教育は未知にあふれている

ソクラテスのたまご

2019.10.02

【中学受験・体験談】親が与えるプレッシャーはほんの少しでいい

宮城県在住のmasakiさん(35歳)と息子のA君(13歳)が中学受験を意識したのはA君が小学5年生の時、母から子へのアプローチがきっかけで決意しました。受験勉強に関しては母から子へ指示することはほとんどなくA君主体で進められたそうですが、そこには中学受験を決めた3つの目標が関係しているようです。母・masakiさんに中学受験についてお話を聞きました。

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きっかけは3つの理由。母から子へ中学受験を提案

masakiさんとA君親子が中学受験をしたきっかけには、3つの理由があります。「兄弟を別々の中学校に入れたい」「夢を実現してほしい」という母目線の思いと、A君自身の「学校生活の環境を変えたい」という希望です。

 

「Aが小学5年生の時に中学受験をしないかという話をしたんです。というのは、弟がひとつ下で年子の兄弟ですからどうしてもお互い意識してしまうんです。Aは常に『自分は兄だから』というのが前提にあるように見えて、もっと自分の時間や自分のことに集中できる環境を与えてあげたいと思ったんです。それと、Aの将来の夢は一級建築士。夢の実現に一歩でも近づくためにその方がいいのかなって。でも、その時のAの答えは“NO”。最初は、中学受験をするつもりは一切なかったようです」

 

そんなA君の意識に変化が芽生えたのは、6年生に進級してすぐの頃。

 

「5年生くらいから学校でいじめがあったんです。6年生になってもいじめがなくなることはなく『このままだと中学に行っても変わらない、だったら中学受験をして全く別の環境に行きたい』と思ったようです」

 

 

親は見守り役。主体はあくまでも息子だから

中学受験に向けて本格的に動き出したのは、小学6年生になってからという遅めのスタート。また、masakiさん母子が住む宮城県の居住地域は都心部に比べ受験できる中学の数が少なく、中高一貫校の県立校2校と私立校の2校のみ。A君の通う小学校で受験するのはクラスに1~2名程度で、周りから得る情報も多くはありません。しかし、不安や焦りはあまり感じなかったとmasakiさんは話します。

 

「勉強に関してつまずくということがそれまでなかったのと、自らしっかり勉強するタイプだったのでスタートが遅いから焦るという気持ちはありませんでした。学習塾にはAから行きたいと言われて、小学5年生から英語と算数のクラスに通っていましたね。中学受験対策をしている塾ではなかったのですが、小学校卒業時点で高校1年生のレベルにまで到達していたようです。自学自習力のある息子なので、『どこまで行けるのかな』と母としては楽しみでもありました」

 

受験対策として選んだ塾は、中高一貫校対策の個別指導塾。A君自身が「ここがいい」と思う塾に出合うまで、何度もいろいろな塾の体験学習に参加しました。小学5年生から通っていた学習塾との2本立て、週4で通塾し夏季・冬季講習にも参加しましたがA君が自宅で勉強している姿はあまり見なかったというmasakiさん。その点に関してはやはり、心配でつい口出ししてしまうこともあったようです。

 

「例えば塾で分からない問題があった時なんかは自宅で勉強していましたけど、それ以外はあんまり…。『どうしてもっと、頑張らないかなあ』なんて思うこともありました。それでも、毎回の模試では常に合格圏内でしたからあまり私からあれこれ言わないように気を付けてはいました。私から口酸っぱく言っていたのは『分からない部分をそのままにしておかない」ということだけ。受験するのは私ではないですしね」

 

「勉強しなさい」という母から子への指示はできるだけ控え親だからできること、親しかできないことは積極的に。インターネットで中学校の情報を調べたり学校からパンフレットを取り寄せたり、学校説明会には母子で参加。理系のA君は作文があまり得意ではなかったため、その部分はmasakiさんが添削することもありました。ただし、母の役目はサポートのみ。“苦手であってもまずは自分で考えてやってみる”という習慣をつけるように促したそう。

 

そんなmasakiさんには、ひとつだけ心残りだったことがあります。

 

「シングルマザーで金銭的にも時間的にも余裕がなかったため、親のサポートが必要な運動系の習い事を経験させてあげられなかったんです。受験の際の提出書類に“余暇活動”を記入する欄があるのですが塾以外の習い事をしていなかったため、アピールするものがなかったんです。塾の先生と相談して月に1度、漢字検定や算数検定を取得しました」

 

 

 

 

“好き”や“得意”を伸ばすためにも自主性を大切に

親に言われなくても自ら進んで勉強に取り組む姿勢は、子ども自身のためにも親の視点でも理想的なこと。A君の勉強に対する姿勢は、いつから身についたのでしょうか。

 

「特別、何かしてあげたということはないですね。ただ、小さい頃から本を与えていて、そこから図鑑やパズル、工作が好きだということが分かり『好きなもの、得意なものは伸ばしてあげたい』って。でも、私がするのはきっかけ作りだけ。工作でもパズルでも息子が自由に、自主的に取り組めるようにできるだけ口出しはしないようにしていました」

 

また、家庭ではリビング学習を取り入れていました。

 

「意図的にリビング学習にしたわけではないのですが、リビングだと家事をしながら息子と会話ができるんですよね。結果的に、息子が勉強しているかどうかが明確に見えて良かったんですが」

 

 

 

 

“気負わせ過ぎない”ことで中学受験成功へ!

学校の宿題に週4回の塾、平日で唯一、塾のない日は学校のクラブ活動。「しんどいだろうな。本当は遊びたいだろうな」というmasakiさんの心配をよそに、A君は実に淡々と受験勉強を進めていきます。

 

受験したのは1校のみ。自宅から通えて、私立に比べて学費の負担も少ない県立校を選びました。A君の入りたい部活があったのも決め手のひとつとなったそう。受験当日は学校側から“普段着”の指定があったため、パーカーに黒のパンツ、ダウンジャケットという普段のA君のまま臨みましたが…。

 

「学校から言われたことを忠実に守ったつもりだったのですが、普段着だったのはうちの息子だけだったんです。他の子は、スーツやジャケットで正装していて。それを見た時は『申し訳なかったなあ、不合格だったら私のせいだ』と心配で心配で…。受験会場から戻ってきた息子が『いつも通りの自分だったから緊張しなかったし、肩もこらなくて良かったよ』と言ってくれたのが救いでした」

 

そして、合格発表当日。簡易書留で合格通知が届きます。

 

「夕方に届くと聞いていたので、早めに帰宅して待っていました。Aはまだ帰宅していなくて先に開封したんですが、もうドキドキで…。“合格”の文字を見てホッと胸をなでおろし、封筒に入れ直してAの帰りを待ちました! 合格通知を見たAは『ああ、合格じゃん』って。冷静でしたね(笑)。同じ小学校からは30名受験して8名合格しました」

 

受験勉強期間から受験、合格発表までA君が常に冷静でいられたのは母子二人三脚のバランスが良かったからこそ。中学1年生になったA君は今も漢字検定や数学検定に継続して取り組み、一級建築士になる夢に向かって積極的に勉強に取り組めているそうです。

 

「もともとの性格もあるんでしょうが、Aは受験をストレスに感じてはいなかったと思うんです。一級建築士という明確な目標はあったけれど『もし不合格でも、公立校があるから大丈夫よ。行くところがなくなるわけじゃないから』って、私からいつも言っていましたし。親が焦って子どもを追い込んだところでどうしようもないですからね。提案やアドバイスはするけれど、私の気持ちや考えを押し付けることはしない。それだけは、親として今後も意識していきたいと思っています」

 

「ソクラテスのたまご」編集部

「ソクラテスのたまご」編集部

教育に関する有識者の皆さまと一緒に、子を持つお父さん・お母さんでもある「ソクラテスのたまご」編集部のメンバーが、子どものために大人が知っておきたいさまざまな情報を発信していきます。

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