年からのバカロレアでは、試験の教科が5教科に減らされ、一部の教科で口頭試験が実施されるようになります。さらに、試験結果だけでなく、内申点もバカロレアに加算されることになりました。

試験科目数が減り、学生たちの負担が軽くなるというのはいいことのように感じますが、移民などへの差別が公然と行われているフランス国内には反対の声もあるようです。

なぜなら、これまではバカロレアを取得していれば好きな大学へ入学することができました。しかし、今回の改革では、定員数をオーバーしている場合、大学側がバカロレアの成績を理由に生徒を選別できるようになるのです。テストの点数は明らかな実力の結果ですが、内申点というのは基準が難しい面がありますよね。

実は、これまでも定員数がオーバーしていた場合の選別は行われていましたが、今回の改正で内申点が加算されることで大学が生徒を選別しやすくなり、生まれや貧富の格差によって大学進学が不平等となるのではないかなどの反対意見もあります。

いまだ実施されていないバカロレア改革ですが、今後の動きにも注目していきたいところです。

<参考文献>
Un nouveau baccalauréat en 2021 | Ministère de l’Education Nationale de la Jeunesse et des Sports

国際バカロレアとは違うフランスバカロレアの特徴について

また、気を付けたいのは、フランスの教育制度におけるバカロレアは、国際バカロレアとは違うものだということ。

国際バカロレア(DP)を取得している場合、海外の大学入学選抜で有利に働く国も多いですが、フランスでは国際バカロレアは認められていません。したがって、国際バカロレアを取得していても、この資格によってフランスの大学へ進学することはできません

<参考資料>
文部科学省IB教育推進コンソーシアム

まとめ

フランスの教育制度には、将来を左右する統一試験や国家資格などが組み込まれており、子どもたちはしっかり勉強をしなければならないシステムになっています。

また、中学の職業体験では自分で行き先を見つけるなど意思と行動力が求められるほか、考えをまとめてプレゼンをするなど自分の意志・意見をしっかりと伝えるための機会も教育に組み込まれています。意見交換が好きなフランス人の国民性は、こうした教育システムの影響もあるかもしれません。

フランス語という学習の基礎を固め、自分の意志で進路を決めて人生に必要な力を身に付けていけるフランスの学校教育を知り、あなたは何を感じましたか? いいところを取り入れ、日本の教育も変わっていくといいですね。

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