教育は未知にあふれている

ソクラテスのたまご

2019.01.08

勉強嫌いな子どもを勉強好きに変身させるためには?

「主体性ゼロの学生達に必要なこと」という記事の中で、学生に学業で達成感を与えることが大切だというお話をさせて頂きました。今回は、もし、勉強自体を好きになれば必然的に学習を自発的に行うようになるのではないかという仮説のもと、子どもが勉強をする理由やを好きになるきっかけは何だったのかを調査します。

  • rss
  • google
  • bing

純粋に勉強したいと思えるのは小学生の間だけ?

子どもに限らず、人間が目的や目標に向かって行動を起こして持続するためには、“動機づけ”が必要になります。そこで、子どもが学習をするための動機づけについて調べてみました。

 

ベネッセ教育総合研究所が小中高校生を対象に実施した「学習の意欲」についての調査よると「新しいことを知るのがうれしいから」という回答は、小学生から高校生へと年齢が上がるにつれて低下しています。動機づけには、人の内部で湧き上がる欲求が要因となる「内発的動機づけ」と、外的な要因によってもたらされる「外発的動機づけ」がありますが、先ほど挙げた「新しいことを知るのがうれしいから」というのは、純粋な好奇心や関心によって生じる「内発的動機づけ」になります。

 

また、前述の調査によると「外発的動機づけ」に当てはまる「普段の生活に役立つから」という回答が年齢が上がるにつれて低くなる一方で「自分の希望する高校や大学に進みたいから」という項目は、中高校生になると一気に高くなります。

 

以上の結果から、「純粋に興味や知的好奇心を持って意欲的に学習したい」と感じられるのは小学生の間その後は、「受験など外的な要因のために勉強をしなければならない」という環境による要因が高くなり、勉強への意識が変化していくことが分かります。

 

 

 

勉強嫌いが好きになるきっかけはある

では、次に勉強が嫌いから好きに変わったケースでの比較をしてみたいと思います。

 

「新しいことを知るのがうれしいから」という「内発的動機づけ」で勉強をしている子は、小学生から高校生まで高い比率で「勉強嫌いから好き」へと変わっていることが分かります。

 

一方で、「希望する高校や大学に通いたい」「友達に負けたくない」など、さまざまな「外発的動機づけ」を持ち合わせて勉強している子は、中高生になり「勉強が嫌いから好きになった」と回答している子が多い傾向があります。

 

さらに、「勉強が嫌いのまま」と答えている場合は、おもに「希望する高校や大学に通いたい」という動機のみに偏っているのが分かります。

 

こうした結果から、小学生のうちに「新しいことを知る喜び(内発的動機づけ)」をもたせるか、すでに中高生なら進学のためだけではなく友人との適度な競争を伴いながら学習し、受験での成功や日々の小さな自信を積み重ねていくうちに、勉強好きに変わっていけると考えることができます。

 

 

小中高生は勉強方法によって勉強嫌いが勉強好きに

次に“勉強が嫌いから好きになった子”と“勉強が嫌いなままの子”の学習方法の違いからアプローチをしてみます。小学生と中学生は「くり返し書いて覚える」という学習方法の場合、「勉強が嫌いから好きになった」割合が「勉強が嫌いなまま」の割合より高い結果なっていました。

 

また、「友達と教え合う」という勉強方法も、小学生と中学生は「勉強が嫌いから好きになった」割合が「勉強が嫌いなまま」の割合より高くなっています。 しかし、一方で同じく「くり返し書いて覚える」「友達と教え合う」という勉強方法について高校生の傾向を見てみると、割合的に多少高いものの中高生ほどではありません。 つまり、年齢に応じて「勉強が嫌いから好きになる」という学習方法に差があり、年齢が上がるとともに「友だちと教え合う」「くり返し書いて覚える」という方法も「勉強を嫌いから好きにさせる」効果は少なくなる傾向にあります。

 

 

先生との出会いが勉強好きになるきっかけに

では、年齢の高い学生達が「勉強を嫌いから好きになる」ようにさせるにはどうすればよいのでしょうか。 それは、「勉強を嫌いから好きになった」子どもほど1年前に「授業が楽しい」と感じていたということ。また、「尊敬できる先生がいる」と回答した子も「勉強を嫌いから好きになる」傾向にあることも分かっています。

 

すばらしい先生に出会ってもすぐに結果には結びつかないかもしれません。しかし、信頼でき、自分を承認してくれる先生のもとで楽しく授業を受けることが意欲の向上につながり、積み重ねた小さな結果がやがて自信になります。これこそ「勉強が嫌いから好きに変わっていく」ということなのではないでしょうか。結局、「勉強嫌いを好きにさせる」ためには、教師の力も非常に大きいということなのかも知れませんね。

 

参考資料:東京大学社会科学研究所・ベネッセ教育総合研究所共同研究「子どもの生活と学びに関する親子調査2016」

諸葛 正弥

諸葛 正弥

所属:諸葛正弥教育総合研究所株式会社 代表取締役/大手進学塾で長年指導を行ない、2007年に「イラスト図解でわかるプロ教師力アップ術55」(明治図書)を出版。教育委員会・各種学校などで教員研修を行ないながら、私立中高一貫校の学校改革などを手掛けています。 また、「ロボット教室」や「学習教室まなび-スタイル」の運営、「よい子を育む家」の監修なども行ない、教育について幅広く関わらせて頂いております。 http://www.t-skill.com/m-style/index.html http://www.jhb.or.jp/seminar-415

\ SNSでシェアしよう /

  • rss
  • google
  • bing
  • この記事が気に入ったら
    いいね!しよう

    最新情報をお届けします