子どものやる気を高める10の感情に注目!家庭でできる「やる気スイッチ」の入れ方とは
「学校から帰宅しても、なかなか宿題に取り掛からない」など、勉強への意欲が低いわが子に悩む親は多いのではないでしょうか。遊びやゲームに夢中になるのと同じように、勉強へのやる気を引き出す方法はあるのでしょうか。今回は、子どもの勉強に対するやる気スイッチについて考えてみましょう。
勉強に対するやる気が感じられない…その理由は?
遊びには“やる気スイッチ”が入るのに、勉強には入らないのはなぜなのでしょうか。その理由を考えてみましょう。
- 宿題の量が多すぎて、始めからやる気が起きない
- 宿題のやり方、問題の答えの出し方が分からず手がつかない
- 宿題や勉強以上に楽しいと思えることがある時
- 宿題や勉強をしても評価されないと感じている時
上記のような理由が考えられます。これらの原因を取り除いてあげれば、子どものやる気スイッチを押すことができます。次の章で、具体的に解説しましょう。
子どものやる気スイッチが入るのはどんな時?
やる気を落とす原因を取り除くためには、下記のような方法があります。
- 宿題の量が多すぎて、始めからやる気をなくしている ➡ 宿題の量を減らしてもらう
- 宿題のやり方、問題の答えの出し方が分からず手がつかない ➡ 宿題のやり方、問題の解き方を分からせてから宿題を出してもらう
- 宿題や勉強以上に楽しいと思えることがある時 ➡ 宿題や勉強を楽しいものにしてもらう
- 宿題や勉強をしても評価されないと感じている時 ➡ 評価してもらうようにする
しかしこれらは、あくまで理想論。「そんなにうまくいかない!」と感じる人が大多数でしょう。担任にお願いしても、すぐにできるものでもありません。
したがって、ここでは別の角度、視点から考えてみます。
簡単に言うと「子どもが勉強をやる気になるのはどんな時か ➡ 子どもが勉強を楽しいと感じる時」です。子どもが勉強を“楽しい”と感じるのははどんな時なのでしょうか。
- あれ!?うそ! という感情が起こった時
- へえ! という感情が起こった時
- 分かりそうで分からない時
- 面白さを感じる時
- はっきりと途中経過が分かる時
- 先が見える時
- やり方がはっきり分かる時
- 挑戦できる時
- 褒められる時
- 分からなかったこと、できなかったことができるようになった時
上記のように、子どもの勉強に対する感情をポジティブなものに動かすことが大切になります。
10の感情を意識して子どものやる気スイッチON!
前章で挙げた10の感情について、詳しく解説しましょう。
1.あれ!? うそ!
例えば、学校で“上”という漢字の書き順を確認することがあります。「横、縦、横の順だ」という子と「縦、横、横だ」という子に分かれます。正解は“縦→横→横”ですが、不正解だった子は驚きます。このように子どもは新しい発見ができた時、やる気になるのです。
2.へ~!
「あれ!? うそ!」という感情と似ていますが、歴史のエピソードや名前の由来など「なるほど!」というものに出合った時に「へ~!」という感情が生まれます。「へ~!」という感情を持った時にも、やる気スイッチは入ります。
3.分かりそうで分からない時
すぐに答えられそうで「あれ!?」とも思ってしまう、分かりそうで分からない問題に出合った時もやる気を刺激します。小学校の教師、大学教授、教材・授業開発研究所代表を務めた今は亡き有田和正氏は「授業の名人」といわれています。彼の「バスの運転手はどこを見て運転していますか?」という発問は、“分かりそうで分からない”子どもの知識欲を刺激する内容として、あまりにも有名です。
4.面白さを感じる時
学校のイベントを自分たちで企画できるような時に、子どもたちは面白さを感じ熱中して取り組みます。
5.はっきりと途中経過が分かる時
リレーであればどのチームがいま現在、勝っているのか負けているのかは見ただけですぐに分かりますよね。現時点での勝敗が目に見える時、子どもはやる気になることが多いようです。
6.先が見える時
“この勉強をすれば、テストで良い点が取れる”などと分かっているような時、つまり見通しが持てる時にも、子どものやる気スイッチは入ります。例えば、小学校の漢字テストでは、あらかじめテストに出す漢字を教えてしまうことが多いのです。この漢字がテストに出ると分かっているので、子どもはその漢字だけを覚えればある程度の点数を採ることができると分かります。
7.やり方がはっきり分かる時
以下の記事でも解説しましたが、漢字練習の仕方など何をすればいいのかがはっきりと分かっている時にもやる気を示します。
漢字の覚え方にはタイプ別のコツがある 小学生でも覚えられる漢字学習のステップとは
「やってみせ、言ってきかせて、させてみせて、ほめてやらねば人は動かじ」という山本五十六氏の言葉があります。例えば、算数での筆算の仕方などを先にやってみせます。子どもに同じようにやらせできたら褒めます。やり方がはっきりと分かっていれば、その通りにすればいいと分かるためモチベーションが上がるのです。
8.挑戦できる時
これは、私が先輩教師から教えてもらったことです。以下のようなチャレンジ精神が刺激されるものに対しても、子どもたちは夢中になって取り組みます。
- “口”という漢字にあと2画足してできる漢字にはどんな漢字があるか(田・旧など)
- 東という漢字のなかにはどんな漢字が隠されているか(日・木など)
- 1から100までを足した数はいくつか
- マラソンで運動場のトラックを何周走ったか
- なわとびの“前足両足跳び”が110回できたら、10級に認定される
9.褒められる時
以下の記事でも解説しましたが、褒められると子どもの脳から良い物質が出るようです。褒められるとやる気になる子は多く、“自分は褒められて伸びるタイプ”だと自分自身で言う子もいます。
10.分からなかったこと、できなかったことができるようになった時
これはどんなことにも当てはまります。自転車に乗れなかった子が乗れるようになって遠くまで行きたくなるとか、スキーができなかった子が滑れるようになり上級コースを滑ってみたくなるとか…。何でも当てはまるでしょう。
以上のうち、いずれか一つにでも当てはまると子どものやる気スイッチが入るのです。
家庭で子どものやる気を引き出すために
やる気スイッチを押す10の感情を高めるのは家庭でも可能ですが、もっと簡単にできることがあります。それはただ単に、机に向かわせるだけです。
最初から勉強させるためのやる気スイッチを入れることを目指さなくても良いのです。「始めのうちは勉強していなくても、机に向かわせるだけでいい」と先輩教師から聞いたことがあります。机に向かわせ、子どもに好きなことをさせていれば良いのです。子ども自身が好きなことであれば自然とやる気スイッチが入るでしょう。まずは、机に向かう習慣をつけるのです。
机に向かう時間は、一般的に“学年×10分”が良いと言われています。5年生であれば“5×10分”で50分、6年生であれば“6×10”で60分。継続しての時間ではなく1日のトータルでの計算です。
また、やる気スイッチが入る10の視点のうち家でも手軽に実践できるのが2番の「へ~!」と10番の「分からなかったこと、できなかったことができるようになった時」です。例えば難問5問のうちから1問だけ解かせるという方法。難問集の中には、5問のうち1問だけ解かせる方法が載っている『教室熱中! 難問1問選択システム(各学年)』(向山洋一・木村重夫編・明治図書)という難問集があります。お子さんの学年より1年下の問題を選びます。その方が学校で習っていないということもなく、難問なので1学年下の問題の方が解きやすいでしょう。
子どもに、5問のうち解きたい問題を1問だけ選ばせます。親は、“〇か×”をつけるだけでOK。ただし、不正解でもすぐに答えを教えてはいけません。難問であるがゆえ、すぐに正解を導くことのできない子は多いでしょう。学校の授業では、正解が出せるまで挑戦させます。難問といっても最初から挫折してしまうほどのものではなく解けそうで解けない問題が多いので、集中して取り組むことができます。
机に向かわせる習慣や問題集などを取り入れながら、やる気スイッチを押す10の感情を家庭でも意識してみてくださいね。
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東京都小学校準常勤講師・塾講師・ライター。30校以上の教育現場で教えてきた経験があり、進学塾では主に国語を担当。教師が集まる民間教育団体であるTOSS相模原・和(のどか)会員として指導法を学んでいる。https://www.toss.or.jp/