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2019.11.25

小学生のおこづかいのルールは? お金を大切に使える子どもに育てるために知っておきたいこと

子ども達がこれから社会に出て生きていくためには、お金をもつ喜び・使う喜びは大切な感覚ですよね。ただ、お金の価値を理解する前から、お年玉やお小遣いなどをもらってお金が手元にあるのが当たり前という子どもがいるのが現状です。どうしたら、お金を大切さを理解し、有意義な使い方のできる子どもになるのでしょうか。そもそも、親のお金の価値観は今のままでいいの? 今回はお金と親子というテーマで家庭教育師の藤田郁子さんが解説します。

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お金の価値観が親子でズレていない?

豊かな時代になり、欲しいものが簡単に手に入る環境にいると、知らないうちに子どもは贅沢に慣れてしまいます。そして、大人も“お金に甘い親”になりがちで子どもに悪しき習慣をつけてしまうことがあるようです。

まずは、お金の大切さを考える前に、お金の価値観にまつわる2つの事例を紹介します。

お金に甘い親の話~Hくんの場合~

小学6年生の息子がいるYさんは、ある日、息子の机の引き出しを開けるとあげた覚えのない1万円札があり、でびっくりしてどこで手に入れたのか問いただしました。すると、同級生のHくんから、「1万円をあげるから友達になって」と言われてもらったとのこと。クラス替えをした矢先のことで、彼を含む5人にそれぞれ1万円を渡していたそうです。お金を受け取った子たちの中には、後ろめたい気持ちがあって使えなかった子がいれば、もうすでに1万円を使い切ってしまっていた子どももいて受け取った側の親の心境も複雑でした。

話し合いの場では、Hくんのお母さんが「自営の仕事が忙しく、Hには寂しい思いをさせていたのだと思います。これからは、子どもに関心を向けて見守っていきます」と話していました。

さて、この事例についてあなたはどう思いますか?

この事例には、さまざまな要因が重なっています。

・子どもが大金を簡単に手に入れられる環境だった(Hさんの家庭)

・かまってあげていない後ろめたさから、お金をあげることで子どもの機嫌を取っていたHくんの親

・友達欲しさに家のお金を盗んでばらまくHくんと受け取る友達

誰が悪いのかという話ではありません。友情とお金、それぞれの価値について子どもたちにどう説明していたらよかったのでしょうか。価値観が問われますね。

子どものお金の価値観を親がゆがめている!?

また、こんな事例もありました。

お金で子どもを操る親の話~Kさんの場合~

Kさんは中学1年の保護者会に出席したとき、別の保護者から寄せられた担任教師への質問におどろいたといいます。

「子どもが『テストで100点とったら、1万円ちょうだい』と言うのですが、あげていいものでしょうか?」

質問している保護者の表情は真剣そのもので、質問の意図は「1万円は多いのではないだろうか」ということでした。その保護者の話をよく聞いてみると、小学生のころからテストの点がいいとお小遣いをあげていたとのこと。それが中学生になり、金額がエスカレートしていったとのことでした。

テストの点ばかりではなく、「スポーツや芸術でも1等賞をとったら」あるいは「お手伝いしてくれたら」など、子どものやる気を喚起するためにお金や欲しい物をちらつかせてしまうこともあるかもしれません。子どもの喜ぶ顔を見るのはうれしいことですし、それで、やる気を出してくれるならむしろ良いのではと思ってしまいがちです。

しかし、子どものやる気やがんばりはお金や物と同等なのでしょうか。子どもの笑顔のためといいながら、子どものやる気に値段をつけてしまっていることに気付いていますか?

本来、子どものやる気には、プライスレスの価値があり、テストやスポーツでがんばるのは子ども自身の将来のためであるはず。大人が、やる気の価値をお金や物で示してしまうと、子どもの中から湧き出てくるはずだった“好きなことだから““成長したいから”というやる気のタネは芽吹くことなく眠ったままになってしまいます。

もし、子どものやる気やがんばりを認めてあげたいのであれば、お金や物をあげるのではなく、保護者が「認めているよ」と伝えてあげてください。

そのときは、子どもの表面的ながんばりだけに着目するのではなく、結果が伴わなくても「〇〇というところをがんばっているね」「〇〇したなんてすごいね」とほめてあげればいいのです。子どもの瞳が輝くようなほめ方を親がし続けると、子どもの中に小さな自信が生まれて、次のやる気の土台になります。

実は、わが家の三男も小中高と、なかなか勉強やスポーツに結果が出ませんでしたが「君はやるときにはやる子だ」と言いつづけたところ、大事なとき(受験・就職)にはしっかりがんばれる子になっていました。

お金の価値を伝えるために必要な3つのこと

ここまでは、お金に頼ってしまいがちな子育てのシーンやトラブルを紹介してきましたが、やはり、お金を使わずに生きていくことはできません。しかも、お金についての教育は、正解やマニュアルがあるわけではなく、お金の価値観・使い方をどう教えたらよいのか、親として迷うところです。

これまでの見聞きしてきた話や経験をもとに私が子どもにお金の価値を伝えるために必要なことは下記の3つだと思っています。

①家庭で価値観を共有し、ルールを決める

子どもが扶養家族の間は、お金の管理(貯金など)には保護者も関わりましょう。

②大人は見本になるお金の使い方を心掛ける

無駄遣いしない姿勢も見せることもいいですが、分かりやすく家計簿をつけるのもいいですね。

③自分のためだけでないお金の使い方を教えてあげる

記念日にプレゼント(高価ではないもの)で気持ちを伝えたり、寄付などをすること。

例えば、「①家庭で価値観を共有し、ルールを決める」ということができていれば、前述のYくんの家庭のようにお金を勝手に持ち出したり、人にばらまくということはなかったのではないでしょうか?

また、「②大人は見本になるお金の使い方を心掛ける」ということができていれば、お金や物で子どものやる気を引き出すようなことはしないはずです。

中学生のお小遣いについては、以下の記事で詳しく解説しています。

中学生のお小遣い平均はいくらが相場?電子マネーで渡すメリット・デメリットをFPが解説
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中学生のお小遣い。せっかく渡すなら無駄遣いしないだけでなく金銭感覚を身に付ける機会にしたいですよね。そこで、お金のプロであるFPの前佛朋子さんが一般的な相場や使.....

藤田家が実践しているお金のルールを紹介

私が子育てに奮闘しているとき、祖母に言われて「なるほど」と思った言葉があります。

「こどもが小さいうちはちょっと貧乏がいい」

お金に余裕があると親はガマンさせることをしなくなり、すぐに買い与えて、親子ともに物を大事にしなくなる傾向にあります。もし、お金が少なければ手作りで工夫をして物を大事に使う習慣が身についていきます。

とはいえ、現代の生活で貧乏を実践するのは厳しいですよね。そこで、わが家では、次のような、お金のルールを決めました。

①おこづかいは小学生になってから、毎月小袋に入れてあげる

現金で手渡ししてしまうと、おこづかいという認識が薄れてしまうので、あえて袋に入れて渡しました。親のお財布から出た同じお金ですが、お年玉のポチ袋の感覚で、子ども達は“もらった!”という特別感があり、毎回、受け取るときに「ありがとうございます」と言って、うれしそうでした。こういう演出も、お金=特別なもの、という意識づけにつながるのではないでしょうか。

金額に関しては、わが家は、小学生は学年×100円 中学生は学年×1000円 高校生は5000円としていましたが、金額は時代や環境がそれぞれ異なりますので参考程度にして家庭ごとのルールを作ってくださいね。

②お年玉は使える金額の上限を決める。残りは貯金

お年玉の時期は学年が上がるにつれて、高額のお金を手にすることになります。合計すると何万円にもなるので、子どもと一緒に使っていい金額の上限を決めました。残りのお年玉は、子ども名義の通帳に、子ども自身が入金するようにしました。貯めていく喜び、銀行の窓口でノベルティのプレゼントをもらえた事もいい体験となりました。

③お小遣いの使い方は任せる

使い方について口うるさく言わないかわりにおこづかいが足りなくなった場合は、欲しい物があっても翌月までガマンさせました。すると計画的におこづかいを使う習慣が身についていきました。

ただし、ルールは子どもに一方的に守らせるものではありません。家庭での教育において大切なことは、学校で学ぶ道徳教育とは違い肌感覚で伝え、教えていくことです。お金に言葉で伝えるだけでなく、日々の大人の姿を見て子どもはお金の価値観について学んでいくということを覚えておきましょう。

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藤田郁子

1961年、神戸市生まれ。日本家庭教育学会認定の家庭教育師。幼児生活団の指導者・保育士・健康体操インストラクターなどの経験があり、1991年に公益社団法人スコーレ家庭教育振興協会に入会。日本家庭教育学会第24回大会(2009年)、同32回大会(2017年)では、研究論文を発表したほか、ゲームなど、身体から心の交流をはかる「ふれあいトレーニング」や「キッズ保育者研修」のトレーナーとして活躍中。スコーレ協会の首都圏北地区のリーダーも務めている。

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