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2019.09.19

通告件数は8万件以上! 子供への虐待の種類と現状、すべての親にとって他人ごとではない理由とは

今年3月、警視庁は平成30年の子供への(児童)虐待摘発件数は1380件、警察から児童相談所へ虐待の疑いを通告した子どもの数は、8万252人と発表しました。過去最多といわれるこれらの件数からみても、子供への虐待事件はニュースの中だけで起きている話ではありません。新学期が始まり、日々に奔走するなか、改めて子供への虐待について考えてみませんか。

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子供にあたってしまうのも虐待なのか

まずは、子供への虐待(児童虐待)の定義が法律で定められているのは知っていますか?

「児童虐待防止法」第2条では、保護者によって加えられる行為を前提として、子供への虐待の種類を以下のように定義しています。

身体的虐待

児童の身体に外傷が生じ、または生じるおそれのある暴行を加えること。殴る、蹴る、タバコの火を押し付けるなど。

性的虐待

児童にわいせつな行為をする。または、わいせつな行為をさせること。子供への性交や性的行為の強要、性器や性交を見せるなどの行為など。

ネグレクト(養育の怠慢・拒否)

児童の心身の正常な発達を妨げるような著しい減食や長時間の放置、保護者以外の同居人による身体的虐待、性的虐待、心理的虐待を放置し、保護者としての監督・保護を怠ること。病気やけがをしても適切な処置をしなかったり、乳幼児を家に放置したまま頻繁に外出したり、極端に不潔な環境で生活させたりなど。

心理的虐待

児童に対する暴言や拒絶反応、そのほか著しい心理的外傷を与える言動を行うこと。(子供が傷つくことを繰り返し言う、無視する、ほかの兄弟姉妹に比べて差別的な扱いをするなど。

以上のような虐待の分類がされるなか、前述の警視庁が発表した調査結果によると、平成30年に警察から児相へ通報した8万252人のうち、最も多かったのが心理的虐待(71,6%、5万7343人)で、そのうち44,8%は、子どもの前で妻や夫など配偶者に暴力などをふるう面前虐待でした。

千葉県野田市、東京都目黒区の子供への虐待事件などの影響もあり、虐待というと身体的虐待をイメージする人もいるかもしれません。しかし、実際に多いのは心理的虐待です。

イライラして子供に強くあたってしまったり、忙しくて子供が話しかけきても拒絶してしまったり、子供の想定外の行動や結果にキツイ言葉を投げかけてしまったり、という経験は、多くの保護者にとって珍しくないのではないでしょうか。

もちろん、虐待と認定されるような暴言や拒絶は、ほどんどの家庭が当てはまるものではないでしょう。しかし、子供に対する日々の姿勢や態度の延長線上に虐待があるのだとすれば、虐待はよその家庭のこととは言い切れないのではないでしょうか?

虐待被害の約半数が小中学生

また、内閣府が公表している平成27年版子ども・若者白書(全体版)によると、虐待被害を受けている子供の約5割は、小中学生だということが分かります。

児童相談所における児童虐待に関する相談対応件数より

平成27年版子ども・若者白書(全体版)より引用

虐待というと、反抗できない子供に対して大人が一方的に行うものという印象があるかもしれませんが、半数以上は就学以降に表面化しています。

理由としては、子供が就学すると家庭が社会と接点をもつ機会が増えるために表面化した件数が多いということが考えられますが、ほかにも、小学性以降は子供の自立心や反抗心の芽生える時期でもあり、親の期待と子供の意思にズレが出てくる時期でもあります。そのズレやもどかしさを受け入れられなかった場合、子供への愛情が歪んだ形で表れることもあるのかもしれません。

その一例が、「父の逸脱」(新泉社)セリーヌ・ラファエルという書籍です。親の過度な期待によるお稽古地獄で心理的虐待を受けてきた筆者の実話が描かれており、日本ではNHKのドキュメンタリー番組で取り上げられ、海外で映画化もされています。

虐待は愛情がないから起きるのではなく、愛があるからこそ起きることもあります。そして、親からの愛の形が歪んでしまうのは、子供の意思が芽生えて、従うだけではなくなる小学生以降に多くなるのかもしれません。

虐待=育児や努力の否定ではない

虐待という言葉には、親として失格であるという烙印を押される、これまでがんばってきた育児を否定されるという印象があるかもしれません。虐待=犯罪とイメ―ジする人もいるでしょう。

専門家の間では、虐待というキツイ言い方ではなく、“不適切な関わりをもつ”という意味の“マルトリートメント”という言葉を使おうという動きもあります。

もし、自分の育児を振り返ったときに親子関係が不適切になっているかもしれないと考えたら、児童相談所や保健師、下記の窓口に相談していいのです。相談したからすぐに親子が切り離されるということは、ほぼありません。悩みを解決して親子関係を良好にしていくために相談窓口はあるのです。

<虐待相談窓口例>

子供にキツくあたってしまいそう…など、子供との関係に悩んだら

日本子どもの虐待防止民間ネットワーク

http://www.jcapnet.jp/

社会福祉法人「子どもの虐待防止センター」

http://www.ccap.or.jp/index.html

児童相談所 全国共通ダイヤル

☎189

※スマートフォンのみ対応

http://www.orangeribbon.jp/

しつけと心理的虐待に明確な線引きはありません。そして、しつけと虐待の間で悩み、迷うのは親として自然なことではないでしょうか。普段のしつけを暴走させないためにも、メール・電話相談も利用しながら、まずは身近なところから虐待防止をしていきましょう。

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浜田彩

エディター、ライター、環境アレルギーアドバイザー。新聞社勤務を経て、女性のライフスタイルや医療、金融、教育、福祉関連の書籍・雑誌・Webサイト記事の編集・執筆を手掛ける。プライベートでは2児の母。

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