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2020.05.22

ゲーム依存症(障害)とは?小学生・中学生の症状、診断、治療法を心理師が解説

新型コロナによる学校の長期休校をきっかけに、自宅で過ごす小学生・中学生の「ゲーム依存症(ゲーム障害)」が増えるのではと懸念されています。この記事では、専門の公認心理師、森山沙耶先生に監修いただき、ゲーム依存症(障害)の症状、小学生・中学生にとっての問題点、そしてその診断チェックや予防・治療方法について、幅広く解説します。

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新型コロナウイルスによる学校の休校期間中、10代のゲーム利用時間は大幅に増加したそうです。それをきっかけにゲームにはまってしまった小中学生の子どもたちも少なくないのではないでしょうか。

勉強以外の時間をゲームに費やすことが多くなり、朝から晩までゲーム画面とにらめっこしている姿に、「もしかしてうちの子はゲーム依存症なんじゃないか・・・」と悩んでいる保護者の方も、たくさんいらっしゃるかもしれません。

日本は、ゲーム依存症(ゲーム障害)を専門とする医療機関が非常に少なく、他国と比べても対策が遅れているといわれています。

この記事では、国内で数少ないゲーム依存症やインターネット依存症に特化した回復支援サービスを行っている「MIRA-i(ミライ)」の専門公認心理師、森山沙耶先生に監修いただき、ゲーム依存症(ゲーム障害)の症状、その結果起こりうる問題といった基礎知識から、我が子が依存症かどうかを診断チェックできるテスト、その予防・治療方法まで、幅広く、徹底的に解説していきます。

監修者

森山沙耶 先生公認心理師、臨床心理士、社会福祉士

東京学芸大学大学院教育学研究科を修了後、家庭裁判所調査官として勤務。少年事件・家事事件の調査を行う中で、非行少年の更生や離婚調停など家庭紛争の調整に関わる。大学病院に臨床心理士として勤務。2016年から、うつ病など精神疾患を抱える方の社会復帰の支援を行っている。2児の母としての経験と心理臨床の経験を生かして子育て支援に関する講演活動等も行う。2019年8月、独立行政法人国立病院機構 久里浜医療センターにてインターネット/ゲーム依存の診断・治療等に関する研修(医療関係者向け)を修了。

ゲーム依存症(障害)とは? WHOが新たな疾病として定めた定義

そもそも、ゲーム依存症(ゲーム障害)とは、どういった状態のことを指すのでしょうか。

ゲーム障害は、世界保健機構(WHO)が2018年に国際疾病分類第11版(ICD-11)に追加、2019年に正式に承認し、2022年から発効される予定の 立派な“疾病”です。

ICD-11は、以下のように定義しています。

  • ゲームのコントロールができない(開始、頻度、強度、時間、終了、前後関係)
  • 他の生活上の関心や日常の活動よりゲームを優先する
  • 問題が起きているにもかかわらずゲームを続けてしまう、またはエスカレートする
  • ゲーム行動により、個人や家庭、社会、学業、仕事など生活に重大な支障をもたらすほどの重症度

引用:MIRA-iホームページ

以上のような状態がみられたとき、その人は“ゲーム障害”と認定されることになります。

つまり、ゲームで遊ぶ時間を自分でコントロールできなくなり、日常生活においてやらなければならないこともできなくなる状態になれば、ゲーム障害と診断される可能性があります

恐ろしいことに、ゲーム障害は年々増加しているといわれています。

厚生労働省研究班の2017年の調査によると、中学生・高校生のおよそ93万人がネット依存の疑いがあると推計されました。

以下は、2019年に行われたゲーム障害に関する初の実態調査の結果を抜粋したものです。

「ゲーム障害」に関する初の実態調査で、10代・20代の18.3%が平日でも1日3時間以上をゲームに費やしていることが明らかになった。ゲームする時間が長い人ほど依存症傾向が強く、生活に支障を来たしたり、健康に影響が及んだりしている。調査は、厚生労働省の補助事業として国立病院機構久里浜医療センター(神奈川県)が実施。全国から抽出した10~29歳9000人を対象とし、5100人から回答を得た。

過去12カ月にゲームをしたことがあったのは85%(男性92.6%、女性77.4%)で、使用する機器(複数回答)はスマートフォンが80.7%と最も多く、据え置き型ゲーム機48.3%、携帯型ゲーム機33.6%が続いた。ゲームをする場所(複数回答)は自宅が97.6%と圧倒的に多かった。

「ゲームをやめなければいけない時に、しばしばやめられなかったか?」の質問に対して、ゲーム時間が1時間未満の人は21.9%だったが、6時間以上の人は45.5%が「はい」と答えた。6時間以上の人の約3割は「ゲームのために、スポーツ、趣味、友だちや親戚と合うなどといった大切な活動に対する興味が著しく下がったと思う」としている。

引用:nippon.comより

厚生労働省ホームページより ネット・ゲーム使用と生活習慣についてのアンケート

ゲームをするのにスマートフォンを使用しているケースが8割以上という数字に、いかに昨今の子どもたちのあいだにスマートフォンが普及しているかが、見て取れます。

常に携帯していて気軽に使うことができるスマートフォンは、保護者が子どもと連絡を取りやすいという利点があり、持たせる家庭も多いでしょう。

しかしその反面、スマートフォンを通して、子どもたちはいつでもどこでも気軽にゲームで遊ぶことができます。

スマートフォンは非常に便利なアイテムですが、一歩間違えると、子どもたちをゲーム障害にしてしまう危険をはらんでいるのです

そんななか、子どもたちをゲーム依存症(障害)から守るため、前代未聞な条例を成立させた県があります。

香川県が成立した、“ネット・ゲーム依存症対策条例”についてご紹介しましょう。

下記は、その条例の一部抜粋です。

(子どものスマートフォン使用等の制限)

 第18 条 保護者は、子どもにスマートフォン等を使用させるに当たっては、子どもの年齢、 各家庭の実情等を考慮の上、その使用に伴う危険性及び過度の使用による弊害等につい て、子どもと話し合い、使用に関するルールづくり及びその見直しを行うものとする。

2 保護者は、前項の場合においては、子どもが睡眠時間を確保し、規則正しい生活習慣を 身に付けられるよう、子どものネット・ゲーム依存症につながるようなコンピュータゲー ムの利用に当たっては、1日当たりの利用時間が60 分まで(学校等の休業日にあっては、 90 分まで)の時間を上限とすること及びスマートフォン等の使用に当たっては、義務教育 修了前の子どもについては午後9時までに、それ以外の子どもについては午後10 時までに 使用をやめることを基準とするとともに、前項のルールを遵守させるよう努めなければな らない。

3 保護者は、子どもがネット・ゲーム依存症に陥る危険性があると感じた場合には、やか に、学校等及びネット・ゲーム依存症対策に関連する業務に従事する者等に相談し、子ども がネット・ゲーム依存症にならないよう努めなければならない。

引用:香川県庁ホームページより

この“ネット・ゲーム対策依存症条例”では、先ほど挙げたように、ゲームをする時間または使用する時間帯の上限にまで言及しています。

違反をしたからといって罰則があるわけではありませんが、保護者が子どもたちに条例を遵守させるよう努めてほしいと求めています。

香川県が制定したこの条例に対しては、県民や専門家のあいだでも賛否両論あるようです。

「子どもたちにゲームを使用する目安を示してくれてありがたい」と好意的にとらえる人もいるなか、「個人の趣味に行政がそこまで足を踏み入れるのはいかがなものか」「ゲームで暗い辛い気持ちが救われる子どももいる」と、否定的な意見を持つ人もいます。

いずれにせよ、行政機関が条例を制定するほど、ゲーム依存症(障害)は子どもたちのあいだで深刻化していると考えて良いでしょう。

ゲーム依存症(障害)の症状と小学生・中学生に起こりうる問題

もし、小学生や中学生がゲーム依存症(障害)になった場合、いったいどのような症状が出るのでしょうか。

また、それによって起こりうる問題には、どんなものがあるのでしょうか。

具体的な症状

ゲーム依存症になると、脳内に変化が生じます。

私たちの行いは、“理性”をつかさどる前頭前野と、“本能”“感情”をつかさどる大脳辺縁系によって、常にコントロールされています。

通常の状態のときは、前頭前野の働きが優勢となっています。

しかし、ゲームで長時間遊んでいると、次第に前頭前野の働きが鈍くなっていき、大脳辺縁系の働きが優位になってしまいます。

その結果、“本能”“感情”のほうが“理性”に勝ってしまい、やらなければならないことをほったらかしにしてゲームに没頭するようになるのです。

“ゲーム依存症(障害)”になると、こういった脳の変化が起こると言われています。

ゲーム依存症(障害)には、正式な診断基準ではありませんが、世界的な基準案が設けられています。

米国精神医学会が示した診断基準案がそれであり、“DSM-5”と呼ばれています。

DSM-5によるゲーム障害の診断基準案

  1. ゲームへの没頭(前回のゲーム活動について考えたり、次回のゲームのプレイを楽しみにしたりする、ゲームが主要な日常生活活動となる)
  2. ゲームを取り上げられると、離脱症状が生じる(これらの症状は典型的に、易刺激性、不安および悲しみと描写されるが、薬理学的離脱におけるような身体的徴候はない)
  3. 耐性 ― ゲームに従事する時間を増やす必要がある
  4. ゲームへの参加を制限する試みの失敗
  5. ゲームによりもたらされた、ゲーム以外の以前の趣味や娯楽への興味の喪失
  6. 心理社会的問題を認識しているにもかかわらず、ゲームの過度の使用を継続する
  7. ゲームの分量について家族、セラピストまたはそのほかの人をだます
  8. 負の気分(例:無力感、罪悪感、不安)からの逃避や緩和のためにゲームを使用する
  9. ゲームへの参加のために、重要な人間関係、仕事または教育・職業の機会を危うくしたり、失ったりする

以上のうち、当てはまるものがあれば、ゲーム依存症(ゲーム障害)の可能性があるかもしれません。

ゲーム依存症(障害)が原因で起こりうる問題

ゲーム依存症になることによって引き起こされる問題には、どんなものがあるのでしょうか。

下記の表に、小学生・中学生に起こりうる弊害についてまとめました。

<ゲーム依存で生じる主な悪影響>

学業・金銭面遅刻、欠席、留年、退学、転校、成績低下、浪費(課金等)
精神面イライラ、うつ、不安、ひきこもり、昼夜逆転、過眠
身体面やせ、肥満、少食、過食、運動不足、運動機能低下、骨密度低下、栄養障害、エコノミークラス症候群
人間関係親との不和、兄弟との不和、親戚との不和、友人の減少、孤立、家族のうつ、家族のストレス、家族の不眠
その他家出、暴言、暴力

これらの弊害のうち、保護者と子どものあいだで起こる“家族関係の悪化”にスポットを当ててみましょう。

具体的には、子どもが家族に対して暴言を吐いたり、暴力をふるったり、家具やインテリアなどの物に八つ当たりをする、といった問題行動に発展する可能性があります。

子どもにとってゲームとは、

楽しい時間を過ごせたり、一緒に遊ぶ仲間との絆を深めることが出来たり、達成感を味わうことができる、非常に大切なものです。

それをいきなり取り上げられてしまったら、子どもは「キレる」でしょう。

もちろん家族は、子どものためによかれと思ってゲームを取り上げるわけですが、

子どもの立場から見ると、自分にとって“心の支え”になっているものを、無理やり保護者によって奪われるようなものです。

その結果、保護者に対する不信感や反抗心が募り、関係が断絶しかねない状況に陥る可能性もあるため、子どもへの対応には注意が必要です。

ゲーム依存症(障害) 診断チェックテスト

ゲーム依存症(障害)かどうかをチェックできるものとして、“ゲーム依存症(障害)診断チェックテスト”があります。

東京都でネット・ゲーム依存専門の回復支援サービスを行っている「MIRA-i(ミライ)」のホームページにある、“ゲーム依存症(障害)診断テスト(IGDT-10)”を下記に掲載しました。

我が子のゲーム依存が心配な方は、ぜひチェックしてみてください。

【ご注意ください】

正式な診断は、診察や検査のうえで医師などの専門家が行います。

そのため、正しい診断は医療機関にて受けるようにしていただき、こちらのテストはあくまで目安としてご活用ください。

10問版インターネットゲーム障害テスト

アメリカ精神医学会の疾病分類DSM-5の「インターネットゲーム障害」に当てはまるかを簡易的に調べることができます。「ゲーム」とは、オンライン、オフラインなどを含めたすべてのビデオゲームのことです。過去12ヶ月間で以下の3段階のどれに当てはまるか選んでください。

 

 

  1. ゲームをしていないときにどれくらい頻繁に、ゲームのことを空想したり、以前にしたゲームのことを考えたり、次にするゲームのことを思ったりすることがありましたか。
  2. ゲームが全くできなかったり、いつもよりゲーム時間が短かったとき、どれくらい頻繁にソワソワしたり、イライラしたり、不安になったり、悲しい気持ちになりますか。
  3. 過去12ヶ月間で、十分ゲームをしたと感じるために、もっと頻繁に、またはもっと長い時間ゲームをする必要があると感じたことがありますか。
  4. 過去12ヶ月間で、ゲームをする時間を減らそうとしたが、うまく行かなかったことがありますか。
  5. 過去12ヶ月間で、友人に会ったり、以前に楽しんでいた趣味や遊びをすることよりも、ゲームの方を選んだことがありますか。
  6. 何らかの問題が生じているにもかかわらず、長時間ゲームをしたことがありますか。問題とはたとえば、睡眠不足、学校での勉強や職場での仕事がはかどらない、家族や友人と口論する、するべき大切なことをしなかった、などです。
  7. 自分がどれくらいゲームをしていたかについて、家族、友人、または他の大切な 人にばれないようにしようとしたり、ゲームについてそのような人たちに嘘をついたことがありますか。
  8. 嫌な気持ちを晴らすためゲームをしてことがありますか。嫌な気持とは、たとえば、無力に感じたり、罪の意識を感じたり、不安になったりすることです。
  9. ゲームのために大切な人間関係をあやうくしたり、失ったことがありますか。
  10. 過去12ヶ月間で、ゲームのために学校での勉強や職場での仕事がうまくできなかったことがありますか。

 

質問1~8の「よくあった」を各1点、質問9~10はどちらかまたは両方が「よくあった」場合を1点でカウントします。

診断結果については、以下のとおりです。

診断結果が「4点以下」の場合

現時点では、ゲーム依存症(障害)ではないと考えられます。

後述の「予防方法」を参考に、今後ゲームへの依存度が高くならないようご家庭での対策および子どもへのケアを続けていかれることをおすすめします。

診断結果が「5点以上」の場合

ゲーム依存症(障害)の可能性が高いと思われます。

まずは医療機関やカウンセリング機関などの専門機関にご相談ください。専門機関で行われる治療や支援方法については、後述の「治療方法」を参考にしてください。

ゲーム依存症(障害)の予防方法

上記の「診断チェックテスト」において4点以下だった方、

また、現時点では依存度の低い子に対して、今後ゲーム依存症(障害)にならないようにするにはどうしたらいいのか、その予防方法をご紹介しましょう。

予防方法1:正しい知識を子どもと一緒に学ぶ

ゲーム依存症(障害)とはどういう病気なのか、よく分かっていない子どもは、まだまだ多いことと思います。

そのため、まずは親子でゲーム依存症に関する知識を教えてくれるホームページや本を読んだり、イベントに参加したりすることをおすすめします。

そうすることで、親だけでなく子ども自身が具体的な症状や恐ろしさについて知ることが出来ます。

その結果、子ども自身も「ゲーム依存症になりたくない」という気持ちになり、自らの行動を振り返るきっかけになると考えられます

ここで、ゲーム依存症(障害)について深く知るために、おすすめの本を2冊ご紹介させていただきます。

どちらの本も、ゲーム依存症(障害)について詳しく書かれていますので、子どもと一緒に読んでみてはいかがでしょうか。

予防方法2:子どもと一緒にルールを決める

ゲームに依存しやすい子どもは、特に反抗期の年頃と重なるケースが多いようです。

幼い頃は親の言うことを従順に聞いてくれていたのに、自我が芽生え始めると、途端に反発するようになります。

親が一方的に決めたルールに従わせるよりも、自分で作ったルールを守らせるようにしたほうが良い結果を生みます

イレギュラーなことが起こったときにも、その時々に応じて子どもと話し合ってどうするか決めるようにしてください。

もし子どもが親子で決めたルールを破った場合はどうするかについても、事前に取り決めをしておくと良いでしょう。例えば、「ルールを破ったら、一定期間ゲームを親に預ける」などというように決めておくと、ルールを守ろうという意識が働きやすくなります。

一番避けたいのは、子どもからスマートフォンやゲーム機を“無理やり”取り上げてしまうことです。

子どもと取り決めたルールについてじっくり話し合い、「自分がルールを破ったら、こうなるのは仕方ない」と、子どもが納得できるように工夫しましょう。

このステップがないと、子どもは「親に無理やり取られた」「強制的に取り上げるなんて腹が立つ」という不信感や怒りを募らせます。

なかにはスマートフォンやゲーム機を子どもの前で破壊してしまうほど怒る保護者の方もいますが、その行動は正解だとは言えません。

力でねじ伏せるようなやり方は、親子のあいだとはいえ大きな軋轢を生んでしまうものです。

その結果、親子関係にひびが入ってしまう恐れがあります。

努めて冷静に、時間をかけて話し合いを持つようにしましょう。

予防方法3:子どもとの信頼関係を築く

先ほどルールについてお話をしましたが、その大前提として、親子のあいだに信頼関係があることが大切です。

もし子どもが親に対して、「お父さんやお母さんはちっとも自分の気持ちなんて分かってくれない」「お父さん、お母さんのことを信頼できない」と思っていたとしたら、心からルールを守ろうと思えるでしょうか。

あなたは、子どもが自分を心から信頼してくれていると、自信をもって言えますか。

「正直、自信が持てない……」と思った方は、今日から子どもとの信頼関係を回復する努力をしてみてください。

親子の信頼関係を築くことによって、子どもとゲームとの付き合い方について話し合いを持てるようになり、ゲーム依存を未然に防ぐことにつながります

具体的には、子どもと一緒にいる時間を増やしていきましょう。

仕事などで時間が限られてしまう場合は、子どもと濃密な時間を持てるよう努力することが大切です。

例えば、食事の時はテレビやスマホから離れるようにし、家族で会話を楽しむ時間にするようにしてみてください。

子どもが好きなゲームについて勉強し、その話題を振ってみるのも良いと思います。

親自身がゲームを否定せず肯定的な態度をとるようにすれば、反抗的な子どもも徐々に心を開くようになってくれるはずです

予防方法4:ゲーム以外の一緒に楽しめる趣味を持つ

予防方法としてもう一つ挙げたいのが、“親子で一緒に楽しめる趣味を持つ”ということです。

具体的には、スポーツ、キャンプや釣りなどのアウトドア、料理やお菓子作り、手芸などもいいでしょう。

親子で協力して何かを成し遂げるといった経験を積んでいけば、自然とお互いへの信頼が増していきます。

また、仮想の世界も楽しいけれどリアルな世界も楽しいかもと思えるようになっていけば、ゲームに危険なほどはまることは自然となくなっていくでしょう。

ゲーム依存症(障害)の治療方法

ここでは、“ゲーム依存症(障害)診断チェックテスト”において5点以上だった方、

また、依存度が高くすでにゲーム依存症(障害)である可能性が高い子に対しての治療方法についてご紹介します。

以下の3つは、公認心理師の森山先生も実際に行っているカウンセリングです。

もしゲーム依存症(障害)が疑われる場合は、以下のような治療、支援を受けられる専門機関にすぐに相談するようにしましょう。

治療方法1:CRAFT(家族への支援)

CRAFTとは、“コミュニティ強化と家族訓練(Community Reinforcement and Family Trainning”のことを指します。

ゲーム依存症(障害)を含む何らかの依存症の人は、治療に対して拒絶反応を示すことが多いとされています。

CRAFTは元々、アルコール依存症の人などが受診を拒否したとき、その家族に対して行うトレーニングプログラムとして知られていました。

CRAFTのプログラムは、“家族の動機付け”“問題行動の分析”“家庭内暴力の予防”“家族のコミュニケーションスキルの改善”“望ましい行動を増やす”“望ましくない行動を減らす”“家族の生活を豊かにする”“本人に受診を勧める”などの段階が含まれ、機能分析、コミュニケーショントレーニングなどが用いられます。

最近では、ゲーム依存症(障害)や引きこもりの問題に対しても、CRAFTが適用されるようになりました。

ゲーム依存症(障害)の問題を持つ本人の家族に対して支援を行い、家族の負担感を軽減するとともに、治療や支援を拒否している本人の受診や相談機関への利用を促します。

また、家族への支援を通して、本人のゲーム使用の減少や家族関係の改善を図ります。

治療方法2:動機付け面接法

動機付け面接法では、依存症の本人が「自分は変わっていかなければ」と感じられるよう、カウンセラーによる面接を通して援助します。

依存症の人は、自分自身が“変わりたい気持ち(ゲームをやり続ける状態から抜け出したい)”“変わりたくない気持ち(このままゲームをやり続けていたい)”のあいだで揺れ動いていて、葛藤しています。

動機付け面接法は、その人の「変わりたい」という気持ちを引き出して強めていき、変えられるところから少しずつ着実に、一緒に変えていこうとする方法です

治療方法3:認知行動療法

認知行動療法は、依存症の治療に効果があると認められ、世界中の治療現場で用いられています。動機付け面接法を行い、本人の変化への動機付けが高まってきた段階で導入する心理療法です。

例えば、「イライラしていたけど、ゲームしたらすっきりした!」という経験をすると、「ゲームをすれば、気持ちがすっきりできる」ことを学習し、その結果、「イライラ」がゲームをする「きっかけ」になってしまいます。

そこで、「今すぐゲームをしたい」と考えてしまうような、ゲーム依存症(障害)の人がついイライラしてしまう“きっかけ”を探ります。

例えば、“イライラしている状態”であったり、“ゲーム仲間からのお誘い”であったり、“ゲームアプリのアップデートのお知らせ”であったり……。

そういったきっかけを、できるだけ避けるように生活を工夫していきます。

つまり、「今すぐゲームをしたい」という気持ちが起こらないよう、そのきっかけとなる要素を無くしてしまうということですね。

また、ゲームで得られる達成感……例えば、“難関をクリアしたときに得られる達成感”であったり、“ゲーム仲間とのつながり”であったり、そういったものに代えられるものを一緒に探します。

このように、認知行動療法では、ゲームをやり過ぎてしまうきっかけ、考え方のくせ、自分にとって好ましくない行動のパターンに気付き、対処するスキルを練習します

専門の医療機関や回復支援サービスをご紹介

ゲーム依存症(障害)を専門とし確かな治療・支援を行える施設は、日本にはまだまだ少ないのが現状です。

しかし、少ないながらも改善させることができる施設は存在しますので、その代表的なものをご紹介します。

もしゲーム依存症(障害)を心配されている場合は、以下のいずれかの施設にまず相談していただくのが良いでしょう。

専門の公認心理師によるカウンセリング

ゲーム依存症専門のカウンセラーに相談できる民間施設として有名なのは、東京都にある「MIRA-i(ミライ)」です。

(URL:https://mira-i.jp/

MIRA-iは、インターネット依存、ゲーム依存に専門特化した回復支援サービスを提供しています。

この記事を監修してくださっている、公認心理師、臨床心理士、社会福祉士の資格を持つ森山沙耶先生が所属されています。

MIRA-iでは、先ほど挙げた動機付け面接法、認知行動療法などを用いて、本人および家族に対してカウンセリングを行い、ゲーム依存症(障害)の改善を目指します。

専門の医療機関を受診

ゲーム依存症(障害)の治療を専門とする医療機関もあります。

日本国内では、独立行政法人国立病院機構久里浜医療センターが有名です。

(URL:https://kurihama.hosp.go.jp/hospital/net_list.html)

独立行政法人国立病院機構久里浜医療センター

医療機関では、個別カウンセリングのほか、グループでのゲーム依存症(障害)改善プログラムやキャンプ、入院治療なども行います。

ゲーム依存症(障害)の問題を抱える子どもの中には、現実世界で友人が少なく、ゲームの世界に仲間とのつながりを求めるケースもあります。そのため、グループ治療や入院治療を通してリアルな交流やつながりを持つことができるという利点もあります。

本人に発達障害や鬱などの疾病がある場合は、医師の判断のもと、必要に応じて薬物療法を受けることもありますので、医療機関での受診・治療をおすすめします。

もし医療機関を受診することに抵抗がある場合は、まず行政の子育て相談に問い合わせても良いでしょう。

また、医療機関のなかには心理カウンセラーがいない場合もあるので、その際は民間の支援機関や、下記でもご紹介する行政機関の相談窓口を並行して利用することもあります。

行政機関(東京都では精神保健福祉センター)に相談

行政機関である「精神保健福祉センター」にまずは相談してみるのも良いでしょう。

精神保健福祉センターは、各地域の方の精神的健康の向上および精神障害者の福祉の増進を図るための総合機関として、各都道府県に設置されています。

都内には精神保健福祉センターが3か所あります。

例えば、東京都立精神保健福祉センターの思春期・青年期相談の窓口では、下記の窓口でゲーム障害についての相談も受け付けています。

〇こころの電話相談

電話番号:03-3844-2212

実施時間:月曜日から金曜日の午前9時から午後5時まで

〇面接相談

まずは℡相談を受けてから、必要に応じて、面接日時の予約を取って行います。

相談は無料であり、秘密厳守です。

必要に応じて助言を行い、民間や医療機関のゲーム依存症(障害)治療施設へ紹介を行います。

各センターによって窓口が異なる場合がありますので、それぞれ該当する地区のセンターに問い合わせてみてください。

まとめ

以上、主に小学生・中学生のゲーム依存症(障害)を理解するために、必要な知識、診断チェックテスト、予防や治療方法について詳しくお伝えしてまいりましたが、いかがだったでしょうか。

保護者の方は、ぜひ子どもの様子をしっかり観察するようにしてください。

もしゲーム依存の片鱗が見られるようであれば、親子の時間を濃密にし、信頼関係を高め、たくさん話し合うようにしましょう。

そして、必要があれば、治療施設や子育て相談窓口を利用するようにしてくださいね。

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