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2023.09.25

子どもの姿勢が悪い原因 正しい姿勢を維持するコツとは?【整形外科医が回答】

「食事中の姿勢が悪い」「何度注意しても猫背になってしまう」そんなふうに、子どもの姿勢に悩んでいる親は多いのではないでしょうか。大人になってから姿勢を治すのは難しいもの。意識していてもすぐに背が丸まってしまったり、矯正ベルトや姿勢をよくする椅子などを購入しても効果がなかったりと、頭を抱えている人もいるかもしれません。そこで、整形外科医である森大祐先生に「子どもの姿勢の改善法」について教えてもらいました。

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話を伺ったのは…

森 大祐医師

関西医科大学卒業。日本整形外科学会専門医、日本体育協会スポーツドクター。トーマスジェファーソン大学で肩関節の人工関節・腱板修復術・脱臼制動術の研究や最先端知識を学び、肩関節外来に取り組む。脊椎疾患の治療にも造詣が深く、新聞や雑誌などメディア出演多数。プライベートでは二児の父でもある。

子どもの姿勢が悪くなる原因

姿勢のいい状態というのは、筋肉で身体を支えている状態です。なので、長時間姿勢をよくするというのは疲れることなのです。特に子どもは、本能のままに体が楽な姿勢へと向かってしまうことが多いため、姿勢が悪くなりがちです。子どもの姿勢が悪くなのは、次のような「生活習慣」や「環境」も大きな要因だと森先生は言います。

長時間スマホやゲームをする

スマホを見たり、ゲームをしたりするときは、同じ画面を見続けることになります。画面を見るときには首が下を向いた状態で長時間スマホやゲームをし続けてしまうことがほとんどです。同じ姿勢を30分以上続けると、筋肉がかたくなってしまうため、背中もまるまった状態が続くことにより普段の姿勢も悪くなってしまうのです。

椅子や机の高さが合っていない

学校では、個人の身長や脚の長さに合わせた椅子や机が用意されているわけではありません。そのため、椅子や机の高さが合っていないと、身体に負担がかかった状態で長時間座り続けることになります。特に子どもは、成長過程のなかにいるため、背筋を伸ばし続けるだけの筋力がまだ発達していません。そのため、正しい姿勢を維持することが難しくなり、猫背になってしまうようです。

姿勢が悪いことによる子どもへの影響

すでに子どもの姿勢が悪い状態だと「このままで大丈夫なのかな」と不安になってしまいますよね。姿勢が悪いと、具体的にどのような影響があるのでしょうか?

疲れやすくなる

背中がまるまり姿勢が悪くなると、肺が圧迫され深い呼吸がしにくくなり、浅い呼吸をすることが当たり前になってしまいます。浅い呼吸を続けることで自律神経が乱れ、身体が疲れやすくなったり、イライラしやすくなることもあるようです。

肩こりや腰痛のリスクが上がる

姿勢が悪い状態が続くと肩や背中、腰など身体全体の筋肉がこわばり、血行が悪くなってしまうため、肩こりや腰痛になるリスクも上がります。子どもがすぐに肩こりや腰痛を訴えてくることはあまりないかもしれませんが、将来的に肩こりや腰痛になってしまう可能性は充分にあるでしょう。

見た目がカッコ悪い

姿勢が悪いということは、シンプルに見た目にも影響を及ぼしますよね。背筋がまがっている状態は、なかなかかっこ悪いもの。また、背中がまるくなることで、本来の身長よりも低く見えてしまうといった側面もあります。

腰痛予防にもなる!正しい姿勢とは?

森先生によるといい姿勢の定義は、「耳と肩と股関節と足首が横から見て一直線になること」だそう。また、おへそに力を入れることで背筋を伸ばし、真正面を見るのが、首や肩に負担のかからない姿勢だそうです。では、そもそもどのような状態が「いい姿勢」なのでしょうか。特に姿勢が悪くなりやすい「座っている時」の正しい姿勢の作り方を伺いました。

1、座面の前の方に座る

写真:森先生提供

森先生「座るときには、坐骨結節(骨盤を構成する骨のひとつで、坐骨の下のほうにある突起)を椅子の前にあてがうことを意識してください。肛門をしめる感覚で座るといいですよ」

2、背もたれを使わない

写真:森先生提供

森先生「背もたれがあると、よりかかってだらしない姿勢になりがちです。背もたれがないほうが、後ろに倒れないようにと意識できるので、背筋が伸びやすいと思います」

3、大股開きで座る

写真:森先生提供

森先生「座るときは、大股開きがいいでしょう。大股開きにすることで、仙骨(骨盤の上の方にある大きな三角形の骨)がしまります。仙骨が垂直に立っている状態だと、骨盤も垂直になって正しい姿勢が維持できます」

写真:森先生提供

森先生「背もたれのない椅子で、大股開きで座っているこの方は普段からこういう正しい姿勢です。もちろん、腰痛もありません」

座るときは、背もたれによりかからないこと、脚を開いて座ること、肛門付近に力を入れること、この3つを意識したいですね。いい姿勢がどういうものか分かると、立っているときや歩いている時もいい姿勢を意識しやすくなります。

子どもに正しい姿勢を維持させるコツは?

正しい姿勢を理解していても、その姿勢を維持できるかどうかというとなかなか難しいもの。何度子どもに注意しても、もとの悪い姿勢に戻ってしまっているなんてことは容易に想像できますよね。森先生に、子どもが正しい姿勢を維持するコツをお聞きしました。

憧れの人を例に挙げる

テレビ番組に登場するヒーローや、世界的なスターやアスリート。タレントやアイドルなど人に見られる仕事をしている人は、総じてみんな姿勢がいいもの。子どもに「ヒーローは背筋がぴんとしているね」「アイドルは猫背になっていないね」「そのほうがかっこいいね/かわいいね」と憧れの人を例に挙げることで、子どもの姿勢を維持するモチベーションにつながるようです。

身体を動かす遊びを取り入れる

1日に5分や10分でいいので、毎日適度に運動することや、身体を動かす遊びを取り入れてみることも姿勢を維持する方法のひとつ。一輪車や竹馬、キックボードなど子どもが好きな運動は、正しい状態の姿勢でないとできません。そういった運動を続けることで、無理なく正しい姿勢を維持しやすい状態になるそうです。具体的には次のような遊びがあります。

【日常で取り入れる遊び】

  • 竹馬
  • トランポリン
  • バランスボード
  • 一輪車
  • キックボード

また、正しい姿勢をキープするスポーツを習い事にしてしまうというのもひとつの手。バレエを習っている人の姿勢がいいように、「正しい姿勢」を習慣づけられる習い事を始めてみてもいいかもしれません。

【習い事】

  • バレーボール
  • バレエ
  • 器械体操
  • 剣道
  • 水泳
  • マラソン

難しいときは仰向けになってもOK

とはいえ、まだ筋力が未発達な子ども。長時間姿勢のいい状態でい続けることは、大人が思っている以上に難しいもの。森先生によると「正しい姿勢を維持できないのは、疲れてしまっている状態です。そんなときは、仰向けで寝るのが一番です」と話します。

長時間、同じ姿勢を続けることで身体の筋肉はかたまってしまいます。悪い姿勢のままかたまってしまったら、その後も正しい姿勢を維持することは難しくなってしまうので、疲れたら仰向けに寝転がって大の字になり、身体が楽な状態でいてもいいそうです。

姿勢の悪さは、大人になっても影響するもの。子どものうちに正しい姿勢を身に着けて、大人になってから苦労しないようにしたいですね。

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